この王女に祝福を!!第9話あがりました!
くれめうとアイリスは森の川を下りながら、歩いていた。歩き始めて約30分まだモンスターには鉢合わせず、想定した時間よりもはるかにいいペースで下れている。
ここまで静かな雰囲気にアイリスも不思議に思ったのかくれめうに話しかける
「あのくれめうさん。この森ってモンスターが多いんですよね?一向に遭いませんけど…いやその、遭わないなら遭わないでこちらとしては、大歓迎ですけど…ただ…少し拍子抜けしたなあって」
「そうだよな…俺も思った。おかしいな…いつもならそこらへんの茂みに待ち構えながら、3つくらいの群れを数匹で作って襲い掛かってくるようなものなのに…」
「…………」
そんな感じで襲い掛かられては、さすがに困ると静かに思うアイリス。しかしこの森にいるモンスターがくれめうの言っている通りならば本当に恐ろしい森だ。たいていのモンスターはたいして知力はなく、群れで行動するモンスターもいるにはいるが、隠れて、待ち構えるなんてまるで冒険者パーティーだ。
この森の危険度に認識を改めたアイリスは、顔を強張らせながら真剣な表情になる。そんなアイリスを見て思ったのかくれめうは前にスキップしながらアイリスとの間隔を少し開けながら、笑いながら、アイリスの方を振り返る。
「おーいアイリス!序盤からそんなに緊張してたら、動くときに動けないぞ。もっと俺みたいに肩の力、抜<ヒュン!ズドン!!>………」
「「…………」」
二人の間に白い何かが通り過ぎた。二人で飛んで行った方を見てみると。一撃ウサギが自分の角を深く突き刺さった木から抜こうと必死に腰に力を入れている姿がそこにあった。今この状況だけを見ているだけだったら、とてもかわいいものだったのだが、今さっき間を開けていなかったらと思うとアイリスはそこまで考えると顔を青くした。そんな恐怖を一瞬で感じさせた一撃ウサギを見ていると、さっき一撃ウサギが飛んできた方向からアイリスに向かって突っ込んできた。
「…せい!!」
その攻撃に冷静に対処し、剣の腹の部分でウサギの腹に攻撃を当て、軌道をずらすくれめう。常人なら絶対に見切れないスピードのはずなのに、くれめうは簡単に実現させてしまう。
「え?」
アイリスは振り返り、何があったのか分からない様子だ。まあ今さっきまで反対側を見ていないから、見えなくて当たり前だが。きょとんとしてるアイリスにくれめうが声をかける
「喜べアイリス……いきなり知能あふれる連携を見せてくれたぞ。最初に飛んできたやつは当たったらそれでおしまい、もし外れても、木に刺さることで俺たちの気をそっちにそらしたところを後ろから確実に殺ろうとしたぞ。見た目はかわいいがそれだけだ。やる事がえげつない。それに見てみろ………」
くれめうは一撃ウサギが飛んできた方の茂みに指をさす。アイリスも茂みの方に目を向けると、日が昇ってきているが、いまだ暗い茂みの陰から数百とあるつぶらな赤い瞳がこちらをうかがっていた。アイリスもかわいいものは好きだが、ここまでになると、さすがにくるものがあるらしく後ずさりながら、くれめうの後ろに立って、焦ったようにくれめうの服をつかむ。
「どうするんですか!…くれめうさん!」ヒソヒソ
一撃ウサギを刺激しないためなのか小さい声で話すアイリスにくれめうは大丈夫だと言わんばかりに笑い…
「やっぱそうこなくちゃなあ!!よっしゃあ!かかってこい!!」
大声で言いながら自分の剣を構えた。
「「「きゅーー!!」」」
それを合図と言わんばかりに大量の一撃ウサギが銃弾のごとく襲い掛かってきた。
30分くらいたったのだろうか。まだ彼とウサギとの戦いは終わっていなかった。
キン!キン!キン!アイリスに当たらないようにそして狙われないような位置に弾いたりして、少しずつ後ずさりながら川を下ろうとするくれめう。その後ろで守られているアイリスも少しずつ歩いていた。
(す、すごいです!くれめうさん!!)
