それでは第20話どうぞ!!
ダスティネス家
日が昇り、朝を迎えたくれめうとアイリスは、手早く朝食を済ませ、身支度を整えて庭に立っていた。
「じゃあ、行くかアイリス。」
そう言って、くれめうは手をアイリスの方に向けた。
「はい!よろしくお願いします。」
アイリスはくれめうの手を取り、そして二人で走って庭から飛び降りた。下に落ち始めて、すぐに地面が近くになってくる。
「
くれめうは魔法を唱えると、落下地点に上昇気流の風を出し、地面に着く手前でしっかりと受け止めたうえでゆっくりと地面に降り立った。
「ありがとうございます。くれめうさん。今のは冒険者カードに登録されている魔法ですか?」
「いや。自分で計算して、魔力に命令を与えた方の魔法だ。こっちの方が割かし燃費もいいしな」
アイリスの質問にしっかりと答えるくれめう。話をしながら、ダスティネス家の門についた。しかし、あいにくと門は閉まっており中に入ることができない。
「おい。どうするんだ?アイリス」
「しまっているなら仕方がないので、上から飛び越えていきましょう。」
「おい正気か……?」
「はい!もちろん!これくらいの門なら飛び越えられますよね?」
「まあ余裕でできるんだが…あんまり気乗りはしないな。」
「何言ってるんですか。もう一刻を争っているのですよ!それに、私の家の直属の貴族の家は、私の捜索を続けているはずです!だから!できるだけ早く安心させてあげたいんです。」
アイリスの真剣な表情に考え直させるのは、無理と判断したのかくれめうはため息をついて
「分かったよ。じゃあ、行くか。アイリスもこれくらいの門の高さならステータス的にはいけるよな?」
「はい!たぶん行けると思います。」
「じゃあ、せーのでジャンプしていくぞ。」
「はい!」
「「せーのっ!」」
二人はジャンプし、高さ3メートル以上の門を飛び越えて、門の中に入った。
「あーあ。不法侵入だよ。アイリスはまあこの家の関係者だからいいかもしれないが、俺は完全に無関係者だぞ。もし裁判沙汰になったらどうしてくれるんだ?」
「もしそうなったら、私が弁護人として、あなたを守りますから大丈夫ですよ。そもそも私が裁判になんてさせませんから♪」
うなだれるくれめうにアイリスはウインクしながら、くれめうをフォローした。
「さあ!行きましょう!くれめうさん!家の玄関まであと少しです!」
そう言ってアイリスは玄関に向かって走り出した。
「ちょ、おい!」
くれめうも後に続くようにアイリスを追いかけようと走り出した。
ダスティネス家玄関前
「さて、じゃあアイリス。お前が家のドアをノックしてくれ。」
「え。くれめうさんがしてくれるんじゃないんですか?」
「何でおれがしないといけないんだよ?そもそもこの家に用があるのは、アイリスだろうに。」
「確かにそうですが…はあ。分かりました。」
仕方なくアイリスは玄関の扉を誰かしら気付くくらいに強めにドンドンとノックした。
シーーン
誰も気付いてもらえなかったようなのでさらに強くノックをする。
シーーン
またしてもダメだったのでさらに強くノックをしようとしたら、扉が開いた。
「おい!うるさいぞ!門は閉めてあったはずなのにどうやって入ってきたん……だ?」
扉を開けたのは、ダスティネス家の現当主ダスティネス・フォード・イグニスだった。イグニスがアイリスの姿を確認すると、腰を抜かしながら
「あ、アイリス様!?どうしてここに?えっ?生きて?えっ?………」
うまくろれつが回らず、混乱しているイグニスにアイリスは心配そうに話しかける。
「あの…大丈夫ですか?イグニス」
アイリスはイグニスの手を握ると、イグニスはようやく我を取り戻したのか。
「おお!アイリス様!よくぞご無事で!王都の周辺の町のギルドからの報告を聞いて、もう駄目だと思っていました。申し訳ございません主に仕える従者失格ですね私は…」
