さて、どうやったら戦闘シーンが書けるんだろうか…。
「へへへ。じゃあ、お前はどうだ? 俺の名前を言ってみろ!」
…目の前にいる真っ赤なドーパントが、機関銃のような左腕をこちらに向けて笑う。
本来なら怯えたりパニックになったりする場面。しかし、不本意ながらこう言った状況には仕事上慣れている。そのため思いのほか冷静にこの状況を見つめることが出来た。
さて、そもそもどうしてこうなったのだろうか。
今朝目を覚ましたのはすでに9時を過ぎたころだった。本来ならば仕事に遅れる時間で、思わず焦るがすぐに思い出す。
そうだ。今日は久しぶりの休日だった。
若菜様の一件。あの事件の犯人は若菜様のマネージャーだったらしく、若菜様への好意をある人物に利用されてガイアメモリを使用、暴走したがために起きた事件のようだ。その利用した人物に関して詳しくは知らないが、霧彦様が対処したらしい。まあ、私には関係ないが。
ただ一つ気になったのは、帰ってきた若菜様がどこか上機嫌に見えることだ。しかも、時々何か歌詞のようなものを呟いており、どこか不気味に感じる。一体何があったのか知りたい気もするが、若菜様に直接聞いたら、機嫌が悪くなるかもしれない。かといって護衛をしていた霧彦様に聞くのは面倒なことこの上ない。
ここは触れないでいよう。どうせ私には関係ないこと、と結論付けた。
それから一週間。特にこれといった出来事もなく日は過ぎ、今日に至る。
折角の休日。どう過ごそうか迷ったが、買い置きをしていた麦茶のパックが切れかけていたことに気付き、ついでに色々と買い出しに行くことにした。
そして一通り買い終え、お昼はどこにしようか考えていた時、突如鳴り響いた発砲音とそれに続くように響く大きなブレーキの音。
気が付くと一台の車が倒れ、バイクに乗ったドーパントが笑い声をあげながら佇んでいた。
「さあ、俺の名前を言ってみな!」
…私が何をしたというのか。折角の休日をこんなことに潰されるなんて。
そんなことを考えていると、急にドーパントが私の胸倉を掴んでくる。
「おい、聞いてんのか? 俺の名前を言ってみろ!」
いや、知らないし。それに態々答えてやる必要も感じない。
そんな私の態度に苛立ったのか、ドーパントは担いでいた剣を抜く。
「残念。正解は仮面ライダーだ!」
そう言って剣を振りかぶる。
仕方ない。メモリを使うことにしよう。
コートの内ポケットに手を伸ばす。しかし、
「おいこら! でたらめを吹き込んでんじゃねえ!」
バイクのエンジン音と怒鳴り声が響く。
振り向くとそこにいたのは体の真ん中を走るラインに合わせて、ちょうど左右で色が異なるドーパントの姿。今の台詞から考えると、こいつが本物の仮面ライダーということだろうか?
