永遠の美少女になって永遠の闘病生活に入った件   作:名無し野ハゲ豚

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浩介くんのご機嫌を取り戻そう

 あたしが屋上へのドアを開ける。屋上の風が心地よい。

 後夜祭の時には、上から校庭を見るためにそれなりに人が来るけど、今は思った通り無人だ。

 あたしは、屋上の中でも特に影になってて入り口からは見えない所に浩介くんを誘導する。

 

「浩介くんもほら」

 

 あたしが、浩介くんにも来るように促す。ここなら誰にも見られないはず。

 

「それで、俺をこんなところに連れてどう……」

 

  ぴゅううううう

 

「きゃあ!」

 

 突然強い風が吹く、あたしのスカートが思いっきりまくれ上がり、慌ててスカートの袖を抑えるも全然間に合っておらず、浩介くんからは青白ボーダーの縞パンが丸見えになる。

 

「は、恥ずかしいよお……」

 

 浩介くんにパンツ見られた。やっぱりすごく恥ずかしい。

 

「お、屋上は風が強いだろ……」

 

 パンツがいきなりモロに見えたことで、浩介くんが驚きと興奮が混じった顔で言う。

 

「ね、ねえ浩介くん?」

 

「ん?」

 

「パンツ似合ってた?」

 

「あ、ああうん……かわいいと思うぞ」

 

 浩介くんはもう顔が真っ赤になっている。それはあたしも同じ。

 

「もうえっちなんだからぁ……もう一回見たい?」

 

「ふぇ!? な、何を?」

 

 ちょっと計画が狂ったけど仕方ない。

 

「ふふっ、浩介くんメイド喫茶で嫉妬しちゃったから、浩介くんにだけしてあげることをしないと、機嫌直らないかなって?」

 

「だ、だから嫉妬してなんかないよ!」

 

 あたしは静かに首を横に振る。

 

「背伸びしなくていいのよ。ありのままの浩介くんでいて? スケベな浩介くんでもいいから……ね」

 

 というよりも、あたしの方がスケベな気がする。

 嫉妬心を沈めるためなんて自分に言い訳しておきながら、本当は好きな男の子にセクハラされたくてたまらなくて、すっごく恥ずかしいのにワクワクしているのだから。

 

「じゃっ……じゃあ……」

 

 浩介くんが恐る恐る近付いてくる。

 あたしの心臓がどんどんバクバク言う。何をされるんだろうという気持ちで強まる。

 

「えいっ!」

 

  ファサッ!

 

「きゃあ!」

 

 あたしは浩介くんに思いっきりスカートをめくられた。

 反射的に悲鳴をあげてスカートを抑えて抵抗する。

 

「はぁ……はぁ……かわいいよ優子ちゃん」

 

「あ、ありがとう……あうう……やっぱり恥ずかしい……」

 

「恥ずかしがってる優子ちゃんがかわいいよ」

 

「う、うん……ありがとう……」

 

 男の子にスカートをめくられたのは初めて。

 カリキュラムの時や、あるいは学校生活において、女の子同士でめくられた時はあった。その時も恥ずかしかったけど、浩介くんにめくられてパンツ見られた時の恥ずかしさはその数倍にもなる。

 

「よ、よし……もう一回」

 

 浩介くんが唾を飲み込むと、またあたしの制服のスカートの裾をつかむ。

 今度はゆっくりとめくられる。

 

「やーん」

 

 両手で抵抗しようとするともう一方の手で払いのけられる。

 

「んぅっ……」

 

 あうあう、ちょっとずつパンツが見え始めて、一気にめくられるより恥ずかしいよお……

 

 浩介くんが膝を曲げて目線を下げる。

 

「あうう……観察されちゃってるよお……」

 

「お、おい、それ反則だろ……」

 

「だってぇ……恥ずかしいんだもん!」

 

「俺だから恥ずかしいんだろ? もっと恥ずかしがってよかわいいからさ……」

 

「はうぅう……えっちぃ~」

 

 とんでもなく甘い声が出る。

 もうこのまま犯されてもいい。

 浩介くんの前なら、もっと恥ずかしい思いをしたい、もっと浩介くんにえっちなあたしを見て欲しい。

 信じられない。あたしは今、自分の醜い本性を、浩介くんにさらけ出してしまっている。

 ううん違う、これはあたしの「被虐願望」、浩介くんに……乱暴されたい。

 あたしの中の女の子が、ううんあたしの中の「メス」が、「オス」に振りまく本能。

 

「あの……あたし……その……」

 

「どうしたの優子ちゃん?」

 

 浩介くんにスカートをめくられながら話しかけてられる。

 

「こ、浩介くんになら……ううん、浩介くんに……その……」

 

 だめ、言えない……恥ずかしすぎる……!

