コードギアス 反逆?の首輪付き   作:Casea

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『ねぇ……ダン』

『なんだ……?ユウ』

『メイさん……良いよね』

『美人だよな』

『凄く優しいしね』

『けしからん胸してるしな』

『カニス!? いつのまに……』

『俺の情報網によれば3桁いってるらしいぜ』

『……それマジで言ってんのか? ソースあるなら今すぐよこせください』

『おまけに今日の髪型見た……?』

『サイドテール……破壊力高かったな……』

『あぁ……』

『『『良いよなぁ……』』』

セレン(駄目だこいつら……)



07話 獣を手懐けるには餌付けが一番

 ユウは必死に考えていた。どちらを選ぶべきか。選択を誤れば今後の活動に支障を来す。それだけは避けねばならない。どちらを選んでも後悔するのではないか? そう考えるが両方を取ることは不可能だ。いや、もしかしたら彼ならば両方を取ることも出来るかもしれない。しかしそんなことをすれば取り返しのつかないことになる。どうするべきか……。だが悩んでいる時間はない。決断の時は迫る。

 そしてユウは決断し、行動に移った。

 

 

 

 

 カレンは呆れていた。ユウは昼のメニューを物凄く真剣に悩んでいた。たかが昼食一つ選ぶのに今まで見たことないくらい、それこそミストに乗っていた時よりも真剣な表情で悩んでいた。それも今日に限ったことではなく、毎回である。

 

「ごはんはその後の気分を左右するくらい重要なんだよ!?」

 

とは彼の弁であるが、いくらなんでも悩み過ぎだろう。まぁユウの食に対するこだわりには頭が下がる思い出はあるが……。

 彼の世話係主任を任されてからそれなりに食事を共にしている。だからこそわかるが彼は本当に食に対して真剣である。別段食い意地が張っているわけではない。まるで食事というものを神聖視しているのではないかと思える程大事にしているのである。食べる前には「いただきます」、食べ終われば「ご馳走様でした」を欠かさない。ちなみに今日はミートスパゲティを選んでいた。

 

(食べ方も綺麗だし……きちんと教育されてきたのはわかるのよね)

 

 

「よう! お二人さんお揃いで!」

 

 そこへ手にお盆を持ったルルーシュとリヴァルが来て隣の席へ座った。

 

「ちょっと……! そういう言い方はやめてよ……!」

 

「なぁーに言ってんの。二人のことは噂で聞いてるぜ?」

 

「あ、二人ともいたんだ。何の話?」

 

 よほど食事に夢中だったのか、ユウは初めて二人がいることに気付いた。 

 

「お前は相変わらずだな……。昨日のシンジュクゲットーでのテロ騒ぎのことさ」

 

 二人とも食事をしながら、噂について話し始めた。

 

 謎の美形イレブンユウ、そして病弱なカレンお嬢様。二人は危険なゲットーへ……。

 そこへ現れたテロ組織! 出動したブリタニア軍との戦闘に巻き込まれ二人は絶体絶命!

 ユウはカレンを守り、傷を負いながらも無事生還したのであった!

 

「ってな話になってるけど?」

 

 カレンはようやく理解した。今日はいつにも増して他の生徒の視線を集めていた。ゲットーでの様子を誰かに見られたのだろう。ミストの話が出ていないところを見ると、そこまでは見られていないようだが。

 

「……尾ひれ付き過ぎよ」

 

「でも事実もあるんだろ? 実際カレン無事だし」

 

「別に僕は怪我してないよ? どこにも傷ないし痛そうにも見えないでしょ?」

 

「まぁ確かにな」

 

 これは嘘だった。実際はとっくに治癒してしまっているだけだ。

 

「どちらにせよ、無事にゲットーを抜けられたことは事実なんだ。礼を言うよ、ユウ。クラスメイトを助けてくれてありがとう」

 

「当然のことをしたまでだよ」

 

「学園内はこの話で持ちきりだぜ?

