第0話 悪魔を超越した悪魔
紫の空。この景色を見るのはもう慣れた。
私が人間をやめてからどれくらい経つのだろう?他の魔王に聞けばもう50年以上前のことらしい。
人間をやめてから1万3000年……もし私がまだ人間なら長い年月と感じるだろう。
しかし、今の私はそうは感じない。長いと言うより、短い。
人間で言えば一週間のような感覚。嗚呼、私は本当に人間をやめてしまったのね。
「クロエ様、はぐれディアボロスの居場所が特定できました」
「どこにいるの?」
「この世界ではなく、別の世界に逃げ込んだ模様です」
別の世界。つまりは異世界ってことね。はぁ~…。私の甘さが招いたこととは言えまさか時空超越するなんてね。異世界に行けば人間は食い放題。血もたくさん摂取できると考えたのね。
「しかしクロエ様。ラリカですが、生命反応が停止しているようです」
生命反応がない…?不死身なのに?まさか。
私は信じられなかった。私たち
「ルシアが作ったあの装置はもう直りそう?」
「ルシア様によると、もう間もなく修理完了とのことです」
「では修理完了次第すぐに後を追うわ。あなたはここに残りなさい」
「しかし、魔王が自ら出向くなど!」
「これは私の甘さが招いた事態よ!私が責任を持って彼女たちを排除するわ」
そう、これは私の甘さが招いた事態。魔王である私自らやらなければ意味がない。
手に持っていた仮面を見ながら私は思っていた。
やっぱり、私にはこの人生向いていなかったのかな?お姉ちゃんは本能のままに人間を食らって生きて、はぐれと同じ存在となって今は煉獄の牢獄の中。
私もいつかお姉ちゃんみたいに……。そう思う度手が震えた。
あの時、やっぱりそのまま死ぬべきだったのかな?でも私は死ぬのが怖かった…。
「な~に暗い顔してるのクロエ?」
背後からルシアの声が聞こえる。
「修理は終わったの?こんなとこでサボってないで早く…」
すると、ルシアが背後から私を抱きしめた。
「まだ後悔してるの…?」
「ゴメン…私やっぱり……」
「大丈夫。私も一緒に行くから」
「でも……」
「大丈夫よ!もうみんなには言ったし、イリアも私たちに任せるって。私とクロエはいつでも一緒だよ」
私の目には涙が溢れていた。
「ありがとう……ルシア。じゃあ、一緒に行こう」
私は彼女と共に異世界へ行くことを決意した。
そしてそのときは来た。
私とルシアは時空超越装置で異世界へ旅立った。
目を開けるとそこは私たちと変わらない世界だった。
辺りを見回すと人間が多く見られた。
「どうやら人間界のようね。にしても……本当に異世界かしら?私たちの世界の人間界にそっくりね」
私は一枚のポスターを見た。そこには
駒王町……?まさか町の名前まで一緒だなんて…。