IS 好きな人は一個上。   作:春の初音

13 / 18
受験がやっと終わりました。肩の荷が降りた…
というわけで一本。


第十一話 詳しく聞いたらご飯にしよう

刀奈との通話を切り、本音に向き直る。目は起きた時より開いているがその姿はどこか寂しそうというか悲しそうという感じだ。

 

「…本音、シャワー貸してやるから浴びてこい。そのバッグの中に着替えとか入ってるんだろ?リセットっつーとあれだけど、泣き跡とか全部一回流してこい。その後話聞くから。」

 

「…わかった~。」

 

語尾はいつも通り伸びていてはたから見たら少し沈んでいる程度だが事情を知っているからか、かなり沈んでいるように見えた。歩いている姿も何かを忘れている感じがした。

 

 

 

 

 

 

「さて、どうするかな…」

 

実はこれの解決にあたって問題が一件。

 

つじつまが合わなくなりそうなのだ。刀奈からある程度聞いているとはいえ知っている情報量に比べたら到底足りない。本音はああ見えて更識家の専属メイド。姉の虚さんほどではないが敏感だ。どうするか…

 

ちなみに俺と本音は割と仲がいい。同じクラスだというのもあるのだが、クラス代表の推薦の時に初対面にもかかわらずとっきーと呼んだこと(第三話参照)がきっかけだ。新作の美味しいお菓子があるとすぐ伝えてくれるためお菓子選びで迷わないのは美味しい。

 

「ま、どうにかなるか!」

 

「何が~?」

 

「うぉ!…いや、こっちの話だ。早かったな。」

 

本音は私服…というよりパジャマと思われる別の着ぐるみみたいなやつを着て出てきた。それ以外持ってないのか?

 

「そうかな~?いつも通りだよ~。」

 

さて…

 

「よし。一応かt…楯無さんから聞いたけど本音からもう一回事情を聴いていい?」

 

そういえば本音は本名を聞いているのかな?

 

「えっとね………まず普通に生活してたの。私がお菓子を食べててかんちゃんがプラモデルを作ってた。私がちょうどチョコを食べてた時かな?かんちゃんのプラモデルをちょっと覗いたの。かんちゃんのプラモデルはちょうど塗装中でそのあたりだけあったかくしてたの。そしたらチョコがあったかさで溶けちゃって塗装中のパーツの上に垂れちゃって…かんちゃんが怒っちゃって…それで…」

 

本音は静かに泣き始めてしまった。

 

「本音…無理して喋らなくって大丈夫だぞ…」

 

俺は本音の背中をさすりながら言うが本音は涙をぬぐい、話を続ける。

 

「…私も朝起こされたことを掘り返して怒っちゃって…それで私がもう知らないって言っちゃって…後悔して…たっちゃんのところに…」

 

本音は涙をこらえていた。語尾が間延びしなくなっていて、本音がどこまで悲しんでいるかが伝わってきた。

 

「…よし、本音。大体わかった。夜ごはんにしよう!」

 

「…え?」

 

「悲しんでいてもどうにもならない!一回幸せな気持ちになろう!」

 

「…う、うん。」

 

若干強引だが本音と御飯にすることにした。三次元にいた時も仕事でミスが連発したりすると沈むことはあった。そんなときはいつもご飯を食べて復活していた。

 

別に俺は食通なわけではない。が、それなりの高校と大学に出てそれなりの企業の内定をもらい早くに一人暮らしを始めたため自炊をすることがほとんどだった。だからこそこんなに料理がうまくなったのである。まぁ、そのせいでパーティーに駆り出されたんだが…

 

本音を席に座らせ料理を開始した。

 

「あったまるのがいいよな…スープは作る…あぁでも…」

 

迷うなぁ…

 

「本音!和食か洋食かどっちがいい?」

 

「う~ん…和食がいい~。」

 

「了解!」

 

じゃあ味噌汁にしよう。あとは…これを使ってこうして…

 

「よし、出来た!お待たせ本音。サバのみりん干しにほうれん草のお浸し。あとはわかめの味噌汁と白米ね。」

 

「すごいとっきー…こんな短い時間で…おいしそ~!」

 

「本音のことだからまともなご飯はあんまり食べてないだろ?たまにはちゃんと食べないと。お菓子じゃなくて。」

 

「は~い。いただきます!」

 

本音の顔は晴れ切っているわけはないがさっきの沈み切った時よりは全然よくなっていた。

 

「…!おいしい~!」

 

「そうか。ならよかった。久しぶりにまともな和食食べたな…気をつけないと…」

 

「…たっちゃんとは毎日こうやってご飯食べてるの?」

 

「?まぁそうだな。あっちは生徒会長の仕事なり、国家代表の仕事なりで一緒に食べれないときはあるけど食べれるときは一緒に食べてるぞ。」

 

「そうなんだ~。ラブラブだね~!」

 

「やめろっての。W」

 

そのあとは他愛のない会話をし、本音はさっき寝ていたのにまた寝てしまった。緊張の糸がほどけたんだろう。

 

「さて…何とかなるとは言ったけどちゃんと考えないとな…」

 

矛盾点がないように、しっかりとした策を練らないといけない。

まず簪への接触。本音から、というか本音から聞いていなくても俺と刀奈のことは学園中の話題になったから俺のことは知っているにしても…最初の方の簪はだいぶつんつんしてるし、俺が話しかけると刀奈の差し金でなんかしに来たって詮索されそうだ。どうするか…

 

簪と話をしたらあとは当人同士で話し合えるはずだからいいけど、簪との接触より大変なのは刀奈と簪の方。原作だと仲直りするのはだいぶ後だからこの段階で解決するとなると色々考える必要がありそうだ。

 

「やること多いな…」

 

更になぜかこっちの世界の実家から会社に来いと呼び出されているのである。もはやわけがわからない。どんな人かも知らないのだ。名前だけしか知らない。

 

「ま、地道にどうにかしよ…俺も寝るか…」

 

そしてこの段階で俺はもう一つの問題点に気づいた。そう。俺の部屋には刀奈が変えたダブルベッドが一つ。布団なし。今、本音は寝ている。ベッドの上で。

 

「…俺、このベッドで寝ていいのかな?寝たらなんか生きて起きれない気がするんだけど?」




だいぶ投稿が空いてしまいました。すいません。次はここまで空かないように頑張ります!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。