ハイスクール・クロニクル   作:いるふぃ

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6話 動きだす運命

ラリカとレイナーレとの戦いの後、俺とリアス先輩は朔音や兵藤たちを連れて冥界の病院へ来ていた。

 

セラフォルー記念病院…?

何だか変な名前の病院だな…大丈夫か?

 

疑心暗鬼だった俺を裏切るかのごとく、その病院は冥界でも屈指の医療設備とスタッフが揃った高名な病院らしい。

 

医者が朔音をベッドに寝かせ、治療を開始する。

 

「なぁ、朔音は大丈夫なのか?」

 

「大丈夫です。命に問題はありません。明日には元気になると思いますよ?」

 

よかった…。俺はホッとした。

 

すると医者が俺の方を見て言う。

 

「どちらかと言うとお兄さんの方が心配です。無理はなさらないように」

 

「わかった。気を付けよう。ところでアンタ……どっかで見たことあるような…」

 

「え?多分あなたとは初対面だと思いますよ?それじゃあ…」

 

そう言って医者は部屋から出ていった。

 

可笑しいな……どっかで見たことあるんだよな~…。

あ!思い出した!数々のゲームを全てノーコンティニューでクリアした伝説のゲーマー…!

するとリアス先輩が部屋に入ってきて俺に言う。

 

「彼と知り合いなの?」

 

「知り合いと言うより…憧れの人……」

 

「彼、そんなに有名なの?まぁこの病院ではかなりの腕って聞いてるけど…」

 

「突如ゲーム界から姿を消したと思ったけど……まさか冥界で医者になってたなんてな……」

 

そう、彼こそ!俺が幼い頃憧れた伝説のゲーマー!!

 

コードネーム『W』。

俺がゲームにのめり込んだのも彼のような天才ゲーマーになりたかったからである。

 

「それより、妹さんの様子はどう?」

 

「ああ…。命には問題ないようだ。そっちはどうだ?」

 

「子猫と木場はもう治療が済んだわ。でもイッセーはまだ治療中よ。傷が深いみたい」

 

「そうか……。なぁ、リアス先輩。神魔族って聞いたことあるか?」

 

リアス先輩は首を横に振ったあと俺に言う。

「私にはわからないわ。そんな種族聞いたことないもの」

 

リアス先輩でも知らねぇことなのか……。

 

「わかった。ありがとな。俺は一旦家に帰って…」

 

何だ!?頭がくらくらする…。

 

「大丈夫!?暁くん!?」

 

俺は段々意識が遠くなっていく……。

リアス先輩の声が段々聞こえなくなっていく……。

 

 

 

 

気がつくと俺は見知らぬ教室にいた。

 

何だここ?

 

「ここは君の神器の中よ」

 

誰だ?見知らぬ声が聞こえる。

 

「私はこの神器にいる残留思念よ」

 

残留思念?

 

「ええ、私もかつてあなたと同じ神器を使っていた者よ。まぁ、簡単に言うとあなたの先輩よ」

 

すると教室に一人の女性が入ってきた。

 

白い髪に赤い瞳。体型はかなりのスレンダー。

 

すると女性が俺に言う。

 

「はじめまして。私はアイリス。かつてあなたと同じ神器を宿していた者よ」

 

アイリスと名乗る女性は礼儀正しくお辞儀をする。

 

俺もそのあと、お辞儀をした。

 

「で…アイリスさん?どうして俺はこんなとこに?」

 

「それは簡単よ。あなたは気を失ってここに迷いこんで来たのよ」

 

迷いこんだ!?俺が?

あ、そう言えば俺、病院に居たんだよな…。それでそこで朔音の安全がわかったあとにリアス先輩と話してる最中に気を失ったのか…。

 

するとアイリスさんは懐から眼鏡を取りだし、それを身につける。

 

「さて、これから時空龍について勉強しましょうか!」

 

「いや、結構です」

 

「何でよー!いいじゃない!まだあなたの知らないことだっていっぱいあるのよ?」

 

「いや…だって俺ここから出たいだけなんだけど…」

 

「まぁまぁ!いいじゃない!損な話はしないから!」

 

アイリスさんはノリノリで俺を椅子に座らせる。

まぁ…いいか。少しくらい。

 

「まずはあなたも気になってたあれについて説明しましょう!」

 

あれ…?俺なにか気になってたっけか?

