それでは22話どうぞ!!
カズマも意識を取り戻し、全員が同じ部屋に集まり、回るようにして上から順にカズマ、めぐみん、アクア、くれめう、ダクネスの順番で椅子に座っていた。アイリスは、まだ寝ているためとりあえず大きなソファに寝かせて、毛布を掛けた。ダクネスはこの場を取り仕切り話を始めた。
「とりあえず、これから話を始める。カズマにはまだ紹介もしていなかったな。こちら紅魔族のくれめう殿だ。」
「どうも。くれめうです。一応職業はアークウィザードです。よろしく。」
「あ、ああ。俺はサトウ・カズマ。このパーティーのリーダーだ。えっとくれめうさんでしたっけ?アイリスを助けて、ここまで送り届けてくれてありがとうございます。」
「やめてくれ。あんた俺より年上だろ?俺には、普通に呼び捨てで構わない。」
「えっ?そうなのか?ダクネス。」
「ああ。くれめうの言う通り彼はお前より一つ年が下だ。」
「そうなのか。じゃあそうさせてもらうぜ。」
「ああ。よろしく頼む。」
そう言って、二人は握手をした。
「そういえば、くれめうも紅魔族なんだろ?」
「ああそうだが。それがどうかしたのか?」
「いや…俺、一度紅魔の里にめぐみんたちと一緒に行ってみたんだけどな。くれめうみたいなまともそうなやつが紅魔族にもいたんだなってちょっと安心してさ。」
「おい。いったい誰がまともじゃないって?そこら辺私と詳しく話そうじゃないか。」
「おい!馬鹿!いきなり掴みかかってくるなよ!だってそうだろ!自己紹介も変な名乗り方しないし、話もちゃんと聞いてくれるまともな奴だし!どこかの誰かと違って、変な魔法も覚えていなさそうだし!」
「なにおう!変な魔法とは、爆裂魔法のことですか!あなた私に言ってはならないことを!いいでしょう!ならば、どれぐらい変なのかくれめうに今!見定めてもらいましょう! 闇より暗き漆黒に我が「待て待てーい!今、この場で打つ気なのか!お前俺が死ぬ思いまでして積み上げた財産をすべて無にする気か!おまえふざけんなよ!」」
カズマは魔法を唱えようとしてるめぐみんに掴みかかる。
「ちょ、何するんですか!?変なところ触らないでください!」
「うるせー!だったら、魔法なんて打つな!分かるまで俺はこの手を離さないぞ!」
「分かりました!分かりましたから!早く手をどけてください!」
「たく…しょうがねーなー。」
そういって、めぐみんから離れるカズマ。
「まったく…もとはと言えば、カズマの発言がいけなかったのです。紅魔族は売られた喧嘩は買う種族なんですよ。それにカズマは、くれめうのことをまともだと言っていましたが、そんなこと全然ないですよ。」
「え?そうなのか?」
「はい。私一度だけくれめうの部屋に行ったことがあるんですが、この人の生活はとても破綻していました。それこそ私以上にです。」
「へ、へ~。めぐみん以上にか。」
それには、不満があったのかくれめうは反論する。
「おい。俺はお前の家みたいに貧乏ではないぞ。それに俺がひょいざぶろーさんにお世話になっているときは、家に来るたびに肉とかいろいろ食糧持って来てやったじゃないか。」
「ええ。確かにあなたがうちに来ると、食べ物には困りませんでした。しかし!魔道具開発いえ魔法に関係ある話を始めるとあなたは3日以上も私の家に居座って、私の父と話していたではありませんか!もう2日目の昼頃には、父は魂が抜けたようなとても青い顔をしていましたよ!母が止めなかったら、いったいどうなっていたでしょうか!」
「魔法のためなら、5日は何も食べなくても余裕だろう!世界の神秘を解き明かすためなら、俺は、喜んで断食するね!」
「………」
カズマは思った。もうこの種族には、まともな奴なんていないと。
「ね~カズマさん。これだけ騒がしくしてるなら。さすがにアイリス起きたんじゃ」
「!そうだった。アイリス~!。……寝てる。」
「えっ?本当ですか………おかしいですね。これくらい騒がしければさすがに起きるものなのに。」
疑問な3人に説明をしようとダクネスが口を開く前にくれめうが口を開いた。
「ああ。それは、自然に寝たものじゃないからな。魔法によって無理やり眠らせられてる。」
「はっ?どういうことだよ?」
「要するに俺がアイリスを眠らせたんだよ。この俺の魔法で。」
そういった瞬間にカズマはくれめうの襟をつかみ、にらみつける。あわててダクネスがカズマに説明する。
「待て!カズマ!くれめうがアイリス様に魔法を使ったのには、ちゃんと理由があるのだ!つまり…………ということなんだ。」
