奇策とパンツは少女を嵌める   作:すとらっぷ

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過去編、なぜSMKは学校の地下から発見されたのか


スピンオフとかアンソロとかでも御舞等はバカやります
【番外編】燃えよSMK


番外編『燃えよSMK』 

 

 

 

俺「そういえばさ、校長」 

 

校長「なんだ?」 

 

俺「SMKが学校の地下にあったって言ってたけど地下ってなんだ?ガレージにでもなってたのか?」 

 

校長「いや、ただ広いだけの部屋だった。学園艦の一ブロックが丸々空いていただけだったからな」 

 

俺「なんでそんなところに…うーん、うちのSMKは何者なんだろうか」 

 

校長「一応手掛かりが無いと言えば嘘にはなるな」 

 

俺「手掛かり?」 

 

校長「実はこの学園艦はかなり古いものなんだ」 

 

俺「え?御舞等高校は大して歴史もない学校だろ?なんで?」 

 

校長「御舞等高校がこの学園艦を利用する前に昔廃校になった学校があったんだ」 

 

俺「へー、初耳だな、その学校ってのは?」 

 

 

 

校長「この学園艦の前身の学校は、秋葉原商業高校。秋商なんて呼ばれてたそうだ」 

 

 

 

1969年、秋葉原商業高校 

 

一人の生徒がボヤきながらある戦車の整備をしていた

 

男「…はぁ、うちのチーム…少しは喧嘩が減らない物かねぇ…」 

 

眼鏡「勢力が二分してますからね…」 

 

 

 

秋葉原商業高校、略して秋商。ここは当時としては珍しく戦車道チームがある男子校だった。そして女子をも差し置いて相当の実力を持つチームでもある。 

 

男「うちの外交でこうして強力な戦車を手に入れたわけだが…」 

 

そう、このチームは商学科の全力の交渉によってかなり強い戦車を保有している 

 

だが、

 

眼鏡「ソ連戦車チームとアメリカ戦車チームの対立が激しい…と」 

 

男「ここで冷戦の代理戦争するんじゃないよ全く…」 

 

 

 

ソ連リーダー「メリケン野郎共をブチ殺せぇぇ!!」ドォン! 

 

米リーダー「あぁん!?イワン共が偉そうな口聞いてんじゃねぇぞ!?」ドォン! 

 

各チームのリーダー同士の戦車による激しい闘争が繰り広げられていた 

 

IS-3とパーシングの一騎打ちである! 

 

 

 

デブ「…そろそろ大洗との試合もあるのに」 

 

眼鏡「ネヴァダのアンリミテッドクラスに参加してまた化物になって帰ってきたって聞くけど…」 

 

男「ああ、パットンハイスクール相手に大暴れしてきたとかなんとか…」

 

 

 

ソ連リーダー「ウラァァァ!!」 

 

米リーダー「効くかそんなノーコン弾!」 

 

   

 

男「…はぁ」 

 

眼鏡「そろそろ止めますか…」 

 

デブ「準備いいですよ」 

 

男「よし!」 

 

 

 

 

男「SMK重戦車!発進!」 

 

 

 

 

ガガガガガガガガガガ! 

 

 

 

男「お前らぁぁぁ!少し落ち着けぇぇぇぇ!!」 

 

SMKが二輌の間に躍り出る 

 

米リーダー「げっ!隊長!」 

 

ソ連リーダー「ち、違うんです!ヤンキー共が!」 

 

男「五月蝿い!静かにしてろ!!」 

 

ドドォン! 

 

二門の砲の同時砲撃! 

 

シュパパッ! 

 

IS-3とパーシングは同時に沈黙した

 

IS-3は側面に76mmを叩き込まれパーシングは副砲で履帯を叩き割られる 

 

男「……各リーダー」 

 

二人『は、はい!』 

 

男「正座、戦車の上で」 

 

米リーダー「あの…今、炎天下で…だいぶ熱されてるんですけど…」 

 

男「…はぁ?」 

 

………………………… 

 

 

 

 

二人『すいませんでした勘弁してください!!』 

 

 

 

男「…はぁ」 

 

 

 

 

 

大洗、秋商親善試合! 

