閣螳螂は娯楽を求める 作:白月
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残酷な描写
ゴロゴロゴロゴロ。
「ウゥオォォエァァ!」
私が追い詰めるとさっさと逃げるが、無視出来ない攻撃力はあるという厄介な存在、ラングロトラ。
隙あらば跳んで潰しにくる。
最初は反応が遅れ、前足…鎌を含まないとしての前足。そこを潰された。
当時はジャギィに顔を噛まれた時以来の恐怖だった。
殺す。
私がラングロトラに対して普段から抱いている感情だ。
今となっては私の縄張りで私以下の実力なのに攻撃をしかけてくる雑魚だ。
とりあえず10cmくらいの石を糸で集める。
相手は威嚇をやめ、こちらを観察してくる。
まずは私から……私の糸で弓の仕組みを模倣し、石を一つ打ち出す。
ラングロトラは顔を背けただけだ。
そこから舌を出すと考え、頭の位置を予想して三つうつ。
しかし、背けた勢いで石を弾きながら転がってくる……文字通りチャンスボールだ。
少し後退しながら鎌を構え、薙ぐ。
ラングロトラは上半身に傷を負い、バランスを崩して転倒する所を私はあえて受け止める。
そして押さえつけながら鎌を振り下ろす……がラングロトラはすぐさま横に転がっていった。
ラングロトラが怒りに移行したポーズをとる。
石を数個打つが横に転がり避けられた。
私は止まる位置を予想し鎌を上げ、近づく。
そして立ち上がる行動を確認し、隙と思い振り下ろす。
しかし後退して麻痺液を浴びせてきた。
近距離の為、被害を抑えることも出来ない。
体が震え、動かしにくくなる。
だが焦る必要は無い。
今までの被弾の記憶から分かるはずだ……
ラングロトラは動きが鈍くなった私の後ろへ転がる。
私は次にとるであろう行動を知っている。
そして今からやろうとしている事は何度か被弾し、麻痺もそこまで辛くないと知っているから出来る行動だ。
右前足に重心を置き、体を回す。体が重くてもこのくらいなら出来る。
ダァン!!
地面が揺れる。あのプレスをまともに受けたら致命傷は逃れられないだろう。
だが全身を使った渾身の一撃は大体隙を晒す。つまり避ければ好機となる。
両鎌を上げ……力を込める。
ラングロトラは姿勢を戻したいから起き上がる。私はタイミングを計って……切り裂く。
「ッァァウ!」
大きく怯みながらラングロトラは呻く。
さて、ここからが「殺す」為の勝負だ。はっきり言って私は移動速度が遅い。そして成長途中の為、糸も中型の相手を拘束する強度はなく、更に今は麻痺で不自由ときた。
ゴロゴロゴロゴロ……
ラングロトラは逃げた。私は眺めるだけ。
夜まで待つ。無防備な敵なら殺せる。
今日は明確な傷を負うことも無かった、追うことも逃げる事も出来る。
依頼
カマキリとダルマ
報酬 契約金
5400z 1300z
参加可能人数
2グループ8人まで
依頼者 元気な青年
おいおい、見ろよ!
ラングロトラとアトラル・カが戦ってるぜ!
縄張り争いにしては荒れすぎだ…
だからウチの村に飛び火する前に狩猟してくれ!
赤甲獣と金蟷螂をやってくれ!
ps アトラル・カの ・カ って何なんだ?
「なんだこいつ…気にしても意味が無い事を言ってるぞwリオレウスって何なんだ?ジンオウガって何なんだ?w」
「ジンオウガは神、王、牙だろw」
「行くぜお前ら!くっせぇダルマとほっせぇ虫の討伐だ!」
「「おぉ!w」」
酒場でよく見かける光景。彼らは普段通りだった。
夜。深い眠りについている赤い獣の横に紫の光が二つある。
鋭利なソレを首筋に合わせ振り上げる。
頭が転がる。
……しかしアトラルは警戒を解かない。
彼女は静かに石を集める。丸く揃え中央に頭を置く。
体は円の外に横たわらせた。
そして闇に紛れどこかに行ってしまった。
「2体狩猟の基本は1体ずつだ。その点夜間活動は優れている。」
「その一文は……月刊狩人を買ってるのか。」
「あぁ。……ラングロトラは洞窟で寝るはずだ。」
「虫班はキチンとやってるんだろうなぁ?」
「さぁ……いざとなれば囮にしてしまえw」
「……そろそろ洞窟だ。静かにするぞ。」
ラングロトラ狙いのハンター達は洞窟に入っていく。
しばらく進み煌々と月に照らされる狩猟目標を見て絶句する。
「……なんだぁありゃあ?」
「サイコパス…一体誰が。」
「確認するぞお前ら…」
「周囲の警戒をする。」
一体誰が?何のために?儀式?
