あれから数日が過ぎた。
イシュタルちゃんや朔音には神器のことは話した。
二人は対して驚くこともなく朔音にいたっては「ルーガくん凄いよ!」と褒めてくる。
俺はイシュタルちゃんにあの事を話した。
そう、兵藤一誠が黒い羽の女に殺されていたことを。
イシュタルちゃんはこう言った。
「恐らく、そいつらは堕天使ね。何かの目的で兵藤一誠くんってのを殺したんでしょう。でも、もったいないわね…アザゼルに言えば興味を持ったでしょうに…」
「アザゼル…聞いたことあるぞ。確か堕天使の総督だったっけ?」
「えぇ。ルーガくん以外と詳しいわね」
「まぁ、一様親父が悪魔だったしな…てか、アザゼルが神器に興味を持つとはどういう意味だ?」
俺は不思議に思っていた。どうして堕天使の総督が神器に興味を持っていたのかを。普通なら危険分子は排除するべきだ。それなのにどうして…。
イシュタルちゃんは俺の質問にこう答えた。
「アイツは少し変なのよ。研究気質で…まぁ簡単に言うとマニアってことよ」
「堕天使の中にもそんなやつがいるんだな…」
「ルーガくんの神器とか見たら興味津々なんじゃないかしら?」
アザゼルか…。会えるなら一度会ってみたいもんだな。俺の神器について詳しく知りたいもんだ。
そして現在、俺はいつも通り学園に登校してるわけだが…
朔音が俺に言う。
「ねぇ、ルーガくん。あそこにいるの一誠先輩だよね?」
「あぁ…。そうだな。あれ?アイツ死んだんじゃ…」
間違いない、俺はあの時確かに見た。兵藤が殺される瞬間を。
でもアイツは生きてる。どういうことなんだ?しかも、兵藤の隣にいるのって…。
「ルーガくん。一誠先輩の隣にいるのってリアス先輩だよね?どうしてリアス先輩と一誠先輩が一緒に?」
「さぁ…?俺にもさっぱりだ」
俺たちが二人を見ているとリアス先輩が俺の方を見て、妖艶な笑みを見せた。
何だ?今の笑みは…?
「ルーガくん!今、リアス先輩こっち見て笑ったよね!?ね?ね?」
「あぁ、笑ってたな。何だったのかはわからないが…」
その後の休み時間。別のクラスの生徒、木場祐斗が俺の教室にやって来た。
「「「「キャー!木場くーん!」」」」
木場は女子に人気の生徒だ。いつも通り、女子が彼の周りに寄ってくる。
「暁 朔夜くんっているかな?」
一人の女子生徒が俺の方を見て言う。
「暁ならあそこにいますよ。あの銀髪の人です」
木場は俺の方へやってくる。
そして俺に言う。
「君が暁 朔夜くんかい?」
「そうだけど…。何か用かよ?」
「放課後僕たちの部室に来てほしいんだ」
「お前の部活って…。あぁ、オカルトなんとかって部活か。確か部室は旧校舎だったよな?」
「うん。部長が君のことを呼んでいるんだ」
部長が俺を?なんでまた俺なんだよ。
放課後。
俺は旧校舎に向かい、部室にたどり着く。
扉を開くとそこにいたのは、一人の白い髪の小さな女の子。
この子は確か…塔城小猫だっけか?
塔城は俺を方を向いて少し頭を下げる。
俺も彼女に頭を下げた。
「来たみたいね」
奥の方にいた赤い髪の女性が俺の方を見る。
リアス先輩がこの部活の部長だったとは…。驚きだ。
リアス先輩は俺に構わず続ける。
「ごきげんよう、暁 朔夜くん。私はリアス・グレモリー。以後、お見知りおきを」
「ご丁寧な挨拶どうも。俺は暁 朔夜。で、俺を呼び出した理由はなんだよ?」
「まぁ立ち話も何だからそこの椅子に座りなさい」
俺は椅子に座り、リアス先輩に言う。
「さて、呼び出した理由を聞かせてもらおうか?」
「もう少しでここに兵藤一誠が来るわ。彼が来てから理由を話すわ」
「わかった。なら兵藤が来るまで待つとしよう。その前に聞きたいんだが…リアス先輩。アンタ、悪魔か何かか?リアス・グレモリーってなんて名前外国の人の名前にしては少し独特過ぎるんじゃねぇか?」
「どうしてそう思うの?」
「いや、何。俺も悪魔なもんで。そのくらいは知ってる」
「へぇ~…。やっぱりそうなのね。あなたも悪魔なのね。それなら話は早いわ。あなたの言う通り私は悪魔よ。そしてここにいる人達もみんな悪魔よ。私の眷属悪魔よ」
マジかよ…。木場も塔城もみんな悪魔かよ…。ん?待てよ…だとしたら……。
