永遠の美少女になって永遠の闘病生活に入った件   作:名無し野ハゲ豚

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スキー合宿3日目 浩介くんの晴れ舞台 ~スキーとお風呂~

 リフトで更に上へ。永原先生はぎこちないながらも何とか登りきる。

 そして浩介くんとインストラクターさんが何人か更にもう一つ上に行くことになっている。

 

「浩介くん、その……頑張ってね」

 

「お、おう……!」

 

 あたしが浩介くんにエールをかける。

 うん、きっと大丈夫だわ。

 

 浩介くんを乗せたリフトがどんどん高くなる。

 あたしは更に上層、このスキー場の山の山頂から降りる「超上級コース」を見る。

 そこはまるで断崖絶壁のようなえげつない急斜面で、それは優一の頃ならもしかしたら転ばずに滑れるかもしれないというくらいの場所だ。

 

 

「さあ、上を見てください。篠原浩介君が手を振っています!」

 

 司会の声につられ、あたしは上を見る。

 すると、片手でピッケルを振っている豆粒くらいの人が見える。

 あれが多分浩介くん。

 

 司会が無線で上のインストラクターさんと連絡している。

 

「さあ、準備が出来たようです! 皆さん注目してください!」

 

 その声とともに、浩介くんが滑り出す。

 まず大回りでターンしたと思えば、次は小回りでものすごいスピードで右の左にと行っている。

 時速は60キロ、いや、下手したら100キロ行ってそうなくらい速い。

 途中こぶがある所も、浩介くんは難なく進む。

 さっきの上級班の実演よりも歓声は少ない。

 それとは比較にならない位の神業で、みんな見とれている。

 さらに途中、ジャンプ台まであったが、さすがにそこは避けて通った。

 こちらに近付くにつれ、浩介くんはぐんぐんスピードを上げる。

 

 「ぶつかる!」と思った矢先、浩介くんが最後にパラレルターンをして山側と平行になって止まる。

 

「うおおおお、すげえええええええ!!!」

 

「篠原すげえええええええ!!!」

 

「キャー!!!」

 

 浩介くんが止まった瞬間、堰を切ったように歓声がどっとあふれる。

 浩介くんはゴーグルを付けていた。

 あたしは浩介くんに近付く。

 

 すると浩介くんが、ゴーグルを外した。

 

  どきんっ

 

 浩介くんのかっこいい顔に、どきっとしてしまう。

 スキーの素晴らしい滑りを見せた後の浩介くんは、一仕事やり終わった顔で、いつもより何倍もかっこよく見えた。普段は行動とか振る舞いとかに惚れるけど、今の浩介くんは世界一かっこよく見えた。

 

「浩介くん、素敵だったわ!」

 

 真っ先にあたしが浩介くんのもとへ行こうとする。

 浩介くんもまた、あたしを見つけると寄って行ってくれた。

 

「優子ちゃん、どうだった? お、俺の滑りは?」

 

「うん、最高だったわ!」

 

 あたしは多分、目がハートマークのなってると思う。

 男の子を好きになれるって、こんなに素晴らしいことなのね。

 

 見つめあうあたしと浩介くんに、周囲から「ヒューヒュー」という声が聞こえてくる。

 あたしは、浩介くんとキスしたいと思った。

 周囲の声が聞こえない。

 

「ねえ浩介くん、あたし……」

 

「あ、ああいや、ここはよそうよ」

 

「え!? あ、ごめん、そうだったね。えへへ……」

 

 あたしが思わず照れ笑いを出す。

 

 

「くそー! くそおおおお!!! ちっくしょおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!」

 

 突然、高月くんを中心にした男子の一団が、悔しさを爆発させた雄たけび声を上げていた。

 悔しそうにピッケルで雪を突いている人もいる。

 

「えー、それでは、ただいまを持ちまして、小谷学園スキースクールを終了いたします。これにて解散とします! ただいまより夕食時までは自由時間とします。各自スキーを楽しむなり、部屋で休むなりしてください。なお、絶対に決められたコースから逸脱しないこと。最上級コースは、1級以上の人以外立ち入らない下さい」

 

 司会が強引に話を終わらせ、自由時間に入る。

 

「いやー篠原君凄かったね」

 

「あ、先生、ありがとうございます」

 

 永原先生も関心している。

 