 

男「おー、久し振り」 

 

 

 

月江「久し振り、最近の試合じゃ負け無しだってね?」 

 

 

 

彼女は月江。大洗のエースである 

 

男「まあな、戦車の質だけならどこにも負けないよ。…そっちもなかなかいい物に乗ってるじゃないか」 

 

月江「そりゃそうさ!町工場の技術を総結集して作った五式だからね!こいつと一緒にもう一度アンリミテッドクラスに参加するのさ」 

 

男「まあその前に俺達を倒せってな!」 

 

月江「ああ、必ず勝ってやるさ!」 

 

 

 

審判「両チーム、礼!」 

 

 

 

全員『お願いします!』 

 

 

 

 

 

時は進んで御舞等vsプラウダ戦の後……御舞等高校ガレージ 

 

そこにはひとりの老人がいた 

 

 

??「……」 

 

ガララララ 

 

ガレージのシャッターが開く 

 

俺「あれ?」 

 

??「…ああ、すまない」 

 

俺「…ええと…理事長先生?どうしたんですか?」 

 

老人は御舞等高校の理事長であった 

 

理事長「…ああ、どのように活動しているか少し見学にきたのだよ」 

 

俺「あ~、すいません。今日は練習休みなんです。俺は整備があるんでここにいますけど…」 

 

理事長「そうなのかい…それはそれは…次の試合、決勝戦だってね…頑張ってくれよ…」 

 

俺「…は、はい!」 

 

 

 

 

理事長「…駆逐戦車一輌、中戦車一輌、他は全て軽戦車…ここまでこれたことが凄いな…しかし黒森峰相手にはあまりにも火力不足過ぎる…」 

 

理事長の独り言は誰も聞いていなかったようだ 

 

 

 

1969年、大洗対秋商。試合終盤 

 

男「…やっぱりやるな…大洗…」 

 

眼鏡「こちらはフラッグ車である我々一輌のみ…」 

 

男「だけどソ連、米リーダーのIS-3とパーシングの土壇場のコンビネーションで巻き返した…まああの化物には適わなかったけどな…」 

 

デブ「これで五式と我々、フラッグ車同士の一騎打ちとなるわけですな…」 

 

男「中戦車とて侮るなよ!奴らはⅣ号でアンリミテッドクラスを戦い抜いた正真正銘の化物だ!気合い入れていけ!いくぞ!」 

 

全員『応っ!』 

 

 

 

月江「…奴らの総大将のお出ましだよ!戦車前進!男共に乙女の本気ってものを見せつけてやるよ!」   

 

大洗『おおーーー!!!』 

 

 

 

 

 

 

 

ドォン!ドンドン! 

 

男「くそ…相変わらず詰め将棋みたいに完璧に返してきやがる!」 

 

ドォン! 

 

男「装填急げ!撃て!」 

 

ドドォン! 

 

 

 

月江「くっ!なかなか堅いね…遮蔽物に隠れつつ側面を取れ!」 

 

操縦士「了解!」 

 

月江「…相変わらず凄い勢いのチームね…」 

 

 

 

男「…一番砲を正面に、二番砲を後方に向けて」 

 

ギギギギ… 

 

 

 

男「後方、撃てっ!」 

 

ドゴン! 

 

 

 

月江「なっ!?」 

 

ギャリッ! 

 

弾が五式を掠る! 

 

月江「相変わらずの鋭い勘めっ!後退!」 

 

 

 

男「外したかっ!運のいい奴らめ…!」 

 

 

一進一退の攻防が続く 

 

 

 

男「…次のチャンスで正面から突撃するぞ。危険は多いがこのままじゃ勝てない。幸い正面走行なら抜かれない」 

 

デブ「確実に当てにいくと…」 

 

男「ああ…気合い入れていけ!」 

 

 

 

月江「皆、もし奴らが真っ向から勝負を仕掛けてきたらやってほしいことがあるの…難度はかなり高いけど、お願い」 

 

操縦士「どんな運転でもやってやります!」 

 

砲手「次こそ…当てる!」 

 

月江「皆…いくよ!」 

 

 

 

 

男「進めぇ!吶喊!」 

 

SMKが大きく躍り出る 

 

男「操縦士!ビビるなよ!眼鏡、デブ!狙ってけ!」 

 

 

 

月江「来たわよ!進め!」 

 

 

 

男「一番砲!撃て!」 

 

月江「撃て!」 

 

 

弾は交差し… 

 

ズガァン!! 

