奇策とパンツは少女を嵌める   作:すとらっぷ

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ドイツ語は割とガバガバです


【留学編】タンクチェイス!

『戦車泥棒だーーーーっ!!!』

 

 

 

俺「チェックプリーズッ!」

 

机に30ユーロを叩きつけ、急いで店を出る。英語だけどまあ通じるだろう。

 

扉を吹き飛ばす勢いで店を転げ出るが、チヘは既に道を走り出している。

 

キモオタ「ちゃんとハッチの鍵閉めたのに!!?」

 

俺「マサイ!追えるか!?」

 

チーム1の俊足マサイに賭けるが…

 

マサイ「走って追いつく距離と速度じゃないです!」

 

ネクラ「ウチのチヘは速い…!おれが一番よく知ってる!」

 

俺「クソッ!!」

 

どうするかわからず狼狽える。

 

そこに先程の喫茶店のマダムが現れた。

 

マダム「Dieb?(泥棒?)」

 

俺「Ja!!(そう!)」

 

マダム「OK.Komm her!(わかった、こっち来な!)」

 

マダムが何やら小走りで俺達を案内する

 

キモオタ「なんて言ってます!?」

 

俺「わからんけどついて来いって意味だろ!」

 

マダム「Bitte reite!(これに乗りな!)」

 

指さした先にはちょうど4台の電動キックスケーター。

 

ネクラ「これで追えって言ってるのか…!?」

 

俺「行くしかないだろ!!」

 

かつて秋葉原市街戦でクロウが使ったどこでも返せるレンタルサイクルちよくる、その電動キックスケーター版である。お代はスマホで払うようだ。

 

俺「ダンケシェーン!!お前らいくぞぉ!!」

 

スロットルを全開にし思いっきり蹴り出す!!2、3回蹴るとモーターが作動した!

 

モーター走行なので静かな走行音ではあるが、その割にはパワーは十分だ。

 

俺「いけるぞ!!飛ばせ!」

 

マサイ「チヘはまだ視認範囲内!」

 

四台は一列になって道路を爆走する!

 

俺「…普段戦車に乗るときは全身を晒して走らないから良かったけど、キックスケーターでこの速度は…少し、いやかなり怖いな…」

 

マサイ「でも…やるしかない!」

 

ネクラ「…チヘを一番上手く走らせるのはおれだ…誰だか知らないようなヤツに好き勝手…やらせない!」

 

キモオタ「…せ、拙者はここまでのようですぞ……」

 

キモオタのキックスケーターはあまり速度が出ず引き離されていく!

 

マサイ「そうか!キモオタさんは体重が重いから遅いのか!!」

 

キモオタ「私はどうにかして阿部会長に連絡を取ります!場合によっては警察に連絡を!俺氏…いや、隊長!我々のチヘを頼みます!!」

 

俺「任せろ!俺達のチヘをやらせはしない!!」

 

キモオタ、離脱!!

 

 

 

残り3人でチヘを追いかける。しかし、かなり速度を出しているがチヘとの距離は変わらない。少しでも速度を上げるために姿勢を低くし空気抵抗を減らす。

 

俺「クソッ、どこまで行くつもりだ…」

 

マサイ「…前見て下さい!T字路です!」

 

俺「チヘはどっちに曲がる…?」

 

ネクラ「俺…隊長、ちょっと本気、出す。失敗したら後は頼んだ。」

 

俺「ネクラぁ!?何する気だ!?」

 

ネクラ「チヘは右折する、隊長は普通に追って。」

 

 

 

ネクラ「元御舞等高校自動車部エースに、乗りこなせないものは女の子だけだッ!!」

 

ネクラのキックスケーターはガードレールの切れ目を通りオフロードの草原に突っ込む!!常人ならバランスを崩すところだがネクラは安定して草原を走り抜ける!

 

ネクラ「このケリッチョ、しっかりサスが生きてる…やれる、まくるぞッ!!!」

 

ネクラの宣言通りチヘは左折、ネクラはオフロードを使い距離を縮める!!

 

俺「いけぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

マサイ「頑張れぇぇぇぇ!!」

 

ネクラの前方に盛られた土の山、さながらジャンプ台。

 

ネクラ「…ぅ…ぉおおおおおお!!」

 

カチリ…

 

そのとき、既にフルスロットルであったレバーがもう一段階進む。

 

速度計の数字がバグを起こしたように狂い、表記が変わる。

 

『MAX』

 

急激な加速をしたキックスケーターは勢いそのままにジャンプする!!

 

ネクラ「とっ………たぁぁぁぁぁあああああ!!!」

 

がききききききききぃぃーー!!

 

見事な着地!ネクラがチヘの前方を押さえる!!

 

ネクラ「Stop!!!」

 

チヘの前方走りながら制止するがチヘは止まる気配が無い!

 

俺「止まらないか…どうする…飛び乗るか…?」

 

マサイ「どうにかチヘに外付けしてあるワイヤーを使って飛び乗るとか…」

 

俺「やってみるしかないか…」 

 

ネクラ含め、三人が如何にしてチヘに飛び移るかを考えている、その時!

 

 

 

キモオタ「三人ともーっ!!」

 

 

 

俺「キモオタっ!?」

 

現れたのは後ろから爆走するジャーマングレーのⅢ号戦車、そのハッチから顔を出すキモオタであった!

 

キモオタ「一杯喰わされました!落ち着いてチヘについて行って下さい!!」

 

俺「どういうことだ!?」

 

キモオタ「話は後です!!とにかく落ち着いて追ってください!」

 

俺「どういうことだ…!?」

 

しばらくもしないうちにチヘが右折した。ゲートらしきところに看板がある。

 

俺「…パンツァー…なんちゃら。すまん読めない」

 

キモオタ「戦車演習場!我々、戦車泥棒にケンカ売られてます!」

 

ネクラ「話が読めない!」

 

演習場はだだっ広い荒野と、その奥に森林が見える!チヘは森林に突っ込んだ!

 

キモオタ「三人ともこっちの戦車に乗り込んで下さい!!」 

 

俺「75mm砲搭載のⅢ号戦車…!?こんなもんどこで!?」

 

??「Hallo!」

 

キモオタ「彼女の私物です!」

 

俺「マダム!!?」

 

運転席から出てきたのは先程の喫茶店のマダムだった!

 

マサイ「ますます意味がわからない!」

 

キモオタ「話は後です!ネクラ氏、ドイツ車運転出来ますよね!?」

 

ネクラ「…任せろ、免許持ってる。」

 

俺「流石フルビットドライバー!」

 

訳もわからないままにⅢ号戦車に乗り込むニーソチーム、慣れない車内に戸惑いつつも本能的に持ち場についた。

 

キモオタ「いいですか?今からチヘを撃破します。」

 

『はぁ!!?』




通称E-スクーター。本来は中心街限定で走行出来て、最高時速20キロ程度ですので万が一戦車を追いかける場合は気を付けてください

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