閣螳螂は娯楽を求める   作:白月

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ハンターが居る。
モンスターが居る。
狂竜化がある。
ライダーが居る。
オトモンが居る。

嫌われ者のアイツも居る。



不穏と契約

とある山の上で卵にヒビが入る。

 

近くには沢山の武装し、銃を構えた兵士達と笑いながら絆石を掲げる人間がいた。

 

白き龍の卵は荘厳な空気を醸し出している。

絆石の光が強くなると共に更にヒビが入る。

 

パキッ

 

完全に割れる。

卵から出てきた光は巨大化、変形し一匹の強大な龍となる。

翼を広げ、深い青色の空に雄叫びをあげる。

 

「……ゲーム内じゃ仲間にならなかったけど、ついにヴェルサ・ノワが俺の仲間に!!」

 

神選者はヴェルサに近づく。しかし後ずさる様に離れてしまう。

ヴェルサは自分を孵化させた者を睨みつける。

 

「……どうしてだ?どうしてなんだ!?」

 

神選者は視線の方向に気づく。

 

「そうか。黒く染まらない様に他の奴が加工しやがったから認められないんだな。……とれた。さぁ!」

 

人間の闇の部分を通さない様にする加工。しかし龍、それも絆が大きな意味を持つこの龍には通用しなかった。

誰にだって欲はある。目的を達成する為に通らなければならない欲がある。それを認めてやっと、ヴェルサは主人に仕えるオトモンになる。

 

しかし。

 

「……あ……れ?」

 

黒く変色し始める。

 

 

『誰よりも強くなって好きな時に支配したい。』

『他のオトモンがいらない程強い奴が欲しい。』

 

 

再び発生しだした黒の狂気に対抗するという口実で最強の白を孵化させた。

 

しかし仮初の絆では―――

 

「なん、なんでだよぉぉぉっ!?」

 

狂気を生み出すだけだ。

 

「撃てぇぇ!」

 

隊長の号令により一斉に砲身が火を噴く。

しかし即座に張られたバリアに跳ね返され、そのまま自分の銃弾に撃たれる。

 

「頭を狙え!バリアの解除―――」

 

白と黒が混じった龍が一際大きく叫ぶ。

炎の戒めが人間達を襲う。

 

 

残ったヴェルサ・ノワの怒り。

蝕むマキリ・ノワの力。

 

 

複合したその戒めは山ごと潰す威力だった。

 

 

 

 

 

 

 

少し寒い。

それもそのはず、何日かかけて凍土に来たからだ。

 

狂竜ウイルスの力によって、ネセトがかなり動かしやすくなった。具体的には笛がいらないレベルだ。極限化をすれば更に力が強くなるだろうが……リスクが高すぎる。

 

 

…………今やらなければいけない事がない。

この短期間の間に沢山の事があったせいで、元の生活が非常につまらなく感じる。

ネセトと撃龍槍があれば大抵のモンスターと争う必要はない……

といっても死の確率が無いのに越した事は無いため、わざわざリスクの高い戦いをする必要は無い。

 

 

……釣りをしよう。

 

 

 

 

 

「かなりガムートの乗り心地はええぞ。」

「寒いです博士……」

「うるさい。多少は耐えなさい!」

 

しばらく進むと遠くに巨大な瓦礫の塊が目に入る。

 

「……は、博士!?」

「……あれはアトラル・ネセト。動いていないから近くにアトラル・カがいるはず、捕まえて支配下に置いてやろう!」

「寒いです……」

「うるさぁい!」

 

 

 

 

 

……よっと。

 

ハリマグロがまた釣れた。

 

竿はBCのベッドを削り、糸は更に削って出来た繊維を絡ませてつけた。

私の糸は水に弱いからだ。

そしてハリマグロが三匹釣れたため、支給品BOXをまな板にして頭を切り取り、体を抑えて尾を引き抜く。

背骨をズリッと出し、ヒレをさっさと除去して、まだ痙攣している身を丸呑みにする。

 

