俺は今、同級生の兵藤の家にお邪魔していた。
そこは驚きの連続だった。死んだはずのアーシアがいたり、学園の先生がいたり、知らない顔が数名いたりと。
俺の頭の中は大混乱。一体何がどうなってるんだよ。
「突然呼んでしまってごめんなさいね。貴方には色々話しておかないといけないことがあって…」
「ああ、正直何がなんだがさっぱりだ…」
そしてリアス先輩は俺が眠っている間の事を話してくれた。
そこである言葉が気になった。
「神魔族がいたってのは本当か?」
「ええ、間違いないわ。あの時貴方が倒した神魔族と同じ姿をしていたわ。私が気づいたと同時にどこかへ消えてしまったけれど…」
リアス先輩が言うには、どうやら兵藤と白龍皇が戦っているのを影でそっと見ていたそうだ。
何故、あんな場所にいたかは定かではないが、なにかを企んでいる事は間違いないだろう。
すると先生が俺に聞く。
「朔夜くんが長い間学園の方に顔を覗かせなかったのはもしかしてその神魔族が原因なんですか?」
「いや、単純に力の使いすぎ……かな?戦闘なんて初めてだったし、何しろあの時妹のことで頭が一杯で…」
「妹…?もしかして朔音さんのことですか?」
「ああ。そうだが…」
「やっぱりお二人は兄妹だったのですね」
「いや、従妹だ。両親に捨てられた彼女を俺が拾った」
「どういうことですか?」
「話は長くなるんだが…」
俺は妹との出会いを話した。
あれは寒い真冬のことだった。俺は両親がいなくなってからずっとイシュタルちゃんの家で暮らしていた。
そんなある日、久しぶりに暁家の豪邸にひっそりと様子を見ていた。
幼い頃はもしかしたら親は俺を捨てたんじゃないか?何て事を考えていた。もし、そうだとしたら一度この目で親の顔を見てやりたい。そう思っていた。
すると、一人の女の子が近くで泣いていた。
俺はその子に「どうしたの?」と聞いた。すると女の子は「パパとママが出ていけって言うの!私もう家に帰れないの!」と泣きながら言ってきた。
もしかしたらこの子は暁家の娘なんじゃないか?と思った俺は女の子に「名前はなんて言うんだ?」と聞いた。
すると、女の子は「暁 朔音」と答えた。
間違いない。この子は俺の従妹。
俺はイシュタルちゃんの家まで彼女を案内した。
そしてイシュタルちゃんに頼んで彼女も一緒に暮らすことにしてもらった。俺が彼女を守り、面倒を見ることを条件に。
「とまぁ…こんな話だ。まぁ最近じゃ俺が面倒見られてる所あるけどな」
すると兵藤が…
「へぇ~…。お前と朔音ちゃんにそんなことがあったのか…良い妹じゃねぇか」
「で、なんでお前の家にこんなに女子が住んでいるんだ?説明してくれ」
「そうだったな。実はな…」
兵藤は自分に起きた出来事を俺に話してくれた。
堕天使の幹部との戦いで出会ったゼノヴィアのことや、白龍皇との対峙、そしてつい先日オーディンがこの国に来ていたらしい。
そこで一緒に来たのが銀髪の戦乙女のロスヴァイセ先生。
先生はどうやらオーディンにリストラされたらしい。
「大体どういうことかわかった。俺が寝ている間にそんなことがあったなんてな。で、このパーティーみたいな状況は俺の歓迎会と…」
「そういうことだ!これからよろしくな朔夜!」
「ああ~…めんどくせ…」
俺は小声で本音をもらした。
俺の歓迎会は夜まで続き、今日は兵藤の家に泊まることになった。
風呂からあがって、ベランダで夜景を見ながらラムネを飲んでいると……
「朔夜くん…?」
誰かが俺の名を呼び、俺はそちらを振り返る。
そこにいたのは先生だった。
「先生。どうしてここに?」
「あなたこそどうしてここに?」
「いや、ちょっと考え事を……」
「考え事?先生でよかったら話してくれますか?」
俺は先生にある考え事を話した。
内容は……
朔音のことだった。彼女は今、幸せなのかどうか。
両親に捨てられて彼女の心は深い傷を負っている。そんな彼女のあの笑顔は本当に笑顔なのか?
すると先生は答えてくれた。
「きっと幸せだと思いますよ?だってあの時朔夜くんが朔音ちゃんを助けなかったら彼女は今頃どうなっていたか……。確かに深い傷を負っているとは思いますが、朔夜くんと一緒に生活していってきっといつかその傷が癒えると思いますよ?」
「だと良いんだけどな……。ありがとう先生。少し楽になった。またもしかしたら相談するかも知れないけど、その時はよろしくお願いします」
「私なんかで良ければいつでも相談に乗りますよ」
そういって先生は笑みを浮かべた。
そして夜は明けて朝。
俺は朝食を食べたあとに兵藤の家を後にした。
家に帰ると……
「朔夜くんお帰りなさい!兵藤先輩の家どうだった!?子猫ちゃんいた!?」
いつも通りテンションが高い朔音を見て安心する俺。
「ちょっと待て。順番に話す!少し休ませてくれないか?」
「じゃあ起きたらちゃんと聞かせてね!約束だよ!」
そういって朔音は自分の部屋へと走っていった。
こんな日がずっと続けばいいのにな……
俺はそう思いながら自分の部屋へと向かった。