 カレンお嬢様とそれを守った――

 

 

 

 

 ――勇敢なペットユウって」

 

「ふぇ!?」

 

 ユウが素っ頓狂な声を上げた。それはもはや奇声の域で、周りの生徒もびっくりしてユウを見ていた。

 

「ペ……?」

 

「ペット……? えっ、え? 何で? そこは普通ナイト様~とかそういうんじゃないの?」

 

 ユウがしどろもどろになりながら言葉を紡ぐ。

 

「いやーだって……なぁ? ルルーシュ」

 

「あぁそうだな」

 

「お前がカレンと一緒にいても、飼い主とペットにしか見えないぜ?」

 

 ケモミミ、首輪、そしていつも一緒にいる。これらからユウはカレンのペットとして学園中に認知され始めていた。

 ユウを拾ったのはカレン、世話係もカレン、そうなると飼い主は必然的にカレン、といった感じだ。

 さらにカレンには非公認の親衛隊があるのだが、最初の頃こそカレンと一緒にいるユウに対し嫉妬とも、殺意とも取れる視線を向けてはいたが、最近はユウのことをカレンのペットだと認識し始めていた。故に最近はユウに対してはマークが薄くなっていた。

 

「お前の飼い主になりたいっていう女子って結構いたみたいだぜ? でも今回の件で"カレンが飼い主"ってのが確定しちまったもんだからがっかりさん続出らしい」

 

「何だろう……この感情……切なさかな……? ふふっ、うふふふ……」

 

 ユウは燃え尽きた灰のように真っ白になっていた。頭は元から白いが。

 

 

 

 食事を終えて教室へ戻る途中、カレンはユウにある提案をしていた。

 

「ユウ……明日のお昼なんだけど……」

 

「ん? どうしたの?」

 

「昨日のお礼にお弁当を作って持ってこようと思ってるんだけど……どうかな?」

 

「え? 僕に?」

 

「えぇ」

 

 その瞬間、ユウは右手を握り絞め高らかに上げて吠えた。ただし可愛くではなく、雄々しくである。カレンはビクッと体を震わせた。

 

「……何それ」

 

「ん? ウォークライだよ。前知り合いに教えてもらったんだ。使い時とか全然合ってないけど」

 

「そ、そう……」

 

 まぁ嬉しいんだろうなということはわかった。

 

「あぁそうだ。放課後時間あるかな」

 

「えぇ、大丈夫だけど……?」

 

「昨日のこと。話せるだけ話すよ」

 

「! ……わかったわ」

 

 そうして昼休みは過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

 放課後の屋上にペットと飼い主、ではなくユウとカレンが居た。

 

「さて……何から話したもんかな……でもその前に」

 

 ユウが端末を弄る。

 

「これでよしっと」

 

「何をしたの?」

 

「妨害電波だよ。他の誰かに聞かれると困るしね、念の為」

 

 盗聴等を警戒してECMを展開しているという。

 

「それじゃあ……疑問があったら聞いて。可能な限りは答えるよ」

 

 そこからカレンは疑問をぶつけていった。ストレイドのこと、体のこと。ユウもそれに対し一つずつ答えていった。

 ストレイドのことについてはユウ自身も詳しくはわからなかったのでそのことを正直に答えた。ACであることに間違いはないのだが、自分の知っている物とは異なっている。その際に記憶の欠落についても話しておいた。記憶については話そうかどうか迷ったが、カレンには知っておいてほしいと思い正直に話しておいた。

 ユウは自分が傭兵で強化人間であることも話した。

 

「強化人間って言うのは……」

 

「体をサイボーグ化したり、薬物投与や手術で体を強化された人間のこと」

 

 カレンは聞いているだけで泣きそうだった。普段は能天気なユウが、実際はとても辛い人生を送っていたことが不憫でならなかったからだ。しかしユウは自分で望んでこうなったことをカレンにはっきりと告げた。

 

「理由を聞いても……?」

 

「ACに乗る為には必要なことだったからね……ハッキングが出来たのも傭兵として生きて行くのに必要だと感じたから教わったんだ」

 

 ACに乗る為に体を弄る必要があった。だから強化人間になり、首にも機械を埋め込んだ

 

――なら何故ACに乗る必要があった?

 

 そう聞こうと思って……止めた。それは聞いてはいけない気がしたし、何より話している彼の顔が辛そうに見えた。

 

「もう一つだけ聞きたいんだけど……どうして私にそこまで話してくれたの?」

 

「もちろん色々知られてしまったからってこともあるけんだけどね……」

 

 

(君は彼女にどこか似ていたから……)

 

 

「私もね……あなたに隠していることがあるの……。近いうちに話せたら良いなぁ、とは思ってるんだけど……」

 

「待つよ。それで僕に手伝えそうなことがあったらいつでも言ってよ」

 

「……私は信頼出来ないような人間かもしれないわよ?」

 

「はっはっは! 何なりとお申し付けくださいご主人様!」

 

「もう……それやめてよ……ふふっ」

 

 ユウは自分のことを正直に話したことで気分が少し軽くなり、カレンもユウのことを知れて少し距離が近くなったように感じた。

 

