ハイスクールD×D  スカウトするためにやってきました。   作:黒部 愁矢

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今回は短めなうえに、主人公が語っただけで終了。
ここまでをプロローグに纏めれば良かった気もするけど気にしない。


聖剣計画の描写を書いてある場面が原作探してもほとんど無いから想像で書いちゃいます。
アニメ見たらちょろっとチラリズム的に見えた気がしなくもないけど、分かりにくいから脳内補完ばりばりで書いちゃいます。




1話~1名様の御入場~

体の窮屈さを感じて、目が覚める。

視界不良なうえに、体勢を変えることが出来ないのか、横向きで丸くなるような格好のまま動くことは出来ない。

 

おまけに喉が少し痛いし、瞼に少し違和感がある。

 

今の俺の状況を五感を研ぎ澄ませて把握するに、車のトランクの中にいるようだ。

更に、視覚を放棄したうえで意識を集中させて、心眼で周囲を見る。

この眼は障害物があろうとなかろうと、忍者だろうが幽霊だろうが、意識ある者を把握出来るのだから便利だ。

まあ、その分がりがりと神経を削るが、そこは鍛錬でなんとかなる。

 

さて、確認してみると先程車に乗っていると判断した通り、俺はレモンカラーで車高の低い車のトランクに入れられているように確認出来た。

座席の方にも四人の男性がおり、神父のような格好をしていることからどこかの聖職者なのだろう。

しかし、隠そうとしているが隠しきれない下卑た表情から、俺の親がこの神父達というわけでもない。仮にもし親だったとしても俺は家出をする。

サバイバル生活には慣れているから無問題だ。

 

怪しさ満点なこの状況、その情報が一つも無い中に放り込まれた俺。

「……これは、会話も聞く必要があるか、ね」

下手な運転のおかげでガタガタと揺れ、痛む体に辟易としながら、耳を澄ますと声が聞こえる。中々賑やかなグループだ。

 

…………ふむ。

 

どうやら俺は教会で何かをする目的のために、誘拐されたらしい。

しかも俺はセイクリッド・ギアと呼ばれる物を所有しており、偶々こいつらが連れていく条件に当てはまったために、目撃者皆殺しで連れ去ったのだとか。

中々の悪党である。それでいいのか神父。

 

そして今は俺が話題に上がっている。

先程まで俺は泣き喚いていたのに、急に静かになったことで、泣き疲れて眠ったと判断している。

俺の話題終了。

 

 

そこの神父達、俺はしっかりと起きているぞ。

 

そして、何故俺はこんな状態で意識が覚めたのか心当たりはある。

神界では、長期間同じ世界に滞在する場合、戸籍を作る目的で、大抵の場合は幼子の体に魂を植え付けられ、それが俺に適応したら今までこの体を動かしていた仮人格は消えて、主人格である俺が出てくる仕組みを取っている。

 

こうした方がいちいち世界を誤認させて新たな戸籍を作るよりも手間が掛からないため、楽なのだと上司が言っていたのを覚えている。

 

まあ、それが仇となったのだが、これが幸運値が引き下げられた影響なのだろう。

 

結論 ――運が悪かった――

 

その思考に至れば思考はすんなりとクリアーに。

運が悪かったと割り切ればノンストレスになる。

 

 

さて、俺の脳内には、今まで仮人格がしてきたことが記憶として残されているのだが、それを思い出して俺自身について確認してみよう。

 

 

頭の中を探ると、日本人の母とイタリア人の父を親に持っていたハーフで、外国人染みた顔立ちで後は母とほぼ瓜二つらしい。つまりは女顔。

っていうか外人なのにほとんど日本人て……。

まあ、そこはどうでもいい。元々俺自体が中性的な顔だったから、それに近づけようとした結果なんだろう。

そして、セイクリッド・ギアと呼ばれる物はなにやら名前があるらしく、【鈍色の心】と書いて【ディムレス・ハート】。効果はクレイモアを出現させる。

クレイモアとは小学二、三年生ぐらいの長さの両刃の西洋剣なのだが、俺の身長は大体百三十センチ。

 

……持てるわけがないだろう。

 

しかも先程から身体チェックをしているが、まるっきり人の子供のそれと同じであり、魔力の欠片も感じられず、精霊としての力すら見受けられない。

 

これは一体どういうことなんだろうか。精霊としての力を失うとまでは言われていなかったはずだ。

……いや、微かにだが力を感じる。内側に意識を向ければ、なんとなくその力の存在が分かりはするが触れることは出来ない。

そこで一つの仮説が思い浮かぶ。

神界から降りるにあたってなんらかのミスが起こり、大精霊から精霊王へと位を下げるのではなく、精霊としての力を全て封印してしまった。

荒唐無稽で、説明できるものは無いが、大体こんな感じかもしれない。

……思い返せば、あの受付の女性も俺と同じ、神見習いだった。

 

 

まあ、なんらかの条件を満たせばは元に戻るかもしれないが、今は貧弱。

ただ心眼が使えるだけのガキだ。

 

 

ここまで考えた所で車が止まる。

そして、トランクが開くと同時に山吹色の光が差し込むが、寝てるフリをしているため、気づかない。

そして神父達は俺が寝ているのを確認すると、担いで目の前の古ぼけた建物へと運び始める。

 

 

「それにしても、本当に人工の聖剣使い様なんて出来るのかねえ?」

「あのイカレタ天才、バルパー様のことだ。必ず完成させて我らが主の敵、悪魔共を殲滅させてくれる。そうすれば私達も楽出来るというものだ」

「しっかし俺らもこんな事をしてて教会から異端者扱いされたりしないのか? 確か昨日も被検体025番が死んだんだよな? これで何人目だ、実験途中に死ぬのは」

「そんなもの覚えてないさ。聖剣に適応出来なかった道具なぞ、信仰心の足りない異端者だ。覚える価値も無い」

「それもそうだな」

 

その言葉を皮切りに四人はどこに嵌まったのか、汚い笑い声をあげる。

まあ待て、一寸も体を動かすな、起きていることを悟られるな。

 

「……さあて、こいつは果たして主からの愛を授かれるのかな?」

 

ザラザラとした指で俺の顔を触る。

反応するな、瞼を動かすな、俺は死人だ、動いたら……

 

 

「被検体035番様のごにゅうじょーーう! ってか?」

 

 

 

命に変えてでも殺したくなるだろうが。

 

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