閣螳螂は娯楽を求める   作:白月

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ワンチャンアレバカテルー



プププリンセス!

「いいか?こういうゴミはこの暖炉で纏めて燃やすと灰になるんじゃろ。アトラル、お主は分別するのはいいが燃えるゴミまで有料の回収業者に頼んでは金の無駄じゃ。」

「ふむふむ……」

「わらわは神選者の技術による不燃物の大量増殖を指摘して、無償化、最低でも減額を頼んだのじゃが、国の金策になるんじゃと……あー卑しい。全く……」

「そ、そうか。」

「で、ルンバとか精密機器が壊れた時にはドライバーで分解して……」

 

王女はドライバーをネジに当てて回す。

パカリと黒い外装が外れた。

 

「この基盤を除いて、残りはプラスチック類、鉄類と分けるといいのじゃ。」

 

なんだこの王女。

王女らしくない。

 

 

 

王女が私の家に住み始めて二日目。

王女は私以上に細かい事が分かった……いや、知っている知識が多いというか。

散らかっているクッションの上で片付けに口出ししてくるのだ。

 

「……服はどうした。」

「あー、あの服かの?王国製だから高く売れたのじゃ。」

「この前ラージャンの外套があるとか言ってなかったか?」

「まっさかー。家出に足がつく服は来ておらん。」

 

王女はそこそこ値の張る細いチョコレートの棒を食べながら本を読み、余裕がありすぎる服を着ながら転がっている。

 

「ところで一体何を読んでいる?」

「あぁ、『ハリーポッターと炎のゴブレット』じゃ。異世界の書物を自分が作った事にして売り出すとは姑息な方法を……でもわらわの世界には関係ないから別にいいのじゃ。」

 

確かにこの世界には、

『異世界転生シリーズ(私達の世界)』『SF(こちらの方が私達には異世界)』

系の本が異常な速度で発刊されている。

ただ漫画は紙の無駄使いとして快く思われていないが。

 

と言っても、この世界が狩るか狩られるかの世界の為、全体的売り上げも悪いそうだ。

努力を蔑ろにする主人公が嫌い……だが神選者は自分達の都合の良い様に動くから例外か?

そこは人間の複雑さだな。

 

 

 

 

彼女がゴロゴロと音を立てながら転がり始める。

嫌な予感がする。

 

「あー暇じゃなー。よし、狩りに行くぞ!」

「え、いやまだハンター登録してな―――」

「あ、ハンター登録の方法は前回伝えられなかったからの!大丈夫、自分の得物を扱える所を見せてから書類にサインすればいいのじゃ。」

「そうか。」

「行くぞー!」

「うっ、ちょっと待てぇ!?」

 

私は多少本気で抵抗したが、彼女は私の笛と共に担ぎながら外に出た。

近所の人間から変な目で見られたが、まぁどうでもいいか。

 

 

 

結局そのまま私はギルドまで連れてこられた。

いや、私は専属ハンターはしたくないのだが……

 

「ギルマスは何処じゃ?」

「えっ!?あ、今は裏でお酒を――」

「ぐふっ!?」

「ほっ!失礼するのじゃ!」

 

痛い。

私を担いだままカウンターを飛び越していくとは……がっ。

反動で頭がガクガクする。痛い。

 

ドサッと私が机に投げ出される。

まな板の上の虫と?

 

「ギルマス、ルカを『フリーハンター』に登録するのじゃ!」

「……了解しました。」

 

おい。

私の状態に突っ込むべきだし、聞いていた登録方法が違うぞ。

 

 

 

私が机から降り、服についた木屑を払っていると、年寄りは小さいカードを持ってきた。

 

「どうぞ。」

「先に言っておくのじゃが、わらわの耳に入ったらすぐ逃げるからの。」

「……分かりました。」

「おめでとうじゃ、ルカ。わらわと同じハンターじゃ!」

 

「あの……状況がのみ込めないのですが。」

 

……もう何度か行った事があるのか。

というより王女はハンター登録していたのか。

 

「わらわはG級じゃからの!しばらくの狩りは安心せい!」

 

……本当に誰かこいつを王女からやめさせた方がいいのでは。

 

 

 

 

 

 

 

私は今――――

 

『森丘』に来ています!

今回の目標はランポスの30匹討伐です!

 

 

 

 

本当に何故ここに来たんだ……

いや確かに初心者はここに来るべきだが、彼女は私の事情を知っている。

いや、現地だからこそ基礎知識を教えられるのか。

だがG級がついているなら雪山でも……

 

「さて、ここがBCじゃ。はい。」

「あ、あぁ。」

「あそこの橋の様な場所から釣りができるのじゃ。まずはサシミウオを三匹釣ってもらおうかの?サシミウオ分かる?」

「サシミウオは分かる。何故今釣る必要がある?」

 

「そういうクエストもあるし、わらわのお腹減ったからじゃ。」

 

「……は?」

 

余りの迷惑行動につい言ってしまう。

笛を握る力が強くなる。

 

私は召使いじゃな―――

 

「はー、わらわも釣るわ。ほら、さっさと釣竿をテントから持ってくるのじゃ。」

「……」

 

くそっ、私がイラつく行動を的確にしてくる……

度が過ぎたら殺す。

 

 

ヒュンと糸を飛ばす。

軽い水の音と共に、赤い何かが浮く。

 

「よーく見るのじゃ……川の流れやアトラルの動きとは別に、浮き沈みするタイミングがあるのじゃ。それがあった後、大きく沈んだら釣り上げる。分かったか?」

「理解した。」

 

……再三思うが、本当にこいつ王女か?

