◎side
μ’sが四人から八人に増えて数日。
境内のではことりが一人でストレッチをしていた。
そんなことりを社の影から見る一人の人影が。
ことりは視線を感じたのか、いきなり後ろの見る。
だが、その時には見ていた人影は引っ込んで見えなくなっていた。
こ「う〜ん・・・・・?」
ことりが訝しげに首を傾げていると、穂乃果と永夢がやってくる。
穂「ことりちゃ〜ん!お待たせ〜!」
永「早いねことりちゃん!」
こ「ううん、私も今来たばかりだから。海未ちゃんは弓道の朝練があるんだって♪」
穂「あはぁ〜、そっか〜!」
こ「・・!?」
再びことりは後ろを向く。
穂「ことりちゃん?」
永「どうかした?」
こ「穂乃果ちゃん、永夢くん、さっき後ろに誰か居なかった?」
穂「後ろ?」
ことりの言葉を聞いた穂乃果は社の壁に背をつけて、誰かがいると思われる場所に向かう。
穂「・・さっ!・・ささっ!!・・・さささっ!」
穂乃果は顔をのぞかせるが、そこには誰もいなかった。
穂「あれ〜?」
穂乃果は歩き出す。
しばらくすると、穂乃果は誰かに足を掴まれる。
穂「あわ!?あわわわわっ!?」
穂乃果は転びそうになるが、腕立て伏せの要領で踏みとどまる。
だが、それは手首に負担がかかる。
穂「ぐぐ・・・!いったーーーーい!!」
穂乃果は座って手首を振る。
ふと横を見ると何かが迫っていた。
穂乃果は思わず目を瞑る。
だが、いつまでたっても思っていた衝撃が来ない。
恐る恐る目を開けると、目の前にはデコピンの形をした手があった。
そして、その手は穂乃果にデコピンをして、穂乃果は後ろに倒れる。
穂「ふがっ!」
こ「穂乃果ちゃん!?」
永「だ、大丈夫!?」
それを見たことりと永夢がすぐに穂乃果に駆け寄る。
永「気絶しているみたいだね・・・」
永夢が穂乃果をみて、落ち着いて容態を確認する。
そんな二人の前に、誰かが立つ。
そこには厚着のコート、サングラスにマスクをつけた、ツインテールの不審者少女がいた。
それを見たことりは怯え。永夢は唖然とした。
そんな二人を見た不審者少女は唐突にマスクを取り、こちらを指差す。
「あんた達・・・」
こ「は、はい・・!」
「とっとと解散しなさい!!」
そう言って去って行った。
こ「今の・・・・・誰?」
永「さ、さぁ?」
・・・・・・・
朝の一件から時間が経ち、今は放課後。
マネージャーを抜くμ’sメンバーは廊下に集まっていた。
穂「それでは!新しくメンバーを加えた新生スクールアイドル!μ’sの練習を始めようと思います!」
海「・・・・いつまで言っているのですか?もう二週間前の話ですよ?」
穂「だって嬉しいんだもん!」
穂乃果は嬉しさからか、ここ最近同じ事を言っている。
穂「なので恒例の1!」
こ「2!」
海「3!」
真「4!」
凛「5!」
花「6!」
と号令をとる。
すると、穂乃果は体をくねらせる。
穂「くぅ〜!!6人だよ、6人!アイドルグループみたいだよね〜!いつか穂乃果達が神6とか仏6とか言われるのかな〜!」
花「仏だと死んじゃってるみたいだけど・・・」
花陽がツッコム。
凛「毎日同じ事で感動できるなんて、羨ましいにゃ〜」
凛がさりげなく穂乃果をバカにする。
だが穂乃果はそれを聞かず、指で数えながら
穂「私、賑やかなのが大好きでしょ?それに、沢山いれば歌が下手でもバレないでしょ?あと、ダンスを失敗しても・・・」
海「穂乃果?」
穂「じょ、冗談だよ・・・・冗談・・・」
穂乃果の言っている事に海未がツッコミを入れる。
こ「そうだよ!ちゃんとやらないと、今朝見たいに怒られちゃうよ?」
穂「ああ・・・・」
ことりの言葉を聞いて、穂乃果は今朝の事を思い出す。
『解散しなさい!』
海「って、言われたんでしたっけ?」
凛「でも、それだけ有名になったって事だよね!」
真「それより、練習・・どんどん時間がなくなるわよ。」
凛「おー!真姫ちゃんやる気満々!!」
真「べ、別に!私はただ、早くやって帰りたいだけ!!」
真姫はそういうが、
凛「またまた〜、お昼休み見たよ〜?一人でこっそり練習してるの!」
凛が真姫の恥ずかしいところを暴露する。
真「あ、あれはただ!この前やったステップが格好悪かったから、変えようとしてたのよ!あまりにも酷すぎるから・・・」
そんな事を言う真姫の後ろには、
海「そうですか・・・・あのステップ、私が考えたのですが・・・・」
と、髪を弄りながらとても暗い雰囲気を出している海未がいた。