……釣りも良いが腐肉の場所を調べなければ。

凍土では食料が全く見当たらない時もありえる。その時は腐肉を食べないといけない。

ネセトを入れる洞窟の場所も、探さないと。

 

 

 

 

「イチビッツ君、いたぞ!」

「ポチッとな!」

 

なんとネセトと私の間に鎧を着た姿のガムートが居た。遠くから指令の様な事をしている人間がいる。

 

笛を吹き、槍を刺すように投げる。胴体に深々と刺さるがまだまだ動けるようだ……

ガムートが走り寄ってくる。そして上半身をおこす。

分かりやすい攻撃だ。股をくぐり抜けてから背中に登る。

 

気絶をするまで殴り、気絶したら槍を更に肉を裂くように引き抜く。

そして槍を今度は頭に突き刺す。しかしティガレックスの牙を弾く硬さだ、槍が刺さらずに逸れる。

一度離れる。

 

 

 

 

うん?あのアトラル・カは動きがおかしい上に結晶が生えてる……!?

 

「イチビッツ君、ガムートを止めなさい!」

「え!?いいんですか!?」

「早く!」

「ポチッとな!」

 

ガムートの動きが止まる。

 

「行ってくる。」

「は、博士!?」

 

 

私の理想は全ての人間がモンスターを恐れずに過ごせる世界……

もしかしたら……

 

 

アトラル・カが動けば私が殺される範囲に入る。

 

 

理解してくれるかもしれない。

例のアトラル・カなら!!

 

 

 

「私は研究者だ。そのため被験体を集めているのだが、どうやら君は捕獲できる様な存在ではなさそうだ。謝罪する。」

 

アトラル・カは……臨戦態勢のまま。話は聞いてくれるという事であろう。

 

「しかし君の噂はハンター達の間で有名になってきた。このままだと君はいつか狩られてしまうかもしれない。」

 

……警戒を解いた?注意をせねば。

 

「そうでなくとも逃げて何処かに行ってしまうであろう。だから言わせてもらう。」

 

 

 

「私に君を利用させてくれ!!」

「何を言ってるんです博士!?」

 

 

 

 

 

私を利用?……情報が足りない。しかし博士か……知識が得られる可能性があるなら私からも利用出来るか。

 

 

 

「私の理想はモンスターに脅かされない人間社会の創造だ!だからモンスターはモンスターの力で打倒する考えだ。そして非常に興味深いから君を実験材料として使う気は無い、君を私の近くに置いておきたい。」

 

 

 

ふむ……つまり私を用心棒や実験材料集めに使う……今の何もやることがない時間が続く事を考えれば良いことだ。

そしてモンスターを利用する考え方は非常に合理的だ。一匹に固執する事無く切って捨てる事が出来る。つまり足りなくなったら継ぎ足せばいい……まぁ人間やモンスター達が嫌がるならライダーの方法がいいだろう。

 

雪に書く。

 

 

「『モンスターを操るという様に聞こえるが意思はどうなっている?』」

「……文章が書けると。答えてあげよう!このマネルガーが開発した機械の情報を!なんと――」

「思考誘導しているためモンスターは嫌がる事が無いのです!」

「そして――」

「機械制作に時間はかかるがかなり壊れにくい!」

「更に――」

「思考誘導だから普段は野生で過ごさせるため、維持費もかからない!」

 

イチビッツの頭にゲンコツが落ちる。

 

「全て私の台詞だ!奪うんじゃない!!」

「こ、これは失礼しました!」

 

 

なるほど、本来なら人間が喜んで受け入れそうなものだ。しかしこのマネルガーが孤独という事は受け入れられていないという事か。何故……

 

「さぁ、君が求めることを言いたまえ。私にそれが叶えられるなら交渉成立とする。」

 

なるほど。私が求める物は――

 

 

 

そのまま雪に書こうとした時。何故孤独なのかが分かった。

 