 

「どうして時間静止中に倒された相手が粒子となって宝玉に取り込まれるのか…。それは単純な魔力補給です」

 

「魔力補給?そんな能力俺は知らないぞ」

 

「神器は宿主の想いに答えて進化するわ。つまり、無意識のうちにあなたが望んだのよ!」

 

そういや修行中にそんなこと思ってたっけな…?

魔力補給も出来れば便利だとは思ってたけど、まさか敵を倒して魔力補給するなんてな…。

 

「そしてあなたは知らないかも知れないけど、時空龍にはね、宿敵が存在するの」

 

「宿敵?ライバルってことか?」

 

「そうよ!二天龍ってご存知?」

 

「赤い龍と白い龍のことか?それならイシュタルちゃんに聞いたことある」

 

「そう。それなら話は早いわ。時空龍にもそんな感じのライバルがいるのよ」

 

おいおい嘘だろ…?勘弁してくれよ。

 

「そのライバルは空間を自由自在に操ることができるわ。突然空がガラスのように割れたら気をつけて。それはきっとアイツの仕業よ」

 

「アイツ?アイツって誰だよ?」

 

アイリスさんは黒板にある漢字を書いた。

 

黒板に書かれた漢字は…

 

混沌龍

 

こんとんりゅう…?

 

するとアイリスさんはあることを語りだす。

「混沌の龍と書いてケイオス・ドラゴンと呼ぶわ。彼は時空龍と対になる存在。かつて時間を司る神のドラゴンが居たわ、そしてそれと同じく空間を司る神のドラゴンも存在していた。二匹のドラゴンが出会ったとき、お互いの存在を賭けた次元をも巻き込んだ大きな戦争が始まる。二匹のドラゴンの戦いは熾烈を増していき、ついには次元に穴をも開けるほどになり、このままでは世界が消滅してしまう。神はこれ以上被害を拡大させないために二匹のドラゴンは神の手によって神器に封印された。こうして穴は閉じられ世界消滅の危機は救われた…これが私が知ってる時空龍と混沌龍の歴史よ」

 

ずいぶん難しい話だな……。

 

「一つ聞いてもいいか?お互いの存在を賭けた戦いって言ってたよな?二匹のドラゴンが和解する道はなかったのか?てか、どうしてどちらか一方しか存在できねぇんだよ?」

 

「いい質問ね。少しアホらしい話なんだけど、私がクロノスから聞いた話だと、喧嘩してたそうよ」

 

は…?喧嘩してた?

 

アイリスさんは続ける。

 

「空間の狭間にいたケイオスのところに誤ってクロノスは入ってきてしまったらしいのよ。クロノスも最初は謝ったそうなのだけど、ケイオスは侵略者だともう聞く耳持たずだったらしくてね。クロノスも逆ギレしたらしいのよ」

 

「なんだよそのくだらねぇ喧嘩……」

 

二匹のドラゴンが出会ったときって誤ってケイオスの領地に入ったときかよ。

 

「ホントよね~。そんなくだらない喧嘩に私たち巻き込まれちゃったのよ。あはは」

 

あははじゃねぇよ。ったく、何かと思えばただの喧嘩かよ!

 

「そもそも時間と空間、そのどちらかが消滅してしまったら世界そのものが無くなってしまうわ。解りやすく言えば、映画の映写機を止めて映るのが静止画、これが空間の概念よ。映写機が回り始めると生き生きと画像内の全てのものが動く。これが時間の概念ね。2つの事象があって初めてこの世界があるという関係ということよ。不思議なものよね~…。つまりそのどちらかが消滅すると…?」

 

「つまり、時間と空間は密着した関係だといいたいのか?」

 

アイリスさんは指を鳴らしたあと俺に言う。

「その通り!つまり私が言いたいこと、わかるわよね?」

 

「仲直りしろってことか?」

 

「わかってる~!そういうこと!」

 

はぁ~……。とんだアホらしい喧嘩に巻き込まれたもんだ……。

 

あ、そうだ。アイリスさんにあの事聞いてみるか。

 

「なぁ、アイリスさん。神魔族って聞いたことあるか?」

 

「しんまぞく?……ん~。聞いたことないわね~」

 

アイリスさんでも知らないのか…。

 

「それにしても封印するのはいいけど赤龍帝と同じ籠手って何だか嫌よね~。せめて別のに封印して欲しかったわ。ケイオスの方は光輪なのにどうしてクロノスは籠手なのよ!光の剣とかあったでしょ!今すぐ変えてほしいわ」

 

突如として神器の形について愚痴を吐くアイリスさん。

 

その話は何時間と続いた。

 

 

 

 

頼む……早く俺をここから出してくれ…

 

 

[??? side]

 

私は今、ある任務で駒王町に来ています。

 

ケイオス、ここにあなたの宿敵がいるのですか?

