閣螳螂は娯楽を求める 作:白月
その花はとても綺麗だ。
だが、螳螂は興味を示さない。
闇に黄色く目が光る。
周りの人間は騒ぎ始め、モンスターは威嚇する。
「随分追ってくるのが遅かったな?」
「なんでじゃろ?」
その疑問はすぐ解ける。
「白夜の煌めきっ!!」
「クレイジーフォース!!」
神選者がバルラガルを追ってきていたのだ。
だとしたらこのバルラガルは数時間戦い続けて消耗しているはず。
「グガァァァァッ!!」
明確な致命傷は無い……
とはいえ、背中に爆発を起こされて怒ってはいるようだが。
周りに人間がいるから元の姿に戻る事は出来ない……まぁ、私は既に交戦したから対応出来る。
バルラガルが首をすくめる。
瞬き一回の間を開け、すぐさま五回舌が広範囲を薙ぎ払う。
夜という事で視界が悪かったのか、生き残っていた大半の生物が爆散する。
癖だろうか、血管を引き寄せようとしている。
「ふんっ!」
「ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛!?」
撃龍槍を口内を穿つように投げつける。
走り、ゴアの翼を顕著させて撃龍槍引き抜いて両手に持ち替え、再びゴアの翼を隠してから撃龍槍を血腺に刺す。
が、撃龍槍を受け止められ這うように血が遡ってくる。
固定される前に笛で弾き飛ばす。
「ガガッ……ァァァァッ!!」
っ、笛を持ってかれた。
宙に浮いた笛は何度も舌で叩かれ、地面に突き刺さる勢いで捨てられる。
付着していた血が針になり、溶けるまで待ってから引き抜く。
バルラガルが別の方向を向く。
神選者が断末魔と共に爆散する音を放っている間に王女と話す。
「どうすればアイツを殺せる?」
「うーん……多分撃龍槍で舌を絶ってしまえばいいのじゃ。」
「……そうか、あれほど舌を伸縮させているんだ、通っている血は多いだろう。」
「それに。」
「それに?」
「舌の先っぽの棘は赤黒い……この意味が分かるじゃろ?」
王女は神選者の残骸を指さした。
「なるほど、舌の一部をあの血管みたいに爆発、固めているのか。」
「まぁ、血を吸う時に棘がかなり丸くなっていたから気づけたのじゃがな。」
「そのままだと内側の吸血する管も圧迫されるからか。」
「恐らく、じゃがの。つまり何がいいたいかというと人間とは違い、致命傷になるはずじゃ。そして……」
バルラガルは苦しんでいる。
今も神選者の攻撃を受け続けているのもあるだろうが……恐らく。
「ウイルスは濾過しきれなかった様じゃの。凶気化しているモンスターに狂竜化ウイルスをぶつけると増大した本能が無理矢理ねじ曲げられるらしいのじゃ。」
「私みたいな逆は?」
「凶気化を好きなタイミングで発生させる事は出来ないのじゃぞ。」
「なるほ……どっ!」
空から蹴ってきたゼルレウスの両足を握る。
ゴアの翼で踏ん張り、引きずり落としてからバルラガルに投げつける。
「ふんっ!」
ゼルレウスの爆発と同時に王女は走り、血管に伸ばした舌を横から双剣で切り刻む。
飲もうとした血管を放置し、王女に舌を伸ばす。
体に不調をきたしているのか舌の速度は落ちているが、それでも視認は困難だ。
だが、万全のバルラガルを相手に舞っていた王女にしてみれば、油断さえしなければ生命の危機ではなく、少し危険程度でしかなかったのだろう。
何処か力の抜けた……うん?
