閣螳螂は娯楽を求める 作:白月
……どうも。
現在私はネセトを本格的に直している。というのも、今日の朝にミラルーツがやってきて――
「さぁ、今日のアトラルは機械工場だぁぁ!」
「は?」
「しばらくしたら強制転送するからきちんと制圧しなさーい!」
と言って去ったからだ……酷いとは思わないか?
とはいえ、流石に勝算無くして私を投入するとは考えにくい。
勿論、注意引きの駒かもしれないが、それでも死ぬつもりは無い。
ネセトの肩の外装をはめ直し、体内の盆を主に支える糸を交換する。
撃龍槍を砥石で擦る。
ネセトの指を掃除し、指の覆いに侵入してきたハンターや神選者の装備を繋ぎ合わせた物を表に貼る。
更に色々やった後、最後に内側にある小さな繭も作り直してメンテナンスは終了だ。
ネセトに乗り込み動かして、まずは撃龍槍を糸で口に引き込み、射出する。
次に尻尾を振り回し、同時に水銀を足に纏って足踏みする。
よしよし、これで良いだろう。
「終わったかしら?」
後ろから現れたルーツが話しかけてくる。
人間の姿に変わり、口を開く。
「終わった……しかしいきなりネセトで突撃するのか?」
「まっさかー!まずは単身で乗り込んで、メインコントロールを潰してね!」
「メインコントロール……とは?」
「コピーマザコンの事よ。まぁ地下の隔壁の向こうに丸い奴があるからそれを潰して。」
「説明になってないしどの様な構造なのか知らないのだが。」
「頑張れー!」
つい眉間に力が入る。とりあえず撃龍槍をシャガルの翼で持ち、笛を構えた。
ミラルーツに渋々頷くと私の周りが白く輝き始める。
「このポーチに必要な物入ってて、私が支援するからぁ!」
「あぁ……そう。」
白い光が壁となり、強い光を発するので腕で視界を遮る。
そして光が収まると私は白い壁が横に見えた。
顔をあげると檻の中で脅えたように身を縮こませる竜が居た。
どうやら天井のノズルで竜の出す粉を回収してる様だが……
檻の鍵を見ると……確か電卓?の様な形をしている物が『lock』と表示している。
一歩離れて周りを見ると、他に三つの檻があり同じ竜が閉じ込められている。だが、三匹ともぐったりしている……疲れているようだ。
笛で電卓を叩く。
簡単に壊れ、中身が見えている。
《アトラル!そこの配線を退けると四角い凹みがあるでしょう!》
「……あぁ、そうだな。」
ミラルーツが私の思考に直接話しかけてくる。
かなり気が散るので会話に意識を傾けるしかない。
《ポーチを開いて、黒いハマる奴出しなさい。》
「わかった……」
笛を置き、ポーチを肩にかけて開くとやはり外見と中の大きさが違いすぎる。
腕を突っ込み、板のような物をつまみ出し方向を確かめてからはめる。
『open』
表示が切り替わるとガンガンガンと何かか回る音と共に柵が開いていく。
竜は更に奥に縮こまる。
さて、どうしたものか……
と、ミラルーツの声が頭の上から聞こえる。
「もう大丈夫よ〜。出ておいで〜!」
「……ん、分かった。」
竜はそう答えると粉を振り撒く。
姿が変わっていき、腕が赤と青に、背びれは肥大化し蒼く輝きだす。
そのままのそのそと檻から出てきた。
笛を拾い、一応構える。
「これから誘導線を見せるからそれぞれ従って〜。はい、ボドガ。」
「!……グァウ、グァウ……ありがとう、美味しい。」
竜はミラルーツが出した肉を食べた。
その後、私を見る。
「今日はお互いに頑張りましょう。」
「……あぁ。よろしく。」
「じゃ、頑張って!」
ミラルーツはそう言って消えると同時にこの部屋の扉が開く。
「あーめんどく――さっ!?モンス――」
水銀の塊を頭にぶつけ、押し潰す。
よく分からんがどうせミラルーツの行動の理解に数時間はかかる、視界に映る黄色い線を辿ろう。
「それじゃ。」
「頑張って下さい。」
死体に近づいて足で暗がりに蹴飛ばしてから、私は元の姿に戻って走り出す。走る音が小さいからこちらの方が適している。
コンクリで出来た暗めの通路には人間は居ないようだ。
そのまま非常扉を鎌で開けて階段を登り、数階上がって廊下に出る。
「警告、モンスターの反応有り。」
遠くで人間の声ではない声が聞こえた。
こちらに近づいてきている音がする。
どの様な姿で何処を壊せば安全なのだろうか……と私が考えていたその時だ。
ドォォォン!