「いや、でもまだまだだな。まだ1級という滑りだ」

 

 浩介くんと一緒に滑っていたインストラクターさんが言う。

 

「あはは、だからプライズは俺のはまだ早いですって」

 

「でも、今日はクラウンの人の滑りも見れたし、いい収穫になったんじゃないか?」

 

「ま、まあね……」

 

「じゃあ石山さん、リフトで降りましょ」

 

「うん、じゃああたし、子供たちと一緒に一番下まで降りるわね」

 

「お、おう……」

 

 リフトの下りを使う。なんか新鮮だけど、仕方ない。あたしも永原先生も、あそこを滑るのは危険すぎる。

 浩介くんが、ゆったり滑っているのが見えた。そしてあっという間に見失ってしまった。

 

 子供たちと一緒に降りて行ったので、あたしたちはそこまで恥ずかしくなく、最下部まで降りてきた。

 

「はーい、じゃあ私達も自由時間にするわよ!」

 

「「「はーい!」」」

 

 例の場所の近くで、インストラクターさんが自由時間を宣言する。

 

「お、優子ちゃん達も自由時間?」

 

「あ、浩介くんいたんだ」

 

「ああ」

 

 小学生たちが雪合戦をしている。

 ここは子供向けスペースで、ほとんど平らに近いような傾斜だから、雪合戦やそりに講じている子供たちもいる。

 

「ねえお兄ちゃん、お兄ちゃんってさっきてっぺんから滑ってきたよね?」

 

「あ、ああ……」

 

 女の子が浩介くんに話しかけてくる。

 

「すっごいかっこよかったよ!」

 

「おう」

 

 ちょっとだけ焼きもちを焼いてしまう。子供にヤキモチ妬いてもしょうがないのに……

 

「それで、お姉ちゃんとラブラブなの!?」

 

「ぶっ……!」

 

 またこれだわ。子供の純真さ故の質問。

 

「ほら、君にはまだ早いよ」

 

 あたしがそう言うと、浩介くんとの間に立つ。

 

「えーつまんないの!」

 

「さ、ともかく、お姉ちゃんたちとそりで遊びましょう?」

 

「うん!」

 

 女の子が元気よく返事する。

 これもまた、子供ならではの切り替えの早さだわ。

 

「浩介くんもそりで遊ぶ?」

 

「え、俺はちょっと……」

 

「ねえねえお兄ちゃん、雪合戦しようよ!」

 

 別の男の子が、浩介くんに声をかけてくる。

 

「おう、じゃあ俺、こっち行くから」

 

「うん」

 

 浩介くんが男の子の集団に混じる。

 あたしたちはいったんスキー靴から、雪山向けの長靴に履き替える。

 レンタルのスキーセットなので、あたしたちは返却口へ。浩介くんのはマイセットなので、ホテルの人がバスの荷物スペースに入れてくれるらしい。

 

 あたしたちは傾斜を上り、そりに座る。

 何とか足の力で支えるけど、足を離したら間違いなく滑り降りてしまう。

 ちょっとだけ怖い。

 

「じゃあいくよ、よーい……どん!」

 

 女の子の掛け声とともに、あたしたちは一斉に足を離す。

 そりは意外にスピードが出ない。でもゆったりのんびりしていてこれも楽しいわね。

 山の斜面が平らになると、摩擦力が強くなり、そりは自然と止まった。

 

「もう一回やろうよ!」

 

「うん!」

 

 女の子の声とともにもう一回。

 あたしたとはこれを何回か続けると、雪合戦のほうを覗いてみた。

 

「うえーん、お兄ちゃん強すぎる!」

 

 どうやら、インストラクターさんと浩介くんがそれぞれ大将になって雪合戦をしているみたいだけど、浩介くんが強すぎてゲームにならないみたい。

 

「浩介くん、手加減してる?」

 

「うん、してるつもりなんだが……」

 

 浩介くんも気まずそうな顔をしている。

 

「ねえお姉ちゃんは雪合戦どうなの?」

 

「う、うん、あたし、体育大の苦手よ」

 

「ねえねえ、お兄ちゃんに代わって出てよ」

 

「うん」

 

 子供の声で、あたしが浩介くんの代わりに大将になる。

 

「じゃあ、俺が審判やるぞ」

 

 浩介くんが審判を買って出た。

 浩介くんの掛け声で雪合戦をしてみたけど……

 

