この王女に祝福を!   作:から納屋

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こんにちは!!から納屋です!
本日第8話上がりました!!

最近寒くなって、とうとう私が住んでいるところにもあられが降り始めました。いよいよ冬と感じさせる気温に震えが止まりません。皆さんしっかり風邪に気を付けてくださいね!


それでは第8話どうぞ!!




出発の朝

 ベルゼルグが陥落してからの翌日の朝、アイリスは、目を覚ました。いつの間にか横になって、寝ていたらしい。いつもと違う環境で寝ていたせいもあってか、少し体が痛い。体を起こすと、自分が頭を置いていた場所にくれめうが持っていたカバンがあった。どうやら自分のために枕として置いたらしい。立ち上がって岩の影の中を見渡す。昨日焚火をした場所にまた火がたかれているだけで昨日自分の命を救ってくれた彼の姿が見えなかった。

 「っ!?」

 びっくりして、火の方に駆け寄る。

 (まさか…いやいや荷物はここに置いていますしそんなはずは…」

 理由を並べて自分を落ち着けようとしているが、それでもまだ出会って昨日と今日。まだお互いの出身地と名前くらいしかわかっていない。お互いの日の浅さもあり、どうしても不安に駆られる。

 アイリスがくれめうがいないことに気付いてから5分~10分くらいたったくらいからアイリスがそわそわしだして、とうとう我慢できなくなり、

 (武器は持っていませんが、魔法は持っていますし少しくらい外に出ても…)

 と考え、岩の陰から出ようとするときにちょうど、くれめうが木も皮を持って、帰ってきた。

 「おーっす。もう起きたのかアイリス。ちょっと目的の木を探すのに手間がかかってなあ。帰ってくるのが遅くなった。」

 そう言いながら笑顔で言うくるめうにとたんに安心したようにほっとするアイリス。

 「安心しました。起きたらいなくなっていましたから、もしかして置いて行かれたんじゃないかと思ってました。」

 「えっ!?…それは悪いことしたな…書置きくらいしていればよかった。ごめんなアイリス…」

 「いえ…そんな…こちらこそあなたがそんなことする人じゃないっていうのは分かっていたのにあなたを信じてあげることができませんでした。こちらこそすみません。」

 「謝らないでいいですよ!こっちが悪いんですから。」

 そう言って、くるめうが話を終わらせようとするがアイリスは首を振り、

 「いえいえ自分の騎士であり友人のあなたを信じれなかった私が悪いんです!」

 (は、話が終わらねえ…)

 自分が悪いと言うアイリスにくれめうは少し苦い表情をする。

 (王族として育ってきた成果かなこれは…力があるものは力がある分だけ責任が伴う。この人もその例にもれず、そういう責任感が強い人なんだな)

 そう思いながら謝るアイリスに声をかける。

 「アイリス」

 「はい?」

 「あんたが責任感が強いってのは、王族としての立場ってのも、あると思うし、単純に友人を大切にしたいってのもあると思う。でもな全部背負わないでもいいと俺は思ってるぞ。別にそれが悪いって言ってるわけじゃないぞ。むしろ大事だ…とても大事だ。王族ならなおさらな。なんせ自分の何百何千何万といった国民の生活が懸かっているからな。責任感が強いのは当たり前だ。だから、少しでもいいから、俺にもそれを背負わせてくれ。俺はあんたの騎士でもあるし友人でもある。そしてもう一つあるぞ…俺はあんたのパーティーの冒険者仲間だ。仲間は苦難を分かち合う者だろう?なあアイリス責任は半分ずつにしないか?これからも一緒に冒険を続けるために」

 そう言うくれめうにアイリスは

 「そうですよね…信じないとだめですよね…分かりました!では、改めて!」

 そう言って、一言区切って

 「これから友人として騎士としてそして冒険者仲間としてよろしくお願いします!」

 「ああ。了解だ…こっちこそ頼むアイリス」

 「はい!」

 「さあ長話も済んだし飯にするか!」

 「そうですね!」

 そう言って、くれめうはカバンから二つサンドイッチを出して、一つをアイリスに渡す。

 「アイリスに会う前の昨日のうちに作っていたんだ。」

 「そうなんですか。あっ!そういえば」

 アイリスは思い出して、昨日拾った財布をくれめうに見せる。

 「これってくれめうさんの物ですよね?昨日渡すの忘れててすいません!」

 「ああ!!そうだよ!それ俺のだ!ありがとうなアイリス!」

 「はい!」

 そう言ってくれめうは、不思議そうに財布を見ていた。そのことにアイリスは気になったのか。

 「どうしました?くれめうさん。」

 「いやな…こんな偶然もあるもんだなあって思ってな。俺たちが会うのは神が作りし、運命(さだめ)だったのかもな。」

 そう紅魔族風に言うくれめうにくすくすとアイリスは笑いながら

 「そうかもしれませんね」

 笑顔で答えるのであった

 

