【完結】Why will the hardship take me?   作:雷電p

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―――人の尊厳は理不尽に奪われてしまう―――





crisis~穢れ~

 

――――某所

 

 

 

「はなっ、はなしっ……! 放してください!!」

「クックック……これはまたイキのいいのが来たな……」

 

 男たちの冷笑。

 突き刺さるモノを見る視線。

 まるで人として扱われていないほどにぞんざいな手引きが、目の前で交わされるのを目の当たりにされる。

 

 蓮花ちゃんと共に電気街裏に連れて行かれ、そこから2手に別れて私は左程広くない部屋に入れられました。この部屋には私を引っ張ってきた男2人と共に、待機していたであろう3人の男、つまり5人の男たちに囲まれる状態にあります。みな揃って不気味な笑みを浮かばせ、私の身体を舐め回すかの如く見られるのです。

 

 突き刺さる視線が恐ろしい。

 以前にも似たような感じ………

 あぁ、それは多分、私が同じような状況に陥ってしまった時と同じなのでしょう。暴漢たちの手に落ち、嬲られそうになりそうだった時と何ら変わりないでしょう。

 だとしたら、同じことがここでも………

 

 そ、それじゃあ……蓮花ちゃんは……? 蓮花ちゃんはどうなるって言うのですか……? まさか、彼女に危害が加えられるということなのでしょうか?

 それだけは……それだけはいけません……!!

 

 

「蓮花ちゃんは……蓮花ちゃんはどこですか……?」

「ヒヒッ、それはこれからのお楽しみだ……」

 

 奥歯を噛み締め、見上げた先にいる男たちに恐る恐る声を発しますと、変わらぬ不気味さだけが戻ってくる。この男の言う“お楽しみ”というのは一体何を指すモノなのか。知りたくもないはずなのに、気になってしかたない気持ちに駆られるのです。

 

 

 

 

「おい、準備ができたみてぇだ」

「よし、モニターに映せ」

 

 準備? 何が整ったというのでしょう……私にはわかりません。ですが、心にザラつくこの感じが気持ち悪くって吐き出してしまいたくなる。

 嫌な予感しかしない。目の前に映る男たちの顔を見る度に、そうした感情に拍車が掛かる。汗が零れ落ち、震えが止まらない。

 早く何とかしてほしい、とばかり頭の中が騒ぎ立てるのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 チカッチカッ―――――――

 

 

 電源が入ったような音がしますと、目の前にあるスクリーンに明りが―――黒い画面にじわりじわりと色が付いてきて、鮮明な映像が映し出されようとしていた。

 これが、先程言っていた準備……なのでしょうか? これを見せるためにわざわざ私をここに……? といった疑問を抱かせていた。

 

 

 

 

 

『―――――っ―――――』

 

「えっ………?」

 

 画面から聞こえてきた声に息が漏れた。

 違和感しかない音。それに反応しないはずもなく、何が起きたのかと血の気が引き始める。

 悪寒が襲う。同時に、私の中にある警鐘が大音量で唸る。狼の遠吠えのような戦慄を覚え、喉元を掻き切られるような恐怖さえ抱いてしまう。

 それこそ、私が決して見てはいけないモノ、だということを知らされることに………

 

 

 

 

 

『――――ぅっ、ああぁっ!! ひぃっ、あっっっ!!!』

 

「なっ、なっ…………!」

 

 絶句した。

 顔を上げ、煌々と光る画面に映るその光景に―――絶句した。

 

 

 激しい息遣い

 

 

 悲鳴のような喘ぎ

 

 

 打ち付けられる肌同士の音

 

 

 凶暴たる男たちのざわめき

 

 

 そして――――

 

 

 

 

 

 

 乱れ狂う蓮花ちゃんの姿が―――――

 

 

 

 

 

 

 

「――――っ!!!?!?!」

 

 

 わからない……その瞬間、いったい何が起こっていたのかわからなかった。目の前で繰り広げられている光景に頭が真っ白になり、視界が歪んだ。

 

 ありえなかったのだ、まさか自分の親友が犯されているだなんて……。

 

 しかも、5、6人もの男たちに囲まれ、彼らの露出された下半身部を彼女の身体に強引に押しつける。穴という穴に捻じ込まれ、余ったそれらは手や肌で弄ばれていた。

 

 夢なら醒めてほしい――――

 

 

 

―――変わり果てていく、親友を

 

 

 

 

 

「どうだぁ? キミのオトモダチの感想は? とっても気持ち良さそうに咥えているだろぉ?」

「……あ、ぁ………あぁ………」

 

