永遠の美少女になって永遠の闘病生活に入った件 作:名無し野ハゲ豚
次のコーナーからは叫び声を抑える必要はないけど、今度は「注意力」が試されるらしい。
「えーと何々……『ここでは違法な実験がなされていたようだ、あちこちに爆発物がある、その爆発物は黄色く光っているが、踏むとたちまち爆発してしまう』……だって」
つまり、気付かずに踏んじゃうと落とし穴へドボンというわけね。
ともあれ、先程のカードのようなものを中に入れる。
ピンポーン。
ややマヌケな音が笑いを誘う。ともあれこれで空いた。
今頃スタッフさんは鍵をせっせと回収して、別の所に隠してるのかな?
って、そんなこと考えちゃダメよ優子。
ともあれ、こちらも家具や備品類が全て壁にある。
殺風景で不気味この上ないこの部屋だけど、幸いにも、棚の中はほとんど光るものばかり、また、踏むとまずい火薬も、比較的固まっていて、ここには鍵がないということはすぐにわかった。
「優子ちゃん、次の部屋がありそうだよ」
「う、うん……」
ひときわ大きく光る物体。その山を跨げば、次の扉が開けそう開けそう。
「よっと、優子ちゃん、そこで待ってて」
「う、うん……」
浩介くんが扉を開いて開けてみると、そこは細長い廊下のようになっていた。
「優子ちゃん、足元に気を付けて」
「う、うん……」
あたしも、慎重に浩介くんについて行く。
「とにかく、気を付けて」
「う、うん……」
廊下は細く、足の踏み場は限られている。
慎重に慎重に……
きゃああああああああ!!!
「わっ」
「な、何……!?」
どこからともなく急に女性の声がして、ビクンとなる。
ピピピピピ……
すると、別のセンサーが反応する音が聞こえた。
バタン!
「きゃあ!」
「おわっ!」
通算4回目のゲームオーバー、あたしは落下中、両手で必死にスカートを抑えたけど、後ろがお留守になってしまい、前の浩介くんに重なるように倒れたせいで、前を必死に抑えているのにまるごとめくれ上がった後ろが丸見えという構図になってしまい、起き上がった浩介くんに笑われちゃった。
「頭隠して尻隠さずだね」
「あうう……恥ずかしいよお……」
「にしても、パンツの時より体のラインが浮き出てないか?」
浩介くんの鋭い突っ込み。
スパッツなら恥ずかしくないなんて絶対信じられない。
最も、くまさんプリントのパンツ見られるよりはマシなんだろうけど。
「ど、どうなのかな?」
「ともあれ、上がろうぜ」
「うん」
上を見上げると、怪しく光っている物体は床に張り付けられていて、廊下も結構長いことがわかる。あたしが踏んじゃった爆薬は、光る色がちょっと違う。
これはかなりの回数のゲームオーバーを覚悟しないといけないわね。
コンティニュー用の籠は同じ。
最初の部屋からスタートで、「コンティニュー」という間の抜けた声から始まる。
最初の部屋はすぐに抜ける。
今度はあたしが後ずさりしても、浩介くんが受け止められるようにあたしが前になる。
確かこの辺で……あれ? 叫び声がしないわね。
「浩介くん、確かこの辺で……」
「ランダムなだけかもしれないぞ。気を付けて歩こう」
「う、うん……」
進めば進むほど、爆薬の密度も上がっていく。
足元を見ながら……
ピピピピピ……
え?
バタン!
「いやー!」
「……」
浩介くんは、落ちるのに慣れたのか、声をあげなくなった。
あたしは、とっさに前を隠そうとして、浩介くんが後ろにいることに気づき、両手でお尻を抑える。
再び前に倒れたので、丸見えになっている前の部分は見えてないはず。
ぴらっ
「きゃっ! もう、何すんのよ浩介くん!」
浩介くんにスカートをめくられちゃった。
「悪い悪い。ちょっと我慢できなくてさ」
「もう! それにしてもどうしてゲームオーバーになったのかな?」
「ほら、優子ちゃん、壁の爆薬に触れたんだよ」
確かに、上を見ると踏んだと思われる爆薬の光る色が違うのが一個ある。
ともあれ、コンティニューして、もう一度、今度は壁にも注意しながら歩く。
さっきと同様、叫び声の時は後ずさりしそうになったのを、浩介くんが体を張って止めてくれた。
そして、さっきゲームオーバーになったと思われる場所の手前、手も注意して……
カサカサカサ!