 

『ああ、匂うぜ。これは間違いなく野郎の匂いだ』

 

さすがは優秀な犬ですね。

 

『犬って言うな!!俺様は立派なドラゴンだ!!』

 

さて、とりあえず泊まる宿を探さないといけませんね。

 

私はどこか泊まれそうな宿はないかと探していると。

あのお爺さんどこかで見たことがあります。

 

私の目の前には眼帯姿をしたお爺さんと近くに銀髪の女性と茶髪の少年と黒髪の女性がいました。

 

「オーディンさま!こ、このような場所をうろうろとされては困ります!か、神さまなのですから、キチンとなさってください!」

 

「よいではないか、ロスヴァイセ。お主、勇者をもてなすヴァルキリーなんじゃから、こういう風景もよく見て覚えるんじゃな」

 

「どうせ、私は色気のないヴァルキリーですよ。あなたたちもお昼からこんなところにいちゃダメよ。ハイスクールの生徒でしょ?お家に戻って勉強なさい勉強」

 

すると銀髪のロスヴァイセという女性がこちらに気づき、私に近づき言う。

 

「あなたもハイスクールの生徒でしょ?だったら…」

 

「…違います。私はただ泊まる宿を探していただけです」

 

「えっ…?」

 

ロスヴァイセという女性が驚いたあと、後ろの方からオーディンというお爺さんが私の方へやってくる。

 

「ほっほっほ。どうじゃ、ワシと一緒にこのホテルに泊まらんか?」

 

「……二人は困ります。私は一人が好きなもので。それに二人文の料金を払えるほどお金を持っていません。すいません」

 

「そうなのか?残念じゃわ」

 

「オーディンさま!ご自重してください!」

 

「全くお前は堅いの~…」

 

「……失礼します」

 

私は静かにその場を去ろうとした。

 

お金も少ないし、なるべく安いところを……。

 

「お主、少し待て。泊まる宿がないんじゃろ?ならワシのとこに来るか?」

 

私はお爺さんの方を振り向き言う。

 

「……お誘いありがとうございます。しかし、私にはこの町でやらなければならないことがあるので」

 

私はそう告げたあと、その場を後にした。

 

『さっきの爺さん、北欧の神様じゃねぇか』

 

わかってます。北欧の神、オーディン。どうしてこの町に?

 

『近くにいたお前くらいの男と女なんだがよ』

 

悪魔と言いたいのですか?

 

『なんだよ、知ってたのかよ』

 

見てすぐにわかりました。男の方はどうやら赤龍帝のようですね。

 

『そこまで気づいていたのか……。ったく可愛くないやつだな』

 

そんなことより、安い宿を探してください。このままだとろくに作戦も立てられませんよ?

 

『はいはい。わかりましたよー』

 

すると、どこからか香ばしい匂いが……。

 

くんくん……これは、たい焼きの匂い!?

 

匂いのする方へ向かうと、そこにはたい焼きを焼いている店があった。

 

近くには私と同じくらいの黒髪の少女と黒髪のスレンダーな女性がいた。

たい焼きを買おうと店に近づき、財布の中身を見ると……

 

「……たい焼きを買うと、宿に泊まるお金がなくなってしまいますね」

 

お金が……ない。

 

「はい!これあげる!」

 

私くらいの少女が私にたい焼きを差し出す。

 

「……しかし、これは貴女のたい焼き。……私がもらうわけには」

 

「いいよー!お金ないんでしょ?だったらあげる!」

 

少女はまんべんな笑みを浮かべてそう言った。

 

私はたい焼きを手に持ち、少女に言う。

 

「……ありがとうございます」

 

「気にしないで!ここのたい焼き美味しいんだよ~!あ、私は暁 朔音!あなたは?」

 

「…………ルキア。ルキア・レイ」

 

「ルキアちゃんか~!よろしくね!」

 

これが私、ルキア・レイと朔音の出会いだった。

 

しかし、私は暗殺者。そんな私に友達なんて許されるはずない……。

 

[??? side 終]

 

 

 

 

もう何時間いや、何日経っただろうか……。

俺はこの謎の教室に来てから。

 

 

「頼む、もう現実世界に返してくれねぇか?」

 

「え~…。帰っちゃうの?まぁ、あなたの体ももう大丈夫そうだしいいわ。返してあげる。ここを出ると扉があるわ。そこから現実世界に帰れるわ」

 

やっと現実世界に帰れる~~!!