 肩を掴まれ耳元で囁く男に全身が震撼、毛が逆立つ。私はその問いに何も答えられず、ただかすれた声だけを口にするほか術を見出せなかった。

 じっとりと掴まれた個所が湿る。私の身体から発せられたものか、それともこの男からか……いや、そんなのどうだっていい。今は、この手が次にどんな動きをし始めるのか、張り裂けそうになる胸の内で思考するだけ………

 

 

 

「どうしたんだい? そんなに怯えちゃって……大丈夫だよ、ああ見えて蓮花ちゃんはとっても楽しんでるんだよ……」

「……ぇ……えっ………」

「くふふふ……。アレは毎日ずっと俺たちと楽しいコトをして身体が疼いちゃってるんだ。ほら、見てごらん。あのヨガっている姿を……あれほど嬉しそうに腰を振り、口で咥え、手を動かしている。とんだ淫乱なビッチなんだよ、蓮花ちゃんは……」

「そ、そんな………」

 

 ねっとり絡みつくような声。心の奥底から気持ち悪いとしか言いようのない囁きが私を捉える。次、私に手をかけようとしていることが嫌でも感じられた。

 怖い。逃げだしたい。

いつか私が裏路地で襲われてしまった時のようなディジャブを抱き、身を震わせた。あの時、私がならずに済んだ情景が目の前にある。私も蓮花ちゃんと同じようにされる……見回すと画面を見ていたであろう男たちの視線が私の方に向いていた。画面越しとほぼ変わらぬ5人の男たち、それらが一斉に襲いかかってきてしまったとしたら、私もあんな姿に………

 

 

 

 

「い、いや……いや……いやあああぁぁぁぁぁ!!! 放せ、放してください!!!!」

 

 想像の先に見えた絶望――光を失ったセカイを見据えてしまった私は狂ったように暴れ出す。早くここから抜け出さなくちゃと身体が反応した。が―――

 

「おっと、それはできないねぇ。ここまで知っちまったんだ、わかるよな?」

「ひっ……!!」

 

 男の手から逃れることなど到底不可能、無駄に暴れて抵抗力を削がれるだけでしかなかった。

それを合図と捉えたのか、周りの男たちが一斉に私に近付く。

 ニタついた表情。興奮からの鼻息。そうした姿をなりふり構わず見せつけるのが、逆に私を苦しませる。嫌というほどに味わってしまったあの恐怖。トラウマと言っても過言ではないあの時の続きが始まってしまうのだと身体中が泣き叫んだ。

 

 

 

 たすけて、たすけて……!

 

 声にしたのかさえわからぬまま脳裏に叫ぶ。けど、誰も返事はしない。当然だ、ここにいるのはみな私のことを貪ることしか考えない人のみなのだから、私をここから助けようなどという者などいるはずもない。

 

 

 

 故に、私は抵抗出来ぬままに身体を弄ばれる――――

 

 

 

「ひくっ―――!!」

「おっ、いい反応♪ もしかして、オトモダチのを見て自分も興奮しちゃってるんじゃないの……?」

「そ、そんなわけ……な……っ!」

「―――っと、乳首がコリコリと立ってるねぇ♪ しかも、敏感ときた♪」

「どれどれ、こっちはどうかな……? うほっ、すべすべの肌の奥に見える割れ目がくっきりと! しかもじんわりと滲んでいるねぇ♪」

「やっ……やめっ、やめて……! み、み、見ないでっ!!」

「こんなにも誘って来ているのに、そりゃあねぇよなぁ。 これはじっくりと楽しませてくれなくちゃあなぁ♪」

 

 

 複数の手が私を穢し始める。男たちに取り囲まれた中で、どこからともなく突き出てくる汚い手に身体中の至るところを触れられる。服の上から、服の中、下着にまで触れられ、肌に触れられているのと変わらない気持ち悪い感触を味あわされる。

 まだ誰にも触れさせたことのない聖域にまで手を伸ばされ、みるみる私の清純が失われていく。あぁ、どうして私はこのようなことばかりを味わってしまうのか。これが私に架せられた運命(さだめ)なのか、それとも単なる不運か。どちらにしても、掃き溜めに捨てられてしまうような仕打ちに涙が止まらない。嗚咽を吐き散らしながら、この残酷な運命に殺されていくのを、何もできないままに強要させられる。

 

 

 

「くひひひっ、それじゃあ、今から蓮花ちゃんと同じ快楽に堕としてあげるからね……♪」

 