「いぇーい、バブリー!はいっ、ちゃんちゃかちゃかちゃかちゃんちゃん!」
……こっちを見て踊るな。
確かに難易度が下がれば余裕が出来るが……その余裕で攻撃しろ。
そうだ。
私はゴアの翼を伸ばし、血管を拾い投げつけた。
王女の方に目がいってたバルラガルの顔面に血管が刺さる。
痛みで暴れている間に走り寄り、ゴアの翼で首を絞める。
苦しさから口を開けた所に王女が突撃し、死んだハンターの大剣で舌を切り裂きながら離脱する。
流石に自身の体の中では血管が破裂する事は無いようだ。
そのままバルラガルを地面に押さえつける。
神選者が突撃し、バルラガルの体はどんどん傷ついていった。
勿論、血柱に刺された者も居たが……
数分後、バルラガルの抵抗する力が抜けたところで首を折る。
「よし、ルカ、よくやったのじゃ。」
「……まぁ、よくやったな。」
「じゃあライドオ―――」
「黙れ。」
その後、休んでいいと言われたが見回りを始めた。
だが血の川を登ってくる影はいなかった。
次の日、私達はギルドマスターに呼ばれた。
受付裏の部屋に入る。
他所の凶気化モンスターはハンターと神選者が上手く立ち回り、アイルーも頑張った為に死者は0人だったらしい。
逆にマキリ・ノワを中心とした凶気化モンスター群と薔薇創バルラガルの被害はとてつもなく大きかった様だ。
とはいえ、何でも出来る神選者。
一日以内に見つかった血管や死体からは、損壊無く復活させれたらしい。
しかし水の中で溶けてしまった物からは復活させれなかったと。
それでも半数が生き返った事に驚くのは当たり前だろう……
そして本題だ。
「G級ハンターを超えた実力なのは分かった。のじゃが、下位ハンターを突然G級にすると他のハンター達が納得してくれない……という事で、HR7、上位の最高で我慢してくれないだろうか?」
納得いかない。それならG級でいいはずだ。
別に私と周りは関係ないだろうが……理解出来ないな。
そう思い私が立ち上がると、王女も立ち上がり耳元で話しかけてきた。
「歪なパーツをネセトに使うのかの?」
……パーツをハンター、ネセトをギルドか。歪な私が無理やり入ると……まぁ壊れやすくなって崩壊するな。
私だったら削って入れるだろう。
「なるほど。理解出来た……ました。」
椅子に座り直す。
「飲み込みが早くて助かるのじゃ。」
「???」
「とりあえず、わらわ達がそこに上がるのだから何かしらの諸注意はあるのじゃろう?」
「あー……危険なクエストが増えるので一応乱入が起きたり、キャンプに送り届けれない場合がありますので注意して下さい。」
「分かりました。」
つまり私にとってはほぼ問題は無いという事か。
そして王女はG級だから意味が無い。
「分かりました。それでは私は帰りますね。」
私達は席を立つ。
そしてギルドマスターも立って、最後に一つ、と話しかけてきた。
刹那、空気が凍る。
「翼の生えたアトラル・カを見なかったかの?」
何気ない質問だろうか?
しかしギルドマスターに情報がまわっているという事は目撃者が居るという事だ。ここは正直に言わないといけないだろう。
「……えぇ、見ました。何ですかねあれ?」
「……貴女も翼が生えるのだろう?」
それが言いたかったのだろうか?
……流石に否定する。
「え、それはおかしいですよ!?私は神選者じゃないですし。」
「そ、そうか……」
そうだった……ゴアの翼でトドメだった。
痕になる事をどうして考慮しなかった……まぁいい。
「そういや他の村にも行ってみたいですね。」
「うん?何処に行きたいのだ?」
「うーん……ありますか?」
王女の方をギロりと睨む。
「えっ!?あっ、そうじゃなぁ……もうちょっと暑くなるまでポッケ村に行こうかの。」
「ポッケ村ですか?」
「海に入る最適の気温になるまでは涼んでおこうかと思っての。」
よく言った。いや、言わなかったら後で生き地獄にする予定だったが。
それに私としても暑い時に暑い所に行けるのは嬉しい限りだ、有難く思う。
……海に入る事は一切考えたくないが。
潜れないし、撃龍槍を振れないし笛が吹けない。
海中には雷を扱う生物が多いし、一番は糸が使えない。
完全に私達殺しのフィールドだ。
それはいいとして、バルラガルの報酬金はどんな感じだろうか。
「ルカっ、待っ―――」
何故か扉の前で外をチラチラ見ていた王女を押し退け、扉を開ける。
受付の一箇所が動く為、そこを持ち上げて外側にまわる。
そこで誰かに肩を掴まれた。
振り返るとヒョロヒョロの奇妙な服装の男性が居た。
「ちょっといいですか?」
「はい、なんでしょう?」
「実はこういう者で……」
渡された紙を見ると、『神に選ばれる者』と記載されている名刺を渡された。
「実は神選者の力は、我々も神に認められる事によって平等に力が与えられるのです。」
……殺意しか浮かばない。
手っ取り早く周りのモンスターを圧倒する力をつけたいのか?
種族の差を知れ、傲慢な存在が。
「人間にしか加担しない分際で何が平等だ。そこら辺の蝿の方が生態系に重要な影響を与えている。」
「なっ……神に向かっては人間しか明確な助けを求めてないからでしょう!?」
「ふーん……言葉にしないと分からないとか神様も役立たずだな。」
「なんという事を!?不敬です!天誅が下りますよ!」
「同意です。力を得た感情を抑えられない子供程、怖いものは無いですね。」
馬鹿みたいな信者だな。
とはいえ、選民意識の強い宗教は自分が常識人と思い込んでいる信者が多いのだろう。
王女がドロップキックで信者を蹴り飛ばす。
さて、報酬金を受け取って帰るか。
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うっわ気持ち悪……そんな事は置いといて、いやぁ、ナナさん遂に来ましたねぇ!
本当にありが―――
僕も登場したいなぁ……
えと……
我が妻を虐めるのはやめてく―――
あぁっ!クシャルさんと一緒に行った方だぁ!よぉし、バル!
なーにー?
ケオアルボルと共に新大陸に攻め込むぞ!ネルギガンテに匹敵する肉体派古龍の参上だぁぁ!
……ナズチってー肉体派ー?