永遠の美少女になって永遠の闘病生活に入った件 作:名無し野ハゲ豚
「ねえ、浩介くん」
「ん?」
「浩介くんって上級でしょ? どんなのやるの?」
「上級者コースをパラレルターンしたりとかこぶがいっぱいあるコース滑ったりしてるよ……ちなみに、俺が一番うまくてインストラクターさん曰くプライズテスト受けてもいいんじゃないかってさ」
浩介くんは中学時代からスキーの経験者で、かなり才能があったらしい。
冬休み中も、よくスキーで鍛えていたらしい。
「へー、プライズテストって?」
「上級者が取る1級の更に上にあるんだよ」
浩介くんが説明してくれる。
「へえ、そんなのあったんだ、懐かしいわね。去年の2級テスト」
去年のスキー合宿の時、優一だったあたしがあまりにもうまいということで上級班からも追い出されて2級を受けさせられた。
1級は2級を合格していないと出来ないので、あたしは2級を急遽受けることになって、それに合格した。
ちなみに、浩介くんは既に1級を持っていたため、悔しい思いをしたのも覚えている。滑る技術についても、浩介くんと比べるとどうしても劣ってしまっていたし。
しかも採点基準によれば、1級合格は無理な点数だったけど、少しトレーニングすれば間違いなく合格できるはずだとかなんとか。
「あったなあ、あの時の優一は怖かったけど、スキー合宿の時は、唯一優越感を感じたな」
何だかんだで、優一時代も体育系の時はいつもの仲の悪さもちょっと変わってた気がする。
「うんうん、でもプライズテストってどんな感じ?」
「あーいや、今の俺じゃまだ無理だよ。全力で対策をやって不合格になる自信がある。もうちょっと急斜面でコントロール出来ないとダメだよ……とにかく1級とは訳が違うから」
浩介くんが無理無理アピールをしている。
「そ、そんなに難しいの?」
「そりゃあ指導員でも落ちる様なレベルだぞ。人に教えるよりも相当な技術が要求されるんだ」
ともあれ、あたしから見れば雲の上の世界だ。深く詮索しないことにしよう。
「さ、そろそろ夕食だな」
「うん。行こうか」
浩介くんとスキーの話をし、ニュースをチェックしてから夕食に向かう。
テレビでは、蓬莱教授の話はもうしていない。
なんかニュース番組って鳥頭な気もする。それだけ世の中に情報が溢れているという意味でもあるけど。
まあいいわ。ともあれ、今のあたしたちもスキーで疲れた体を癒やしたいし、とにかく食事でエネルギーを補給しよう。
夕食の内容は、昨日とはちょっと違う感じで、それぞれが注文する形。
1000円までは無料だけどそれ以上は自腹になる。
あたしたちは焼肉定食2人前を頼んだ。
ちょうど1人前が1000円だったので、これにした。
周囲を見てみると、やはり似たような頼み方をしている人が多い。貧乏性の本領発揮と行ったところかも。
「お待たせいたしましたこちら焼肉定食になります」
「ありがとうございます」
在庫処分ということで、大盛りなども無料でサービスしてくれるという。
浩介くんは大盛りを頼んだ、あたしは普通盛りでもちょっと多いので、浩介くんに更に4分の1を分けた。
「「いただきます」」
焼肉の味は普通、家でも作れるくらいの肉の味。
でも定食の内容、味噌汁などは美味しかった。
「それでさ、あいつったら上級のくせに――」
「へー、やっぱ無理な申告をしちゃダメだよねー」
浩介くんとの話題、どうしても家族風呂を避けてしまう。
でも、いよいよその時が訪れてきている。
あたしは覚悟を決めて、食べている浩介くんに話しかける。
「ねえ、浩介くん……」
「ん?」
「お風呂……どうする?」
「え!? ああ、いやその……まあ、うん」
お風呂の話題になると、途端に浩介くんの歯切れが悪くなる。