俺は嬉しさのあまり、小さくガッツポーズをする。

 

「わかった!それじゃあ、もう会わないかもしれないけど元気でな!」

 

俺は教室から出て左右を見る。

すると、アイリスさんが俺に言う。

 

「ケイオスに会っても喧嘩しちゃだめよ~!」

 

しねぇよ!とにかく、さっさとここを出よう!

俺は扉がある方へ走った。

ガチャっと扉を開けると真っ白な光が俺を包んだ。

 

 

…………はっ!

目が覚めるとそこはよく見る俺の部屋の天井だった。

 

あれ?俺確か冥界の病院にいたんだよな……?なんでここに?まさか、まだ夢の続きか!?うそーん……。

 

俺は起き上がり、下のリビングへ向かう。

そこにはイシュタルちゃんがいつも通りテレビを見ていた。

 

「イシュタルちゃん、ここって夢の中か?」

 

俺の声に反応して、イシュタルちゃんがこちらを振り返ると、イシュタルちゃんは驚いた表情をして俺に言う。

 

「ルーガくん!?あなたいつ目が覚めたの!?」

 

「いや…さっきだけど……」

 

「一ヶ月以上も目を覚まさなかったから死んじゃったんじゃないかと思ったわよ」

 

勝手に人を殺すなよ……。夢から覚めてもこの人は相変わらずだな。

イシュタルちゃんはテレビを消して、キッチンに向かう。

 

「お腹空いてるでしょ?何か作るわ」

 

そういや、あれからなんも食ってねぇな…。

イシュタルちゃんが料理する姿を見るなんて子供の頃以来だな……。

そう思っていた時、聞き覚えのある声が聞こえる。

 

「ただいま~!イシュタルちゃん友達連れてきたよー!」

 

この声は、朔音か?そうか、もう怪我も治ってるようだな。

 

リビングに朔音が入ってくると…

 

「えっ…!?ルーガ……くん?」

 

驚いた表情をしていた。

俺は朔音に言う。

 

「おかえり、朔音」

 

すると朔音の目から涙がぼろぼろ出てくる。

 

「ルーガくーーーーーーーーーーーーん!!!!!」

 

朔音は買い物したものを投げ飛ばして俺の方へ飛び付いて来る!

朔音!苦しいぃ…!!!

 

「わかった朔音!心配かけて悪かった!だからもう放してくれ…!苦しいぃ…!」

 

「ごめんルーガくん!でもよかったよ……ルーガくん死んだのかと思ったよ…」

 

俺は朔音の頭に手を置き、彼女の頭を撫でる。

 

「心配かけたな……。今イシュタルちゃんが飯作ってる。お前も食べるだろ?」

 

「うん!あ、そうだ!友達連れてきたよ!」

 

そう言って朔音は走ってどこかへ行ってしまう。

相変わらず元気なやつだな。

 

そして数分後。

朔音は一人の女の子を連れてきた。

 

その女の子は長いダークブラウンの髪に青い瞳、朔音と変わらないくらいの年齢の子だった。

しかし、朔音より圧倒的に胸の発育がよかった。

 

すると女の子は言う。

「今日からここに泊まることになりました。ルキア・レイです。よろしくお願いします」

 

礼儀正しくお辞儀までする。

礼儀正しい子だな~。ってか泊まる!?

 

「朔音、泊まるってどういうことだ!?」

 

「泊まる宿を探してたんだって!だから少しの間泊めてあげようと思って。ほら、一つ部屋空いてるでしょ?」

 

確かに空いてるけども…。いきなり友達を泊めるって…。

 

そしてルキアと名乗る少女と朔音は上へ上がっていった。

 

ったく……あ、そういや今何月だ?

 

俺はふと思いカレンダーを見た。

 

8月12日か……。

 

 

 

!?

8月!?

 

もう夏休み間近じゃねぇかよ!

そう、俺が気を失ってからもう2ヶ月以上経っていたのであった。




次回

新章突入

ついに本作のヒロインであるロスヴァイセが本格参戦!

神魔族の謎についに迫る朔夜。その先に待っているものとは…?

そしてぶつかり合う混沌の龍と時空の龍!
二人は和解することができるのか?
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