「いえ…そんなことはありません。顔を上げてくださいイグニス。それにそう思ってしまうのは、仕方がないです。実際に王都から逃げ出せたのは私だけですし。」
「そうなのですか。ここで立ち話するのもあれですし、さっ。こちらにお入りください。」
そう言って、アイリスを屋敷の中へと案内する。
「はい。ありがとうございます。では失礼します。ほらあなたもどうぞ。」
アイリスは屋敷の中に入ってから、くれめうにも入るように話しかける。そこでようやくくれめうの存在に気付いたのか。
「アイリス様。このお方はいったい?」
「私を助けてくれた命の恩人でもあり、ここまで案内もしてくれた方です。」
「なんとそうなのですか!?……君!」
「は、はい!?」
イグニスにいきなり手をつかまれたくれめうは素っ頓狂な声を上げる。
「アイリス様をお守りしていただいて本当にありがとう。私、ダスティネス・フォード・イグニスがダスティネス家を代表してお礼を言う。何か欲しいものがあったり、してほしいことがあったら何でも言ってくれ。できる限りのことは最大限しようと約束する。」
「は、はあ。ありがとうございます。とりあえず、積もる話もありますし、いったん移動しましょう。」
「そうですな。では、改めて、言わせていただきます。アイリス様とえ~と…」
「あっ。くれめうです。」
「くれめう殿!遠方からわざわざお越しいただいてありがとうございます。ダスティネス家は、あなた方を歓迎いたします!」
イグニスはアイリスとくれめうを歓迎して、中に入っていった。
屋敷の中に入り、イグニスは
「少々ここで待っていてくださいね」
そう言うと、向こうに歩いていき
「アイリス様がご無事だったぞ!このことをララティーナに伝えて、後で私の部屋に来るようにと伝えてくれ。他の者は客人2人に最大限のおもてなしをするように!いいな!」
「はっ!!」
そうして、イグニスはくれめうたちの方に戻っていき、
「お待たせいたしました。さ、こちらへどうぞ。」
イグニスの案内で彼の部屋に入った。イグニスは椅子に座り
「どうぞお掛けください。」
「はい。ありがとうございます。」
「あ。どうも。」
イグニスの反対側に二人は並んで椅子に座った。
「えっと…それでは少々待っていてください。もうすぐララティーナとお菓子などが来ますので、それが全部そろってから、お話ししましょう。」
「はい。分かりました。」
「それでは来るまでの間、君のお話を聞かせてくれないか?」
そう言って、イグニスはくれめうに話を振る。
「えっと。俺の話とは?」
「君自身のことについてさ。まあ出身地とか名前、活動拠点や職業などまあ自分が話せる範囲でいいから。あと口調も自分が楽なようにしゃべってくれて構わないよ。」
「えっと……」
くれめうはアイリスに目を向けると、アイリスはくれめうに気付いたのか大丈夫と言わんばかりに笑顔でうなづく。それに返すようにうなづくとくれめうは少しずつ話し始めた。
「え~と。じゃあ話します。俺の名前はくれめうって言います。出身地は紅魔の里で生まれました。年は15で今年で16になります。活動拠点としてる町などは特になく、世界中をふらふらしながら冒険をしています。職業はアークウィザードをやっています。」
「やはり紅魔の里出身でしたか。外見でその黒い髪と紅魔族で一番の特徴ともいえる両目の赤い目で何となく予想はしていましたが、またまた変な偶然があるものですな。」
「?偶然とは?」
「ああ。すいません。つい先ほどこちらに来ると言っていたララティーナという者はですね、実は、私の娘でしてその子も冒険者などですが、娘が入っている冒険者パーティーにもあなたと同じ紅魔族の方がいるのですよ。」
「えっ。そうなんですか?ちなみに名前は?」
「めぐみんさんですよ。くれめうさん。」
イグニスの代わりにアイリスが答える。
「ああ。そうでしたな。魔王軍の幹部を倒した実績が認められて、一度パーティーメンバーの方を王都に招待されたというのを私も聞きましたよ。その時にアイリス様はお知りになられましたか?」
