ドラゴンボールSS ~農耕民族サイヤ人伝説~   作:秋羅

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お久ブリーフ博士


悟空「ひゃー! 会社の地下はこんな風になってたんか!」

 

18号「お前、ラディッツの弟だろ? 知らなかったのか?」キョロキョロ

 

悟空「おう! オラ難しい事分かんねぇから、畑仕事だけやってたかんな! 会社に来んのも久しぶりだ!」

 

18号「悟飯とラディッツは頭良さそうなのになんでこいつは・・・」

 

ピッコロ「幼い頃に崖から落ちて頭をぶつけたらしいからな。その時に頭のネジが何本か抜けてしまったんだろう。」

 

18号「ああ、どうりで。」

 

悟空「ひでぇなオメェら!?」

 

16号「それにしても巨大な冷蔵室だな。いったいどれだけの量を貯蔵できるのか・・・」

 

ピッコロ「俺もそこまでは分からん。だか、セルに吸収されない様に収穫した最野菜は全てここに保管してある。」

 

悟空「ここがセルに見つけられなくて良かったよな。もし見っかってたらもっと大変な事になってたぞ。」

 

18号「それで本当にここにパワーアップできるモノがあるのか? まさか最野菜がそうだとか言わないだろうね?」

 

ピッコロ「半分当たりで半分外れというところだな。」

 

18号「なんだいそりゃ? もったいぶらずに教えなよ。」

 

ピッコロ「そう焦るな・・・ほら見えたぞ。目的のモノはあの中だ。」

 

16号「・・・随分頑丈な扉だな。これは私でも破壊できないかもしれない。」ペタペタ

 

ピッコロ「特殊超合金製の扉だ。こいつはベジータのギャリック砲でも傷付けられん代物だ。代わりにとてつもなく重いがな。」

 

18号「アレとやらは、それだけの事をする必要があるモノってことか・・・それじゃあさっさと開きな。時間が惜しい。」

 

ピッコロ「ああ・・・孫、あそこの装置に手のひらを乗せて、レンズを覗きこめ。そうすれば扉が開く。」

 

悟空「おう! 任せてくれ!」スッ

 

ピピピピピピ・・・ピーーー! ガチャン!

 

ゴゴゴゴゴゴゴ・・・

 

18号「・・・これがそうなのか?」

 

ピッコロ「そうだ。これがお前をパワーアップさせるモノ・・・伝説のスーパー最野菜・・・モドキだ。」

 

18号「なんだいモドキって?」

 

悟空「本当の伝説のスーパー最野菜は黄金に輝いてんだけど、こいつは完全に成熟する前に収穫しちまったからな。」

 

ピッコロ「その所為で本物程の力は無いが、これでも凄まじいエネルギーを秘めている。こいつを食えばお前もパワーアップできるはずだ。」

 

16号「たしかにこれだけのエネルギーがあれば18号もパワーアップできそうだが・・・」

 

18号「金色に点滅するラディッシュとか食べたくないんだけど・・・ホントに食べて大丈夫なのか?」

 

ピッコロ「気持ちは分かるが大丈夫だ。こいつは完全無農薬でラディッツの農気を大量に受けて育ったモノだ。安全性も味も保証する。」

 

悟空「心配すんなって! 美味すぎて昇天しかけっかもしんねぇけど、そん時はぶん殴って連れ戻すからよ!」ブンブン

 

18号「全然安心できないんだけど・・・しょうがないね。これもラディッツを助けるためだ・・・逝くよ!」ヒョイ

 

パクン・・・シャクシャク・・・

 

18号「~~~~~~~~っ!!」ガクン

 

ドクン!!

 

18号「あっ・・・」

 

16号「18号!? どうした!?」サッ

 

18号「か・・・身体が・・・熱い・・・」ビクンビクン

 

 

ピッコロ「始まったな・・・未成熟とはいえ伝説のスーパー最野菜。取り込んだ事により細胞が進化を始めたんだ。」

 

悟空「がんばれ18号! そいつに耐えればオメェは強くなれるんだ!」グッ

 

18号「あ・・・ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」ガクガク

 

ピカァァァァァァ!!