やっぱり緊張しているみたい。あたしのこのわがままボディが浩介くんの前で脱ぐわけだもんね。
でも、あたしにとっても、浩介くんの前で、初めて裸になるということ。
今までも露出高い格好したり、えっちな所を触られたりしたけど、裸を見られるのはまた別のこと。
家族風呂最後のお客さん、あたしたちは思う存分使っていいと言われた。
食べ終わったら、すぐに誘おう。
きっと、一回入ってしまえば、少しは楽になる。
どうせ今日は入らないといけない。
それなら、少しでも早い方がいい。せっかくホテルの人が準備してくれたんだもの。
「ごちそうさまでした」
「うん、じゃあ部屋に行こうか」
あたしが食べ終わり、浩介くんが部屋に向かう。
そして、家族風呂との分かれ道に差し掛かる。
「んっ……」
あたしは、後ろから浩介くんの服の袖を引っ張る。
「ゆ、優子ちゃん、ど、どうしたの?」
「お風呂、入りたい……」
あたしは意を決して、浩介くんに伝える。
「お、おう……でもほら、タオルとか持ってかないと」
「あ、そうだったわね、うん……」
浩介くんの指摘で初めて気付く。
ドキドキドキドキ
あたしの心臓はずっと高鳴っている。
これから浩介くんにされること。
浩介くんは理性で抑えているけど、裸になれば多分、もっと刺激するはず。
あたしの身体、エロいもの。
女の子になったあたしでさえそう思うんだから、浩介くんは相当だろう。
部屋に戻り、鍵とタオルを3枚、そしてパジャマを取る。
「浩介くん、手、繋ご?」
「あ、ああ……」
あたしと浩介くんがぎこちなく手をつなぐ。
これから一組のカップルが家族風呂に入る。
例えしなかったとしても、間違いなく周囲からは「性行為をした」と思われてもおかしくない。
でも、どんな結果になっても悔いはない。
浩介くんが幻滅するってことはない。それは、あたしがTS病だから、分かること。
「んっ、ここ、だよな?」
そこは「家族風呂 ご予約のお客様に限ります」とある。予約しているのはあたしたちだけ。
だから事実上、あたしと浩介くんの専用風呂。
思い切ってあたしがドアを開ける。
「浩介くん、入って?」
「あ、ああ……」
浩介くんに続いてあたしが入り、扉の鍵を閉める。
中は小さな脱衣所と体重計、洗面台とトイレがあった。
奥を見ると檜風呂とやはりシャワーと鏡が5つある。
「こ、浩介くん、その……」
「あ、ああ……ぬ、脱がないとな、うん……」
浩介くんがあたしに背を向ける。
そして、意を決したように上着を脱ぎ始めた。
「んっ……」
あたしも、脱がないと。
そう思い、上着を脱ぎ、さらにトップス全てを脱ぎ、脱衣所で畳む。
いつもはそこまで畳まないけど、今日は浩介くんに全部見られてしまうからと思い、入念に畳む。
「ふう……優子ちゃん、まだ脱いでる?」
「う、うん……」
浩介くんの音がしない。多分、興奮と戦っているんだと思う。
スカートに手をかけ、ストンと下ろす。
こちらもかごに入れ、更にストッキングを脱ぎ、入れる。これでパンツとブラジャーだけになってしまった。
あたしは一瞬だけ振り返る。浩介くんの背中が見えた。
ああ、早くあそこを見たい。ってダメ、そんなこと考えたらまた濡れちゃうし、下品な子だって思われちゃうわ。
まずパンツを脱いで入れる。最後にブラジャーをゆっくりと外していく。
あうあう、恥ずかしいよお……
あたしはバスタオルを巻こうとする。
「ねえ優子ちゃん」
「な、何?」
「今どのくらい?」
「えっと、今は……その、タオル巻いてるわ」
背中越しで浩介くんに現状を報告する。
「あ、ああそうか……でもここ、タオル巻いて入るの禁止だぜ」
「も、もういいでしょ別に? ここはもうあたしたちしか入らないんだし」
