閣螳螂は娯楽を求める   作:白月

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バレンタインデーッ!!

街を行く人にインタビューしてみました!
(モンスターは人に変化したという体で)



マリオネットを動かしている少女

「……分かりやすい程値上がりしているな。しかし集団心理と同調圧力によって軌道に乗った商業の仕方は見事といえる。何故チョコレートなのか。何故カカオが原料の食物なのか。『恋愛=甘いから=チョコレート』で全てを無意識に納得させる個々の自己暗示能力にも目を見張る物がある。実は甘さは砂糖なのだから、飴綿菓子や飴細工でもいいのだ。しかしバレンタイン――」



虫に座って移動する女性

「いやぁ、みんながこっそりとチョコレートが準備していてくれたので凄い嬉しいですよ!ハッピーですハッピー!
……えっ、これも夜の備えのイベントじゃない!?なん……だと……」



昼から食い続けている少女

「えへぇへぇ……沢山チョコレートがあって幸せー!見てくださいっこのパフェ!」ドーン!
「そしてケーキ!」ダーン!
「更にアイス!」バーン!
「あー幸せー!疲れた体に染み渡るぅー!」

「おい……太るぞ。」
「あ、どうぞ!私の手作りのチョコです!」
「……目的は?」
「ふっ……白の日、楽しみにしてますよ。」
「やはりか。」



青が混じっている黒い服を着た女性

「……あっこんばんは。ちょっと流石に慣れないですねこの匂い……甘ったるいです。私の夫を見ませんでした?
あ、特徴的な夫婦は見ました?ヤンクさんとガルさんなのですが……紫色の髪の男とサングラスをかけた女性のカップルがあっちに居たと?ありがとうございます!」

「すまない、わ…たしの妻は居なかったか?青い色がある黒い服の女性。こっちにいる気がしたのだが……何?特徴的なカップルの方へ?すまない、入れ違いを起こしたようだ。感謝する。」



チョコを配り回っている女性

「い、インタビューですか。配りながらでもいいですか?はい、ありがとうございます。『何故配り回っているのか』ですか。
えっと、皆さん復興作業で沢山働きましたし……(えっと内密にお願いしますが、バレンタイン近くで皆さん私をチラチラ見てくるのです。
だからチョコレートを配り始めたのですが、どうやら私から貰えた事自体が嬉しい様で、その様子を見てるとこっちも嬉しいので沢山作って――)」

「あ!僕にもチョコをくれよ!天使の本命を僕に!」
「……腐れ根性、厚顔無恥の馬鹿イキリトはあっちいって下さい!」
「ギャァァァァ――」
「あの女最低!」「†キリト†様をぶっ飛ばすなんて!」
「流石天使!」「我らが天使はここに居たァァァ!!」

「……互いに支えあって頑張っている人にはあげるのですがね。」



白いワンピースの少女 ――はいいや。

「お待ちなさっ!?」


深怨と邪気眼

死を思わせる冷気が吹く。

 

そしてその冷気を放っている本体が来る。

体が痛まない程度での全速力のネセトに簡単に追いついてくる時点で逃げの一手はほぼないと考えれる。

 

 

ネセトを走らせるのに手が塞がっており、危険を知らせる方法が無い。

ネセトに突撃してくる飛竜をジャンプで避ける。

 

通り抜けた飛竜は勢いをそのままにマネルガー達の船に突っ込み破壊する。

 

 

「な、なんだね!?」

「わわわ、ひゃぁぁ!」

 

とか叫んでいるだろう。

 

 

狂った様に遠くに見える山の方へ飛んでいってしまった……そして仕留めたと思ったのか再び私の方へ飛んでくる。

 

 

さて、一度知っている情報を纏めよう。

あの飛竜は、ベリオロス凍氷種。

原種と行動は大体同じだが、ブレスを多用する。

余りにも低温の為、吐いたブレスで生成された氷や奴の体に触るとしばらくは張りついて離れなくなる。後者は動くため強烈なダメージとなる。

また、体内に少量の毒を生成する器官がある……

 

だが、注意すべきはパワーとスピード。

特殊種に恥じぬ実力を持っている。

 

古龍に近づいただけの竜は気性が荒く、自分から人間を襲うため狩られた回数もかなり多い。

まぁ、そこら辺のハンターに狩られる程度のモンスターがモンスターの私に狩れない可能性はないだろう。

 

 

ただし、大きな謎が一つ。

コイツの生息地は断裂諸島だ……何故ここにいる?