 

16号「こ・・・これは・・・」

 

18号「ガアアアアァァァァァァ!?!?!?!?!」ビキビキビキ

 

16号「まずい・・・18号の出力を上回るエネルギーが放出されている・・・! このままではエネルギー炉が暴走して爆発するぞ!!」ザッ

 

ピッコロ「待て16号。18号は今、身の内から溢れ出るエネルギーを制御しようと闘っているんだ。邪魔をするな。」ガシッ

 

16号「しかしっ!!」

 

18号「・・・・・・そうだよ16号・・・邪魔するんじゃ・・・ない・・・もう少しで抑え込めそうなんだ・・・もう少し・・・」ググクグッ

 

悟空「18号! 溢れだす力をただ抑え込むだけじゃだめだ! いきなりでっけぇ力が出てきてビックリしてるかもしんねぇけど、その力はオメェのモンだ! エネルギーを身体の中を血が流れるみてぇに循環させろ! いつも力を使う時と同じだ!」

 

18号「くっ・・・こっちの気も知らないで無茶言いやがって・・・だけど・・・なんとなく分かってきたよ!!!」ゴゴゴゴゴッ

 

キュィィィィィン・・・・・・カッ!!

 

グオオオオオオオオオオ・・・!!!!

 

16号「18号ーーー!!!」ビリビリ

 

ピッコロ「なんて爆発だ!? だがこれで・・・」ビリビリ

 

悟空「・・・感じるぞ。すごくでっけぇのに静かで力強い気だ。」ビリビリ

 

 

モクモクモク・・・

 

 

18号「・・・」ユラァ

 

16号「18号? 大丈夫か?」

 

ピッコロ「どこか身体に異常は無いか?」

 

18号「・・・平気だよ。むしろ身体の違和感が無くなって清々しい気分だ。」

 

悟空「そいつは良かった! ってあれ? そういえば18号には気が無かったはずなのになんで今は気を感じられるんだ?」

 

ピッコロ「そういえばそうだな・・・16号、スキャンできないか?」

 

16号「分かった。やってみよう・・・」ピー

 

ピピピピピピッ

 

16号「!? こ、これは!?」

 

18号「どうしたんだい?」

 

悟空「どっか悪かったんか?」

 

16号「・・・18号は生身の肉体に有機部品と機械を掛け合わせて造られた人造人間だ・・・だが、今の18号の肉体は全て有機物で構成されている・・・」

 

18号「なんだって!? それじゃあエネルギー炉も無くなったっていうのかい!?」

 

16号「いや、エネルギー炉自体は存在する。だが、それがひとつの臓器のようになっているんだ。」

 

ピッコロ「つまり、18号の機械部分が機能はそのままに有機物に変化したというわけか・・・」

 

悟空「? どういうことだ?」

 

16号「簡単に言えば、18号は最早人造人間ではない。人造人間の力を持った人間。超人となったのだ。」

 

ピッコロ「つまり、気とエネルギーの両方を扱えるようになったという事か。」

 

18号「・・・そうみたいだね。元々のエネルギーの他に別の力を感じる・・・これが気って奴なのか。」グッ

 

悟空「そいつはすげぇな! 元々めちゃくちゃ強ぇパワー持ってんのに気まで加わったら、とんでもねぇことになるぞ!!」ワクワク

 

ピッコロ「・・・そうとは限らんぞ。18号は元々気を扱えなかったんだ。突然気を得たからといって、すぐに使えるようになるわけではない。」

 

18号「たしかにね。この気ってヤツはエネルギーとは使い勝手が違うみたいだ。このままじゃ戦闘に使えないね。」

 

16号「それに気とエネルギーは反発し合うようだ。これを使いこなすにはかなりの修練が必要になるだろう。」

 

悟空「おっ! そんじゃあ精神と時の部屋で修行だな! オラが一緒に入って教えてやるよ!」

 

ピッコロ「それがいいだろう。気の扱いなら孫が最も優れているからな。」

 

