奇策とパンツは少女を嵌める   作:すとらっぷ

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そういえば一度もやって来なかった対戦カード。


【留学編】ニーソチームVSチヘ!?

キモオタ「撃破してチヘを止めます!白旗上げさせればチヘは止まります!」

 

ネクラ「チヘと…戦うのか?」

 

俺「…なにか事情があるんだな!」

 

普通の窃盗であるならばチヘを捕捉し続けて警察を呼ぶのが一番確実だ。しかしそうはせずに撃破する、という手段を取るならそれなりの理由があるのだろう。

 

キモオタ「あります!」

 

俺「なら今は何も聞かない!後で全部事情話せよ!」

 

ネクラ「…お前が言うなら、それで賛成だ隊長。」

 

マサイ「同じく!」

 

俺「それに…前々から思ってたんだ、一回くらいチヘと戦いたいってなぁ!!」

 

キモオタ「…こんな事態ですが、少しわくわくしますね。」

 

ネクラ「…好き勝手されてムカついてるけどな」

 

マサイ「そこは複雑ですね…」

 

俺「楽しみながら鬱憤をぶつけさせてもらおうか…パンツァーフォー!!!」

 

ニーソチームのⅢ号戦車も森に突っ込む!

 

 

森林

 

俺「こう言っちゃ難だが、敵としての御舞等チヘはそんなに驚異じゃない。なんでかわかるか?」

 

ネクラ「…超ピーキーだからな。改造に改造を重ねて操縦の感度がかなり敏感になってる。まっすぐ走るだけならまだしも並みの腕じゃ扱えない。」

 

キモオタ「砲塔旋回も同じくですな。連盟基準限界まで旋回を早めてますぞ。」

 

俺「そうだな、自分たちは普段から使ってるからわかりにくいけど、俺達のチヘは相当扱いにくい戦車に仕上がってる。」

 

マサイ「極め付きは弾です。徹甲弾、榴弾、煙幕弾、それに切り札のタ弾。その他にもいくつか。相当日本戦車の弾に詳しくないと見分けられないと考えます。」

 

俺「つまり、俺たち以外にチヘを使いこなすのは不可能だ。とはいえ、今装備してる57mm砲の貫通力はバカに出来ない。楽観はするな。チヘはチヘだ。」

 

 

 

 

 

バキバキバキバキ!

 

 

俺「近くで木が倒れたな。」

 

ネクラ「チヘが倒したんだ。車体の制御が上手く行ってないんだろう。誤って木にぶつけたか。」

 

キモオタ「ドイツの木は日本のものより細くて折れやすそうですな。」

 

俺「倒木近くまで進んで、チヘを視認し次第攻撃する。ネクラ、木を倒さないように前進。」 

 

Ⅲ号戦車の扱い辛い足回りを巧みに操り、スイスイと木の間を進んでいく。

 

 

 

目の前に見慣れた戦車が現れる。

 

俺「前方、アルミデコイ発見。チヘの秘密道具。俺が作ったデコイなんだ、俺が引っかかってたまるかよ。」

 

キモオタ「今チヘに積んでいる奇策装備はアルミデコイ残り2つとバルーンドック一つ、火炎瓶、煙幕火炎瓶それぞれ3つ。カモネット。以上です。」

 

俺「アルミデコイとバルーンドックは俺達には通じないな。」

 

キモオタ「おそらく、発砲してくれれば万々歳くらいの気持ちで設置したものでしょう。本当はこの轍をカモフラージュするものかと」

 

アルミデコイに隠れるように履帯の跡が見て取れる。

 

ネクラ「この轍は東に続いてるが、トラップだな。」

 

俺「ああ、一度東に進んでから轍を残して別方面に進んでる。倒した木で本当の進行方向が見えないように偽装したな。熊見たいな手使いやがる。いや、狩人か?」

 

キモオタ「…地味ながら巧妙ですな。」

 

ネクラ「履帯の跡を殆どづらさずに轍を残してる。悔しいけど、既に結構チヘを乗りこなしてる」

 