 

 

 

 

ネセトの纏う遺跡は既にボロボロだから鉄の骨組みがあるとはいえ戦闘に使うのは控えた方がいいだろう。それに空中の敵に対しての小回りの効く攻撃がない為、非常に使えないだろう。

 

強烈なブレスを回避しながら繭を破り、糸で撃龍槍を背負いながら私を打ち出す準備をする。笛は既に背負っている。

 

 

ほっ、と。身体強化の旋律を吹いた。結晶に縛っている抗竜石を確かめる。

着地してこちらに走ってきているベリオロスに目がけて私を放つ。

 

 

笛を頭から背中にかけて何度も叩きつける事に成功。

左側から着地、回転の勢いのまま、槍を投げる。

 

ベリオロスは尾で槍を逸らし、その勢いで振り返り飛びかかってくる。

 

逸らされた槍に自分を引き寄せ、再び駆けて飛びかかってくるベリオロスに三発糸を放つ。

やはりと言うべきか、糸が凍ってくっつく事は出来なかった。

 

触れてはいけない、笛でベリオロスの顔を叩きながら離脱、再び距離を置く。

 

ベリオロスのブレスを槍で叩き潰す。

……しまった。槍を半分氷に閉じ込めてしまった。

 

 

……木や岩がないこの場所で戦うのは非常に不利だな。

ネセトに縛り付けてあった槍を引っ張り出す。

 

引き寄せている間にブレスを放ってきた為避けようとしたが、想像より範囲が広く巻き込まれる。

おや?出血性の毒が含まれていると書いてあったが、気分が悪くなることさえない。

 

足を切断し、笛を振りながら槍を構える。

 

笛を吹き、瞬時の回復で血液の流出を止める。

ベリオロスが走ってくるのに合わせ、槍を投げつける。

 

知能が生態系の頂点なりには高いのか半身を上げて避ける。そのまま噛み付いてくるまでは予測出来るため、笛を構え、衝撃に身を任せ吹っ飛ぶ。

 

 

 

笛の構えを解くと、既にブレスが飛んできていた。

 

 

しまった。スピードが予想より早かったか……

笛でガードするが正面から私を覆う様に氷が広がる。

 

 

ベリオロスは勝ち誇った様に上空に飛び上がり、狙いを定めてくる。

 

馬鹿だな。

例え凍っていても真正面からの滑空なら、笛を持つ鎌に力を込めるという抵抗が出来る。

 

 

 

 

ビシィッッ!!

 

 

 

しかしベリオロスは落下する。翼が付け根から吹っ飛んでいく。

 

 

何事かと見渡すと……何故かウカムルバスが居た。

 

 

なんなのだろうか?

アトラルという種に何か恨みでもあるのだろうか?

 

ベリオロスに近づき、その巨体を持ち上げる。

 

 

「グォォッ!!」

ミシミシッ!!

 

 

ベリオロスの咆哮の後に潰れる音が聞こえる。

 

腹部が赤く染まったウカムは私に突進をしてくる。

ウカムが馬鹿で、私をすくい上げる様に攻撃をする様に祈るしかない。

 

振動と共に私の前にどんどん近づいてくる。

そして私の願いも虚しく、すぐ目の前で急停止する。

 

残念ながら氷を引き剥がす力は無い。

二本足で立ち上がった時に尻尾が見えた。

 

 

その尻尾は何かに潰された様に薄く広がっていた。

なるほど、そういう事か……

 

 

ウカムの口から冷気が溢れる。

 

大地の振動が激しくなる。

 

 

 

グシャァァッ!!

 

 

 

 

 

私の体―切れる感――走る―

つ―り―きてる?

 

ミシミシッ……

 

ウイ―ス―音――

 

――――ィ――イタイ痛い痛い!!

 

 

 

フワフワした意識に体の感覚がどっと戻ってくる。

右目の反応がない事からそちらが抉れる様に切れたのだろう。しかし信じられないが笛がウカムのブレスから下側を守っていた為、完全には切れていなかった。顔に切れ込みが入ったという事だ。

更にウイルスの結晶が切れた所を繋ぐように生えている。

 

 

異形すぎる。そして、この笛はおかしい。

 

 

しかし一命を取り留めたならまずは身の安全の確保。

ブレスによって氷が砕けた為、自力で脱出が出来るようになっていた。

そして笛を振り、持続する癒しの旋律を吹きながらウカムの方を見ると――

 

 

 

ウカムに抱きつき、吸い付く『イカ』がいた。

 

 

比喩ではない。

 

 

そして赤い光がウカムを貫き、手足と尾を伸ばした後に力無くたれる。

同時にベリオロスの潰れた死体も回収していた。

 

……っ!?私のネセトに腕を伸ばしている!?