18号「・・・しょうがないね。このままじゃ満足に戦えないだろうからね。・・・それにしてもこいつと一緒に入るのか・・・いろんな意味で疲れそうだ。」ハァ…

 

ピッコロ「安心しろ。精神と時の部屋をパワーアップできれば入れる人数も増える。そうすれば苦労が分散して多少マシになるだろう。」

 

18号「たのんだよ! この能天気で阿呆な修業馬鹿と二人っきりだなんてごめんだからね!!」

 

ピッコロ「任せてくれ。孫の馬鹿がお前に移ったらラディッツに申し訳ないからな。全身全霊で当たらせてもらう。」

 

悟空「ホントにひでぇなオメェら!?」

 

 

 

 

 

 

―――カプセル・コーポレーション―――

 

悟飯「とりあえず、こんなところかな。」

 

善セル「そうだねぇ。ドクター・ゲロのコンピュータでシュミュレートして、高い確率で望んだ結果になるように交配した苗の準備は万端だ。あとはピッコロの精神と時の部屋の改造が終わるのを待つだけだ。」

 

悟飯「あとは、期日までにベリーメロンを完成させる事ができるかだね。」

 

善セル「あ、名前はそれにするんだねぇ。」

 

悟飯「うん、少しでもセルが気に入る物にしたいからね。それに、皮は兎も角味は宇宙一にしたいんだ。だからこの名前がふさわしいと思ったんだ。」

 

善セル「直訳すると非常にメロン・・・いや、極メロンの方がいいかな。うん。如何にも美味しそうな名前だ。」

 

悟飯「この名前に負けないくらい美味しいメロンを作れるようにがんばろうね善セル君!」グッ

 

善セル「ああ! セルの奴をいろんな意味で昇天させてやろう!」グッ

 

ブルマ「あっ、居た居た。ふたりとも、メロンを栽培する為の温室とドクター・ゲロのコンピュータの複製品ができたわよ。」

 

悟飯「流石ですブルマさん! まさかこんな短期間で仕上げなんて。やっぱりブルマさんは地球一の科学者ですよ!」キラキラ

 

善セル「我らのブルマの科学力はァァァァァァァァァ! 世界一ィィィィィィィィィ!!」ウィンウィン

 

ブルマ「それ程でもあるわ!」o(○`ω´○)9 ドヤ

 

トランクス「何やってるんですか皆さん・・・」タラリ

 

悟飯「あっ! 出てきたんですねトランクスさん!」

 

善セル「お疲れ。どうやら随分強くなったみたいだね。」ピピピッ

 

ブルマ「おかえり~。ずいぶん髪の毛が伸びたわねぇ。あとで切ってあげるわ。」ヒラヒラ

 

トランクス「お願いします母さん。かなり鬱陶しかったんです。」

 

善セル「えぇ~! その髪型、ドラクエの主人公みたいでかっこいいじゃないか!」

 

悟飯「そうですね! これで剣を背負って髪を茶色にしたらそっくりですよ!」

 

ブルマ「あ~・・・でも目つきが悪いのがダメね。まったくそんな所だけベジータに似て!」

 

トランクス「いったい何の話ですか・・・(汗)」

 

ブルマ「それはそうと、あんたが出てきたってことは、ピッコロも精神と時の部屋の改造を始めたのね。ここから後二日か・・・。」

 

悟飯「僕達の準備は終わりましたし、それまでどうしましょうか?」

 

トランクス「だったら、18号の修行を手伝ったらどうですか? なんでも人造人間じゃなくなったとかで、気の扱いの練習してましたよ。」

 

善セル「おっ! 無事にパワーアップできたみたいだねぇ! でも人造人間じゃなくなったっていうのはどういうことだい?」

 

トランクス「俺も良く分かりませんが、特別な最野菜を食べたら細胞が進化して、機械部分が有機物になったらしいですよ? そのおかげで気を使えるようになったとか。」

 

悟飯「やっぱり伝説のスーパー最野菜ってすごい! 僕も作れるようになりたいです!!」キラキラ

 

善セル「だったら、精神と時の部屋に入った時に悟空にスーパーサイヤ人になる方法を教えてもらえばいいんじゃないかなぁ? 時間はたっぷりあるわけだし。」

 

悟飯「それは良いアイディアだね善セル君! よーし! スーパーサイヤ人になる為に研究だけじゃなくて修業もがんばるぞー!!」グッ

 

善セル「僕も微力ながら協力させてもらうよ! 一緒に頑張ろう!!」

 

 

 

 

 

 

―――神の宮殿―――

 

8日後

 

ギイィィィィ・・・バタン!

