それでは第21話どうぞ!
「え…今なんて…」
イグニスの言葉をアイリスはうまく理解できず、頭が真っ白になる
「え?聞こえませんでしたか?アイリス様。それではもう一度言います。………くれめう殿にはアイリス様の護衛を外れてもらうと言っているのです。」
イグニスの言葉に納得できないアイリスはすぐに反論する。
「待ってください!なんでそんなことになるのですか!」
「落ち着いてくださいアイリス様。」
イグニスがアイリスをなだめようとするが、アイリスは落ち着くことができず、声を荒げる。
「落ち着けるわけがないでしょう!だって、私が自分で「アイリス」っ!…くれめうさん?」
「悪いな。少し眠っておいてくれ。
「…………」
くれめうの声に反応したアイリスがくれめうの方を振り返ると、くれめうはアイリスに魔法をかけて眠らせた。しかし、いきなりアイリスにそんなことをしてララティーナは黙っていられなかった。
「アイリス様!おい貴様!今、自分が何をしたのか分かっているのか!お互いの了承なしでの魔法の使用は禁止されているんだぞ!それを王女相手にやることの意味が分かってやったのか!」
ララティーナは立ち上がり、腰にある剣を抜き。それをくれめうに突き付けた。しかし、くれめうはその鬼の形相の彼女に全く臆さないでそこに堂々と座っていた。
「ああ。もちろんそんなこと分かってるさ。でもな、あのままの状態の姫さんがちゃんと話を聞いてくれると思っていたのか?そんな余裕今さっきの姫さんにはみじんも感じなかったのは、あんたも分かってたろ。俺よりもあんたの方がこの姫さんと過ごしてきた時間の方がはるかに長いんだからそれくらい分かるだろ。それに俺がしなくてもどうせイグニスさんも俺と同じようなことしようと思っていたようだし、それなら、俺がやった方がいろいろ楽だろ。『王家の懐刀』と呼ばれている大貴族の頭首が主である国の第一王女に手をかけたなんてそれこそ大問題だろ。」
「っ!!………だが!それは予測なのだろう?……お前がやったことについては、どう言おうとその事実を塗り替えることはで「そこまでだ!ララティーナ!」っ!?…お父様?」
「早く剣をしまえ。」
「ですが!お父様!この者は「いいからしまえと言ってるんだ!」…っ!…………分かりました。すみません。」
ララティーナは、剣をしまい、椅子に座った。ララティーナが椅子に座ったのを確認すると、イグニスは頭を下ろし
「先ほどは、私の娘が無礼をはたらいて、大変申し訳なかった。この通りだ。許してやってくれないか?」
「いえ。私もすいませんでした。それに自分の主があんな目にあわされて、何もしないで立っているだけの騎士じゃなくて私も安心しました。もしララティーナさんのような人が姫さんの護衛じゃなかったら、私はこの家を無くしているところでした。ララティーナさん先ほどはすみませんでした。あなたはとても素晴らしい騎士だ。」
「な、何を言う!ま、まあ私も冷静ではなかった。こちらこそすまなかった。」
お互いに謝りあって、和解したところでイグニスはくれめうに声をかける。
「さて、話の続きなんだが、アイリス様いつお目覚めになるのだ?くれめう殿。」
「おそらく、夕方くらいに目を覚ますと思います。」
イグニスは、時計に目を向けると、ちょうど朝の10時なっていた。それを見てから
「ならお話の続きは、アイリス様がお目覚めになられたところでしたいのですが、私は、これから捜索に向かわせた兵士に機関の命令やほかの家の帰属にアイリス様のご存命のことを報告しないといけません。なのでその時間まで待つことはできないのです。なので、ララティーナ。」
「はい。何でしょうか?お父様。」
「お前にその説明をするから、あとでアイリス様とくれめう殿をアクセルに案内して、カズマさんのお屋敷で説明してあげなさい。」
「分かりました。」
「さて、これからララティーナにその話をするわけなんだが、くれめう殿。私が君をアイリス様の護衛から外すと最初に行ったとき君は、全く動揺していなかったね。もしかして、もうこの可能性は、私の屋敷に来た時点で分かっていたね。」