 必死にもがき、抵抗し続ける身体をもろともせずに、男たちの穢れが私を指した。

 もう逃れられない。無理だ、助からない……! 頭の中でぐるぐる何度も恐怖が渦巻き、気が遠退いてしまいそうな絶望が迫る。いや、すでにそこにあった……そして終わる、私のすべてが……何もかも、奪われてしまう………

 

 

 嘆き、叫び、悶え、苦しみ、怒り、そしてまた叫ぶ――――

 

 

 

 

 それを嘲笑うように男たちがニタつき、私の声が虚しく反響するだけだった………。

 

 

 

 

 

 わたしは……もう…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ブツン――――

 

 

「ん、誰だ、電源を消したヤツはぁ?」

「い、いや、俺じゃないっすよ。画面が急に……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドンッ―――――!!!!

 

 

『?!!』

 

 

 んっ……地響き……でしょうか……? 足元から強い衝撃を加えられて身体が揺れ動いたのです。

 その衝撃に驚いたのか、男たちから焦る声が飛び出てきます。それでも私を抑えつける手を緩めることはなく、私は逃れられないままでした。

 

 

「おい! 隣の様子を見て来い!」

「は、はいっ!」

 

 仲間に急かされ1人この部屋から出ていきました。すると、出て言って間もなく――――

 

 

 

 

 

 

 

「ぎぃやああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

『――――ッ?!?!』

 

 

 先程の男の断末魔が通路を通じて聞こえてきたのです。さすがの男たちも言葉を失い、想像を絶する状況に狼狽するほかありませんでした。

 

 そして、こちらに近付いてくる足音が――――

 

 

 扉の前でその音が聞こえなくなると、しばらくの沈黙が訪れる。これがここの空気を重くさせ、男たちの息を殺させた。もはや、余裕な姿など見る影もなかった。

 

 その時だ――――

 

 

 

 

 バアァァァァァン――――!!!

 

 

 何と言うことでしょう。閉じられていた扉が金具のところから一気に吹き飛び、めちゃくちゃになった姿で私たちの目の前に倒れ落ちてきたのです。それと同時に、つい先程ここにいた男が、酷く痛めつけられボロ雑巾のような姿となって転がってきたのです。

 

 

『なっ!!?』

 

 変わり果てた姿に動揺が走る。彼らから余裕な様子を伺うことなど皆無に等しい。そして、そうした彼らの前に颯爽と現れる群青色の佇まい。稲妻の模様を身に纏ったその人こそ、私の救世主――――

 

 

 

 

 

『サテ、コレハドウイウコトカ教エテモラオウカ?』

 

 

「ら、ら……雷……神……ッ!!」

 

 

 

 

―――明弘さん―――!

 

 

 

 

 

 

 

――

――― 

―――― 

 

 

 

 

「クソっ! 雷神が出てくるだなんて聞いてないぞ!」

「あそこにいた仲間たちが一気にやられちまった……何なんだよ、あのバケモノは?! 桁違いにもほどがあるだろ!!」

 

 先程の建物から命からがら逃げてきた男2人は、少しでも離れようと足早に行動していた。彼らもまた、彼女を嬲り上げた者の一味、もちろんのこと雷神の標的となる存在だった。

 

「あともう少しだ、この先を進んでいけば隠れ家がある! そこまでの辛抱だ!」

 

 この男たちには1つのネットワークが存在する。犯罪者同士のコミュニティーとも呼べる場所だ。その大部分を占めているのが、ここアキバ電気街の裏路地。まさに隠れ家と呼べる場所でもあった。

 以前、ここの“神”と呼ばれていた男の集団が事実上消失してからは、それぞれが小規模の集合体を組織していた。そして、各々が欲を満たすための悪行を変わらずに行い続けてきたのだった。そのため、同じ目的意志を持つ者同士が結託することはここでは不思議ではなく、1つの組織が無くなっても別の組織に加わるとした仕組みも暗黙の了見とされていた。

 

 その彼らが目指す場所も組織の1つである。

 

 

 

 

 だが――――

 

 

 

 

 

 

 

『ホウ、ソノ組織トイウノハ、コイツラノコトカナ?』

 

「「――――ッ?!?!」」

 

 

 その組織が()()()()()()()()()()()()としたら、もはや無味なことであった。

 

 

 

 

 

「ふ、風……神……だとぉ……?!」

『貴様ラノコトハヨク知ッテイル……生キテ帰レルト思ウナヨ……?』

 

 

 

 

 

 

...Hope is there for...?

 

 

 

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