俺「想定よりは実力者か。」

 

キモオタ「…流石。」

 

俺「多分既に敵は俺達の背後には回り込んでると思う。はやくここから移動しよう。マサイ、戦車から降りろ。」  

 

マサイ「え?」 

 

俺「ここで待機。狩人殿なら間違いなく獲物が罠に掛かったか確認しにくる。マサイは木登りして待機、迷彩ポンチョでもあれば良かったけど流石に用意してないから自前で隠れて」

 

マサイ「あのー、ドイツの木って細くて登りにくそうなんですけど…」

 

俺「頑張れ、以上。」

 

マサイ「酷い作戦だ!」

 

と言いつつもカモフラージュの準備を始めるマサイ、その間に俺達Ⅲ号は注意を払いつつ前進する。

 

 

 

数分後

 

マサイ『(こちらマサイ、迷彩服の人影発見、恐らく戦車泥棒…尾行します、出来るだけ音を立てたくないので緊急時以外返答不要です。)』

 

マサイは声を出していない。森の中は静かな為、相手に気配を悟られぬように音を出さないように意思の疎通を図る。無線のマイクを指で叩きモールス信号で報告をした。アホだが悪知恵は働く隊長だ、意図には気づいているだろう。電波良好な今返答がないのが証拠だ。

 

また、マサイの姿を視認する事もかなり難しいだろう。俺隊長からドイツで新しい服を奢ってもらうという確約を得て服を汚しまくっている。

 

土で服を汚し、泥、草、ワイヤーなどで木の葉や木の皮を固定、即席で森林用迷彩服を制作した。

 

もう普段着には出来ない…割とお気に入りだったのに。隊長にはブランド物のTシャツでも買ってもらおう。

 

マサイ(背丈は160後半くらい…身体のラインはポンチョだからわかりにくいけど…歩き方的には女性かな…。)

 

冷静に分析し、その内容をモールス信号で送る。

 

音もなく木を降り、伏せる。事前にある程度までは木の葉や木の枝避けた道を作っておいた。幸い今は落ち葉は少ない。自分の足音が相手の足音と重なるように歩みを進める。

 

マサイ(…エンジン音がする……忘れるわけない、チヘの音だ。)

 

ずっと、一番近くで聞いてきた音だ。手に取る用にわかる。そして、どこにいるのかも。

 

マサイ(トラップより北北西230m地点にチヘ発見、カモネットで偽装されています。)

 

 

 

 

俺「…マサイから連絡があった。方角合わせろ。」

 

キモオタ「マサイ殿、大手柄ですな……それにしても見事なカモネットでの偽装、ここからでも捕捉出来る位置に居るのに完全に見落としていました…。風もなし、砲のクセは…多分大丈夫です。」 

 

俺「キモオタ、当てろ。」

 

キモオタ「今日はネクラ殿やマサイ殿に良いところ取られてるので、最後は拙者がいただきますぞ…」

 

静かに標準を合わせる。

 

 

 

「我々以外が、そう安々と乗っていい戦車じゃ、ないんです。」

 

 

 

轟音と共に力強い75mmの砲弾が木の隙間を突き進み、

 

 

 

徹甲弾がカモネットの上からチヘの砲塔を激しく叩く。

 

シュパッ!

 

 

キモオタ「叩きのめさせて、頂きました。」

 

 

 

一式中戦車、行動不能。

 

勝者、御舞等高校ニーソチーム

 

 

 

 

 

 

 

俺「で!コイツら一体何者なんだッ!!」

 

一切の情け容赦無く5人の少女が縛られている。ロープで縛った上に親指にワイヤーまで付ける徹底っぷりだ。戦車泥棒に容赦は無い

 

??「――――――ッ!!」

 

先程迷彩服で偵察していた娘がこの5人のリーダーのようだ。

 