「きゃあ!」
突然、壁の左側から不気味な黒い物体が素早く動く。
あたしはあまりのことに右に体を寄せてしまうが、何とか浩介くんに助けてもらう。
「ふう、ありがとう浩介くん」
「ああ、気を付けて向きなおれよ」
「う、うん……あっ!」
あたしが右手をぶらんとした時、一瞬だけ壁に当たってしまう。
そして、「ピピピピ」という音とともにあたしと浩介くんはまた、浮遊感に襲われる。
「さ、気を取り直してもう一回やろうぜ」
「うん、ごめんね。あたしばっかり足を引っ張って」
ここまで全部あたしが原因だし、さすがに申し訳なく思ってしまう。
「いいよ、俺だって優子ちゃんいなかったら何回もゲームオーバーになってたさ」
「そうかな?」
「うん、それに、ゲームオーバーになった時にスカートの中見せてくれる優子ちゃんがかわいいから、むしろどんどんゲームオーバーになってほしい」
「……もうっ、すけべ」
浩介くんが笑顔でそんなことを言う。
あたしがスカートめくれて恥ずかしそうにしてるのが見たいという気持ちを、直球で押し出してくる。
もちろん、エロい目で見てくれないよりは、よっぽど嬉しい。
世の中には彼氏や旦那さんに、「女として見てもらえていない」と、泣いている女性がたくさんいることを思えば、あたしは何て幸せ者だと思う。
もし浩介くんが不老になれれば、いつまでもこの関係を続けられると思うから。
もう一度最初の部屋に到着すると、あたし達は違和感に気付いた。
爆弾の数が、明らかに少ない。扉の前の爆弾も消えていて、そのまま踏みつけても無反応だった。
「どうなるんだろう?」
扉を開けて廊下に出るとさっきまでより格段に歩きやすくなっている。
「どうやら、ゲームオーバーになりすぎてイージーモードになっちゃったみたいね」
「うん、そのようだな」
更に、叫び声も明らかに小さい。
次に壁から出るお化けも、無音になっていて、怖さもない。
あたし達は今までのゲームオーバーが嘘のようにすんなりと廊下の一番奥まで行く。すると、扉と、更にカード状のものが置いてあった。
そして、「この先、第三の関門」とある。
第三関門は、どうやら登るためのテストらしい。頂上に達したらクイズに答えて、正解すれば、次に行けるらしい。
というか、既に最初の廃病院設定を投げ出してる気がするけど気にしないでおくわ。
「これで開けるのよね」
「だな」
さっきと同じように、扉を開ける。
「どかーん!」
「きゃああああああああ!!!」
「おわっ!」
いきなり血まみれの幽霊が驚かせに来る。
そしてそのままあたしたちの横をすり抜けて退場していった。
何か、今までで一番ビックリしたわ。全く脈絡も何もあったもんじゃないし。
ともあれ、部屋を見てみると、そこには4つの梯子がある。
「梯子をつかんで、一番低い段へ足を乗せてください」
中年女性の声がするので、あたしと浩介くんが両足をかける。
バタン!
「わっ!」
すると、足元の床が開き、奈落の底が開放された。
よく触れてみると、ここの壁と梯子はすべて発泡スチロールで出来ていて、底もかなりの浅さで、自力で這い上がれそうなくらいしかない。
ケガの心配はないというわけね。
「では始めます、3……2……1……はじめ!」
あたしと浩介くんが一気に登る。
「10秒前……」
ちょっと、こんなの10秒じゃ無理……!