頭を石で囲むという余りにもおかしい状況に、リオレウスを狩れる者も恐怖する。
「……まさか、黒組織は事実だったのか?これは報告を――」
「後ろぉおっ!」
振り向く前に人間の頭が落ちる。
「いつの……間に?」
「しかし姿を見せたんだ。…しかもこいつ小さいぞ。」
「まだ子供か…正面からなら勝て」ガツッ「いった!?なんだ!?」
「俺は目を離さないから安心して振り向け!」
頭に衝撃を受けた狩人は振り向く。しかし何もいない。
「こっちに来たぞ!」
「構え!」
アトラルは3人に向かって歩き出す。大剣、ハンマー、ランス。死んだ者は狩猟笛。堅実なパーティーだ。
従来の雑魚だったなら。
アトラルが少し離れた所で鎌を上げる。全員集中する。
「ギザミ突進か?」
「……動かない?」
鎌を下げる。
「……行くぞ。」
「あぁ…ぁあっ!?」
アトラルの後ろで、円に使われた石が浮いていた。
一斉に飛んできては何処か負傷する可能性があるためランスの後ろにハンター達は隠れる。
そしてアトラルににじり寄るが……
グシャッ
変な衝突音につい見てしまう。
ハンターは予感していたからすぐに理解する。
彼の死体だ、やはり頭はついていない。
再び何かが飛んでくるが、ショックと不意打ちによって次はダメージが通ってしまった。
「いたぁぁぁっ!うぐっ」
「笛を!?」
非現実的ながら3人は理解した。この虫は何かおかしい。
いつも通りなら傷を負いながらもモンスターを囲みそれぞれが思うがままにモンスターを切り、叩く事で倒す。
アトラル・カは本来岩を投げてくる様な環境を使うモンスターだ。
危険度は高くない。単調な攻撃ばかりだし、個体数もまぁまぁいる。
彼らも既に狩った事が何回かある。
岩も表面に出てるものばかりだからガードの衝撃は最高でもブラキディオスの爆発と同等ぐらいだ。
しかし、何故死体と笛を時間差で投げたのか。まさか武器が硬いと理解しているのか。なら何故死体を投げたのか……
私は予測していた。
舐めてかかった敵が思いもよらない行動をとると大体は防御側に回ってしまう。
私はゆっくりと近づき慌ててガード体制に戻っているランスに抱きついた。嬉しい事に2人抱いたらしい。
「ウワァァァァァ!!」
「どうした大剣!?」
「あぁぁ!あぁぁぁ…!」
「落ち着け!」
「はぁぁ…はぁぁ…ヒッ」
「どうしたんだ?まさかイビルジョーか?」
「アトラル…アトラル・カ…」
「まさかラングロトラと手を組んでいたのか!?」
「ち…がう……ダルマも3人もアトラル・カに殺された……」
「………」
よく分からない。
だが、必死なのは伝わった。
「………血を浴びてる時点で事実を言ってるなこいつ。」
「血を浴びてるが、汚れてない。何も出来なかったという事か。」
「アイルー便はどうした!?打撲なら助けられるはず……」
「ふぅ…ふぅ…いや、笛が不意打ち、二人は拘束で殺された。」
「一瞬で命を絶たれたという事か?」
「……しょうがないクエストリタイアだ。俺達ならギルドも疑いながらも派遣調査ぐらいはしてくれる筈だ。気をつけて帰るぞ。」
「BCに帰るついでに虫…いや、そのアトラル・カの行動を教えてくれ。」
「あぁ――」
「ヒィィィ!?」
「……たしかにこいつはおかしい。」
狩猟目標は、ベッドから降りてきた。
ガリガリと鎌を噛み、研いでいた。
「まぁBCにモンスターが居ることは珍しいが無くはない。」
「明らかに 迎えに来た みたいな感じだがな…」
私は縄張りを荒らした奴を殺す。
確かに私が逃げれば狩人からの狙われる可能性が上がることは無いだろう。
だがやっと手に入れた縄張り。
私は…逃げない。というよりもっと強い存在が来たら逃げればいい。その点を判断さえすればいい。
まぁ、今の私の力では5人と正面からやり合って勝てる訳がない。
なら逃げるべきか。
いや、違う。
落とす。
「砂原……ここは俺達では手に負えないのかもな。」
なるほど。ここは砂漠ではなく砂原というのか。
最後に新しい言葉を教えてくれてありがとう。
勘違いも直ったという事は嬉しい。
私はベッドをハンターに叩きつけて吹っ飛ばした。
さて、『私の』縄張りを巡って安全を確かめてから寝よう……
しばらくは安心して寝れるはず……
「イテテテ……」
「アトラル・カがハンターは高低差に強い事を知らなくて助かったな…w」
説明。アトラル・カの呼び方。
庶民の不安感を無くすため表向きでは金蟷螂と呼ばれる。
閣螳螂という名を知ってるのはネセトを知る者のみ。
そしてネセトを知る者が伝えようとしてもアトラル・カ自体は弱い為信じる人は少ない。ネセトの襲撃は4回で、4回目に討伐された。
この世界ではアトラル・カの数はゲネル・セルタス以上。
しかし発見は近年からである。研究が待たれる。