「それで、どうしてアイリスに魔法打つことになるんだよ?話だけ聞けば、アイリスはお前のためにイグニスさんを説得しようとしてるようにしか聞こえないんだが。」
「あの時の姫さんは、全く周りが見れていないほど冷静じゃなかった。それにあれは説得でもなんでもないな。ただ自分の感情を相手に一方的にたたきつけてるようなもんだった。だからあの時はあの方法しかなかった。」
「おい。俺はその時その場にいなかったから、お前の判断が間違いとは、決して言えねえ。でもな、お前その言い方はないんじゃないのか?」
「他にどう言えばいいんだ?俺にはこういう表現しか思いつかない。」
「お前…アイリスがお前のことを自分の騎士と言ってくれたんだろ?お前もその気持ちに応えてやるべきじゃないのか?あんた…アイリスの護衛だろ?」
そう言いながら、カズマはゆっくりと掴んでた襟をゆっくりと離した。
「確かにそうだな。でもな、俺は、もうすぐ護衛の役目は終わる。あんたらのパーティーと入れ替わって、それで終わりだ。」
「くれめう。あなたはそれでいいのですか?」
めぐみんの問いかけにくれめうは答えに一瞬詰まるが、すぐに口を開いた。
「ああ。いいさ。確かにあの時は自分もテンションが上がってて、よく分からない思考に陥っていたのかもな。だから、後悔はしない。それに……」
「「「!?」」」
くれめうが今まで見せてくれた楽しそうな顔・つまらなそうな顔・怒った顔いろいろ見てきたが、それとは、全く異なる冷たい目そして何の感情もないような顔。冷気が漂いそうな彼の冷たいオーラに思わず委縮する。
「俺は、貴族や王族が大嫌いだからな。」
時間的に言えばわずか5秒も満たなかったと思う。それでも彼がまとった雰囲気はとても重く冷たいものだった。そんな彼は、はっとしたようにして、
「ダメだなあ~俺。またやってしまった!悪いなカズマ。今のは忘れてくれ。」
そう朗らかに言うくれめうだったがカズマは
(馬鹿だろお前。あんなの見せられて忘れろとか無理に決まってんだろ。)
カズマが感じた悪寒は今まで出会ってきた魔王軍幹部とは、けた違いのものだった。正直なところ、まだ腕が震えている。隣にいるめぐみんもカズマ同様に震えていた。
「おい。大丈夫か?」
「知りませんでした。」
「え?」
「あの人のあんな目…私、初めて見ました。」
「俺もあんな顔するやつだとは思わなかった。あいつ俺より年下なんだろ。どうやったらあんなふうになるんだろうな?」
「……」
「……」
二人は黙って、その場に立っていた。そんな重い空気を破るように少女の声が部屋に響いた。
「ふあ~。あれ?私いつの間に眠って…?それに……お兄様!?めぐみんさんもアクアさんも!いつの間に私ここに来たのでしょうか?……えっと、どうしました?みんな私の方を見て…」
くれめう以外の全員が思った。
((((ありがとうございます!!アイリス様!!))))
全員が席に着いてから、ダクネスが話を始めた。
「それでは、アイリス様もお目覚めになられたようなので、これからの話をします。まず、アイリス様の護衛の件なんですが、くれめう殿には、すみませんが、アイリス様の護衛を外れてもらいます。」
そう言うと、アイリスは椅子から立ち上がり
「だから!どうしてなんですか!」
「ちゃんと説明しますから!今は落ち着いてくださいアイリス様!」
「そ、そうだぞ!アイリス、落ち着け!」
「お兄様…すいません。分かりました。」
そう言って、アイリスは、椅子に座る様子を見て、めぐみんはカズマにそっと話しかけた。
「カズマ、カズマ。」
「ん。なんだよ?」
「今の様子からするとアイリスは今さっきの話聞いていないように思いますね。」
「今さっきって言うとくれめうのあれか?」
「そうです。あの話はアイリスにするべきなんでしょうか?」
「いや。しない方がいいと思う。成り行きで知ってしまうのは仕方がないが、知らなくてもいいことっていうのもたくさんあるからな。」
「そうですね。分かりました。」
二人でこそこそ話して、終わったすぐにダクネスが説明する。
「まあ。一言で言うなら、単純に実績がないからです。」
「ちょっと待ってください!それだけで落とすなんて…」