とりあえずランポス狩るために釣るか……本来ならこの流れはおかしいが。

 

 

言われた通りに魚を釣り上げた。

目当て以外は川に返す。

 

 

 

捌かれたサシミウオを飲み込む。

折れて混入していたのか、骨が喉に刺さるが、しばらくするとウイルスが侵食し、脆くなって折れる。

残った部分もウイルスが吸収するから問題ない。

 

結局釣ることに時間がかかり、ランポスをまだ一匹も討伐していないまま時間は進んでいく。

 

「うむ、美味美味。」

「そろそろ行くぞ。」

「……まぁ怒るのも無理ないかの。」

「ギルドに対してはG級のハンターの横暴に振り回されたで説明出来るが、私の気分が現在低下している。早くしろ。」

 

笛を振る。

ランポス程度ならこの笛を振り回せば殺せる。

さっさと切り上げたい。

 

「ふふふ……さて、ここで朗報じゃ。」

「早く言い切れ。」

「ネセトはそのまま、存在隠蔽!」

「……そうか。行くぞ。」

「……むぅ。」

 

……推測だが、恐らくマネルガーが最後に資材を買った場所を探し、そこから近くの山で探索したのだろう。

彼女の下にあるという事で安心したが……詳しい事は後で聞くとして、さっさとランポスを潰そう。

 

何故王女がふくれているのかは分からないな。

 

 

 

 

BCから出ると、綺麗な景色が……

いや、そこまで凄いという訳では無いが。

 

まずは支給品の地図でランポスの生活範囲を照り合わせる。

 

「この道を通りたいのだが。」

「お、外回りか。ライゼクスもオオナズチもイビルジョーもそこで戦うから早めに知るのはいいことじゃ。」

「……イビルジョーですか。」

 

 

 

 

何も問題なく、ファンゴを殺して進んだその後。

 

ランポスを殺していた時に、彼女の本気を垣間見た。

 

 

 

 

 

「ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”!!!」

 

ブシャァァァッ!!

 

 

………………

 

まだ互いに攻撃範囲外のドスランポスが見事な程に分裂……いや、分解?

あー……まぁいい。

二つに破砕された。

 

「一体お前は何をやっているんだ。」

「神選者がデザインし、他の神選者に作らせた鎌の力を使ったのじゃ。名前は『病想の鎌』らしいぞ。」

「明らかに呪われていそうな武器だな。大体何処から持ち出した?」

「魔法の武器は欲しい時に出てくるぞ。」

「…………」

 

なるほど、王女だとおかしい事に沢山触れるのか……

本人の好奇心もあるからだろうが。

 

……こいつ、精神こそ子供だが、人生経験はそこらの大人に相当するのでは?

鎌で私を脅さない時点で、力任せの思考は既に脱している。

 

「かっこいいじゃろ?」

「ああ。」

 

素直にかっこいい。

私も撃龍槍をその様に扱いたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”!!!」

 

ガリガリグシャァァァァァァァッ!!!!!

 

 

………………

 

えげつない音と共にイャンガルルガが、頭も背も尻尾も関係無く一刀両断された。

その後、こちらに向かって走ってきた。

 

 

「……ごめんなさい、ごめんなさい、私が殺してしまいました……」

 

「わらわ達には関係ないから大丈夫じゃ。」

「そうです。ランポスを討伐しにきただけですので。」

「で、では。」

 

女が剥ぎ取りに向かう。

 

私は質問せずにはいられなかった。

 

「おい王女。あれはなんだ。」

「神選者としての名前は『死神』。だけど両親が神選者だから、産まれた時から力や精神に異常のある障害者。生まれながらに崇拝され、迫害されてきた神選者じゃ。」

「……どうでもいいか。」

「だといいのじゃが。」

 

「だが、今の行動はまるで―――」

「想像を具現化する神選者と、モンスターを従える神選者の子じゃ。そして、具現化する方がこの鎌を発案した神選者じゃ。」

 

「……存在自体が罪だな。」

「どちらがじゃ?」

「どちらも、だ。」

 

王女は鎌を持ち私に見せつけてくる。

 

 

 

「アトラルにとってこの鎌はどうなのじゃ?」




天河朔夜

神選者としての名前『死神』

紅の鎌で敵を切り裂く。
一度鎌を振りかぶってから目を瞑るため、回避をするのは他の神選者に比べると楽ではある。
攻撃範囲は一度に移動できる距離で、地上から5mまで。しかも攻撃範囲は刃から拡大しない。
しかも斬る以外のダメージは無いため、回復が容易。

その代わり威力は超破滅級。この攻撃自体に耐えれる存在は数える程しかない。
具体的には†キリト†も貫通する。

『自閉症スペクトラム障害・社会不安障害・自己嫌悪』持ち。

己を殺したいが周りのために生きるが周りは自分が嫌い という思想などがある。


『死想の鎌』

『死神』の力を模倣した武器。
威力はかなり落ちた。
ただし常人が一度これで敵を切ると、快感から逃れられなくなる。
過去にこの武器によって、複数回モンスターの大量虐殺があったため、所持には精神検査と事前申告が必要。
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