 

18号「ふぅ・・・久しぶりの外だけど、精神と時の部屋に慣れると身体が軽過ぎて違和感がすごいな。」

 

悟空「だよな~。なんか軽く飛んだだけで宇宙まで行けそうな気がするぞ。」

 

クリリン「二人ともお帰り! 修業はどうなったんだ?」

 

悟空「おう! ラズリの修業はばっちりだぞ。気のコントロールだけじゃなくてすんげぇ技も編み出したんだ!」

 

クリリン「そいつは良かった!・・・って、ラズリ?」

 

18号「私の名前だよ。中で修行している時に人造人間じゃなくなったのに18号は変だと善セルの奴に言われてね。この際だから改造される前の名前を名乗る事にしたんだ。」

 

クリリン「へぇ~。そんな名前だったんだな。ところで悟飯達はどうしたんだ? もしかして、まだ・・・」

 

ラズリ「ああ。残念だけどまだ完成していない。ぎりぎりまで品種改良を続けるみたいだけど、あてにしないほうがいいだろうね。」

 

悟空「もうちょっとのところまできてんだけどなぁ・・・。」ポリポリ

 

クリリン「そうなのか・・・でも、ラズリも無事パワーアップできたみたいだし、悟空にベジータ、トランクスまでいるんだ。セルの奴と戦いになってもなんとかなるよな!」

 

ピッコロ「そう簡単にいけばいいがな。」ヌッ

 

悟空「おっ、ピッコロ! 居たんか! 他の皆はどうしたんだ?」

 

ピッコロ「他の連中はお野菜超選挙に向けて準備中だ。会場の準備や当日の段取り、国との調整なんかもあるから大忙しだ。」

 

ラズリ「・・・セルの奴はどうしてるんだ?」

 

ピッコロ「セルなら中の都北西にある平原で大人しくメロンを育てているぞ。」

 

クリリン「変な歌と踊りを踊りながらだけどな。」

 

悟空「それならよかった! そんじゃあ残りの時間はじっくり体を休ませるとすっかぁ。」

 

ラズリ「そうだな。セルが暴れ出した時に万全の状態で臨めるようにな・・・。」

 

 

 

 

 

 

―――選挙当日 お野菜超選挙演説会場―――

 

 

ザワザワザワ・・・

 

ピッコロ「これより、投票に先立ち各陣営による演説を行う! これは地球の野菜の未来を決める重要な演説だ! 地球人たちよ、演説によく耳を傾け、よく考えて投票してくれ!」

 

ワアァァァァァーーーーーーー!!!!!

 

ピッコロ「それでは、『ベリーメロン党』党首セル! 演説を!」

 

Vセル「まァかァせェろォゥゥゥ!!!」スッ

 

 

バン!!

 

Vセル「世界はァ、嘘をついておる! 多くの野菜を食べなくてはならない、偏食するな、暴食するな、甘味を控えよ・・・。全ては嘘、まやかしに過ぎぬ・・・。身体に良くない。周りからおかしな目で見られる。だから常識と正論という嘘で、周囲からの批判のまなざしからその身を守っておるのだ! 原初の真理とは食欲なり。喰らうのだ! 己が好きな物を、欲望の限り、好きなだけ、己が本能の赴くままに!! 我らベリーメロン党こそが、世界の嘘を壊し、真実をもたらすのだ!! そォう、ベリーメロン党だけが!! お前たち人間のあるべき姿を解放するのだァ。人間たちよ、最早好きでもない物なんぞ喰わなくていい! 己が幸福の為に、己の愛する物だけを! 存分に喰らうがいいィ!!! オール・ハイル・ベリィィィメロォォン!!!