 

遠くに転がっている槍を回収、触腕に投げつける。

見事に骨を壊し、腕は沈んでいった。

 

急いでネセトに乗り込み、走って氷に閉じ込められていた使い慣れている槍を回収する。

 

再びネセトの足が触腕に絡まれる。

 

 

奴はオストガロア。最近檻の中で読んだ図鑑に載っていた。

肺呼吸だが、エラ呼吸も出来る水陸両用タイプ。

龍の墓場か、海、または海岸や川に近い地域に出没し、そこら一帯のモンスターや人間を食らい尽くす。古龍も自らより下級なら捕食対象。

……何故顔を出している!?本気でウカムを食いに来たからか!?ここに何故出没――

 

いや、まず、落ち着け。脳に支障は無いが、視界に異常がある状態でここに留まるのは阿呆がする事だ。

 

いや、もっと落ち着け。まず古龍の前で焦る事が愚かな行動だ。

 

 

触腕に捕えられている。掴む方は骨に覆われていない為、とても強い力でくっついている。

 

そうか。

この場所の様に冷えた所は中々死骸が分解されない。ならば地中に骨があっても違和感はない上、モンスターの巣にはもっと骨があるだろう。

 

ではなくて!

とても強い力ではあるが、一度なら剥がす事が出来る。

 

顔が近づいてきた。

 

足に……糸だが。力を込める。

そして走る。

 

触腕が掴むボロボロの遺跡が剥がれ、それと共に拘束が解ける。

地獄から離れなければ。

 

 

「ァァァキュィェィェァァァァァ!!」

 

龍の咆哮を背にして、私は遠くの山に向かって走る。

 

 

 

 

 

 

なんとか頂上まで登ってきた。とても急な坂で、何度か雪崩を引き起こしたがなんとか着いた。威嚇してくるドドブランゴを気晴らしに蹴り飛ばす。尖った部分をわざと当てたんだ、一撃で瀕死だろう。

 

洞窟を無視して煙が登っている方に向かう。

……っと!?

突然視界が紫に染まる。

 

狂竜結晶が弾けた。感覚からして切断された所が治ったという事だろう。

予想はしていたが、狂竜ウイルスと笛の治癒力が合わさると馬鹿げた再生力になるな……まぁ虫の中には切断されてもくっつけときゃ治る種類もいるらしいから、可能性が0ではないのだろう。

 

段々視界の紫色が薄まっていく。

 

見渡すと一面真っ白で、光を反射する事から非常に眩しい。

 

……?

ブランゴ達に紫の枠が付いている様に見える。

 

 

なるほど、理解した。

切断された際に狂竜ウイルスが視神経を侵した事により、ウイルスの反応が視界に映る様になったのか。

確かゴア・マガラは視覚をウイルスで補っていると書いてあった。ウイルス……生物に感染させ、そのウイルスをハンターが克服すれば筋力の増加。モンスターが狂竜化したら異常な再生力をつける。どちらにしろ体には多大な負担がかかるだろう。

 

すると……体温がとんでもなく上がると考えられる。疲労回復効果があると考えていたが……発症中、狂竜化状態は生命力が減っていったのか?

 

ふふふ……元々私の種族は寿命が長い。そして龍のウイルスを従えれば、か弱い種族である私の寿命は引っ張られる様に伸びてくれる可能性がある。

ならば克服方法をゆっくり考えればいい。

 

 

 

 

 

虫は()色の煙の方へ歩いていく。

 

 

 

自らの命が削られている。

 

その事に気づいた上で利用しようとするアトラル。

実は既にSANが0ではないだろうか……

 




残奏姫 アトラル・カ

(テレレレ、テッテッテーン!)
能力を取得した!『りゅうの目』
ステータスに変化無し!
スキルポイント取得!

『りゅうの目』
使う(常時強制使用)
詳細 ←
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『りゅうの目』

本来ならゴア・マガラの視覚に値する第六感。
相手がウイルスに犯されていなくとも熱を察知する事は出来て、ハッキリではないが相手の形も察知出来る。
また、近くなら壁越しにも『存在』を察知出来る為、躊躇なく襲うことが出来る。
『存在』であり『気配』ではない。
また炎や熱した岩程度で騙せるほど下等な力ではない。


《使用条件》
常時、off不可

《注意》
狂竜化系の状態異常中でないと使えない。抗竜石などで一時解除されるとこの能力も一時的に解除される。
使用中は寿命が削れていく。
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