「3……2……1……」
上を見ると、浩介くんが登り終えて控えている。
でも時間切れで、梯子が壁の中に吸い込まれていく。
「きゃあああああああぁぁぁ……」
浩介くんの手も掴めず、あたしはまた奈落の底へと落とされた。
といっても床と比べると腰ほどの高さしかない。
浩介くんは上に残ったまま。
もう一度さっきの場所に戻るため、一旦部屋から出るように誘導され、扉を閉める。
すると、何か音がした。もう一度開けると、床が元通りになっていた。
「コンティニュー」というシュールな声も同じ。
2回目の挑戦では制限時間は1分の大サービスで、あたしは余裕をもって上に行く。
「はあ……はあ……ごめん浩介くん」
「うん、それにしても、スカートで落ちるとあんな感じでめくれるんだな」
浩介くんがいやらしく言う。
「もー、とにかくクイズ解こうよ」
「そ、そうだな」
あたしたちは、いかにも「間違えたら落とします」な切れ目がある床の上に座ると、目の前のモニターが光る。
問題:2+3×4=?
A:9
B:11
C:14
D:20
「あーイージーモードだね……」
あたしと浩介くんが苦笑して言う。
「確かに小学生とかなら20にしちゃうだろうけどさ」
算数の基本的ルール、加減算より乗除算を先に計算する。
あたし達は自信をもってCと答える。
ピンポーン!
そして、モニターの奥の扉が開いた。天井が低いので這いながら進む必要がある。
「優子ちゃん大丈夫?」
「うん」
浩介くんが時折、振り返ってあたしのことを心配する。
「あーあー、優子ちゃん先に通せばよかったー」
「どうして?」
「スカートめくりたいから」
「もう、浩介くんのえっち!」
そんな会話をしつつ、やがて開けた部屋が見えた。ついに「最終関門」ね。
さて、そこの部屋は真ん中に穴があってボタンが4つある。
壁に説明書があって、どうやら放送の数字と同じボタンを押すという課題。
左足が1、右足が2、左手が3、右手が4のボタンに対応している。
そして、リズムに乗ってボタンを押し続け無いといけないらしい。
両手を使うみたいなので、あたしは持っていたお魚さんのぬいぐるみをバッグにしまう。
所定の場所に乗り、「スタート」と書かれたボタンを押すと、さっきの女性の声で、同じ説明を受ける。
「では、はじめます……1、2、3、4」
「「1、2、3、4……」」
あたしと浩介くんが声に従ってボタンを押していく
「3、1、1、2、4」
「「3、1、1、2、4」」
左手、左足、左足、右足、右手……
よし、できた。
「2、4、1、4、3、1」
「えっと、2、4、1……」
ぶわああああああああああ!
「きゃっ!」
ブッ!
何の脈絡もなく、突然爆発音のような音がして、その後に嫌な音がする。あ、あたしが左足のつもりで、左手で押しちゃってた……
ドン!
「きゃあ!」
「おっと!」
突然壁に後ろから押され、あたしたちは下へと落とされる。
慌ててスカートを抑えるけど、突然のことで、中身は見られたと思う。
しかも今度は浩介くんに前から……あうぅ。
「結局どれもゲームオーバーまみれだね」
「あ、ああ……でも、次はイージーモードになるはず」
「うん」
「ね、ねえ優子ちゃん……スパッツ脱ぐ?」
「え?」
浩介くんが突然の提案をしてくる。
「一回さ、わざとゲームオーバーになってみようよ」
「えー!? やだよお……」
「いやほら、落ちてく優子ちゃんがかわいくて、もう一回だけ見たいんだよ。ねえお願い」
「あうー」
もー、浩介くんにかわいいからって頼まれると、断れなくなっちゃうよー。
「じゃあ浩介くん、ちょっと後ろ向いててね」
「お、おう……」
浩介くんが後ろを向いたのを確認してから、あたしはスパッツを脱いで、生パンツに戻る。
あれ? ちょっとだけ濡れてるような?