あたしが反論するように言う。
「そ、そうか……」
浩介くんもそれ以上詮索してこない。
「で、出来たよ……」
あたしはタオルを巻き終わる。林間学校の時以来だったけど、それでも何とかうまく巻けた。
それでも、あたしの巨大な胸はいつも以上に目立っている。
浩介くんとあたしが向き直る。
浩介くんも、小さいタオルであそこを隠している。
あたしは、浩介くんの顔も見ないで「そこ」をガン見してしまう。
「あ、あの優子ちゃん……」
「うん?」
「え、エロいよな……俺も優子ちゃんも」
やっぱり、視線に気付かれていた。
「ああ、うん……か、身体洗おう?」
「そ、そうだな」
浩介くんが照れ隠しに扉を開けて中に入る。
隣同士ではなく、一番端と端を使う。どうしても距離を感じてしまう。
浩介くんの事で頭が一杯にならないうちにあたしは巻いていたバスタオルを脱いで体を洗う。
ボディーソープを付ける、鏡は曇っているというより、何かが引っ付いていて、石鹸で洗ってもうまく行かなかった。
かろうじて使える部分を使いながら、あたしは体を洗い、髪の毛を洗おうとする。
あ、しまった。お団子ヘアーにするためのヘアゴムを忘れてしまった。
うーん、今から取りに帰るのも恥ずかしいし、仕方ない。このまま入るしか無いわね。
髪が傷んじゃうから今は洗わないで出る時に洗おう。
ふと左を見ると、浩介くんが身体を洗い終わり、髪も洗い終わっていた。
「ねえ優子ちゃん」
「ん?」
背後から浩介くんが話しかけてくる。
「先、入っているね」
「ああうん、あたしもちょうど洗い終わったから」
「え!? 髪は?」
「うん、髪縛るヘアゴム忘れちゃって。仕方ないから出る時に洗うわ」
「そ、そうか」
「ねえ、浩介くん……」
あたしは意を決して立ち上がると、タオルには目もくれず、右手で両胸の乳首を隠し、左手で下の部分を隠して向き直る。
「うっ……」
浩介くんが思わず目をそらしてしまう。
多分、年頃の男の子にはとっても刺激の強い光景だと思う。
「お風呂、一緒に入ろうね」
「あ、ああ……」
あたしも、浩介くんを直視できない。
でも、浩介くんは必死になって隠そうとしている。
夏休みの海の時にも、水着越しで大きくなってるのを見たけど、かなり大きいようにも感じた。
ともあれ、あたしは浩介くんに続いて湯船の中に入る。
湯船の中でも、あたしは相変わらず恥ずかしそうに大事な所を隠していた。見られると、多分恥ずかしさに耐えられなくなっちゃうから。
浩介くんの方を見てみると、やっぱり「そこ」を両手で全力で抑えていた。
「ゆ、優子ちゃん……」
「あ、あはは……やっぱり、恥ずかしいわよね……」
「んっ……ったり前だろ……す、好きな女の子と、いいいっ、一緒、一緒にお風呂だなんて……」
あたしも浩介くんも、初々しく反応する。
でも、ここでうまく行けば、あたしと浩介くんの距離も一気にぐっと近付くはず。
まだ、見せられないけど、それでも背中合わせで顔をそらしている状況を変えるため、あたしがゆっくりと湯船の中を移動する。
「ねえ浩介くん」
「わっ、何?」
油断していたのか、浩介くんが慌てて抑えてくる。
あー、もう少しで見えたのに。残念だわ。
「今日はまだ、ちょっとぎこちないけど、明日も、それから明後日の朝も、ここに入ろう? あたし、もっと浩介くんのこと、知りたいの」
「お、おう、分かった」
浩介くんも、ぎこちなく返事をする。
明日も明後日も一緒にお風呂に入る、きっと今日以上に距離が近付くと思う。
「んっ……」
ちゅっ……
あたしが目を閉じて唇を前に出すと、浩介くんと軽く唇が触れる。
「優子ちゃん、愛してる」
「うん、あたしも。浩介くんのこと愛してるわ」
このまま、ずっとこのままで時間が止まっちゃえばいいのに。