凛「気にすることないにゃ!真姫ちゃんはただ照れくさいだけだよね〜」
凛はそう言いながら階段を登る。
凛の方向を見ていた残りのメンバーは凛の後ろをみて暗い顔をする。
気になった凛もみんなと一緒の方向を見る。
穂「雨だ・・・」
先ほどまで曇りだった外が、今は雨が降っていた。
・・・・・・・・
一方その頃。
マネージャー組は理事長室に来ていた。
永「今度はなんだろう・・」
飛「前回は俺が来た時でしたよね。」
永「そうそう。ファーストライブの日だったよね。」
飛「そうですね。まぁ、今は関係のない事です。とにかく中に入りましょう。」
二人は理事長室の扉をノックする。
永「理事長、宝生です。」
『どうぞ』
永・飛「「失礼します。」」
永夢と飛彩が同時に中に入る。
中には理事長だけでなく、黒髪に白が混じった髪型の男と、黒髪で少しチャラ男じみている男がいた。
その二人は音ノ木坂の男子用制服を来ていた。
「わざわざ来てくれてありがとう。今日は二人に彼らを紹介しようと思って呼んだのよ。」
永「理事長、もしかして彼らは・・・」
「えぇ。永夢君の想像通り、彼らは二人と同じ試験生です。それでは自己紹介をお願いします。」
すると、白が混じった髪型をしている方から先に話し始める。
「俺の名は花家大我。次の月曜からこの学校に通い始める。ちなみに学年は3年生だ。」
「自分、九条貴利矢。大我と同じく次の月曜から通い始める2年生だ。」
二人が自己紹介を終えてから、永夢と飛彩が話し始める。
永「僕の名前は宝生永夢です。学年は貴利矢さんと同じ2年生です。」
飛「俺は鏡飛彩です。学年は1年生です。」
二人の自己紹介が終わってから、大我と貴利矢が立ち上がり永夢と飛彩の元にいく。
大「これからよろしくな。」
貴「よろしく〜」
永「こちらこそよろしくお願いします。貴利矢さん、大我先輩。」
飛「こちらも。貴利矢先輩、大我先輩。」
大「そんな堅苦しくしなくと良い。呼び捨てで構わない。」
貴「そうそう。飛彩君・・・だっけ?自分のことも呼び捨てでいいよ〜」
永「そういえば飛彩君、僕のこともさん付けで呼ぶよね。ついでに僕も呼び捨てでいいよ。」
飛「えっ・・・・しかし、3人は先輩でして・・・」
大「本人がいいって言ってんだ。気にすんな。」
飛彩が戸惑っていると、大我が気にしないように言う。
飛「そ、そうですか・・・でしたらそうさせてもらいます。」
永「やりましたね!大我さん、貴利矢さん!」
貴「君もだよ?永夢・・だったよね。」
永「えっ?」
大「飛彩も呼び捨てにするって言ったんだ。お前もそうしろ。」
永夢にも取るように促す大我と貴利矢。
永「あぁー・・・・僕にとってはさん付けの方がなぜかしっくりくるので・・・このままでいかせてもらいます。」
貴「ま、お前がそう言うならいいか。」
「自己紹介が終わったところで、いいかしら?」
理事長の声が聞こえ、全員そっちの方を向く。
「大我君と貴利矢君は、今日はあくまで私への挨拶だけだし、もう帰ってもらっても構わないわ。永夢君と飛彩君もわざわざ来てくれてありがとうね。部活に戻ってもらって構わないわ。」
永「そうですか・・・」
大「でしたら、今日のところは帰らせてもらいます。」
貴「自分も。」
そう言って、二人は理事長室から出て行った。
飛「それでは、俺達もいかせてもらいます。」
永「失礼しました。」
こうして、二人も出て行った。
その後、二人はμ’sメンバーと合流するが、そこにはなぜかびしょ濡れになっている穂乃果と凛がいた。
・・・・・・・・・・・・
真姫達が階段を下りている時、その階段のすぐ近くの廊下の角に希はいた。
希は、階段とは逆の方向から来た一人の少女に話しかける。
希「どうやらあの子達・・・・・辞める気はなさそうやで。にこっち。」
希が話しかけたその少女こそ、今朝の不審者少女、「矢澤にこ」だ。
に「・・・・・・ふん!!」
◎side out
・・・・・・・・・・・・
永夢side
今日は雨が降り練習が中止になったため、僕らはハンバーガーショップに来ていた。
ちなみになぜ穂乃果ちゃんと凛ちゃんがびしょ濡れだったのか海未ちゃんに聞いたところ、雨が少し弱くなって練習できると外に飛び出したそうで、凛ちゃんがアクロバティックな動きをしポーズした瞬間、狙ったかのように再び雨が強くなったらしい。
だから外にいた穂乃果ちゃんと凛ちゃんの二人はびしょ濡れになったと・・・・
聞いたらとてもバカらしく思えた。
風邪でも引いたらどうするつもりだったんだ?
