響け!全国へ!   作:rockyshocora

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原作後編に突入しました。

府大会、一話で収めるつもりでしたが意外に長くなってしまったので一旦カットして前後編に分けました。すみません。

それとオリジナルキャラ増やしすぎて扱いに困ってしまい後悔してます。無念。


第九章 決戦!府大会

 府大会前日 自宅

今日はコンクール前日ということもあり普段よりも2時間も早く練習が終わった。

帰宅して風呂に入り、ご飯を食べ終わってもまだ時間は有り余っていた。

普段は時間がない時間がないと愚痴をこぼしているが、いざ、こうして時間が余ってしまうと何をやっていいのか分からなくなってしまう。

悩んでいても仕方がないので録り溜めしていたアニメを観るためにコンビニでお菓子とジュースを買いに行くことにした。

コンビニまで徒歩5分とかからず着くと雑誌コーナーで見知った顔を見つける。

「もしかして小日向さん?」

「え…?あ、神木君、ん?どうしたの?」

普段三つ編みの彼女だが髪はおろしておりパーカーに半パン、クロックスとラフな格好をしていてお風呂に入ったばかりなのかシャンプーの匂いが鼻をくすぐる、それにドキッとしてしまい慌てて話題を振る。

「へ~小日向さんもジャンプ読むんや」

立ち読みしている雑誌を見て問いかけた。

「う、うん」

「なんか意外やな、何読むん?」

意外ということもあるが自分も毎週読んでいるので気になってついつい質問してしまった。

「えっと、ONEPIECEとハイキュー読んでるよ」

「ハイキューまじか!?いいセンスしてるやん」

「あ、ありがとう…でも読み始めたの途中からなんだよね」

なんか若干引かれている気がする。いや、気のせいだろう…気のせい気のせい。

「そうなんや、あれやったら単行本貸そか?」

「え、いいの!?」

「全然ええよ、これから取りに来る?家そこやし」

「せっかくやし、そうしよかな」

「了解、じゃあ俺ちょっと買い物してくるわ」

そう言って一旦離れ、お菓子とジュースを適当に選びレジに持っていく。買い物を終えコンビニの外で待っているとすぐに小日向さんも出てきた。

「ごめん、おまたせ」

「いいよ、ほとんど待ってないし」

「これ、漫画貸してくれるお礼」

小日向さんは袋からアイスを取り出して俺に渡してきた。

「え…そんな気遣わんで良かったのに」

「いいのいいのアイス1本くらい奢らせて」

そんな顔で言われたら断れないではないか。

「…じゃあ、ありがたくいただきます」

そう言って受け取ると小日向さんはニコリと微笑む。

棒を持って食べるタイプのアイスで袋から開けて2人揃って歩きながら食べる。

ここのコンビニは家から近いが駅とは逆方向なので普段はあまり寄ることがないのだがこうして小日向さんにも会えたのでタマにはいいものだ。

「明日本番楽しみやな」

「う~ん、私はどっちかって言うともう既に緊張してるかな」

「今から緊張なんてしてたら本番まで持たへんで」

「分かってはいるんだけどね…」

あはは…と苦笑いしている。おそらくいまだに自信が持てないのだろう。演奏技術に関しては高坂先輩や吉川部長に褒められるぐらいでちゃんとオーディションにも受かりAメンバーにも選ばれている、普通なら少しは天狗になっても良いぐらいなのに……。