 

「ん? もしかして言えないこと?」

 

  かあああっ

 

 あたしはまた顔が赤くなる。

 何となく沈黙が流れる、時折風が吹いてパンツに風が吹き付けるのが更に羞恥心を煽る。

 あうぅ……恥ずかしくてもう耐えられないよお……

 

「あの……浩介くん……」

 

「え?」

 

「そろそろ……スカート元に戻してえ……」

 

「あ、う、うんゴメン」

 

 浩介くんが手を離し、スカートが元に戻る。

 

「浩介くん、機嫌直った?」

 

「直ったも何も、お、俺……!」

 

 あたしは視線が下半身に行く、黒いズボンだからあまり見えないけど、でも固くなっていそうだ。

 

「ふふっ、なんかあたしも体が熱いの」

 

「そ、そうだな」

 

「ねえ、文化祭一緒に回ろ?」

 

「う、うん……」

 

「じゃあ戻ろっか」

 

 あたしは浩介くんの前を歩く。

 そして屋上のドアを開けようと手をかけた次の瞬間だった。

 

  わさわさっ

 

「きゃあ!」

 

 浩介くんにスカートの中に手を入れられ、お尻を触られてしまう。

 あの時の痴漢でさえスカートの中に入れてこなかったのに。

 

「もう! 浩介くんのえっち! 皆の前にいる時にはしないでね!」

 

 さすがに誰かがいるときにはしてほしくない。

 

「わ、分かってるって……そ、それよりちょっと……トイレ行ってきていいかな?」

 

「あ、うんいいよ。長くなりそう?」

 

「う、うん……」

 

「ふふっ、いってらっしゃい」

 

 浩介くんが屋上の階段を駆け下り、近くのトイレへと向かう。あたしは一人取り残される。

 

 あんなにえっちなことをされたのに、嫌悪感の信号が、全く出なかった。お尻を触られた時もだ。

 あたし、ますます女の子になってる。

 ……うん、これならおそらく、文化祭中に告白できる。

 

 恋人同士になったら、まずキスしたい。

 今でも、キスをしたくてたまらない。触れ合えば触れ合うほど、浩介くんが素敵になっていく。

 

 さっきのことを思い出す。風にスカートをめくられ、あたしは悲鳴を上げてスカートを抑えた。

 そして浩介くんを誘惑して、スカートをめくられて……あうう……

 

 そういえば、悲鳴の時……あたし「きゃあ」って声あげちゃった。

 今までも他の女子があげている所を聞いたことはあったけど、今までの記憶を辿ると、何とあの時にあげたのが初めてだということに気付いた。

 確かに屋上は風が強いが、数ヶ月間女の子をやっていて、風に弱い制服のスカートでも大きくめくれちゃったことはなかったから油断していたというのもある。

 

 ともあれ、突然えっちな風さんにスカートをめくられて、思わずあげた女の子らしい悲鳴。

 多分、あれが浩介くんを更に興奮させたんだと思う。

 

 そして、恋をするに連れて見えてきたのが、あたしの「醜い」部分。

 でも、それをきっと浩介くんは受け入れてくれるに違いないという自信があった。何故なら、男の子はそう言う「醜い女の子」が大好きだということを、あたしは優一の経験から知っていたからだ。

 

 そう言えば、さっき永原先生に渡されたURLの紙、一体この先に何があるんだろう?

 うん、まだ怖い。開くのはもっと後にしよう。

 

「ふう……浩介くん遅いなあ……」

 

 屋上までの階段は一回転していて、下の様子は会話からはうかがい知れない。

 今なら誰もいない。

 

「んっ……」

 

 あたしは自分でスカートをめくる。しましまのパンツが丸見えになり、そしてさっきのことを思い出す。

 ただ恥ずかしいだけではなく、もっと強い興奮が、以前からもあったけど……抑えられない。

 

 屋上は何もないことを、生徒はみんな知っていたから、誰もここには来ない。

 

 ……ちょっとだけ、触っちゃおうかな?