 

オール・ハイル・ベリーメロン!!

オール・ハイル・ベリーメロン!!

オール・ハイル・ヴィクトリーセル!!

 

ワアァァァァァーーーーーーー!!!!!

 

 

 

天津飯「チッ、セルの奴考えたな。メロン対他の全ての野菜の戦いだったはずなのに、今の演説で野菜嫌いや偏食家、欲望に忠実な奴らを味方に付けやがった。」

 

クリリン「ラディッツを吸収しただけのことはあるけど、まさかここまで人を引き付ける力があるだなんて・・・」

 

ブルマ「楽な闘いだと思ったんだけどねぇ・・・これはうかうかしてられないわねベジータ。」

 

ベジータ「ふん。俺に慢心等無い。全力で俺の思いを、野菜の素晴らしさを伝えるだけだ。」

 

トランクス「頑張ってください父さん!」グッ

 

 

ピッコロ「・・・それでは次に『超☆野菜党』党首ベジータに演説を行ってもらう。それではベジータ!」

 

ベジータ「ああ・・・」スッ

 

 

カッ!

 

ベジータ「

 

諸君 私は野菜が好きだ

諸君 私は野菜が好きだ

諸君 私は野菜が大好きだ

 

根菜類が好きだ

葉茎菜類が好きだ

果菜類が好きだ

豆科野菜類が好きだ

山菜類が好きだ

香辛つま物類が好きだ

菌茸類が好きだ

穀物類が好きだ

 

平野で 盆地で

高原で 台地で

丘陵で 湿原で

砂丘で 河岸段で

扇状地で 三角州で

 

この地上で育てられている ありとあらゆる野菜が大好きだ!

 

艶々と瑞々しく、ピリッと辛く威勢が良い大根が好きだ。

おでんの大根は冬の人気者。汁をたっぷり含んだ一切れを口に運ぶとホロリととろけて、ヤケドしてもいいと思う勢いで食べてしまう。

 

黒くて厚い皮に覆われていて存在感に満ちているカボチャが好きだ。

ふくりほくりとしてて感動的な食べ物で、咀嚼嚥下のあとに一呼吸おいて、しみじみ東の空を見つめていたいほどだ。

 

紫色が美しく光沢があり、皮の弾力の張った茄子が好きだ。

科学的に分析すれば、あまり栄養のない食べ物だが、食べ物の値打ちは栄養だけにあるのではない。食べる喜びのために食べる。それでいい。

 

白菜の葉っぱの縮緬じわに溜まった露の悲しい重み。葉の表をすべる日光の、猫の毛のような肌触りの柔らかさも堪らない。

塩漬けされた白菜の歯ざわりの快さ、ポリポリと響く音は最高だ。

 

すき焼きの牛肉はネギに味付けをする添え物に過ぎない。肉の味が移ったネギはすき焼きの醍醐味。肉の旨味と柔らかいネギの甘さには絶頂すら覚える。

 

ミョウガの刺激の強い香り。舌をちょっと痺れされるような味が好きだ

こんなに自己を頑固に守り通して、黙って辛味と香りを一身に引き受けている野菜をほかに知らない。

 

野のものなのに、春菊やほうれん草のような癖が無い菜の花が好きだ

花盛りの菜の花は、金色の花が高く高く咲き連なり、舌だけではなく、目でも楽しませてくれる。

 

諸君 私は野菜を 全ての人間の心を満たす野菜を望んでいる。

諸君 私を支持する地球人諸君。

君達は一体 何を望んでいる?

 

メロンのみの世界を望むか?

色鮮やかな野菜が食卓に並ばない世界を望むか?

肥満、栄養失調、生活習慣病が蔓延する世界を望むか?」

 

 

民衆『野菜(ベジタブル)!! 野菜(ベジタブル)!! 野菜(ベジタブル)!!』

 

 

超ベジータ「

 

よろしい  ならば農業だ

 

我々は満身の力をこめて今まさに振り下ろさんとする備中グワだ!