「もちろん、今から来る兵藤一誠も私の眷属悪魔よ」
やっぱりか~……。なるほど。だいたい理解した。
つまり、兵藤が生きてる理由は悪魔に転生したからか…。
すると、部室の扉が開き兵藤が入ってくる。
兵藤は俺を見て言う。
「あれ?暁?なんでお前がここにいるんだよ」
「そこの先輩に呼び出されたんだよ。それにしてもお前が悪魔に転生してたとはな…」
「なんでその事知ってるんだよ!?」
「俺も悪魔なんだよ。そういや悪魔としての名前言ってなかったな。悪魔としての名前はルーガ・ルキフグス。番外悪魔のルキフグス家の出身だ。とは言っても母親が人間で父親が悪魔。俺はハーフ悪魔だ。」
それを言うとリアス先輩が驚いた表情で言う。
「ルキフグスですって!?」
「さすがに知ってるようだな。リアス先輩」
「えぇ…。まさかあなたがルキフグス家の血を受け継いでいるなんて…」
「まぁその話は後だ。俺をここに呼んだ理由はなんだ?」
リアス先輩は少し落ち着いたあと、俺に言う。
「単刀直入に聞くわ。あなた、兵藤一誠が殺される瞬間を目撃したわね?」
「あぁ。見た。それが何か?」
「偶然とはいえ、どうしてあそこにいたの?」
「言っても信じねぇかも知れねぇけど…、俺は何か引き寄せられる感じだった。気がついたら目の前で兵藤が死んでいた」
すると兵藤が俺に言う。
「お前あの時いたのかよ!」
「まぁ話を最後まで聞け。兵藤を助けようとしたとき、俺の中の神器が発動した」
俺は時空龍の籠手を発動させ、リアス先輩に見せた。
「これは一体どんな神器なの?私も初めて見るわ」
「時空龍の籠手って言うらしい。能力は単純だ。時間を止める」
「時間を止める?」
「あぁ、だが一つ欠点がある。これを動かせるのは時間の干渉を受けない特異点だけらしい。俺はその特異点だ。だからこの神器を動かせる」
「なるほど。じゃあ、あなたはその力を使ってあの場を生き抜いたと…?」
俺は頷いた。正直言って、あの場で戦えば面倒なことになる。そんなことになったら朔音にもイシュタルちゃんにも迷惑がかかる…。
「わかったわ。答えてくれてありがとう」
「じゃあもう帰っていいか?妹が家で待ってるんで」
俺は椅子から起き上がり、部室を出ようとすると…。
「帰る前に一ついいかしら?」
俺は立ち止まり、リアス先輩の方を振り替える。
「あなた、オカルト研究部の部員にならない?」
「………考えておく。それじゃあ」
俺はそう返答し、家へ帰った。
家に戻ったあと、イシュタルちゃんにこのことを話した。
「ふ~ん。まさかルーガくんの学園にグレモリー一族の娘がいるなんてね。じゃあ、兵藤くんを襲った堕天使は相当ヤバいとこで危ないことしてるようね」
「どういうことだ?」
「あの堕天使相当危ないことしてるわよ。下手すればまた戦争……なんてこともあり得るわ。確か…神器を奪うとか何とか言ってたわね、とにかく監視した方がいいわ」
「神器を奪うだと!?それをすると所有者はどうなる?」
「100%死ぬわね」
「なんだと!?」
「まぁ、グレモリー一族の娘も今は様子見って所でしょう。今はなにもしない方がいいわ。それよりルーガくんは神器の使い方をマスターしなさい」
イシュタルちゃんと話し合ったあと、俺は自分の部屋に戻り、神器を発動させた。
なぁ、クロノス。聞きたいことがある。
『何かね?』
お前の力をマスターするまで俺はどれくらいかかる?
『難しい質問だな。君次第だが、私を一番上手く扱えた者は1年で私の使い方をマスターした』
一年か……もっと早くは無理か?
『それは君次第だ』
そっか……。なぁ、クロノス。時間静止以外には能力はないのか?
『そうだな。隠れ能力と言うべきだろか?時間経過で防御力が上昇する能力や攻撃を与えるごとにパンチ力・キック力を倍加させる機能が一様ある。しかし、あるものは強くなりすぎて体を壊した』
時間経過で防御力上昇、攻撃すればするほど力が倍加する…それってかなり強くないか?
『そのぶん私を扱えるものは限られている。そもそも特異点しか私を使えない。そういう意味では他の神器の方が誰でも扱えて強い。それに、宿主の身体能力が弱かったら私が目覚めたと同時に死ぬ』
死ぬ!?どういうことだよ!