 

「うーん、お姉ちゃんは弱すぎ」

 

「大将って感じじゃないわよね」

 

「だって、小学生と言っても男の子相手だし」

 

 あたしの身体能力は小学校高学年女子水準だし。

 中学年とは言え男子相手はきついわね。

 

「あら、小学校高学年あたりまでは女子の方が強かったりするわよ」

 

「あれ? そうだっけ?」

 

 永原先生のツッコミ。あたしは子供時代がないのでよくわからない。

 

「ええ、中学に入って男子が追い抜くんだよ」

 

 そう言えば、優一だった頃のあたしも小学校6年生の時は、確かに桂子ちゃんとほとんど背が同じだった気がする。

 ってことはこれはどういうことだろう? いくらあたしでも小学校中学年に負けるほど弱いとは思えないけど。

 

「石山さん、雪国育ちじゃないものね」

 

「そう言う永原先生も、あなたスキーの時が嘘のようにうまいわね」

 

 インストラクターさんが言うように、永原先生の雪合戦の腕前は天才的だった。

 どれくらい凄いのかというと、浩介くんと試合になるくらいすごい。

 さすがに男女の違いもあって浩介くんに勝ち切ることはできないけど、それでも何度も浩介くんを追い詰めていた。身体能力差を考えれば凄まじいことだと思う。

 

「だって私、戦乱の時代の、長野の生まれですもの。雪合戦なら、それこそ男だった頃からしてましたよ」

 

 そう、永原先生はまさに戦国時代の人特有の「勘」が冴えていた。

 様々なエピソードを積み重ねることで、永原先生が戦国時代の人であることが分かる。

 

「本当、どうしてスキーがあんなのダメなのか不思議だわ」

 

 インストラクターさんがいかにも不思議そうに言う。

 

「だって、戦国時代にスキーなんて無かったし」

 

「……まあいいわ」

 

 こうして、あたしたちは楽しい自由時間を過ごした。

 

 

「「「永原先生、優子お姉ちゃん、浩介お兄ちゃんさようなら!!!」」」

 

「「「さようなら!!!!」」」

 

 元気よく挨拶し、子供たちがインストラクターさんの引率で帰っていく。

 あたしと永原先生はスキーウェアを着替えて返却し、浩介くんと部屋に戻った。

 

「食べるか」

 

「うん」

 

 自由時間が終わると夕食の時間。

 今の時間帯は混んでいるけど仕方ない。

 食堂は「さようなら、疋田スキーホテル第一食堂 最後の晩餐」と称して垂れ幕がかかっているが、バイキングの内容はいつも通りと見受けられる。

 在庫一斉処分ということで、何と持ち帰りまでOKという大盤振る舞いをしていた。

 

「明日の朝食はどうするんだっけ?」

 

「ほら、一室一室に持ってきてくれるみたいよ」

 

「へー楽しみだな」

 

 楽しみといえば今夜のお風呂、またすごく恥ずかしい思いをしそうだけど、浩介くんが喜んでくれると思うと、楽しさが勝ってしまう。

 あたしは浩介くんと一緒に夕食を楽しんだ。

 なんかいつもより美味しい味な気がした。

 このホテルは廃業するわけでも無いし、あちこちでボロボロになっていて、見ぬからに限界だった。

 にも拘らず、いざ無くなるとなるとどこか寂しく思えてしまう。

 人間というのはわがままな生き物ね。

 

「「ごちそうさまでした」」

 

 あたしと浩介くんでごちそうさまをする。

 そして、緊張を悟られないために、努めて笑顔で話しながら、部屋に戻る。

 

「ね、ねえ浩介くん……」

 

「うん……」

 

「今日も、入るんだよね……」

 

「当たり前だろ? せ、せっかくホテルの人がサービスしてくれたんだから、さ」

 

 浩介くんも、昨日の今日だと言うのに緊張はほぐれない。

 クラスの女子皆の前で裸になるよりも、ずっとずっと恥ずかしい。

 それはきっと、浩介くんが好きな男の子だから。

 

 一言を切り出せず、時間ばかりが過ぎていく。

 でも、お風呂に入らないわけにも行かない。

 

「あ、あの……」

 

「あ、ああ。行こうか」

 

 ぎこちなく返事する。

 勇気を出して、優子。昨日より、開放的にならないと。

 