「それじゃあ今日は帰ろうか」

 

「えぇ」

 

 屋上から去って行くカレンの後ろを歩きながら思う。

 

(信頼出来ないような人間は……きっと僕の方だ……)

 

 

 

――――――――――――――

 

 

 翌日、私は早めに起きて弁当を作って持ってきた。ユウの口に合うかはわからないので、そこが少し不安ではあるが……。美味しいと言ってくれるかな? ちょっとドキドキしている。

 教室でユウに会った際に弁当のことを伝えると、とても楽しみにしていてくれたようだった。尻尾があったら思いっきり振ってるんじゃないかってくらい。そこまで喜ばれるとこちらも嬉しくなる。

 早くお昼にならないかと考えながら授業を受けていった。

 

 

 ついにお昼がやってきた。天気が良かったので中庭で一緒に食べることになった。

 

「えー……それでは頂かせていただきます」

 

「そう畏まられるとこちらも緊張しちゃうわね……どうぞ」

 

 お弁当の中身はからあげ、出汁巻き卵、ホウレンソウのおひたし、かぼちゃの煮付け、ごはんにはおかかをまぶしてある。

 

「大変美味しそうでございます」

 

 なんか口調おかしくない?

 

「それでは……いただきます」

 

 すると突然校内放送がかかった。

 

「ユウ・ヘイズ君! 生徒会室まで来て! 至急! 今すぐ!」

 

 今まさに箸をつけようという寸前に放送で会長に呼び出しをくらってしまっていた。目に見えてしょぼりしているのがわかる。凄まじいまでのバッドタイミングね……。

 

「うぅ……ちょっと行ってくるね……。先に食べててくだされ……」

 

 そういってユウは全力で走って行った。

 私としても早く食べてもらって感想とか聞きたかったんだけどなぁ。一緒に食べれないのは残念ではあるけれど、先に食べておいてくれということだし食べながら彼を待つことにした。

 結局昼が終わるまでにユウは戻ってこなかった。

 

 

 

 ユウは次の授業にはギリギリでやってきていた。会長の用が何だったかはわからないけど長引いていたようだった。ということは昼食は食べずに午後の授業を受けるのか……。可哀そうに。

 ユウは後ろの方の席なのでどういう状態かは窺い知ることはできないが、机に突っ伏して項垂れているのだろうな……。というか小さい唸り声が聞こえてくる。ユウ、うるさいわよ。

 

 そして授業が終わった。今度こそ食べてもらいたいものだけど……。

 

「おーい、ヘイズ! ちょっと手伝ってくれないか?」

 

 今度は先生がユウを呼び出した。ユウの顔に絶望が浮かぶ。心なしか頭の耳も元気がなさそう。ユウが呼ばれた理由は、どうやら理事長との取り決めらしい。学費等は学園側負担の代わりに、ユウは学園側の手伝いをするという約束なんだそうな。異世界人のユウがお金の心配をする必要がないのはありがたいことだろうし、ユウも手伝いを積極的に行ってはいたのだが今回はそれが裏目に出たご様子。

 またユウは弁当にありつけなかった。

 

 

 授業の合間の時間は昼休み程あるわけではないので当然弁当を食べることは出来ない。結局全ての授業が終わるまで食べられなかった。

 ようやくHRも終わり、これで食べれるかな? と思ったら……。

 

「すまん! ユウ! 少しだけでいいから手伝ってくれ!」

 

 リヴァルに頼み事をされていた。ユウにとっては今日は厄日ね。こういう日に限って事ある毎に手伝いを要請されている。

 あー……ユウの目が死んだ魚のように……。なんか可哀そうになってきた……。

 

「生徒会室で待ってるから……。ちゃちゃっと終わらせて来なさい?」

 

 そういうとユウの瞳に少しだけ光が戻った気がした。

 

 

 

 

「や、やっと……」

 

 会長達に今日の顛末を話していると、ふらふらしながらユウがリヴァルと共に生徒会室に入ってきた。だ、大丈夫かしら……? 結局朝食以降何も食べずに放課後を迎えてしまっているようだった。食事が大好きな彼には苦痛だっただろうに。今楽にしてあげるわ。……これ何か悪役の台詞みたい。

 イスに座らせて弁当を出して渡す。

 

 そこへルルーシュが入ってきて今のユウに言ってはならないことを言ってしまった。

 

「あぁユウ、すまんが手伝ってもらいたいことがあるんだが……」

 