「はい。めぐみんさんはすごいんですよ!最強の攻撃魔法、爆裂魔法を使えるんですよ!でも、同じ里なら知ってて当たり前ですかね?」
「いや…めぐみんのことは知ってるぞ。その家に何度かお世話になりに行ってたからな。でもめぐみんが爆裂魔法を使うなんてのは知らなかったな。俺、8歳には、学校を卒業して、里を出たきり帰ってないし。」
「そうなのですか?ならこの後アクセルに向かいましょう。めぐみんさんたちのパーティーはアクセルを拠点としているので、くれめうさんにお話ししましたよね。頼りになる人がいるってそれがそのパーティーの人たちなんです。」
「そうなのか。じゃあ後で行くか。」
「はい!」
「ちょっとお待ちくだされ!アイリス様をむやみに移動させるわけには、「アイリス様~~!!!」
イグニスが反論しようと言ってるときに部屋のドアが開けられ、一人の女性が入ってきた。
「お父様!アイリス様は!」
「あ~うん。そこにいらっしゃるよララティーナ。」
すぐにララティーナは視線を変えると、アイリスは苦笑いしながらも
「お久しぶりです。ララティーナ。」
「よくぞご無事で!本当に良かった!本当に良かった!」
そう言いながら、泣き崩れるララティーナ。そんな様子のララティーナにアイリスは近づいて、
「心配をかけてしまいましたね。すいません。でも私はちゃんと元気ですよ!私はララティーナが元気な方がうれしいです。だから、笑ってくれませんか?」
「そうでしたね。騎士とあろうものが何たる不覚を。すいませんアイリス様もう大丈夫です。」
そう言って、二人で笑う。その空間を割り込むのを申し訳ないと思いながらイグニスは声をかけた。
「すいませんが、そろそろお話をしたいと思っていますが…それにくれめう殿も困っています。ララティーナはこっちに座りなさい。」
そう言って、2人は席に着き、話を始める
「すまない。先ほどは見苦しいものを見せてしまった。私の名は、ダスティネス・フォード・ラティーナ。現ダスティネス頭首の娘だ。アイリス様を助けていただき本当にありがとう。心から礼を言う。」
「いえ。そんな大したことはしてませんのでどうか顔を上げてください。」
「そうか。ありがとう。」
「ララティーナこちらにいる彼は、お前の冒険者仲間と同じ紅魔族の方だそうだ。年は15だそうだよ。」
「本当なのですか!?いや正直なところ18とか19くらいに見えます。私のパーティーメンバーのせいか知らないが余計に大人っぽく見える。」
「ああ。それはよく言われます。」
「さて、くれめう殿の紹介も終わったところであの時何が起きたのかお話ししてもらえますか?アイリス様。」
「分かりました。それでは話します。」
そこから長い時間、アイリスの話は続いた。
「………以上が私が知りえる王都で起こったことです。聞いてくれてありがとうございます。」
「アイリス様ありがとうございました。しかし、私が思っている以上に非常に悪い状況に立たされているのですね我々人類は。アイリス様の護衛はララティーナが入っているカズマ君のパーティーに任せようと思う。それでいいか?ララティーナ。」
「はい!私たちが必ずアイリス様をお守りいたします!それにクレア殿やレイン殿のためにも!」
「頼りにしていますよララティーナ!」
「はい!任せてください!」
アイリスはとてもうれしかった。もうすぐ自分と対等に接してくれる人たち、友人に会えるのだから。新たな友人のくれめうも近くにいる。これほど楽しい人たちに囲まれてこれから生活ができると思うとアイリスはすごく胸が高鳴っていた。しかしイグニスが次に放つ言葉にアイリスの心の状態が一瞬で変わった。
「じゃあ、くれめう殿には悪いんだが、アイリス様の護衛を外れてもらうよ。」
第20話お読みいただきありがとうございます!!
とりあえず、ダクネスを出すことができました。次回、全員出せる思います!
それでは次回第21話でまたお会いしましょう!