自分には白い線にしか見えないほどの速さの攻撃をすべて弾いたり、いなしたりするくれめうにアイリスは羨望のまなざしを向けていた。
それに加えてアイリスは気づいていないが、下がっている方向からもまた別のモンスターがくれめうたちを狙っていてはいたが、一撃ウサギをいなし、飛んでいく方向を変えさせながら、これから自分たちへ狙ってくるであろう別のモンスターへの攻撃まで行っていた。
(きつい!マジできつい!!でも武器防御や敵感知のスキル取っておいて、本当に良かった!!と思うのこれで何度目だろ?毎回毎回、お世話になりっぱなしだなあこのスキルには…っと!
そう心の中で唱え、くれめうが唱え、自分の真正面に飛んできた3匹の一撃ウサギをさっき飛んできた方向にさらに倍のスピードにさせて反射させた。それは、300メートル先にいる一撃熊に命中し、そのまま貫通した。これが一撃ウサギとの最後の戦闘であった。
今のところ自分の敵感知スキルでは、約半径500メートルのモンスターの反応はない。そこでようやく、くれめうは、ほうッと息を吐きだした。疲れたとばかりその場で座り込む。アイリスは目をキラキラさせながら、くれめうのそばに座り、
「すごいですね!!くれめうさん!!どうやってあの一瞬の判断を何度も成立させているんですか!!ほかにも最後に使ったあの魔法も私が見たことないものでした!!私いろいろ気になります!!」
なかなか刺激のある時間を過ごしたせいか、アイリスの興奮が収まらない。だがそんなアイリスにかまってやれるほど、くれめうも余裕ではなかった。
「はあ…はあ…アイリス。すまんがカバンの中にある水筒取ってくれないか?飲みたかったら、先にアイリスが飲んでいいから…」
「あっはい分かりました。ありがとうございます。」
そう言って、アイリスは水筒に入っている水を飲む。その水筒は保冷の効果もあり、冷えた水はさっきまで興奮状態だった自分を落ち着かせてくれた。アイリスはくれめうに水筒を渡す。
(あっ)
何かに気付いたアイリスをよそにくれめうも水筒の中に入っている水を飲み、アイリスにお礼を言う
「ありがとうな。アイリス。…ん?どうしたんだ?」
「いえ………なんでもありません…」
「そうか?」
少し様子がおかしいアイリスに首を曲げていたが、勘違いだろうと結論付け、あとどれくらいで森を抜けられるか調べるため、くれめうは、偵察用の鳥の魔法を発動し、空に飛ばせた。
偵察の報告が来るまで座って待っているくれめうのそばで若干赤い顔をしながら座っているアイリスがいた。
(か、間接キスしちゃいました……)
アイリスはくれめうに自分の顔を見られないように背を向ける。しかしくれめうにとっては、ただ回し飲みをしたというだけの認識。冒険者をやっている月日の差がこんなところにも表れていた。
アイリスが悶々としていると、くれめうの放った鳥が帰ってきた。くれめうが手を鳥の前に突き出し、くちばしを握るようにしてつかんだ瞬間、地形が書かれた紙に変わった。それをアイリスにも見えるように地面に置き、二人で地図を見る。くれめうがある一点を指をさし、
「今、俺たちがいる場所がここ。ここからこうやってまっすぐ行ったら、森を抜けて、小さい町がある。…意外と近そうだな…とりあえずそこの町に行って宿をとるところまで今日は進めようと思う。アイリスまだまだ歩けるか?」
「はい!まだまだいけます!」
そう元気よく返事するアイリスにくれめうも笑い、
「よし!休憩もしたし、そろそろ行くか!」
「はい!」
また町に向かって歩き始めた。森を抜ける道中も何かとモンスターに出くわしたがそこはくれめうがどうにか抑え、その日のもうすぐ夜になりそうであたりがだいぶ暗くなった夕方ごろくれめうとアイリスは森の脱出に成功した
第9話お読みいただきありがとうございます。
あんまり戦闘描写がなかったのがちょっと悔しいかなと思いました。次回はアイリスの装備や買いもの。そして世界に現れたダンジョンがくれめうの耳にも届く話となっています。そしていまさらになって気づいたんですが、「!!」じゃなくて「!」なんですね(笑)
それでは第10話でお会いしましょう!!
いよいよ二桁にのる………