それでは第13話どうぞ
「また新しいことが起こったって、まさかもう魔王軍が動き出したのですか!?」
くれめうがあの時してくれた話はあくまでも仮説だ。本当にそうなるとは限らない。でも、そうであってほしいと願っていた。自分の国のようなことがもう起こってはいけない。しかし今の自分には何もできない。自分の今の現状に唇をかむアイリス。そんなアイリスの様子に安心させるようにくれめうは言った。
「大丈夫だアイリス。今はまだ魔王軍は動き出していない。いくら魔王軍でも王都を崩すのには、向こうもただでは済まなかったんだろう。今、あいつらも自分たちのことで精一杯さ。自分たちの領土を広げるということがどういうことか分からないで、そんなに簡単に俺達には手を出してこないよ。少なくとも今はまだ…」
くれめうの言葉に落ち着きを取り戻すアイリス。
「すみません…取り乱して」
「構わない。それでこれから話をするんだが…今の他の大きな町や国のところにも変化が現れてる。聞きたいか?」
「はい!ぜひ聞かせてください!」
「よし。分かった。えっと、まずな……今確認されたので、町や国に巨大な塔の形のダンジョンが現れたんだ。」
「えっ!?それってどういう……」
「言葉どうりだ。いきなり地面から飛び出てきたんだよ。ダンジョンが」
「それってもしかして魔王軍の仕業じゃ…」
そう推測したアイリスを否定するようにくれめうは首を横に振る。
「いや、おそらくそれはない。」
「どうしてそんなこと言いきれるんですか?」
「今、発見されたダンジョンはいずれも俺たち人間に危害を加えなかったんだ。俺も最初はそう思ったんだが、ダンジョンの中からモンスターは出てこないし、出現してからもうすぐ1日がたとうとしているんだが、一向に変化もない。だが、王都が崩れてから1日も経たないうちにこんなことが起こるなんて、あまりにも出来すぎている。何かしら関係はあるんだろうな。」
「そうですか。とりあえず特に危害を加えるようのものでなくてよかったです。」
「………………」
そう安心した表情浮かべるアイリスを不思議そうにくれめうは見つめていた。
「どうしたんですか?そんな不思議そうに見て」
「いや。自分の心配なんてしないで自分の国の民でもない人にそこまで心配するのかと思ってな。」
「当り前じゃないですか!今はもう私の国は奪われましたが、ベルゼルグがあそこまで栄えたのは、他の国や町の協力があったからです。あの防衛ラインを長年支えられたのは、決して私たちの国だけの力じゃないんです。たくさんの町や国、人々に支えられたものなんです。だからそんな簡単に切り捨てられる訳がありません。」
「そうか。どうして他の国があんたの国に協力しているのか、なんか分かった気がする。」
一人でくれめうは納得し、また続きの話をする。
「よし続きを話すぞ。今ダンジョンが発見されたところは、駆け出し冒険者の町アクセル、アクシズ教の総本山ともいえるアルカンレティア、カジノ大国ともいえるベルゼルグの隣国のエルロード、ほかにも様々な国で発見されている。今言ったのは割と有名な国だったからだ。また砂漠の真ん中でダンジョンが出てきて、そこから湧水が飛び出して、そこで人が集まりだしたという情報も入ってきたり、世界最大のダンジョンのようにそこを中心に集まりだして国のようなものが各地で出来上がるかもな。」
「へえ~。そんなことが。」
「でもどちらにしろ、それが何なのか調査しないとわからないんだよな。しかしアクシズ教はすごいな。」
「何がです?」
「ダンジョンが出てきて、もうその宣伝や観光スポットやグッズを作って、アクシズ教の勧誘を始めてやがる。まったく王都が落とされたのにここは何も変わんないな。今はそれが頼もしいとすら思えてくる」
「ええ。まったくその通りですね。」
そう言って二人で笑った。
「他にもあったの忘れてた。ダンジョンが出現したあとな。その町や地域に空から紙が落ちてきたらしいんだが、この紙に書かれている文字がなんて書いてあるか全く読めないんだ。一応、文章だけそのまま形としてコピーを取ってみたんだが、かなり昔に滅んだ文面に似ている気がするが俺はまだ半分も解読できない。なあアイリス王宮にこういう文字の資料なかったか?」
「どうでしょう。私もこんな文字初めて見ました。すいませんくれめうさんお役に立てなくて…」
「い、いや大丈夫だ!まあこれは他の人が解読してくれるまで待つしかないな」
その文字は異世界転生者が前の世界で使っていた日本語だった。その内容とは、