 

 

 

 

眼鏡「一番砲大破!使えません!炎上!炎上!」 

 

一番砲が燃え盛る! 

 

 

 

月江「よし避けた!!!」 

 

 

 

男「眼鏡は退避!燃えたって構わない!突き進め!」 

 

火を纏ったSMKが五式に突撃する!

 

 

男「最後だ!撃てぇ!!」 

 

 

月江「今だ!!」 

 

 

 

ギャリリリリリリ!! 

 

 

男「!?」 

 

五式が急速にSMKの側面にまわりこむ! 

 

後に西住みほが行う、側面を取るあのターンである!

 

 

 

月江「撃てぇ!」 

 

男「二番砲!撃てぇ!!」 

 

 

 

土煙が上がる… 

 

 

 

 

 

 

審判「SMK重戦車走行不能!大洗女子学園の勝利!」

 

 

 

 

 

また時は現代に戻り… 

 

理事長「…あのときは度肝を抜かれたな……負けたが…楽しかった」 

 

理事長が一人呟く 

 

理事長「…大洗の月江は元気だろうか……」 

 

理事長はどこかへと歩き始める 

 

理事長「あの後も…色々あったな…」 

 

 

 

1990年…… 

 

秋商の隊長は商業を学び、起業。僅か38歳という若さで大企業の代表取締役になった。しかし 

 

男「…どういうことだ」 

 

眼鏡『だから!秋商が廃校になったんだよ!』 

 

男「だからそれがどういうことかって聞いてるんだよ!」 

 

眼鏡『入学率の低下!部活の実績がない!』 

 

男「戦車道はどうなった!」 

 

眼鏡『お前も知らないわけじゃないだろう…男子戦車道の排斥運動!文部省が男子戦車道を公式として認めないんだよ!』 

 

男「そんなもの無能なババア共がギャーギャー騒いでるだけだっただろう!」 

 

眼鏡『その無能なクソババアが今の文部省長官になっちゃったんだよ!』 

 

男「ざけんな!!」 

 

眼鏡『俺に言うな!』ガチャン! 

 

電話が切れる 

 

 

 

男「…くそっ!」 

 

隣にいた秘書が男に話しかける 

 

秘書「…はぁ…母校の廃校程度で何を暑くなっているんですか。これから大切な商談が…」 

 

 

 

男「黙れそれ以上何か言葉を発すればクビだ」 

 

秘書「は!?」 

 

男「安心しろ、仕事はする…」 

 

秘書「…先方はイタリアの資産家です。通訳は?」 

 

男「いらん。見くびるな」 

 

 

 

男「━━━━ということで宜しいでしょうか」 

 

社長「ええ…いい取引が出来そうデスネ」 

 

男(日本語ペラペラじゃないか…) 

 

男「…それではこれで」 

 

社長「まあお待ちナサイ」 

 

男「はい?」 

 

社長「アナタ、少し浮かない顔をしていますネ」 

 

男「…あ、はい…少し私事で悩みがありましてね…」 

 

社長「まだ時間があるなら話してくれませんカ?」 

 

男「へ?」 

 

社長「私は人と話すのが好きでしてね?まあ一番好きなのは女性デスガ」 

 

男「しかしポーロ社長…」 

 

アルベルト「今からは友人としての世間話なのでアルベルトでイイデスヨ?私もアナタの事を名前で呼びますカラ」 

 

男「…それではアルベルトさん…実は…」

 

 

 

アルベルト「ナルホド…つまり母校が廃校になったというコトデスネ?」 

 

男「…はい…でもあそこは…私の大切な場所なんです…何としても守りたい…」 

 

アルベルト「…ボクに考えがアリマス」 

 

男「は?」

 

アルベルト「学園艦ニハ、一家言ありましテネ」

 

人懐っこいウインクと共に彼は何かを書き始めた

 

 

 