『そのままの意味だ。私の能力は強すぎるが故に所有者がその力に耐えきれずに死ぬ。君は運がいい。元々身体能力が人間離れしている。だから私が目覚めても死なずに済んだ』
なるほどな。そういやイシュタルちゃんから聞いたんだけど、神器は宿主の思いで動くんだよな?
『その通りだ。思いが強ければ強いほど強くなる』
わかった。じゃあ少し荒事に付き合ってくれるか?クロノス。
『何をするつもりだ?』
暁家はな、以外と宝玉を使った魔術が得意でな。
これを使った新しい俺だけの魔術を作る!
『ほう。面白い。それなら付き合おう。だがしかし、覚悟はいいか?』
心配すんな!痛いのなら今まで散々我慢してきた!
『いい覚悟だ!では私も覚悟を決めるとしよう!』
俺はこの日から神器を上手く扱うための特訓が始まった!
[朔音 side]
私の名前は暁 朔音。訳があって今はルーガくんとイシュタルちゃんと一緒に暮らしてるの。
昨日からルーガくんが部屋にこもって出てこなくなっちゃった…。
イシュタルちゃんに言っても「そっとしておきなさい」って言って…。ルーガくん大丈夫かな…?
私は初めて一人で学園に登校していた。
登校途中、私は一人の女の子に出会った。
私と同じくらいの身長の女の子はどうやら道に迷ってる感じだった。
「ねぇ!どうかしたの?周りキョロキョロしてるけど?道に迷ったの?」
「えっ!?あっ…その………はい……」
「じゃあ私が案内してあげる!どこ行きたいの?」
「教会に…」
私はその子と一緒に教会に向かった。
「もしかしてシスターさんなの?」
「はい!今日からこの町に」
「そうなんだー!あ、この道を真っ直ぐ行けば教会に着くよ!」
「ありがとうございます。日本に来て貴女のような親切な方に出会えてよかったです。私はアーシア・アルジェント。アーシアと呼んでください」
「私は暁 朔音。朔音でいいよ!アーシアちゃんまた会ったら遊ぼうね!」
「あの…!よかったら教会に来ませんか?お礼もしたいですし…」
「ごめーん!私これから学校なんだ!また今度ね!」
そう言って私は走って学園に向かった!それもそのはず!だって早くしないと遅刻しちゃうもん!
ギリギリ授業に間に合った私はそのまま何も変わらず授業を受けていた。
アーシアちゃん……また会えるかなー…。
そんなことを考えながら授業は全て終わり、私はいつも通り家に帰ろうとしていた。
階段を降りる途中、私は兵藤一誠くんとばったり会った。
「こんにちは、兵藤先輩!」
「こんにちは、朔音ちゃん。今日朔夜のやつ来てなかったけど風邪か何かか?」
「あ、いえ!そういう訳ではないです!ただのサボりです!」
「そっか。ありがとう。じゃあ朔夜に伝えておいてくれ、あんましサボるんじゃねぇぞって!」
兵藤一誠くんはそのままどこかへ行ってしまった。
そして私は家へと帰ってきた。
「あ、朔音ちゃんおかえりー」
イシュタルちゃんが出迎えてくれた。
「イシュタルちゃん、ルーガくんはまだ部屋から出てこないの?」
「そうねー…。あれからずっと出てこないわ。呼び掛けても修業の邪魔だの何だのって言うばかりで…」
「もー!このままサボってばかりだとまた課題やらされちゃうよ!」
私は少し怒り気味で言った。
ルーガくん!絶対明日は学園に行ってもらうんだから!
私はルーガくんの部屋の前に立ち、叫んだ!
「ルーガくん!いい加減に出てきなさい!」
「朔音か?悪い、もう少しで終わるからリビングで待っててくれ」
ルーガくんのもう少しって長いんだよね!もうこうなったら突撃!
私は強引に扉を開けた!
「ルーガくん!サボってるとまた課題やらされちゃうよ!!」
目の前にいたルーガくんは座りながら左手に神器を発動した状態で何やら丸い玉を持っていた。
ルーガくんが不機嫌そうな顔で言う。
「勝手に入ってくんなよ…。あと少しで終わるって言ったろ?」
「ルーガくんそれってもしかして…?」
「ん?ああ、これか?宝玉だ。朔音も知ってるだろ?宝玉魔術。あれをこの神器を使ってオリジナルの魔術がつくれないかと思ってな」
オリジナルの魔術?そんなことが可能なの?
すると、ルーガくんは一つの宝玉を私に渡した。
「これ持ってろ。お守りだ。お前の身に危機が迫った時、必ずこれが守ってくれる」
「あ、ありがとう…」
ルーガくんは起き上がり、私の頭を撫でながら言う。
「心配かけて悪かったな。明日からはちゃんと学校に行くさ。……ってもうこんな時間か。夕飯、今日は一緒に作るか!」
「うん!」
[朔音 side 終]
次回
「拐われた朔音」