でも、時間は止まってくれない。
だから、あたしたちものぼせてくる。
「ねえ、あたし、髪洗っているから先出てていいわよ」
「ああいや、俺も休んだらもう一度入るから」
「そ、そう……」
あたしは髪を洗うために、もう一度洗面台へと行く。
「ねえ優子ちゃん」
「ん?」
また浩介くんが背後から話しかけてくる。
「優子ちゃんって、お尻すごい大きいよね」
「ぶっ……も、もう!」
そりゃあ何回も触られているからってのもあるけど。
って、確かにこの角度だと、浩介くんからお尻丸見えだったわ。
いつもはお尻を見られるというと、スカートをめくられてパンツの上からで、直接見えたのは初めてだった。
うー、そう思っただけでますます恥ずかしいよお……
「な、なあ……やっぱ先に出るわ」
「そう? どうして?」
「ちょ、ちょっとトイレ! 長くなるから部屋に戻ってるよ!」
「ああうん、そうだよね」
浩介くんが、大急ぎで脱衣所へと行く。
あたしは目を凝らして、浩介くんの下半身を追ったけど、浩介くんのガードが固くて、パンツを穿かれるまで見えなかった。髪の毛を洗おうと思ったけど、何も洗えていない。
一人になった家族風呂、あたしは、浩介くんと同じ事情ができた。
見ることが出来なかったために、余計に頭のなかで妄想が掻き立てられる。
そして、下半身から液体が止まらなくなる。あたしは、我慢できなくなってお風呂の床に座り込む。
「んうっ……浩介くん……浩介くん……」
それはとても艷やかでエロかった。
あたしの艶めかしくて甘い声がお風呂の音響とともに音楽を奏でていたから。
何とか冷静になってあたしは髪の毛を丹念に洗った。
特に、お湯に付いてしまった先端部は、2度洗いを決行することにした。
体を拭き、脱衣所に戻って置いてあったバスタオルで身体を入念に拭く。
暖房が効いていても、さすがに寒い。あたしは急いでパジャマを着て、忘れ物がないか確認してから扉を開ける。
コンコン
「はーい」
「あたしだよ」
「優子ちゃん、入って大丈夫」
「はーい」
パジャマ姿の浩介くんが、昨日と同じように出迎えてくれる。
さっきとは打って変わって冷静な声。ホテルの部屋にあったティッシュの袋が、破れていた。
「いつの間にか、こんな時間になっちゃったね」
時間を見ると、昨日寝た時間を既に過ぎていた。
さっき「激しい運動」をしたのもあって、お互い疲労困憊している。
「今日は疲れたわね」
「ああ、特に最後のが疲れたよ……」
「あはは、あたしも……」
あたしも本能から女の子になって、自分で慰めるということが増えたけど、その全てが浩介くんに対してのもの。
浩介くんに犯されることばかり考えてしまう。
浩介くんはどうなんだろう?
「ねえ浩介くん」
「うん?」
「きっと2人で、幸せになろうね」
「ああ、もちろんだ。俺と優子ちゃん、2人でな」
もう、迷わない。
あたしと浩介くんはずっと一緒。
寿命で別れる運命を変えたい。
あたしの中で、確固たる決意へと変わっていく。そのためなら、誰を敵に回してもいい。
ううん、浩介くんが居る、永原先生だっている。それに、会のみんなだって、蓬莱教授がいる。あたしたちは、決して孤独などではない。
「あたしね、絶対に浩介くんを、不治の病から救って見せたいの」
「そうか、俺の『不治の病』か」
「うん、余命60年の不治の病をね」
あたしたちは、そう誓って、部屋の電気を消し、睡眠へと入った。
余命60年の不治の病。
蓬莱教授の技術なら、後40年は伸ばせるもの。でも、それでは根本的な解決にはなっていない。
もしあたしが蓬莱教授に協力すれば、少しはいい方向に進むと思う。そしてあたしも、必ず蓬莱教授の研究を成功させて見せたい。