「ォォォォォォオ!!」
ウゥアーーーーーーン ウゥアーーーーーーン
「発着場にて大規模な爆発あり。マザーの予測、ボガバドルムの脱走。避難を!」
私の目の前を変形しながら人間の様な機械が走っていった。
周りを見て敵がいない事を確認し、早歩きで誘導に従いある扉の前につく。
《そこはコントロールルーム。本気を出して、中の人間を殺して機械を弄らせないで。》
「分かった。」
元の姿に戻り、撃龍槍を振りかぶり水銀を空中に滞留させ、シャガルの翼も殴れる様にする。
「キィィィ!!」
撃龍槍越しに色々砕ける感触が伝わり、壁にヒビが入る勢いで人間を殴り潰し、残りを水銀で刺し殺す。
全員銃を持っており、構えられていたら一瞬で殺されたかもしれない……危ないな。
しかし警報が鳴り響く。
恐らく先程の機械が来るだろう……どうしたものか。
《そこでポーチから白いアレをこの円の中央に入れて!》
「……ロロ。」
ミラルーツの言うことに従い、首に巻いてあるポーチから白く薄い板を鎌に水銀を付けて取り出す。
それが入り、中央の画面に『データ更新中…』と出た後にプッツリと全画面が黒くなり、警報が止まった。
「キィィァ……?」
《色々ぶっ壊したのよ。さぁ、次はマザコンを壊しに行きましょう!》
その略し方はどうかと思うが……と思いながら扉を開いて外に出る。
「モンスターを発見。マザー『アズライール』応答無しの為、メインマザーの遠隔命令により自動迎撃します。」
なんと人間の姿をした機械が私に銃を向けた。
撃龍槍を叩きつけるが避け、私は相手の銃をギリギリで避ける。
「キィァァァ!」
《アンドロイドは止まらないわ〜。》
それを先に言え!
アトラルさん、上手くやってるかな?
私も頑張らなきゃ!
右腕を大きくして、爆発粉を振り撒く。
それが爆発する勢いを使って、色々な鉄の塊に体当たり。
沢山の玉が飛んでくるのが痛いけど、大きい方が痛いからそっちから潰していく。
でも、数が沢山……だから必殺技!
「グルォォォァァァ!!」
まずは沢山の粉を背中から広げる。
次にそしてお腹の粉を爆発させて、粉を広げる。
ぼぼぼんと沢山の粉が繋がって爆発して、鉄を吹き飛ばす!
このまま頑張る――っ!?
「「ヴァァァァァ!!」」
「ヴォォォォォォン!!」
空から、おじいさんと同じ大きさの竜?が沢山やってくる。
ど、ど、どうしよう……
その時、あの羽音が聞こえてきた。
「ごくろうビーム!」
大きな赤いビームが空を横切り、直線上の竜を吹き飛ばした!
そう、お母さん……凄い優しい大人。とても大好きなの。
「大丈夫かーい!」
「ありがとーう!」
「戦うのはいいけど、好きな時に退いて大丈夫だから!」
そして大量の子供を引き連れて突撃する姿はかっこよかった。
だからこそ私ももっと頑張んなきゃ!
「ヴォォォォッッ!!」
「……ふっ。」
目の前で停止した私を睨み、黒い龍は咆哮する。
継ぎ接ぎだらけ、けれども完全に一つの新たな生物となっている龍は私に突撃してきた。
正面からガッシリと組み合う。
「ギィィィィィィ!!」
「ギュィィァァァァ!!」
龍のスリムな見た目からは想像出来ない強力な力で地面に引きずられる様に急降下する。
勿論、こういう事には対策済みです。
「バチバババチチチ!(事案4)」
「「「「「「「「ギィィ!(了解!)」」」」」」」」
近くの龍と戦っていた私の直属の親衛隊の四匹が、近づいて掴み、龍を下にして他の四匹が私を引き剥がす。
「ごくろう様です!」
そして私が龍のビームで大地に叩き落とし、龍エネルギーの爆発が起こるまで放ち続ける。
「「「キィィィ!!(殺す)」」」
親衛隊は私の食った神選者の力を使い、沢山の爆発物を投下して金属で出来た施設を地に落ちた龍を中心に木っ端微塵にしていく。
何かに引火したのか、ボガちゃんとは違う巨大な爆発が起きる。
そして先程より巨大化し、歪に骨が伸びて剥き出しになった龍が私に飛んでくる。
龍は効かないようだ、なら物量で潰しかないか……
《やっちゃって、クイーンランゴスタ!》
《突然の発言はやめてください!》
「ギュィバチバ!(散れ、離れろ!)」
「「「「了解!!」」」」
連鎖的に私の指令は広がり、子供達はまだまだ増える造られた龍を引き付けながら離れる。
「ボォォォォァァァァ!!」
口から放たれた鉄の塊を躱す。
十分に近づくまで腹に力を溜める。
「ギギギギ――」
「馬鹿め!油断したな!」
そう言いながら腹から大量の液体を吹きかける。
すると龍は泡をたてながらみるみる溶けていく。
ボロボロになっていく龍の行動を気にせず龍の内蔵を掴み地に突撃する。
そして様々な瓦礫を粉砕しながら叩きつけた。
それでも龍は歪んだ口で噛み付いてくる。
「ふん。」
「ガッ……ヴン。」
針を首に突き刺し、引きちぎる。
さぁ、次が来るだろうし休む必要も無いからまだまだ頑張るぞ!
辿異種タイクンザムザ、インパクトが凄いですね……
ベイブレードは面白かったですが、やはり一番は打ち上げエリア移動ですかね。