 

 

私に火球が当たる。

 

「そんな、効いていない!?」

「またお前達か!?」

 

リオレウス……片目が潰れたリオレウスに乗ったライダーがいた。

 

「マネルガー!今度は何を企んでいるんだ!」

 

妙な頭身のアイルーもいた。なるほど、マネルガーと敵対関係か。ならば殺す。

槍を投げつけるが、回避された。遠くに飛ばないように糸を引き寄せる。

糸を放ちリオレウスに当てる。

 

「リオレウス!」

 

猛烈な勢いで突進してくる。一度回避をして、体慣らしの為に火球を避けながら笛を振る。

 

「あいつを、どう倒すんだ!?」

「どうしようか……」

 

笛を吹き、自己強化。

先程当てた糸でリオレウスに自分を引き寄せる。

 

「わわっ、飛んできたぞ!?」

「放てっ!」

 

ブレスが飛んでくるが火力が低い。

そのままリオレウスの下に張り付く。ライダーを乗せてると振り落とせないのが弱点だな……

 

「うぉぉぉっ!」

 

っ!?

 

「俺に触ると……怪我するぜ……?」

 

なんだこのアイルー。よりによって雷を纏うのか。

私に触って雷を当てたという事は、近接戦闘は無理がある。

一度落下する。

 

「マネルガー!また改造モンスターを作ろうとしているのか!!」

「あぁ、そうだとも!再び発生しだした黒の狂気!前回は人選ミスしただけ、今回は成功する!」

「いい加減にやめろ!無理やりモンスターを操るなんて駄目だ!」

 

……なるほど。

『大量操作主義』と『一点共生主義』がぶつかっているのか。

共存すればいいのだがそこら辺は人間とという事だろう。

 

「そのモンスターを改造するな!」

 

突然私に矛先が向く。

 

「このアトラル・カに改造予定は無い!交渉していただけだ!」

「マネルガー、お前の言うことなんて信じられるか!さぁナビルーについてくるんだ!」

 

子供達について行って何を得られる……?

いや、せいぜいギルドから殺傷命令が下り、私が殺されるのを遠巻きに眺めるぐらいだろう。

自身の安全の為にもマネルガーにつくべきだ。

 

槍を引き寄せる。

 

殺す。糸を大量に発射する。

 

「……駄目か。」

「来るぞ、リュート!」

 

ネセトに駆け寄り、大量に糸を張る。そして先程発射した糸を掻き集め木や岩を蓄える。

 

「リオレウス!避けろ!」

 

そして発射する。上手く当たって翼が折れれば墜落する。

 

……凄い、全て避けるなんて。……じゃあコレを使うか。

 

笛を吹き、更に自己強化する。

そして――

 

「「え……!?」」

 

発射!!

吹っ飛べ!!

 

 

ガムートを放ち、予想外の事に動けなかったリオレウス達を吹っ飛ばす。

 

 

 

さて、脅威にならない存在はほっといて書かなければ。

 

「流石っ!アトラル・カ!」

 

そして書いたのを示す。

 

 

 

 

「なになに……『継続的な最新情報の提供と契約破棄時の巣の資材提供』……!?」

 

面白い要求だ……。

 

 

 

 

 

 

その日、一人と一匹の最悪のコンビが達成したという。

 




軍歌・夕日の砦


ジャジャジャンジャンジャンジャン ジャンジャジャジャジャン

あーあー我らと我が国はー
世界の何処より気高くてー
我らを脅かす者共ー
我らの力で捩じ伏せるー

世界にまたかける者共ー
そーれは我らと我が国だー
世ー界を堕ーとす怪物をー
一朝一夕(いっちょういっせき)で駆逐するー

あーあー讃えよお互いをー
我らは国民、国の民ー
例え王が頂点でもー
我らが国を作ってるー

再び向かえよ戦場にー
再び戻れよ我が国にー
富国強兵理想を求めー
世界を統べるは我々だ!
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