「まあ、聞いてくださいアイリス様。冒険者は活躍に応じて、そのギルドの扱い、クエストの制限など様々な項目でまず一番の基準となるのは、その実績です。例えばとても危険なクエストをする場合、ギルドの役員はその人に十分可能なクエストの範囲かどうかをしっかり吟味し、そこから個人的に依頼するそうです。その理由としては、単純に力が足りないものが行っても死にゆくだけ。他にもこの人ならという人望……つまり、過去、今までの積み重ねた実績がいかに周りの人に伝わってるか。そうではないと、なぜこいつなんだ!という批判が起こり、後から問題が起こるためです。今回のようなたった一人の国の王女の護衛なんて冒険者にとっては、自身の名を世界に広める絶好の機会そんな状況で名も知れ渡ってないくれめう殿がアイリス様の護衛をしたらどうなるか分かりますよね?だから、アイリス様の護衛は、数々の魔王軍幹部を倒し、その実績が認められ、王都に招待されたこともあるカズマのパーティーなんですよ。それともう一つ。これも大きな理由ですが王家の懐刀ともいえるダスティネス家の人間がそのパーティーにいるということがさらに決定づけるものになったのでしょう。お分かりいただけたでしょうか?」
「………」
アイリスは、反論しようと必死で考えてた。しかし、なにも浮かばない。アイリスの無言が肯定の意思と見たのかダクネスは
「それでは、以上で話は終わります。カズマ達には明日、もっと詳しいことを話す。それでいいな?」
「あ、ああ。分かった。」
「それでは、くれめう殿。アクセルの冒険者ギルドに私が案内するのでついてきてください。」
「いや。俺は、前ここで冒険者やってたこともあるから、場所は分かる。案内はいい。」
「そうか。分かった。なら、玄関までは見送らせてくれ。」
「なら、私も行きます」
「じゃあ、俺も行くぜ。」
「あれ?みんなそっちに行くの?じゃあ、私も」
アイリス以外の全員が玄関に行こうと立ち上がり、歩き出そうとしたとき、
「待ってください!」
アイリスは、立ち上がったくれめうの袖をつかみ、必死でみんなに訴える。
「やっぱりおかしいです!だって、私が死にそうなところをくれめうさんが助けてくれたんですよ!王女である私の命をくれめうさんが助けてくれたんです!それは、立派な実績では、ないのですか!?」
「……」
アイリスの訴えに困った顔をするダクネス。まだ負けないとアイリスは言わんばかりに続ける。
「他にもありますよ!くれめうさんは、魔法使いですが近接武器の使い方も他の近接専門の上級職の方と比べても、全くそんしょくないですし…魔法に至っては、私が今までお会いした魔法使いの中で群を抜いてくれめうさんが一番でした!これでも護衛を外されるんですか!?みんなを認めさせる実績がないだけで!?」
「……」
何も答えてくれないダクネス。ならばとアイリスは頼みの綱でもあるカズマに視線を向けるが
「……」
「お兄様……?」
話しかけたら、顔を背けられ、どうすることもできなくなってしまったアイリスは、またくれめうの話をしようとしたところで
「もうやめろアイリス。」
肩に手を置かれ、優しく諭すようにくれめうは言った。しかし
「やめろって何言ってるんですか?私は
「もう何を言っても覆らないって分かるだろ?」
「だからって!それをあなたが言っちゃ…私は」
アイリスは目に涙をためて、一言おき
「もう何もできないじゃないですかっ!あなたがやりたいって言わなきゃ私は……」
本当に何にもできない。今の私は、王族の生き残り。ただそれだけ…本当にそれだけしか持っていない。
アイリスは何も言えずただ黙っているとくれめうがアイリスに向かって励ますように言った。
「大丈夫だって!アイリス!あくまでも護衛という立場がなくなって姫さんの隣にいられなくなっただけだ。俺と姫さんは友達なんだろ?ちゃんと姫さんの頼みはしっかりと俺のできる範囲で頑張らせてもらう!俺はしばらくアクセル拠点にするから、もし国を取り戻そうとするときは、俺もその一員に入れてくれよ!」
「……」
もう本当にこの関係は終わりなんだと思うと、アイリスが必至でつかんでいたくれめうの袖に手を放してしまった。それを見たくれめうは、何とも言えないような顔をしてその場でうつむいているアイリスに背を向けて
「本当に短い期間だったが、本当に楽しかった!じゃあなアイリス。あんたのこれからに祝福を願っている。」
そう言ってくれめうは、屋敷を後にした
第22話お読みいただきありがとうございます!!
関係がほぼなくなってしまいました…
でも!まだ終わりませんからね!これからまた新たに始めますから!
それでは次回、第23話でまたお会いしましょう!