そのとき男は思い出した。アルベルト=ポーロはアンツィオ高校の創始者、マリオ=ポーロの一族であることを…… 

 

 

 

 

 

 

 

アルベルト「何とか間に合いましたネ」 

 

男「ええ、まだ学園艦が解体される前に抑えられたのでよかったです」 

 

アルベルト「これから学園を創設するわけデスガ…是非とも協力させて欲しいデスネ」 

 

男「アルベルトさん!?何もそこまで…」 

 

アルベルト「あなたは学園艦についてよく知っていますカ?」 

 

男「う…」 

 

アルベルト「それに、あなたのためだけではアリマセン」 

 

男「というと?」 

 

 

 

 

 

アルベルト「アンツィオ高校は美しく素晴らしい女性を生み出しますが、その素晴らしい女性に見合う男がいなければイケマセン。是非ともいい男を育てる必要があるのデスヨ…私みたいないい男をね」 

 

 

 

 

 

完璧なウインクをキメる 

 

男「…ありがとう…ございます…本当に…っ!」 

 

 

 

 

 

 

 

 

余談だがこの時のアルベルトによる出資が現在のアンツィオの貧乏を助長するということは男は知らなかった

 

 

 

アルベルト「名前はドウスルンデスカ?」 

 

男「学校名…全然決めてなかった…」 

 

アルベルト「じゃあ決めてあげましょう」 

 

男「へ?」 

 

 

 

アルベルト「御舞等高校、あなたの名字です」 

 

 

 

男「なっ!自分の名字!?恥ずかしいんですけど!?」 

 

アルベルト「いいじゃないですか!御舞等高校」 

 

男「勘弁して下さいよ!」 

 

アルベルト「ワタシに名前を決めさせてくれなイト出資しませんよ?」 

 

男「殺生な!」 

 

アルベルト「それより、戦いの始まりはこれからですよ?ヨーゾー?」 

 

 

 

御舞等葉蔵、それが男の名前であった 

 

 

 

そして現在の御舞等高校理事長、御舞等葉蔵その人である 

 

 

 

現在… 

 

 

葉蔵「さて…仕込みは終わりました…」 

 

葉蔵は校内一階の用具置き場を開ける 

 

葉蔵「校長室にここの隠し扉の地図はおいておきましたし、じきに気づくでしょう…」 

 

 

 

隠し階段を下る 

 

 

 

葉蔵「…秋商の戦車は廃校と共に殆ど文部省預かりになってしまいましたが…当時の部員のおつむはよかったようですね…学園艦のブロック一つを丸ごと偽装するとは…」 

 

 

 

御舞等高校地下…そこには秋商、隊長車SMK重戦車があった 

 

 

 

 

葉蔵「さて…SMK……私は年老いたが…お前はまだまだ変わらないな…」 

 

葉蔵「…私の後輩が窮地に立たされているんだ。どうやら次の試合が強力なんだそうだ…年寄りのの思い出を持ち出すのは良くないと思っていたが……ここで眠っているのはお前も退屈だろう…」 

 

 

 

 

葉蔵「もう一度、夢を見せてくれよ…SMK?」 

 

 

 

大会決勝前…黒森峰との試合が迫るこの日、老人の夢が再び動き始めた

 

 

 

 

 

そしてその少し後…大洗にて 

 

 

 

月江「…何故かしら、今日は少し胸騒ぎがする…まるで若い頃、戦車に乗っていたときみたいな…」 

 

大洗女子学園、元隊長月江は今は大洗に住む一人の老人である 

 

月江「少しお花に水をあげましょうかね……」 

 

 

 

 

ドォン!!! 

 

 

 

月江「!?」 

 

砲声が聞こえた… 

 

月江「この音は……」 

 

そして彼女は出会う。新たな伝説の始まりと… 

 

 

 

 

 

月江「あらⅣ号!久し振りに動いてるのみたわねぇ…!」

 

 




1969年大洗女子および月江さんの設定はメディアファクトリー「ガールズ&パンツァー コミックアンソロジー」より“Full charge! Pivot turn!”から。原作3話Aパートの麻子さん起こしに行ったときに話しかけてくれたおばあちゃんが月江さんです。隙あらばコミックを宣伝していくSS作者の鏡。

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