「まあ。そうですね。考えてみれば当たり前のことだと私自身も思っているので。」
そう言うくれめうにイグニスはあきれた表情をして
「そう物分かりがいいと私はとても怖いと感じてしまうよ。君の思考は、年相応とはとても思えないほど達観しすぎているからね。また君とは違う機会で話をしたいと思っているよ。君のことが個人的に興味がわいた。」
「そう言ってもらえるとは、ありがたいです。それでは、またどこかの機会で」
「ああ。待っているよ。」
「あっそうだった。イグニスさん。ちょっと知りたいことがあるんですけど。」
「なんだね。私が答えられる範囲ならいくらでも答えよう。」
「ありがとうございます。あの、アクセルの街で空いている土地って残っていますかね?」
「え?ああ残っているよ。と言っても町を包んでる石壁の近くしか空いていないが……まさかそこに家でも建てる気なのかね?」
「まあ……そんな感じです。守衛さんの人に話を通しておいてもらえるとありがたいんですけど、」
「分かった。私から話を通しておこう。ということはしばらくアクセルに?」
「まあそうです。もしかして不味かったですか?」
「いやいやとんでもない。あなたのような人がアクセルにいてもらえるだけでこちらは大変ありがたいです。」
「そう言ってもらえると嬉しいです。」
そうして、イグニスとくれめうの話は終わり、イグニスは立ち上がり、
「それでは、私はこれで失礼します。また何か頼みたいことがあったらララティーナを通じて私に言ってください。できる限り助力いたしましょう。」
「ありがとうございます。イグニスさん。」
くれめうはイグニスに頭を下げる。イグニスは、話は終わったということでパン!と手をたたき
「では、送迎の方は、門の前に配備させておきますので、ララティーナ。あとは任せたぞ。」
「分かりました。お父様。」
「ではくれめう殿。またの機会に」
「はい!」
そう言って、イグニスは部屋を出ていった。そこから、無言でテーブルに置いてあるケーキと紅茶を飲み、
「では、我々もアクセルに向かうとしましょうか。」
「そうですね。よろしくお願いします。」
ララティーナは寝ているアイリスを背負い、使用人にアイリスに合うような服を何着も持ってこさせ、カバンを持って、外に出た。くれめうもララティーナを追うように屋敷を後にした。
その後3人は、馬車に乗り、ララティーナはアイリスに膝枕をして座り、くれめうも無言で向かい合うようにして座った。しばらく時間がたって、くれめうはララティーナに話しかけた。
「あのララティーナさん。ちょっと聞きたい「ああもう。ちょっと待ってくれ。」…?」
話しかけたら、急に手を前にして、恥ずかしがっているララティーナに不思議がるくれめう。そこからララティーナは話し始めた。
「その、あまりララティーナと言うのはやめてくれないか?あまり自身の名は好きではないのだ。」
「えっ?そうなんですか?ではどう呼べば?」
「冒険者の間では、ダクネスという名前で通している。だから、くれめう殿にもそう呼んでもらいたい。それに同じ冒険者同士だ。もっと砕けたしゃべり方で構わない。」
「そうか?じゃあお言葉に甘えて、そうさせてもらう。」
「うむ。それにしても………」
「?どうしたんだ?」
ダクネスの視線が気になり、くれめうはダクネスに尋ねた。
「ああ……いや。私の入っているパーティーに紅魔族の人間がいるのだが、くれめう殿は、とても受け答えもよく、常識を身に着けている方だなと思った次第でな。」
「え?……これが普通だろ。」
そう言うが、ララティーナもといダクネスは首を横に振り、
「いや、違うぞ。私のパーティーメンバーの紅魔族は、頭のおかしい子とアクセルで定着してしまっているし、パーティーリーダーはやることは外道・鬼畜・卑怯などまああまりよくない感じで名が広がっているのだ。もう一人はアークプリーストで宴会芸がとてもすごいぞ。もちろんプリーストとしての実力もすごいぞ。知力がちょっと悲しいがな。」