そんな穂乃果ちゃんは今、不満気な顔をしてポテトを食べている。
海未ちゃんがそれを注意する。
海「穂乃果・・・・ストレスを食欲にぶつけると、大変なことになりますよ?」
穂「雨・・・・なんで止まないの!?」
海「私に言われましても・・・」
確かに今の問題はこの雨だ。
僕達の練習場所が全て外のため、雨が降ってしまうと練習ができなくなってしまう。
どうするか考えていると、隣から「うるさいっ!!」と声が聞こえて来た。
穂乃果ちゃんにも聞こえたらしく、隣の席をみる。
すると丁度、ことりちゃんと花陽ちゃんが戻って来た。
こ「穂乃果ちゃんー。予報見たら明日も雨だって〜。」
穂「え〜!?」
穂乃果ちゃんはことりちゃんの言葉にひどく落ち込む。
穂「はぁ〜」
穂乃果ちゃんはため息をつき、ポテトを食べようとする。
だが、穂乃果ちゃんの持っている容器の中には、すでにポテトはなく、穂乃果ちゃんの手は虚しく空を裂く。
穂「あれ?なくなった・・・・海未ちゃん食べたでしょ!!」
穂乃果ちゃんはなくなった事に気づき、前の席に座っている海未ちゃんに疑いの目を向ける。
海「自分で食べた分も忘れたんですか!?・・・・・・・って、穂乃果こそ!!」
今度は海未ちゃんのポテトがなくなる。
今、隣の人が取ったような・・・・・
だが、海未ちゃんはそれに気づかず、穂乃果ちゃんを疑う。
穂「わ、私は食べてないよ!!」
永「はぁ、二人共、僕のあげるから落ち着いて。」
穂「ありがとう永夢君♪」
海「ありがとうございます永夢。」
僕が穂乃果ちゃんと海未ちゃんに自分の分のポテトをあげる。
真「そんな事より練習場所でしょ?空き教室とか借りれないの?」
真姫ちゃんが疑問の声を上げる。
その疑問にことりちゃんが答える。
こ「うん、前に先生に頼んだんだけど、ちゃんとした部活じゃないと許可できないって・・・」
ことりちゃんが言った通り、以前先生に頼んだ時に許可をもらえなかった。
ちゃんとした部活にするには、部員を五人以上集める必要があるのだ。
・・・・・・ん?五人以上?
僕は今現在のメンバーの人数を、マネージャーも合わせて数える。
今現在、僕達は合計8人。
もう部活を作るのに必要な人数は集まっている。
他のみんなも気づいたのか、お互い顔を見合わせる。
すると、急に穂乃果ちゃんが立ち上がる。
穂「そうだ、忘れてた!部活申請すればいいんじゃん!!」
「忘れてたんかーーい!!」
なんか隣から声が聞こえて来たんだけど・・・
真「それより忘れてたってどういう事?」
穂「いや〜。メンバー集まったら安心しちゃって!」
真「駄目かもこの人達・・・」
返す言葉もないです・・・・
穂乃果は安心したのか
穂「よぉし!早速明日部活申請しよう!これで練習場所が貰えるよ〜!はぁ、ホットしたらお腹空いて来ちゃった〜、さぁ〜て・・・・」
穂乃果ちゃんが自分のハンバーガーを見ると、隣の人がそのハンバーガーを取ろうとしているのを目撃する。
ちなみに穂乃果ちゃんだけでなく、全員がだ。
その人は手に取っていたハンバーガーを置いて、静かにこの場を立ち去ろうとする。
穂乃果ちゃんはすぐに追いかけ、捕まえる。
穂「ちょっと!!」
「か、解散しろって言ったでしょ!?」
花「解散!?」
花陽ちゃんが驚く。
穂「そんな事より食べたポテト返して!!」
永・花「「そこぉぉぉ!?」」
僕と花陽ちゃんの声がハモる。
「アーー」
その女の人は口を開けてみせる。
穂乃果ちゃんはその女の人の頰を引っ張って、
穂「買って返して!!」
と言う。
「あんた達、歌もダンスも全然なってない!!プロ意識が足りないわ!!」
穂「へ?」
彼女は穂乃果ちゃんの手も振りほどく。