「よう、本物さん。思ったより早く会えたな」
「何だと!?」
ドーパントはどこか違和感を感じる台詞を言うと、掴んでいた私を仮面ライダーに向かって放り投げる。
「危ねえ!」
仮面ライダーが私を受け止めると同時に、ドーパントはバイクに跨り、エンジンをかける。
「あばよ!」
そう言って走り出すドーパント。仮面ライダーも私にけがが無いことを確認すると、同じようにバイクに乗って後を追う。
…一体何だったのだろうか。
とりあえず、早くこの場を離れよう。警察に事情聴取されるなんて面倒なことこの上ないし。
そんなことを考えていると、ポケットの中に入れていた携帯が震え着信を伝える。見てみると、届いていたのは冴子様からのメール。いやな予感がしながらも、それを開くと簡潔な文章が書かれていた。
『今から車を出すから、メモリの準備をしてそれに乗りなさい。詳しい話は車の中でする』
ちょっと待ってください。私は今日は非番なんですが。久しぶりの休日なんですが。
そんな私の心の声は届かず、すぐに目の前に黒塗りの軽バンが止まる。少し躊躇しながらもそれに乗り込むと、中にはスーツを着た3人の男女が居た。
そして女性がこちらを向き、口を開く。
「冴子様からの命令です。今からアームズの逃走の手助けをするようにと」
あくまで倒すのではなく、あのドーパントが逃げ切るための隙を作れとのことだ。
…なんでわざわざ私に。そういうのはそっちで勝手にやって欲しい。だけど、もし拒否したら、後が面倒だし…。
「…これが終わったら、冴子様と琉兵衛様に休暇を一日伸ばすと伝えてください。本当は今日は休みだったので」
うん。私は悪くない。悪いのは休日に駆り出す冴子様なのだから。
そして車の中でメモリを起動させる。別に戦うわけじゃない。さて、さっさと終わらせようか。
【翔太郎視点】
「おい、止まれ!」
あの偽物野郎は絶対に捕まえねえと。仮面ライダーの名前はこの風都の人々が俺たちにくれた名前だ。それをこんな卑怯な奴に汚させるわけにはいかねえ!
「ハッ、誰が止まるかよ!」
そう言い捨てた奴の機関銃による連射を躱す。今のところは何とか追いつけてるが、少しでも気を抜いたら逃げられる。
くそっ。あれはまだか!
そんな俺の思いに応えるように、後ろから大きな音が聞こえる。
「よし、来たか」
「おおっ!?」
思わず奴が驚くほど巨大なマシン―リボルギャリー。そのボディが展開し、俺達を乗せたバイク―ハードボイルダーを格納される。そしてハードボイルダーの後部にブースターが装着される。
よし。これなら奴に追いつける。
「おいおい、何だよあれ!?」
こちらに目を奪われた奴のスピードが一瞬落ちた。
「今だ!」
ブースターが点火し、勢いよくハードボイルダーが走り出し、徐々に奴との距離が縮まる。
「やべえやべえ!」
奴が銃撃してくるが、その程度じゃ止まらない。
このまま一気に…、そう思った時、車体の右側に強い衝撃を受けた。
「なっ!?」
『一体、何が!?』
もとからスピードが出てコントロールが取り辛い状況だった。すぐにバランスは崩れスピンする。
「はっはっはっ! それじゃあな!!」
そしてその隙にあいつはバイクのスピードを上げて逃げて行った。
…くそっ! あと少しだったのに。
だが、後悔しても仕方がない。せめて何かヒントになるようなものは無いか探すと、道路には金属でできた何かの破片が落ちていた。
「これは奴が落としたのか…?」
これが何なのか分かれば、奴の居場所が分かるかもしれない。一度、変身を解いて、その破片を持ち帰ることにした。
それにしても、さっきの衝撃は何だったんだ? 奴の能力だろうか?
どこかもやもやしたものを感じながらも、答えが出ることはなく、仕方なくその場を離れた。
【初視点】
「成功のようです。お疲れさまでした」
女性の言葉を聞き、変身を解く。どうやらうまくいたらしい。
今回、やったことは簡単だ。あのドーパントと仮面ライダーの進行方向に先回りをして、車から降り物陰に身を潜める。そして無線で状況を聞きながら待ち、仮面ライダーのバイクが目の前を通る瞬間に攻撃をしかけた。ただそれだけだ。
仮面ライダーに見つかるもしれないと不安だったが、どうやらあのドーパントに夢中だったようで、全く気付かれることは無かった。
「それでは、先程の場所の近くまで送ります」
あ、送ってくれるんだ。それはありがたい。もしかしたらここで別れ、自分で帰ってくださいと言われるかもしれないと思っていたので安心した。
そのまま軽バンに乗り込む。そして到着するまで終始無言の中、私は少し遅れることとなったお昼をどうしようか考えていた。
次はいよいよ原作17、18話の部分です。
主人公はどうするのか。そもそも話に絡めるのか。
期待に応えられるか不安ですが頑張ります。