コードギアス 反逆?の首輪付き   作:Casea

22 / 22

人生の息抜き回、短め


息抜き回その② あんなモノ

 ユウ・ヘイズがそれを手に入れた経緯はまだ首輪を繋がれていた時にまで遡る。リンクスとなってある程度の時が流れ「やっと中堅どころと呼べるくらいにはなった」とセレン・ヘイズに評価され始めた頃にある企業から初任務を受けた。彼自身あまり関わりがない方面からの依頼だったので少し身構えたが依頼自体は何てことは無い、物資を輸送する車両を守るただの護衛任務だった。依頼そのものは滞りなく進んでいたが終り掛けに敵の襲撃を受けこれを撃退、一切の損害を被る事無く終えた。

 

「君の戦い方には――あれだ、なんだ、とても惹かれるモノがあった! とても言葉では言い表せない様な何かが! 君はこの後は暇かね!? 是非とも話を――」

 

 輸送車両に乗っていた者の1人、同乗者から主任と呼ばれていた男がユウを甚く気に入った様だった。気に入られてしまった様だった。

 

 

 それからと言うもの時々主任からお茶の誘いを受けては色々な話をした。

 

「知っているかね? 物には魂が宿り、そして全ての物には性別があるのだよ! 大半のリンクス――いや、大半の人間が信じていないがね! だが事実魂は宿っている! 意思がある! それは当然ネクストにも! 機体の魂を感じ! 心を通わせ! そして対話を通じて信頼し合う!! それにより10倍にも20倍にも機体性能を引き出す事が出来るのだよ!! まさに神秘! ちなみに君の愛機は女の子だぞ良かったなはっはっは!」

 

 この会話にユウは付いて行けず終始目をぱちくりさせ、セレンは頭を抱えていた。当然そんな事を気にする事もなく、男はその後も頭の痛くなる様な話を続けた。

 

 

 ある時男から是非とも受け取ってくれと随分と大きな箱を渡された。

 

「今度うちから出そうと思っている玩具のプロトタイプなのだがどうにもうちの部下共だと皆が皆絶賛の嵐でいまいち信頼性に欠けるのだよそんなわけだから是非とも是非とも君にも試してもらいたいのだよあぁ勿論君自身が試す必要はないし面倒だったら倉庫の肥やしにしてもらっても構わない他にも試供品を何人かに渡しているしねまぁあれだなんだ日頃の感謝を込めた我々からのプレゼントだと思ってくれていいだが我々の自信作故にいつかは使ってもらいたいものである事に変わりはないがね君のだけ特別性にしてあるしねあっはっは!」

 

 何時ものマシンガントークで一気に捲し立てられ否応なく押し付けられてしまいユウは途方に暮れるも結局持って帰る羽目になった。住居に戻るなり急いで部屋へと引っ込みそれを隠した。もし仮にセレンに見つかりあの男から貰ったものである事がばれようものならすぐさま爆破処理されかねない。当然拒否権など与えられる事もなく、だ。いっそ見つかった方が良い様な気はするが。

 セレンが寝静まった深夜にその中身を見てみると、自動追従型の小型機械が出てきた。どんなものが出て来るかと身構えていたが意外と真面なモノが出てきて一安心するもその気持ちは裏切られる事となる。今時古風な紙の取扱説明書を捲り目を通していくとユウの顔が段々と青ざめていった。コジマエンジン搭載、ロケット砲をも防ぎ切る装甲、飛ぶと不思議な緑の粒子が発生する、ショックレーザーもあるよ等々。こんなものを玩具として売り出すと主任らは言う。ユウは時間帯など考慮せずすぐさま主任らに連絡を入れるとワンコールで本人が出た。とても深夜とは思えない程のハイテンションの主任に、電話越しにも拘らず殴りかからん様な勢いでこれはどういう事かと問いただした。当然セレンを起こすのは非常に不味いのであくまでも小声である。へたれである。

 

「おぉ早速中身を見てくれたのかねやはり君に託して良かった我々も嬉しいよはっはっはあぁ安心したまえ破壊されなければコジマ粒子が漏れる事など絶対にないからね! え? どうやって汚染対策されているかだって? そんなもの我々の技術の前には他愛も無い事だよ心配する必要はないよあぁデザインも良いだろう実は今度ソルディオスを飛ばそうと思ってねそれでその前段階として作ってみた物が君にプレゼントしたものなんだが思いの他部下達の評判が良くてねじゃあ玩具として売り出してみようという話になったんだよあっはっは!」

 

 ユウはその話を聞き終えると一言「封印します」と言い残してふて寝し、それに関する記憶と現物の両方を封印した。

 

「ふむぅ……実に残念だが仕方が無い次の計画を立てるとしよう我々は君が喜ぶ顔が見たくて堪らないのだ! 何が良いか! 何が良いかなぁ!? 君! 何か良い案はないかね君でも良いあぁ君でも――」

 

 

 そして時は移り、世界も移ってその物騒なモノはそこで出来た友人の妹の傍をフワフワと漂っている。ユウの記憶障害等々より記憶から殆ど消えてはいたが野生の勘には引っかからなかった。事実粒子汚染も無く動作も良好で、新たな持ち主の周りを漂い甲斐甲斐しく彼女を助けていたりする。実際ヘッドホンを着用した謎の不審者を撃退したらしく彼女の兄からは甚く感謝されている。

 そして本日も彼女の周りを飛び回り彼女の事を助けて回る球体ソルディオス・オービット。性別は女の子。主任の言う心を通わせ対話する日が来るか否かは不明だが、今日もフワフワと漂い持ち主を暖かく見守る。

 

「おはようございます、ソルディオスさん。今日も良い天気ですね」

 

 

 

「は!? ユウ君にあげた私のミニソルちゃんが何処かで美少女ともうすぐ心を通わせるにまで至ろうとしている気がする! さっすがユウ君だ君はこの世から居なくなってなお私の事を喜ばしてくれるとはこうしてはおれん新たなミニソルを作り出しもっと多くの人々の心を癒す素敵なモノを作らねば誰か! 誰か私にあっつあつで濃いーい珈琲をくれないか!?」

 

「三徹するからおかしくなるんです、寝てください主任」

 




話しの合間の息抜きと言うより糞みたいな忙しさの息抜き回ですはい。
まだ見ている人が、というか覚えている人がいるのかすら不明ですが上げてみた次第です。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。