「前にも言ったけど小日向さんもっと自信持っていいと思うで、それぐらい凄いんやから」

「ありがとう」

少しは気晴らしになっただろうか。

「神木君、夏休みの宿題の調子はどう?」

「さっぱり…まだ3割くらい、小日向さんは?」

「もうちょっと…って言っても一番時間がかかりそうな読書感想文なんだけど」

「いや、ほんまに読書感想文辛いよな、必要性を感じられへんわ」

滅びろ読書感想文。

そうして5分弱話しながら歩いているとマンション前に着く。

そこでとある人影を見つけた。

「麻美子さん何やってるんですか?」

俺が声をかけると気づいたのか、人差し指を立ててシーッ!とジェスチャーしてくる。

黄前麻美子、久美子先輩のお姉さんで小学生の頃よく遊んでもらっていた。

「拓海君久しぶり」

「お久しぶりです、何コソコソやってるんですか?」

「あれあれ!」

麻美子さんが指さした方角に視線を向けると公園のベンチに2人の人影を発見する。

久美子先輩と秀一君だ。

「盗み見なんて趣味悪いですよ…」

「ノリ悪いな~あの2人の関係気になるでしょ?」

うわ、この人あの2人が付き合ってるのまだ知らないのか…。

「いや、まあそうですね~」

俺から関係を明かすのはまずいと思い適当に話を合わせることにした。

今になって気づいたのか俺と小日向さんをじっと見続けて聞いてくる。

「もしかして…彼女!?」

「あ、いや…」

「い、いえ部活が同じなんです。それでさっきコンビニで偶然会って、漫画借りに来たんです」

言葉に詰まっていると小日向さんが否定する。なんかそれはそれで悲しいのだけれども。まあ事実だから仕方ないですけどね…。

「ふうん、まあ拓海君に彼女はまだ出来ないか」

「お互い様ですね」

「………は?」

「何でもないです…。それよりなんでここにいるんですか?帰省ですか?」

「ちょっと必要な物を取りに来ただけ、それで帰ろうとしたらちょうど密会に出くわしたってわけ」

「密会って…それより帰るんですか!?せっかく明日コンクールなのに」

「私も忙しいんだって」

「そうですか、専門学校の方は順調なんですか?」

去年、もうすぐ大学を卒業する麻美子さんだったが本人たっての希望で親を説得し、美容師の専門学校に入りなおすことにしたのだ。

「うん、今楽しいよ…。あんまり偉そうなこと言えたことじゃないけど自分のやりたいこと我慢せずにやりなよ、絶対後悔することになるから」

「説得力が違うな~」

「でしょ~?まぁ一人前になったら特別料金でカットしてあげるよ」

「じゃあそのときはお願いします」

「任された、んじゃ電車の時間もあるしそろそろ帰るわ。またお盆に帰るつもりしてるから久美子と秀一君呼び出して尋問会議やな。彼女さんも待たせちゃってごめんね~拓海君ちゃんと家まで送ってあげなよ」

「うっす」

3人が手を振りあって麻美子さんがこの場を去る。

「さて、ちゃちゃっと漫画取ってくるからエントランスで待っててくれる?」

ここのマンションは入るとソファと机が備え付けられている小さな共用スペースがある。

「はーい」

小日向さんを待たせて俺は急いで自宅に戻り適当な紙袋に漫画を詰め込みエントランスに戻る。

「おまたせ、全巻だと多くて重たいと思うからとりあえず10巻までにしてんけどそれでも大丈夫?」

「いいよ、気遣ってくれてありがとう、読み終わったら言うね」

「じ、じゃあ、せっかくやし連絡先交換せん?」

何故か吃ってしまった。

「そうやね、そっちのほうが便利やし」

IDを教えてもらい入力する。

「よし、登録完了。それじゃ行きますか!」

「行くってどこに?」

「え?小日向さんの家、送るよ」

「え、でも…」

「気にせんでええって、それに何かあったら麻美子さんにしばき回されるし」

「ふふっ…分かった、じゃあお願いしよかな」

送る許可をもらいマンションのエントランスを出る。

久美子先輩と秀一君に気づかれないように気をつけて小日向家を目指して歩いて行った。

 

 コンクール当日

京都大会の朝がやってきた。

夏の朝は空気が澄んでいる。ベッドから身を起こし、深く息を吸い込む。

北宇治高校吹奏楽部では、コンクールの本番では冬服を着用することが決まりとされていた。しかし家から冬服を着ていたらとても暑いのでとりあえず学校までは夏服の状態でいよう。

学校に到着して全体で朝の挨拶を済ませてバスに乗る。

楽器などは昨日のうちにトラックに乗せて運んでもらったので既に会場にあるだろう。

学校からバスに揺られてようやくコンクール会場にたどり着く。

俺の隣の座席には何故か久石が窓にもたれかかって寝ている。

普段、俺に対して口煩い久石だがこうして静かに寝ている姿を改めて見ると他の1年生に比べてもかなり可愛い方だと思う。あくまで黙っていればの話だが。

どうしてこうなっているのかというと部員の人数が大幅に増えバスを2台用意しているのだが、各々自由に座ってしまうと収集がつかなくなり時間がかかってしまうので移動にはパート毎に固まって座るように加部先輩が座席を予め決めていたのだ。本人曰く学年毎かパート毎で相当悩んでいたらしい。ちなみに久美子先輩と夏紀先輩は役職持ちということでこのバスの先頭に座っている。

バスが現地に着き駐車場にて完全に停車するのを確認して俺は隣ですやすやと寝ている久石を起こそうとする。

「おーい、久石着いたぞ」

………。全く返答がない。本番直前にどれだけ深くまで潜っているんだ。

全く起きる気配がないので仕方なく軽く肩を揺すりながら声をかける。

「もしもーし、久石さん起きてくださーい」

「んっ……ひゃ!?ちょ、ちょっとびっくりするじゃないですか!」

久石はそう言って自らの手を交差して腕を抱き警戒するような目でこちらを見る。

流石にそこまでされると僕でもいい加減泣いちゃいますよ…?