 あたしたちは、昨日と同じように家族風呂に入る。札を「使用中」に合わせる。

 

「ね、ねえ浩介くん」

 

「何?」

 

「きょ、今日は隣で洗おうね」

 

「あ、ああ……」

 

 まだ脱ぐところを見られるのは恥ずかしい。

 いや、浩介くんと入るだけでも恥ずかしいけど、それは我慢しないと。

 

 

 2回目なのに、いや、まだ2回目なせいか、あたしたちは背中合わせに脱ぐ。

 あたしは、巻くためのバスタオルに手をかけて引っ込める。

 

「ごくっ……」

 

 あたしがつばを飲み込む。

 あたしは何も着けずに浩介くんの背中を見る。覚悟を、決めなきゃ!

 

「なあ、出来た?」

 

「うん、こっち向いてくれる?」

 

 浩介くんが恐る恐るこっちを向いてくる。

 

「あっ……わっ!」

 

 浩介くんが反射的に顔を隠す。

 浩介くんの下は昨日と違って、タオルを巻いて隠されていた。

 あたしは、巻かなかった。

 

「浩介くん、お願い!」

 

「うっ……その……」

 

「あたしを見て。一緒に、お風呂は入るでしょ?」

 

「でも、俺……理性が……」

 

「いいわよそんなこと!」

 

「でも結婚までは……」

 

「分かってるよ。でも、一緒にお風呂は入るんだから、ね。最後まではしないけど、さ」

 

「う、うん……」

 

 浩介くんも、理性をつなぎとめるために必死になっている。

 

「あ、あの……ジロジロ見ないでよ」

 

「浩介くんだって、あたしの身体、ジロジロ見てるわよ」

 

「うっ、だ、だって……」

 

 浩介くんもあたしも、身体はとっても正直。

 ああ、今すぐ、浩介くんの身体をキス以外の方法で、口に含んでみたい。

 どんな味がするんだろう?

 あたしは女の子らしく、男の子に興味津々だった。

 

 あたしたちは、大浴場に入ったら、混浴ということで、タオルで何も隠さず、体洗い用のタオルだけを持って洗面台へと行く。

 今度は近くで隣り合って。浩介くんがちらちらとあたしの胸を見てくる。

 浩介くんに見られちゃってる、そう意識するだけで、あたしの興奮が高まってしまう。

 でも、今はちょっとだけ体を洗うことに集中する。

 

 身体を洗い、ボディーソープを着けてそしてシャワーで髪を洗う。

 昨日忘れてしまったヘアゴムを使い、お団子ヘアにする。

 

「優子ちゃん、その髪型……」

 

「うん、髪の毛をお湯につけないようにしなきゃいけないから……これは最近になって編み出した髪型だから、他の人に見せたのは浩介くんにだけよ」

 

 あたしは本能的にお得感を煽る。

 あたしの視線は常に浩介くんの股間の方に向く。なんだろう、苦しそうにしている気がするわ。

 

「ゆ、優子ちゃん、こ、ここばっか見ないでよ」

 

 浩介くんがちょっとだけ隠す。

 

「だって、あたしだって女の子だもん」

 

「うっ、やっぱり女の子って興味あるのか?」

 

「もう、当たり前でしょ。あたしはもう、心の底から女の子なんだから」

 

 本当は、まだ「男」が出ることもよくあるけど。

 でも、浩介くんのが結構大きいことに安心した。

 でも、あたしが優一だった頃ってどうだったっけ? うーん、思い出せないや。

 

「ねえ、入ろう」

 

「うん」

 

 あたしは浩介くんと腕を絡める。

 自然と胸を当てる。

 

「ゆ、優子ちゃん当たってる!」

 

「当ててるに決まってるでしょ? どう……かな?」

 

「どうも何も、はぁ……はぁ……すげえ柔らかくて……女の子って……はぁ……はぁ……」

 

 浩介くんの理性が崩れかけている。

 あたしもあたしで、さっきから浩介くんにいつ襲われるか、いつ犯されるかそればかりを考えている。

 

 檜風呂温泉の温かい感触。

 浩介くんのが屈折して面白い。全くもって小さくなる気配さえ見せない。

 

 あたしからも、ずっと股から水が出ていて、檜風呂にちょっとだけ、あたしが混じる。

 それを浩介くんが入って……ってダメでしょそんなこと考えちゃ!