「いい!?あんた達がやっていることはアイドルへの冒涜!恥よ!とっとと辞めることね!!」
そう言って彼女は去ろうとする。
だけどその前に僕は彼女の前に移動する。
永「帰る前に君が食べた二人のポテト代、返してもらおうか?」
「いっ!?」
すると、彼女の後ろからは飛彩君が
飛「あんたが解散どうこう言うのは勝手だが、あんたが盗み食いした分の金は返してもらう。」
と言う。
二人から言われた彼女は、
「わ、わかったわよ!これでいいでしょ!!」
と、テーブルの上にお金を置いて去って行った。
永夢side out
・・・・・・・・・・・・
穂乃果side
ハンバーガー店の一件から数時間後。
私は店の手伝いで店番をしていた。
外は雨が降り続けている。
だからか、あまりお客さんは来ていない。
しばらくレジの場所で待っていると、お店のドアが開く。
穂「いらっしゃいませ〜!」
入って来た人は、アロハシャツに赤いジャケットを羽織っていてサングラスをかけている、私と同じぐらいの男の子だった。
貴「初めまして。自分、この間から隣の家に住む事になった、九条貴利矢です。これからよろしく。」
彼、貴利矢君はそう挨拶して、私の方に手を差し出した。
穂「そうなんですか。私は高坂穂乃果!これからよろしくね!」
私が貴利矢君の手を掴み返し、自分の名前を言うと、中からお母さんが出てくる。
「穂乃果〜、誰か来たのー?」
穂「あ、お母さん!隣に引っ越して来た人が挨拶に来たの!」
貴「初めまして。九条貴利矢です。よろしくお願いします。」
貴利矢君がお母さんにも挨拶する。
「あら、こんにちは。こちらもよろしくね。」
お母さんは笑顔で挨拶する。
貴「すいません。少し挨拶も遅くなりましたし、特にお土産とかがあるわけじゃないですが・・・」
「気にしないで。だったら代わりにウチの商品でも買っていって。」
穂「おすすめはこの『穂むらまんじゅう』、略して『穂むまん』!」
私はこの店の名物、『穂むまん』をおすすめする。
貴「じゃあ、その穂むまんを一つください。」
穂「は〜い!」
私は穂むまんを一個、袋に詰める。
穂「はい、どうぞ!」
貴「ありがと。」
貴利矢君は袋を受け取る。
すると、お母さんが
「そうだ!貴利矢君、夕飯の予定ある?なんだったら、家で一緒に食べない?」
と貴利矢君を今日の夕飯に誘う。
貴「えっ?いいんですか?」
「もちろん!」
穂「そうだよ!一緒に食べようよ!」
私も貴利矢君を誘う。
貴利矢君は少し考えてから、返事をする。
貴「それじゃあ、お邪魔させてもらいます。」
「うん、了解!それじゃあ穂乃果、貴利矢君を家の中に案内して。」
穂「うん!わかった!」
お母さんは中に戻っていく。
穂「それじゃあ貴利矢君、付いて来て。」
私は貴利矢君を家にの玄関に案内する。
穂「ここが、家の出入り口だよ。さ、入って!」
貴「お邪魔しま〜す。」
私は貴利矢君をリビングに案内する。
穂「ここがリビング!ここで待ってて!」
貴利矢君に座ってもらって、待つように言う。
すると、二階から雪穂が降りてきた。
雪「お姉ちゃ〜ん、誰かきたの〜?」
穂「あ、雪穂!」
貴「妹さん?」
穂「うん!」
雪「あの〜、あなたは?」
雪穂は警戒しながら貴利矢君に聞く。
貴利矢君は立ち上がって雪穂の質問に答える。
貴「初めまして。自分は九条貴利矢。この間から隣の家に住み始めたんだ。今日は夕食に誘われてね、それでお邪魔してるんだ。」
貴利矢君は丁寧に答える。
雪「そうでしたか。私は高坂雪穂です。よろしくお願いします。」
雪穂も納得したのか、警戒を解いて挨拶する。
この後、夕飯の時間になり、貴利矢君も一緒に食べてこの日は終わった。
明日は部活の申請に忘れずに行かなきゃ!