すいません突然このようなダンジョンを作ってしまって!ですが、今、世界がどのような状況になっているかは、その世界に住んでいるあなたたちが分かっているはずです。現在あなたの住んでいる世界は刻一刻と終わりに近づいています。その均衡が崩れたのは、あなた方、何名かの異世界転生者の方が魔王軍に寝返ったからです。転生者の方がたくさんいた王都は魔王軍に奪われる際、転生者が持っていたチートの武器などが奪われ、王都にいた転生者は全員死んでいかれました。そしてここまで死にあふれた世界に魂を導く神として今後転生者は送り込めないという結論に天界の神々と会議をし、決定しました。このような状況では何もできずに人類は滅ぼされてしまうそんな状況にさせないためにあなたやその世界の人々に立ち上がってもらうべく、このダンジョンを作りました!このダンジョンの中には莫大な財宝があり、それだけで国一つを作るだけの莫大な財があります。そしてそのダンジョンに宿りし1人の神にたった1人だけ認められたものだけがその莫大な財と今の魔王軍に対抗し得るその神の力を宿すことができます。しかしそれにはそれ相応の覚悟がいります。一度入ったらクリアできるまで一生外に出られないようになっています。ですがあなたとその世界の人たちなら、私たち神が作った試練をきっと乗り越えてくれると信じてます。これを日本語で書いたのは、あなた方が私たち神の事情を少し知っているからです。このことを町のギルドに広げてもらえれば、すぐに世界中に伝わるでしょう。それではよろしくお願いします。
「な、なんじゃこりゃあ~~~!!!」
そう言ってカズマは、その紙を発狂しながら破った。
「ようやく王都でも俺たちのことが噂されて、せっかく王都でアイリスという俺の妹ができたのに王都を出てしばらくたった頃にいきなり王都が陥落して、アイリスの安否が心配で夜も眠れず、そしたら次の日、こんなバカでかいダンジョンを立てやがって、それが神様の仕業?2日で起こるにはあまりにも展開早すぎるだろ!おい!アクア!この紙に書いてあることは本当のことなんだろうな?」
隣にいるアクアに声をかけると
「ええ。この紙から神聖なオーラを感じるし、神が書いた書類で間違いないわ。」
「もしそうなら、このダンジョンにアイリスを襲った魔王軍の奴をぼこぼこにできる力が手に入るってわけか。よし!行くぞアクア!すぐに準備を始めよう!!」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」
「いいや待たないね!早くあいつらに目にもの見せて「いいから待ちなさい!!!」っ!!?」
「いい?人間が作ったダンジョンとは訳が違うのよ。それにこの文章から見ると、要するに転生者の武器よりも強い力が手に入るって書いてあるじゃない。」
「そうだな。だから早くその力を…」
「それってつまり私たち、女神がいつも転生者に渡してるチートアイテムよりも強い力。」
「だから分かってるってのそんなことは」
「いいえ。分かってないわ。私たち女神よりもはるかに大きい力を持っている上位の神の力ってことよ。あのチートアイテムは女神の力で渡しているのだけれど、神の作った試練でもらえる力は本当にその神の力そのもの。簡単に力を渡せる女神じゃなくて、自分が認めたものしかその力は宿らないわ。今のあなたにそのチートさえも打ち砕ける神の試練に耐えうるものが今のカズマにあるの?一歩でも間違えれば、もう今度は戻ってこれないわよ。」
いつにもまして真剣な表情で言うアクアのおかげでカズマは何とか正気を取り戻した。
「わ、悪い。取り乱していた。いつの間にか周りが見えなくなっていたよ。」
「まったく世話が焼けるわね~少しでも感謝するなら今からシュワシュワおごりなさいな!」
「本当不思議なこともあるもんだな。アクアに感謝することになるなんて」
「何よまるでいつも私が感謝されてないみたいじゃない。」
「みたいじゃなくて実際そうなんだよ」
「何ですって!女神に向かってなんてこと言うの!」
「うるせー!おい!早く行くぞ!シュワシュワおごってやるから」
「えっ!本当におごってくれるの!やったー!今日は朝まで飲むわよ~」
「いや飲まねーよ!調子に乗んな!!」
そう二人で口げんかしながらいつもの冒険者ギルドに向かっていった
第13話お読みいただきありがとうございます!!
原作主人公も出し、いよいよ次の話でくれめうとアイリスも町から出ます。
うまく書けるか分かりませんが、これからもよろしくお願いします。
それでは次は第14話でお会いしましょう!!