 

「ねえ、昨日より熱くない?」

 

 確かに、お湯が昨日より熱く感じる。

 

「温度変えたのかな?」

 

 あたしがあえてすっとぼける。

 

「ど、どうなんだろう?」

 

「あはは……」

 

 本当はあたしたちが恋人の裸を見て興奮して「自家発電」しているせいだと分かっていたけど、言えなかった。

 湯船に浸かっていた時間は昨日より短い。

 

「ふう、のぼせたから休むわね」

 

 興奮は残っているけど、恥ずかしさは大分薄れて来た。

 あたしはのぼせた体を効率よく冷やすために何気なくお尻を付けて脚を開いた体育座りのような座り方で休む。

 

「ゆ、優子ちゃん! その座り方やめて!」

 

「え、あ! やーもーどこ見てるのよ……」

 

 急に恥ずかしさがこみ上げてきて、あたしは大事な部分を両手で隠した。

 無防備な座り方したあたしにも原因あるけど。

 

「さ、俺も休む」

 

 浩介くんがあたしのすぐ隣に行き、身体を冷ます。

 顔が近い。

 

「ねえ、浩介くん……」

 

「うん……」

 

「「ちゅっ……」」

 

 どちらからともなくキスをする。

 

「んっ……はぁっ……」

 

 浩介くんが何も言わずにあたしの胸を直接触ってくる。

 快感に怯み、ディープキスが途切れ、唾液の糸が流れる。

 

「はぁ……はぁ……優子ちゃん……」

 

「ねえ、浩介くん、あたし、あたしもう我慢できないの……お願い……」

 

「お、俺だって我慢できねえよ。でも、やっぱり、今は……だめだよ……赤ちゃん出来たら、どうするんだよ……」

 

 浩介くんが、理性を振り絞ったような声で言う。

 赤ちゃんという単語に、あたしの中で、急速に理性が芽生える。

 まだ見ぬかわいい我が子、育てられないからと殺すのは絶対に嫌だという気持ちになった。

 

「うん、そうだよね。あがろうか?」

 

「でも、ちょっとだけ、胸とお尻だけ……触らせてくれるか?」

 

「う、うん……」

 

 浩介くんが両手を使い、あたしの胸を触ってくる。

 

「やぁ……んっ……」

 

「すげえ、優子ちゃん、柔らかいよ……」

 

 そして、浩介くんの手で、優しくお尻を撫でられる。

 

「やっぱり、女の子の身体ってすごいや」

 

「えへへ、あたしを独占できて、浩介くんは満足?」

 

 あたしが聞いてみる。

 

「満足も何も、不満なんか持ちようねえだろ……こんな……」

 

「ふふっ……」

 

「なあ、俺、ちょっと部屋に先に戻ってる。トイレ行きたい」

 

「はーい」

 

 浩介くんが「もう限界! 我慢できない!」のアピールをする。

 あたしは1人、また取り残される。

 

 自然と、あたしは自分で自分の体を触ることにした。

 

 

 昨日よりも、激しい「絶頂」、あたしは、一瞬意識が飛んでしまった。

 気付いたら、大の字で寝っ転がっていた。

 あたしはもう一度湯船に入り、ヘアゴムを解いて、身体を拭き、パジャマに着替えて部屋に行く。

 

 パジャマはあの時と同じ、ワンピースタイプのパジャマ。寝ている間にめくれ上がってしまうスケベ仕様。

 すっかり、お泊りデートの勝負服になってしまっている。

 裸を見られたけど、実際はパンツ見られただけでもすごい恥ずかしい。

 恥じらいの心は絶対に失っちゃいけないし、あたしも女の子として、理性が崩壊しても、極力守り続けたい。

 

  コンコン

 

「入っていい?」

 

「うん」

 

 浩介くんの声とともに、部屋に入る。

 浩介くんは冷静な声で、かなり疲れた顔をしている。

 

「はぁ……はぁ……ふう……もう、俺、疲れた……」

 

「うん、あたしも……」

 

「今すぐ寝たい……」

 

「そう、だね……」

 

 よく見ると、時間は昨日より早い。

 でも、疲れ切って、今すぐ寝たいという睡眠欲が勝った。

 あたしたちは、電気を消して、一切話さず、すぐに布団で寝ることにした。


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