だが今や飽食の時代。美味い物が溢れるこの時代において、ただの農業では通用しない!

 

農業革命を!! 一心不乱の超農業革命を!!

 

我らはわずかに50億人に満たぬ小さな星の住人にすぎない。

だが諸君は宇宙屈指の農耕民族だと私は信仰している。

ならば我らは、諸君と私で総兵力500兆と1億人の農集団となる。

 

野菜を視界の彼方へと追いやり 偏食をしている連中に思い知らせよう。

健康であるからこそ、好きな物を食べられるのだと思い出させよう。

連中に野菜の味を思い出させてやる。

連中に野菜を噛みしめた時の音を思い出させてやる。

 

多彩な食物が在るからこそ、愛するモノを真に楽しむ事ができるのだと思い出させてやる!!

 

50億の農民の開拓団で

世界を耕しつくしてやる!!

 

 

民衆『王子! ベジータ王子! 宇宙連盟特使殿! ルートベジタブルファーム特別顧問!!』

 

 

超ベジータ2「

 

第一次超農業作戦 状況を開始せよ

 

征くぞ 諸君!!」バシュゥゥゥ・・・!

 

 

ウオォォォォォォ!!!!

 

ドドドドドドドドドドドドド・・・!!!

 

 

シーン・・・

 

 

クリリン「・・・どうすんだよ。ベジータも会場に居た奴らも殆ど開拓に行っちまったぞ・・・」タラリ

 

天津飯「ベジータの奴め。途中から暴走していたな。まさか演説で超サイヤ人になるとは・・・」タラリ

 

ラズリ「これからどうするんだ?」

 

トランクス「投票は個人IDを使ったネット投票ですからすぐに結果は分かりますけど、この様子だと投票が終わるまで時間がかかりそうですね・・・」

 

ピッコロ「とりあえず投票期間は今日1日だ。午前0時まで投票を受け付け明日の10時に結果発表となる。」

 

悟空「それじゃあそれまで暇だなぁ・・・」

 

Vセル「ならば俺が手塩にかけて育てたベリーメロンを喰らうがいいィ!! その魂にベリーメロンの素晴らしさを刻みつけてやる!!」

 

 

 

 

 

 

―――翌日 お野菜超選挙演説会場―――

 

悟空「いよいよ投票結果の発表だな!」

 

トランクス「結局0時ぎりぎりまで投票が終わりませんでしたね。」

 

クリリン「ベジータの所為で結構な人数が農業に走ったからなぁ・・・」

 

天津飯「しかもベジータの奴も結局帰ってこなかったからな。」

 

ブルマ「しょうがないわよ。ここしばらく忙しくて農作業やってなかったんだから。農業欲が堪ってたんでしょ。」

 

トランクス「準備中も手の震えを抑えながらやってましたからね・・・」

 

ピッコロ「まるでアル中だな・・・」タラリ

 

ラズリ「おい、そろそろ時間だよ。準備しな。」

 

トランクス「そうでした。それじゃあ父さんの代わりに俺が舞台に立てば良いんですよね?」

 

ピッコロ「ああ、頼む。孫では心配だからな。」

 

ラズリ「全世界に醜態を曝す訳にはいかないからね。」

 

悟空「オラ、もう諦めたぞ・・・」ズーン

 

・・・・・・・・・・

 

ピッコロ「それでは時間になったので選挙結果を発表する!」

 

Vセル「おい待て貴様! 何故この星がベリーメロンに染まる素晴らしき日に誰も居らんのだァ!?」

 

ピッコロ「しょうがないだろう。ここら一帯の連中は農作業に走っているのだからな。中継はラジオで聞いているだろう。」

 

Vセル「農作業ならしかたがないな。よ~し! さっさと結果を発表しろ! まぁ結果は見えているがなァ!!」ニヤッ

 

ピッコロ「・・・それでは結果を発表する! 背後の巨大ディスプレイを見ろ!」

 

ダララララララララララララ・・・ダン!