身長160後半、日本人女性と比べればやや長身、綺麗な金髪を肩口まで伸ばした美少女である。迷彩柄のジャケットに動きやすそうなハーフパンツ、その下に履いた黒いタイツが艶めかしい。普段の俺ならそのミリタリールックな美少女が拘束されているという大変エロスな状況に大興奮しているところだろうが、今回は相手が戦車泥棒である。興奮は包み隠した。

 

俺「済まないドイツ語はさっぱりなんだ。」

 

阿部「『離せ!何もここまでする必要は無いだろう!』、と言っている。」

 

俺「阿部会長ドイツ語わかるのかよ…何者だよ…」

 

戦車演習場草原エリア、カモネットとは別の迷彩シートをレジャーシート代わりに広げて敷き、その上で会議。ニーソチーム以外の他のメンバーは無事ホテルにチェックインして休息中、阿部会長が迎えに来てくれた。

 

キモオタ「先程のカフェで阿部会長に連絡を取り、マダムにネット回線を貸してもらったんですが、その子達、ヴィルヘルムスハーフェン学園陸戦部隊長、エルフリーナ氏です。」

 

俺「ヴィルヘルム…明日合同練習する予定だった学校か?」

 

キモオタ「ええ。そして、マダムの娘だそうです。」

 

俺「……アンタの差し金か!?」

 

マダムはニコリと笑っている。

 

キモオタ「どーしても娘さんが俺氏とタイマンしたかったそうです。我々がハグレたのは阿部会長がそう仕向けたからだそうで。」

 

阿部「俺には話が通ってたからな。やり方までは聞いてなかったから、まさかチヘを盗んで戦うとは驚きで胸がパンパンだぜ。」

 

キモオタ「我々、どう動いても結局その娘と戦うように仕組まれてました。」

 

俺「阿部会長、通訳頼む。どうしてそこまでして俺と戦いたかった?」

 

阿部「『日本の奇策師とやらと戦いたかった』、だそうだ。その娘、こっちじゃ結構有名で『シュバルツバルトの奇策師』とか呼ばれてるらしい。」

 

キモオタ「すごいじゃないですか俺氏、世界にまで名前が広まってるみたいですよ!

 

俺「ところで、なんでチヘを盗んだ?」

 

阿部「『平和ボケしてる貴方達をからかってやろうと思った』『緊急時の対応、策を見たかった』だそうだ。あと『チヘに興味があった』とも。」

 

 

 

俺「正直で結構…。はぁ………名前、なんて言ったっけ?」

 

キモオタ「エルフリーナ・ヴィットマン氏です。」

 

俺「よし、じゃあエル、お前明日からメイドとして働け。」

 

阿部会長が通訳してエルに伝える。

 

エル「――――!!?」

 

俺「安心しろ、衣装は揃ってるから。」

 

エル「――――!」

 

阿部「『話の脈絡がなさ過ぎる!』みたいな事言ってるな。」

 

俺「バカヤロー!警察に突き出さなかっただけありがたいと思え!立派な犯罪だからな!むしろメイドで済むなら安いもんだろ!」

 

エル「…」

 

俺「あとマダム!首謀者!アンタにも罪がある!後でそれ相応の対価貰うからな!」

 

マダム、ニッコニコで快諾、大物である。

 

 

 

この日、二人は運命の出会いを果たした。突き抜けるような青空の日であった。

 

 

 

 

 

後に伝説のメイドコンビと呼ばれる二人の出会いである。

 

 

 

 

 

ドイツ強化留学一日目終了。

厳しくも楽しい、御舞等高校の新たな戦いが始まる。




はいゲルマン美少女オリキャラです。原作ヒロイン成分が少ないので投入したんですが、そもそも学園艦って世界中色んなところ回ってるんだから都合よくドイツに入港させちゃえば原作破綻させずに原作キャラ登場させられるんじゃないか?と書いてる途中に気づきました。
あとせっかくベルリンにいるんだからベルウォール出さなきゃ駄目だろと思う。

ちなみに今まで御舞等以外でチヘの乗った人物はエリカ、桃ちゃんのみ。レアだね。

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