「……おい。それって、本当に大丈夫なのか?急に心配になってきたぞ。」
「まあ。問題ない。なんだかんだ言って、やるときにはやる私の自慢のパーティーメンバーだ。」
ダクネスは笑顔で誇らしげに語った。その様子を見て、くれめうも笑い
「まああんたがそう言うんなら、そうなんだろうな。少し会うのが楽しみだ。」
「ああ。楽しみにしていてくれ。もうすぐ屋敷に着くぞ。降りる準備を忘れないようにな。」
「ああ。了解だ。」
その15分後、馬車は、屋敷の前で止まった。くれめうは馬車から降りて、屋敷を見る。
「かなりでかい屋敷だな。冒険者になって1年もたたないうちにここまでの財を得るとは本当にすごいんだな。まあ、魔王軍幹部を4人も倒してるんだから当たり前か。」
「くれめう殿。早く行くぞ。カズマ達にはもう連絡がしてある。多分玄関でずっと待っているだろう。」
「ああ。すまない。今行く。」
くれめうは走ってダクネスの横に並び、玄関の前に立つ。
「じゃあ行くぞ。」
ドアをノックすると、1秒もしないうちにドアが開け放たれ、男の人が飛び出してくる。
「アイリス~~~!!!よく無事だったな!怖かったろ!これからはお兄ちゃんがそばにいるからな!もう大丈夫だ!!」
そう言いながら、男の人がダクネスに抱き着いた。
「な、な、な、何をするのだ!馬鹿者ーー!!」
ダクネスは顔を真っ赤にし、男を回転の遠心力で屋敷の中へ思い切り投げた。ズドーン!!という音が屋敷の中に響いた。そこから抱く杜松は我に返り、コホンと咳払いをしてから
「えーと。先ほどの男が私のパーティーのリーダーのサトウ・カズマだ。」
「…………」
突然起こったことにあまり理解できていないくれめうは、何とも言い難い表情をしていた。
「ほら見たことですか。そんなに急に行ってしまっては、ダクネスも驚きますよ。ねえアクア?」
「まあ。そうね。いきなり女の子に抱き着くとかあまり正気の沙汰ではないわね。」
そう会話をしながら、玄関から二人の女の子が出てきた。
「おかえりなさい。ダクネス。あのアイリスは無事と聞いたのですが、本当ですか!」
「ああ。本当だ。今こちらで寝ておられるから。起こさないようにな。」
そう言いながら、ダクネスは背中で寝ているアイリスを見せる。
「ああ。本当に良かったです。私としても友人がいなくなるのはとても悲しいですから。」
「あの~。そろそろダクネスの横に立っている男の人の説明が欲しいんですけど?」
「ああ。すまないアクア。えっと、こちらアイリス様を見つけ保護し、そしてダスティネス邸まで送り届けてくれたくれめう殿だ。」
「えっと。どうも初めまして冒険者のくれめうです。」
「外見や名前で分かったと思うのだが、めぐみん。くれめう殿はお前と同じ紅魔族だ。くれめう殿。こちら、私の冒険者仲間のアクアとめぐみんです。」
「お前がひょいざぶろーさんの娘さんか!いやーでっかくなったな!」
「えっと。………本当にくれめうなのですか?」
「おうよ!久しぶりだな!」
「本当ですよ!何も言わないでいつの間にか里を出てるし、あれから音沙汰無しだったんですから!本当に会えてよかったです!後アイリスのことありがとうございました。」
「ああ。帰ってこなくてまあ悪かったよ。こっちもいろいろ大変だったんだ。」
「まあ。みんな感動の再開をしたってことで早く中に入りましょ!外は寒いわ。」
そう言うアクアにダクネスは笑って
「そうだな。中に入ろうか。くれめう殿もぜひ。」
「ああ。じゃあお邪魔する。」
そう言って屋敷の中に入り、壁にめり込んでいるカズマを無視し、4人は暖炉のある部屋に向かっていった
第21話お読みいただきありがとうございます!!
何とか合流させることができました。次回、なぜくれめうがアイリスの護衛に着くことができない理由について明らかにして、また新たな話も作っていきたいと考えています。
それでは次回、第22話でお会いしましょう!