 ふとそんなことを何の気なしに思った。

 

 すると、誰かが駆け上がる音がする。

 

「わっ」

 

 慌ててスカートを元に戻す。

 すると、来たのはやっぱり浩介くんだった。

 

「ごめん、お待たせ」

 

「長かったじゃない、どうしたの?」

 

「え、いやその……」

 

「ふふっ、もしかして、トイレっていうのは海の時と同じ?」

 

 あたしがぐいっと迫る。ここは肉食系で行きたい。

 

「あ、あの……女の子がそういうの……!」

 

「ふふっ、浩介くん、女の子だってそう言う気持ちになることあるのよ。ましてや……浩介くんの前だよ……」

 

 また二人して顔が真っ赤になる。

 恥ずかしいけど幸せな時間。

 

「はいはい、ともあれ、俺も嫉妬なくなったよ」

 

「ホント? 嬉しいなあ」

 

「だってよお、あんなことしてもらったらさ……」

 

「ふふっ、そうそう、じゃあ回ろうか?」

 

「う、うん……」

 

 もうすぐ正午になる。

 生徒会からミスコンの放送が流れ、中間結果が体育館に張り出されるとのこと。

 

「どうする? 結果見る?」

 

「あーいや、他のクラスの展示を見ようか」

 

「う、うん……」

 

 あたしたちは2年4組から文化祭周りを再開する。2年4組は迷路。以外に早く終わってしまった。

 

「やっぱ壁伝っちゃうとすぐだよなあ……」

 

「うん」

 

 そうは言っても攻略法を知っているからやめられない。

 続いて、3年生の展示を見る。

 ここは夏にあった修学旅行のレポートの展示の他、観光案内や無料休憩スペースなんて言うのもある。

 

 確かにこの文化祭、休憩所が少ないので、なかなかうまく穴場を付いたと感心させられる。

 ちなみに、この休憩所、更にお金を払えばマッサージなんて言うサービスもあった。

 

 あたしは浩介くんを置いて、肩こり解消のマッサージを頼んだ。

 

 ちなみに、マッサージ師は同性の相手になっているので、浩介くんの嫉妬の心配はない。

 

 

「んー! 気持ちよかったー!」

 

「優子ちゃんは相変わらず肩こりだなあ」

 

「うーん、どうも治りそうにないわねえこれ」

 

 肩こりの対策は、半ば諦めムードになっている。仕方ないと言えばそうだろう。

 時折こうやってマッサージしてもらうことで、肩をほぐしてもらおう。

 

 さて、他の3年生の出し物と言えば、やはり模擬店でアイスクリームやお菓子などを提供している。

 

「優子ちゃんは何にする?」

 

「あたし、チョコレートアイスクリーム」

 

「よし、俺はバニラアイスだ」

 

 アイスクリームの量は少ないけど、これとうちのメイド喫茶の軽食と合わせればそれなりの量にはなってくれる。

 ともあれ、これにて3年生も終了になる。

 

「ふう、とりあえず1年生の所に行く?」

 

「そうだな。部活周りは明日でいいだろ」

 

「そうだねえ……」

 

「お、そうだ。今なら空いているだろうし、ミスコンの中途結果見てみる?」

 

「うん」

 

「じゃあ体育館行こうか」

 

「うん」

 

 あたしたちは体育館へ、行く。すると体育館の壁に、ミスコン結果のポスターが張ってある。

 1位から順に上から公開されている。

 

「ふう、緊張してきた」

 

「え、あ! 見てよ優子ちゃんが1位だよ!」

 

「え!?」

 

 あたしが一番上を見上げてみる。

 そこには確かに「1位、石山優子ちゃん」と書いてあり、得票数がある。

 

「2位は誰だろ? お、同率順位らしいぞ」

 

 2位の位置、あたしよりも一段下には写真が2枚並んでいる。

 

「お、木ノ本が2位か。それから……永原先生か!」

 

 あたしもそれを確認する。「2位、木ノ本桂子ちゃん」そして「2位、永原マキノちゃん」と書いてある。

 永原先生の所は「永原マキノ先生」の「先生」上に横二重線があって「永原マキノちゃん」に書き直されている。

 多分、永原先生の差し金だ。

 

「『永原マキノちゃん』って……」

 

 普段先生だということを知っているからシュールに見えるけど、翌日の一般公開では何も言われ無さそう。

 むしろ見た目的にはこの中で一番「ちゃん」が似合ってる。まああたしも呼ばれ方は浩介くん含めて「優子ちゃん」が一番多いけど。

 

「得票率も僅差だよなあ……」

 

 よく見ると、永原先生は「教師票」が、桂子ちゃんは「女子票」が、あたしは「男子票」が多いとある。

 とはいえ、生徒票の方が多いから、永原先生は生徒からもかなりの人気であることが伺える。

 

 ちなみに、予選の時点でこの3人がぶっちぎりで、4位以下に6倍もの差をつけていた。

 なんかもう序盤でこんな大差つけられたら他の子達やる気なくしているとしか思えない。

 

「あれ? 石山先輩!」

 

「ん? ああ! こんにちは」

 

 昨日写真取った時にいた一年生の子だ。

 

「お、この子は一体?」

 