 

 

 朝食が終わり、アイリスはくれめうに訊く

 「そういえばくれめうさん。朝、取りに行ってた目的の木ってなんですか?」

 そのことに思い出したようにくれめうは 

 「ああそうだった!忘れてた!アイリス悪いが足のサイズを測らせてくれないか?」

 「はい?」

 

 

 

 

 

 

 「そうなんですか。私の靴を作るために測ったんですね。」

 「ああそうなんだよ。丈夫で足に負担がない素材がある木がこの森にあるのを今日の朝、思い出してな。すぐ取りに行ったんだよ。…っと、できた。」

 できたのは、茶色を基調としたひざ下くらいまであるブーツだった。

 「あとは靴下だがこれは、俺がまだ使っていない靴下をいったん紐に戻してから、作ったから汚くはないと思う。まあ嫌ならつけなくてもいいが」

 そう言うくれめうにアイリスは首を振り

 「そんなこと言うわけがないじゃないですか!ありがとうございます!くれめうさん!これ大事にします!」

 そう笑顔で言うアイリスに照れてそっぽを向いて、

 「まあこの森の中歩くとなると、そのままじゃ怪我するし、それに森を抜けてから、町に行ったときにあんたの装備買い揃えるんだからな!まあそれまで大事に使ってくれ」

 そう言うくれめうに

 「はい!!」

 アイリスは笑顔で返した。

 

 

 火の後始末や自分のたちの装備を整え(主にくれめうのだが)、準備が整った。確認といったようにくれめうはアイリスに向き直り真剣な表情で言った。

 「さて。これから出発するわけなんだが…アイリス。お前は自分の身の安全だけ考えてろ。」

 そう言うくれめうにアイリスは待ったとばかり声をかける。

 「待ってくださいくれめうさん!私武器は持っていませんが、魔法は持っているので戦えますよ!」

 そう言うアイリスにくれめうは首を振り、

 「ここのモンスターは詠唱や魔法名を言う前に襲い掛かってくるほど動きがとても速い。しかも魔法を撃とうとする人から徹底的に狙ってくる。数十体のモンスターが魔法を撃とうとするアイリスを狙うものなら、さすがに俺でもかばいきれない。だから何もせず、俺の後ろをついてきてくれ。そうすれば、アイリスは最後に狙われるから。」

 「………分かりました…でも紅魔族って魔力値と知力が高い一族ですよね?そんなあなたが前衛で大丈夫なんですか?」

 「大丈夫だよ。俺って基本ソロだから、どうしても前衛としての能力が必要不可欠だったし、それに俺、体術や剣術はもう上位職レベルの才能をもとから持っていたような異端児だし。」

 そう笑いながら言うくれめうにアイリスは驚いた顔をして

 「ええ!?そうなんですか!?」

 そう言うアイリスにおうと答えるくれめう

 (確かに私を助けてくれた時も私が目で追えないくらいの動きをしてた。でもどうしてこんな人が今まで一回もうわさにならなかったのか不思議でならない。…彼のことを知るたびに疑問がたくさん増えていく。本当に面白い方ですね…くれめうさん)

 アイリスはまた新たな彼の一面に興味がわいてくる。そんな彼女をよそにくれめうは魔除けの魔道具をカバンにしまい、そして最後の魔道具をカバンにしまって

 「よし!行くぞアイリス!出発だ!!」

 「はい!!」

 そう言って、二人は川沿いに沿って下流に向かって歩き始めた。

 こうして二人の冒険の幕が切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

 




第8話お読みいただきありがとうございます!!
これからバトルシーンも出てくるので、うまく書けるか正直不安です。
それでもできるだけ読者の皆様に伝わりやすいよう頑張って書いていきたいです。
いつもより量少ないかもですが、この辺で!!

次回第9話でお会いしましょう!

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