 ルルーシュ……! あんた空気読みなさいよ! ほら、ユウを見てみなさ……あー……ユウの瞳から光が消えてるわ……。

 

「……は……ははははは……!」

 

「ユ、ユウ? どうしたの……?」

 

 ユウが突然肩を震わせて静かに笑い出した。俯いているせいで顔を見ることは出来ないが、ただいつもと雰囲気が違うことだけはわかる。

 すると突然何時ぞやのようにイスを吹き飛ばすほどの勢いで立ち上がり叫んだ。

 

「どいつもこいつも! 手伝いに、次などあるものか!」

 

 ユウが今まで聞いたことのないくらい低い声で怒鳴っている。というか怒っているの初めて見た。

 皆オロオロしだした。ルルーシュも何が起こっているのかわからず狼狽えている。あんたのせいよ! あんたの!

 

「どこまで貴様らは私をコケにするつもりだ!? どこまで私のごはんを邪魔すれば気が済む!?」

 

 わ、私? 一人称も変わってない!? というか普段温厚な分すっごい怖いんだけど!

 

「貴様らも! 教師の連中も!! 私のごはんの邪魔をするものは、皆死ねばいい!!」

 

 そう言って机に置いてあったおもちゃのハンマーを手に取った。

 

 

 

 

 その後は大変だった。会長はニーナを、ルルーシュはナナリーを庇い、シャーリーはその傍でオロオロし、スザクとリヴァルが暴走するユウを何とか止めようとする。まさに地獄絵図だった。

 

「本当にごめんなさい……」

 

 今はユウが全力で土下座中である。

 

「僕空腹に耐えるのはそれほど苦痛じゃないんだけど……。ごはんがあるのに食べられないと暴走してしまうみたいで……」

 

「口調とか一人称もおかしくなってなかったか?」

 

「ごめん……その間全く記憶にないんだ……」

 

 そうよね……普段のユウからは想像もつかないような声と言葉遣いだったし。おもちゃのハンマー(所謂ピコピコハンマー)で襲い掛かってきたのはさすがに想定外だったけど。

 

「さぁ、また暴走する前にお弁当食べさせてあげなさいな」

 

 会長に言われて弁当のことを忘れていたのに気が付く。

 そうよね。また暴走されても困るし、何より可哀そうだし……え? もしかして皆の前で弁当の感想とか聞かされるの? 凄い恥ずかしいんだけど。

 

「ようやく食べられる……いただきます」

 

 ユウは一口食べて飲み込むと箸を置いてしまった。もしかして……美味しくなかったのかな……。

 そう思っているとユウの目から一筋の涙が零れ落ちた。

 

「ユユユユ、ユウ!? どうしたの!? そんなに美味しくなかった!?」

 

「いや……そうじゃなくて……こんなにお預けを食らったのは久しぶりで……そのお預けの先に食べたこのお弁当が凄い美味しかったから……」

 

「ひゃあ~!」

 

 会長とシャーリーが顔を赤くしている。そんな目で見ないで……すっごい恥ずかしい……。

 

 その後ユウは無言で、そして夢中で食べ進め、綺麗に完食した。

 

「ご馳走様でした」

 

「お粗末さまでした」

 

 なんだか胸の奥がじんわりと暖かかった。好きな人にご飯を食べてもらったらこんな気持ちになるのかな……。……ななななな何を考えてるの私!? 落ち着け! 落ち着くんだ紅月カレン!

 

「とても美味しかった。ありがとう」

 

 ユウはとても嬉しそうにお礼を言った。

 

「どういたしまして」

 

 きっと私の顔も嬉しそうに笑ってるんだろうなぁ……あぁ……恥ずかしい……。

 

「なぁ~るほど~、こうやって餌付けするんですねぇ会長!」

 

「参考になるわねぇ~」

 

「え、餌付け!? 何言ってるんですか二人とも!」

 

 こうして慌ただしくなってしまった一日は暮れていった。

 

 

 

 

(成程……胃袋を掴んでこちらに引き入れる作戦か……カレンも中々考えているようだな)

 

 ルルーシュの勘違いを訂正してくれる人物は誰もいない。

 




メイさん結婚してください。マジで。


多分次辺りに騎士団と関わると思われます。

感想や批判等ございましたらコメントお願い致します。
評価入れていただける方はよろしければ、何故その評価にしたか書いていただけるとありがたいです。コメントを参考にして良い所は伸ばし、悪い所はなおしていきたいと思います。


※追記
ニーナがミーナになっていた……。
ごめんよ……。

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