うーん、ともあれ、一旦鞄にしまおう。貸し出し品だから返さないと。
もう一度籠に乗る。ちなみに仕様は全部使いまわし。コンティニューの声も同じ。
「それでは初めます 1、2……」
「「1、2……」」
「3、4……」
「「3、4……」」
どうやらイージーモードだと、2回らしい。
「1、4……」
ブッ!
あ、浩介くん!
浩介くんが宣言通り、故意に誤答をする。
「きゃあ!」
あたしと浩介くんが勢い良く投げ出され、スカートが重力と風によってふわりとめくれ上がる。
両手で前を抑えるけど、当然間に合わない。
そして、後ろは丸見えになる。後ろに倒れたかったけど、うまく行かず、バックの熊さんを見られてしまう。
「いやー、かわいいね」
「うー、恥ずかしいからもうやめてよ……」
「とか何とか言って、本当は興奮してる俺を見て嬉しいと思ってるんだろ」
「ぎくっ……そそ、そんなわけないでしょ!」
あたしが「そんなわけあります」と言ってしまう。
「それにしても、前も後ろもプリントなんだな」
「むー、知らない!」
「ほれっ」
ぺろっ
「もー!」
浩介くんに掛け声とともにスカートめくりされてしまう。
喜んでくれるのは嬉しいけど……うー、あんまり内心嬉しそうにしすぎないほうがいいかなあ?
ってダメダメ、それじゃ浩介くんにもよくないでしょ。
「さ、後ろもつかえてるだろうし、次クリアしようか」
「う、うん……」
ともあれ、このことは先送りにしておく。3回目の挑戦はいとも簡単に終了し、結局ゲームオーバーになったのは9回、そのうち1回はあたしのスカートをめくるために浩介くんがわざとしたので実質8回だった。
その8回はいずれもあたしが原因でゲームオーバーになってしまったもの。
最後の部屋に行くと『クリア証』というカードのような記念品が2枚あったので受け取る。
裏面の説明を読むと、無限コンティニューでも、通常のものでも同じ仕様らしい。
「いい記念になるな」
「うん」
また、この「クリア部屋」にはスパッツの返却BOXもあったけど、正直こんなんで大丈夫なのか不安になる。
「そういえば、よく盗難に遭わないよね?」
正直、盗み放題な気がするけど。
「優子ちゃん、ほらここ見てみて」
浩介くんが出口にいかにも「盗難防止」の機械が置いてあるのを見る。
しかもご丁寧に「スパッツ返却忘れにご注意ください」と図解付きのポスターあって、中に超小型ICチップがあって、「このセンサーは高性能です、例え体内に飲みこんでも反応します」と書いてある。
「なるほどねえ……」
それでも、ハサミとか使えば盗難できそうな気がするけど、そこまでするリスクに合わないかな?
ともあれ、あたしはこれからも基本的に生パンにするつもりなので、スパッツはもう用済みになった。
スパッツを所定の返却BOXに入れて、あたしは鞄から再びお魚さんのぬいぐるみを出し、抱いて歩く。
「じゃあ行こうか」
「う、うん……」
「ありがとうございましたー」
外に出ると、最初に案内してくれた係員さんが、笑顔で見送ってくれた。
よく見るといつの間にか最初の控え室のそばまで戻っていて、熱心な人は無限コンティニューの後もう一度腕試しにコンティニュー無しで並び直す事もできる仕組みになっている。
まあ、あたしじゃそんなの無理だけど。
浩介くんに連れられて、建物を出る。
とても恥ずかしいお化け屋敷だったけど、でも、スカートで来てよかった。
多分、あたしのことを見てる第三者がいたら、「淫乱な女の子」、「はしたない女の子」、「痴女」、そんな事を言う人もいると思う。
それでも、それでもあたしは浩介くんが好きだから。浩介くんが喜ぶところが、とっても大好きだから。
女の子としての、ううん、メスとしての本能のままに浩介くんを求めていきたい。
そんなことを改めて感じたお化け屋敷だった。