「悪い、でも起こしてもなかなか起きへんからやろ、本番直前によう爆睡できるな」

それを聞いて恥ずかしくなったのか顔を赤らめる。

「べ、別に勝手でしょ…さ、バス降りますよ」

「はいはい」

斜め前の席に座っていた剣崎さんがこちらを見ながらニヤニヤしていた。おそらく、先ほどのやりとりを見ていたのだろう。なにわろてんねん!

バスを降りると久石はそそくさと久美子先輩のところへ向かって行くのを見ながら大きく伸びをする。今日は雲一つない快晴が身体に心地よい。

伸びをして深呼吸しているとあとから降りてきた剣崎さんに声をかけられる。

「神木君おはー!」

「おっす、さっきこっち見ながらニヤついてたやろ」

「あ、バレた~?いや~相変わらず仲ええな~思ってな」

「あれのどこがやねん」

眼科行く?

「まあまあ奏もそのうちデレるって」

「そのうちね~?」

「それより戸松君から聞いたで~文化祭でバンドするんやって?」

「うん、まあな…あ~そういや中学一緒なんやって?」

「そうやねん、戸松君ちゃんと練習やってる?結構お調子者やろ?」

終業式に文化祭のためだけに結成されたコラボバンド、いつも戸松君と宗人がみんなを引っ張る役として実際よくやってくれている。

「頼りになってるよ、剣崎さんから男子の話題振るなんて珍しいな」

その言葉を聞いてニヤっとした笑みを浮かべる。

「なになに~?嫉妬してんの?あ~モテるって辛いわ~」

「ちゃうわ!頭お花畑かよ」

「ひど~い、あっ…奏がこっち睨んでるわ!じゃ、お互い頑張ろな~」

剣崎さんは手をヒラヒラと振ってオーボエパートの方へと戻っていく。

ところで久石さんはなんでそんなに睨んでるんすか…?

会場に着いてからやるべきことはたくさんあった。

バスを降りると点呼でちゃんと揃っているかの確認を行いその後は吉川部長の指示に従い搬入口から楽器受け取り荷物とともにホールへ移動する。それから楽器の組み立て、音だし、チューニングを予めやっておく。

「あれ、北宇治ちゃう?」

「うわー!やっぱりオーラあるな、流石強豪校」

ひそひそと聞こえてくる噂話、様々なところから視線を感じる。

去年、全国へ出場したという結果を出した事実から周囲の期待はこうして勝手に膨らんでいくものだ。

準備を終え予めやっておくことはほとんどなくなったのでリハーサルまでの時間、自由行動となったのでユーフォの4人で今まで散々やってきたが最後の確認も含めて打ち合わせをしていた。

そんな時にサックスパートの方から唐突に驚きの声が上がってきたのが聞こえる。

何気なくその方へ振り返ってみると同時に近くにいた久美子先輩が声をあげる。

「葵ちゃ…葵先輩」

久美子先輩が咄嗟に呼び名を変えた相手を俺は知っている。元々、斎藤葵は久美子先輩とは小さい頃からの知り合い、もとい幼馴染であるので当然俺や宗人も顔見知りではあるが歳が3つも離れているのでそれほどの関わりがあったわけではない。