「昨日この写真撮った時に一緒になったのよ」

 

「あーあ、私は真ん中辺かあ……いいなあ石山先輩は1位で」

 

「えっへん。でも最下位は数票しかなくてちょっとかわいそう」

 

「そうだな。自分や親友の温情で入れたのも含めれば実質ほとんど0に近いよな……って」

 

「「あ!」」

 

 あたしと浩介くんが一斉にはっとなる。

 

「どうしたんですか?」

 

「いや、その……あたし、自分で自分に入れるの忘れてた」

 

「俺も、優子ちゃんに入れるの忘れてた……」

 

「「あはははは……」」

 

 思わず苦笑いしてしまう。

 

「まあ、どっちにしても予選の中間とはいえ、1位だから良かったんじゃないですか? それに、予選投票もまだ終わっていないですよ」

 

「あ、そうだった」

 

「ほら、あそこの生徒会の人に頼んでみてください」

 

「あ、ありがとう」

 

 一年生の子と別れ、受付まで行く。

 

「すいませーん」

 

「はい」

 

 生徒会の人、どうやら守山会長ではないらしく、名前は知らない。

 

「あの、ミスコンの投票をしたいんですけど」

 

「ああうん。分かった。名前は?」

 

「はい、2年2組の石山優子です」

 

「同じく2年2組の篠原浩介です」

 

「はい、石山優子に篠原浩介……了解」

 

「じゃあこの得票用紙を持って、記入して、この箱に入れてください」

 

「「はい」」

 

 あたしと浩介くんが机に向かう。

 なんかニュースで見る選挙の投票所みたいだ。

 

 あたしはもちろん「石山優子」と書く。

 

「浩介くん、書き終わった?」

 

「おう。優子ちゃんに入れたぜ」

 

 そう言うと浩介くんが「石山優子」と書かれた紙を見せてくれる。

 

「よし、それじゃあ投票しようか」

 

「うん」

 

 あたしたちは生徒会の受付に戻り、投票箱に紙を入れる。

 

「投票締め切りは最終結果が午後3時に出ますのでお待ち下さい」

 

「はい」

 

「さて、メイド喫茶に戻ろうか」

 

「そうだな。軽食取りたい」

 

 というわけで、あたしたちは2年2組のメイド喫茶に戻ることになった。

 

 

「あ、石山さんに篠原君。おかえりなさい」

 

「あ、永原先生」

 

 メイド服姿の永原先生が出迎えてくれる。

 

「そうそう、ミスコンの結果どうだった?」

 

「え、えっとその……」

 

 浩介くんが結果を言うのに躊躇してる。

 

「暫定だけど、あたしが1位で永原先生と桂子ちゃんが僅差の同率2位だったよ」

 

「むー、やっぱり石山さんが1位かあ……」

 

 永原先生が残念そうな顔をする。

 

「でも桂子ちゃんと並べただけでもすごいと思うわよ」

 

「むむむ、優勝できないと意味が無いのに……」

 

 永原先生結果を知らないということはあの「永原マキノちゃん」は永原先生の差し金じゃなかったのか。

 

「先生、まだ前哨戦ですよ」

 

「おっと、そうだったね」

 

「それに本当にあたしとの順位は僅差でしたから」

 

「というより、もう予備の時点で3人に絞られたというか、優子ちゃんも油断できないって言ってましたし」

 

「ちなみに、あたしは男子票、桂子ちゃんが女子票、永原先生は教師票が多かったよ」

 

 あたしはぴーんと胸を張る。

 何だかんだで男子票が多いのはあたしの自慢だ。

 

「むむ、優子ちゃん?」

 

「あらあら、篠原君嫉妬してるの?」

 

 永原先生が煽る。

 

「ああいや、別に……ちょっとだけ……」

 

「もう、またしたいの?」

 

 ちょっと意地悪っぽくあたしが言う。でも思い出しちゃうとあたしのほうが赤くなっちゃうかも。

 

「ああいや、もう大丈夫。うん」

 

「こらこら、ここはメイド喫茶だぞ」

 

「「はーい……」」

 

 よく見るとあたしがメイドしていた頃よりも男女比が均衡になっているのに気付く。

 また、永原先生のシフトなので、時間帯的にもそれなりに混雑していているのが分かる。

 

「へへん、私結構客寄せになっているのよ」

 

 確かに、先生がメイド服着ていて、しかも見た目は生徒たちより幼くてしかもかわいいとあればそりゃあ興味が湧くというものだ。

 そしてよく耳を傾けていると、2年2組のメイド喫茶ではそこかしこで客の生徒たちがミスコンの話題をしていた。




R-15だし、うん大丈夫だと思う

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