 

 

 

〔投票率:100%〕

〔支持率〕{ベリーメロン党29%

     {超☆野菜党:71%

〔よって、超☆野菜党の勝利!!〕

 

 

 

Vセル「!?!?!?!?!?!?」エネル顔芸

 

トランクス「やりました! やりましたよ皆さん!! 俺達の勝利です!」グッ

 

クリリン「そうだな! セルが演説した時はどうなる事かと思ったけど勝てて良かったぜ!」

 

天津飯「これもベジータの演説のおかげだ!」

 

悟空「やっぱ、旨いもんはいっぱいあった方がいいかんな!!」

 

ワイノワイノ・・・

 

ラズリ「・・・おい、お前達。喜ぶのは良いけど気を抜くんじゃないよ。セルの暴走に備えな。」

 

クリリン「おっと、悪い。そうだったな。」スッ

 

悟空「オラは別にそれでもいいんだけどなぁ・・・」ザッ

 

天津飯「勘弁してくれ。」バッ

 

ピッコロ「まったくだぜ。これだから戦闘狂は・・・」グッ

 

Vセル「・・・めん・・・」ゴゴゴゴゴ・・・

 

トランクス「ッ・・・」カチャッ

 

ラズリ「来るかっ・・・!」ザリッ

 

Vセル「認めんぞォォォォ!!!」カッ!!

 

グオオオオオオオオオ・・・・・・・!!!!

 

クリリン「なんて気だっ・・・!?」ビリビリ

 

ピッコロ「これが奴の本気か・・・」ビリビリ

 

悟空「ひゃー! オラ、ワクワクしてきたぞ!!」ビリビリ

 

ドドドドドドドドドドド・・・!!

 

Vセル「最早ァ・・・最早我が理想の世界を認めない人間共なんぞどうでもいいィ! 一人残さず畑の肥しにして、ベリーメロンの養分にしてくれるわァ!!!!」ゴッ

 

トランクス「させるかっ! 喰らえギガスラッsy

Vセル「俺の背後に立つんじゃねえ!!!」

 

トランクス「ぐわぁぁぁぁぁ!!!」ドガン

 

天津飯「トランクスー!!」

 

クリリン「しっかりしろ! 今大豆を・・・」

Vセル「アイテムなぞ使ってんじゃねえ!!!」

 

クリリン「うわぁぁぁぁぁ!!!」ドガン

 

ピッコロ「クリリン! クソッ、ここまでとは・・・一旦引いて立て直・・・」

Vセル「男に後退の二文字はねえ!!!」

 

ピッコロ「ぐあぁぁぁぁぁ!!!」ドガン

 

天津飯「そんな・・・強過ぎるっ!」ガクガク

Vセル「軟弱者は消えうせろ!!!」

 

天津飯「があぁぁぁぁぁ!!!」ドガン

 

ギュン!

 

ガギィィン!!

 

超悟空2「それ以上はさせねぇぞセル!!」ググググ

 

Vセル「孫悟空ゥゥゥ!!!」ギリギリ

 

ラズリ「だけじゃないよ!!」キュィィン・・・

 

ドガアァァァァァァァン!!!!

 

Vセル「ぬゥゥゥゥゥ! 18号ォォォ!!!」ズザザザザ・・・

 

ラズリ「さあ覚悟しなセル! 私の新しい力でお前を叩きつぶしてラディッツ達を返してもらうよ!!」ゴッ

 

 

 

―ついに真の力を解放したセル。新たな力と共にセルに挑むラズリと超サイヤ人の壁をひとつ越えた悟空。はたして二人はセルに勝つ事ができるのか? そして悟飯達は間に合うのか? 地球と野菜の存亡を賭けた戦いが今始まる―

 

 

 

 

 

つづく




補足のキャラ説明

ラズリ・・・伝説のスーパー最野菜(未成熟)でパワーアップし超人と化した18号。細胞が進化した事により肉体強度が大幅に上昇し出力もアップ。更に悟空との修業により無限のエネルギーと気の両方を扱えるようになった。
ちなみにラズリという名前は公式。そして、17号の本名はラピスである。

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