久美子先輩の呼びかけに斎藤さんが気づきこちらに向かってくる。

水色を基調としたチェックのワンピースに黒のパンプス、黒髪はサイドに結い上げられいて以前目にした時よりも大人っぽさが引き上げられていた。

「もう卒業してんから先輩じゃなくてええよ、中川さんと神木君も久しぶりやね」

そう言って斎藤さんが微笑む。

「お久しぶりです」

「お久しぶりです、こんなところで会えるなんてびっくりしました」

夏紀先輩が言った。

「今日はどうしてここにいるの葵ちゃん」

「どうしてって晴香と一緒に演奏聴きに来たんやけど」

そう言って、斎藤さんはその晴香という人らしきに向けて指を差す。

「葵ちゃん、小笠原部長と仲良かったっけ?」

「高校の時はそうでもなかったけどね、今は同じサークルに入ってて割と一緒にいることが多くなってるんよ」

「同じサークル?確か大学違わなかったっけ?」

「いやね、晴香が行った大学に音楽関係のサークルが無かったらしくてそれでたまたまうちの大学の吹奏楽サークルに見学に来ててその時にばったり会ってそれで成り行きで一緒に入るか~って話になったの」

「葵!」

部員に取り囲まれていた小笠原晴香らしき人がこちらにやって来る。

「やあ!2人とも久しぶり」

「部長、お久しぶりです」

「も~部長ちゃうって!ほんまはあすかと香織も一緒に来たかってんけど、忙しかったみたいでさ~来たのがうちらでごめんな~」

「いやいや、全然そんなことないですよ、演奏聴きに来てくださっただけでも嬉しいですよ」

「ほんまに?」

「本当ですよ、部長の顔見るとなんかほっとしますもん」

「中川さん、それどういう意味?」

「晴香の先輩としての威厳が全然ないってことやろ?」

「もう、みんなしてひどない?」

あはは、と先輩たち4人が笑い合う。

なんだか俺と久石は蚊帳の外だ。

「それにしても今日、黄前さんはソロ吹くんやろ?頑張ってや!中川さんもAメンバー入れてほんま良かったよ、私それだけで泣きそうやもん」

「ちょ、ちょっと大袈裟ですよ先輩、先輩たちが根気よくうちらの代の面倒見てくれたおかげでこうしてコンクールに出れるんです、感謝してます」

そう言って夏紀先輩は頭を下げる。

「改まってそんなこと言われると照れるな~、1年生2人も頑張ってや、先輩たちのフォローお願いね」

急にこちらに話題を振られて焦ってしまう。冬服を着ていたので俺らも出場することがわかったのだろう。

「あ、は、はい!」

「はい、ありがとうございます」

うんうんと満足したように微笑みまた4人で話し始める。

「なぁ、久石、あんなに優しそうでほんわかしてるのに前部長やったなんてすげえよな。特に去年なんて北宇治が生まれ変わった年やったのに………尊敬するわ」

「そうですね、皆さんから相当信頼されていたんだと思います、カリスマ性が高かったんでしょう」

俺と久石は少し離れたところで向こうには聞こえないように話しているとポケットに入れていたスマホが振動する。

スマホをポケットから取り出しディスプレイに表示された「櫻井宗人」の文字を見てはぁ…と短いため息をつき通話ボタンを押す。

「もしもし」

『もしもし、おれおれ!』

「おれおれ詐欺は間に合っていますが?」

『しょうもないノリいらんわ!それより今からホールの出入り口まで来れへん?』

「別にええけど、何?」

『まあまあええから』

「はいよー」

そして電話を切り久石に伝える。

「悪い、ちょっと席外すわ、すぐ戻ってくるから」

「櫻井君ですか?ちゃんとリハーサルまでには戻ってきてくださいよ」

「分かってるって」

そう言って駆け出そうとすると久石が後ろから呼び止めてきた。

「あ、あの………さっきバスの中ではすみませんでした…。せっかく起こしてくれたのに言いすぎました」

久石が俺に向かって頭を下げる。まさかそんなことを言われるなんて思ってもいなかったので少し固まってしまった。

「あ~、いや……俺の方も起こすためとはいえ女子の肩触ってしまったのは配慮が足りてなかったわ、悪かった」

「そ、その嫌だったとかではなくいきなりだったので驚いてしまって…それで……」

なんか久石らしくないな……剣崎さんが言っていたようにもしかしてデレ期到来か!?

「ちょっと!人が謝っているのに何にやけてるんですか!」

「あ、いやなんでも…」

危ない顔におもいっきりでてしまったようだ。

「引き止めてしまってすみませんでした。時間も少ないので早く行ってあげてください」

「お、おう,,,じゃあまたあとで」

「はい」

久石に背を向けて駆け足で宗人のところへ向かった。

 

 第九章 決戦(前編) 完

 




今、原作と同じところで終わりにするか、それ以降をオリジナルで話を進めるかでちょっと悩んでいます。何か感想やらアドバイスがあれば是非お願いします。
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