永遠の美少女になって永遠の闘病生活に入った件   作:名無し野ハゲ豚

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花嫁修業2日目 前編

「優子ちゃんー! 起きてー!」

 

 いつも朝には聞こえてこない声があたしを起こそうとする。

 そう言えば、目覚まし時計の音がしていないような。

 

「うーん……」

 

「ほら、ぬいぐるみ落ちてるよ」

 

「え……」

 

 まだ、眠い。もうちょっと寝ていたいわ。

 

「朝ごはん手伝ってほしいのよ」

 

「うん……?」

 

 ゆっくりと目を開けると、視界に入ってきたのは浩介くんのお母さんだった。

 そうだった。どうりでおかしいと思ったら、あたし、昨日今日明日で花嫁修業してたんだった。

 

「じゃあ着替えてらっしゃい。リビングで待ってるわ」

 

「う、うん……」

 

 ともあれ、「お義母さん」が部屋から去り、あたしはベッドから起きる。

 ぬいぐるみが落ちていたので、元に戻してあげる。

 あたし、ちょっと寝相悪いかも。

 

 さて、今日はどういう服にしよう?

 

 あたしは、サブの袋の中に詰めた着替えを見て、今日の服装を考える。

 昨日は白黒をイメージした格好だったけど、今日は主婦らしくもう少し落ち着いた格好にしたいと思った。昨日と違って、今日はもう少し生活感のある服にしたい。

 でも、どうしよう? 持ってきた服はどれもラフな格好というわけじゃないし、というか、普段から着ている服はたいていオシャレに気を配った服が多い。

 よし、この水色のワンピースにしよう。

 とすると、最終日に着ていくのが、一番スカート丈の長い、この赤いスカートになるのね。

 

 あたしは早速服を着替えて、鏡の前で髪を整えてから部屋を出る。

 

 

「お待たせー」

 

「いらっしゃい。それにしても、優子ちゃんってオシャレよねー」

 

 いつもとちょっと違う、朝のやり取り。

 

「えへへ」

 

 浩介くんのお母さんは、あたしのお母さんと同じで、年齢的な所もあって、ゆったりしたパンツスタイルが多い。

 

「優子ちゃんって、いつ頃からそういうオシャレするようになったの?」

 

「うーん、はっきりとは分からないわ。浩介くんのこと好きになる前からスカートを穿くことが多かったし」

 

 元々、母さんが買ってきてくれた服に、スカートが多かったって言うのもあるけど。

 でも、それを避けることも出来たわけで、結果的に自分の意志だと思う。

 

「じゃあ最初から?」

 

「ああいや、初めてスカートを穿いたのは女の子になって3日目で――」

 

「それでも十分早いわよ。普通だったら半年はかかりそうよ」

 

 「それじゃあ成績不良者だわ」と言いたいところだけど、ここは我慢しておく。

 そもそも、TS病になってカリキュラムをこなせば、嫌でもスカート穿く事になるし。いつまでも仕草悪いとお仕置きされちゃうし。

 

「さ、取りあえず、朝ごはんにするわ。優子ちゃんの家は朝ご飯はどうしているの?」

 

「ごはん味噌汁、焼き魚、パンにサラダというのが多いです。それから、いつも昨日の残りを有効活用してます」

 

「へえ、うちでは洋食がほとんどよ」

 

 浩介くんのお母さんが関心しながら言う。

 

「じゃあ今日は、あたしが和食を作ってみます」

 

 いつも洋食の家に、気分転換にもいい機会だと思う。

 せっかくのお嫁さん修行だし。

 

「ええ、お願いするわ」

 

 浩介くんのお母さんも快く承諾してくれたので、あたしはキッチンの中からお味噌汁のもとを取り出す。

 お米も昨日の分が残っているので、そちらを使うことにしよう。

 どうやら鮭は無いみたいなので、代わりに豆腐を使ってタンパク源にする。

 お味噌汁も夕食よりもちょっと少なめのシンプル仕様。

 朝食はちゃんと食べるのが重要だけど、おなか一杯に食べるのもそれはそれで健全とは言えない。

 

 ちなみに、浩介くんのお母さんは、あたしの様子をただ見ているだけ。

 でも、熱心にあたしから盗もうとしている。

 うん、あたしが仮に嫁入りするとしても、その時までは浩介くんのお母さんが主に家事をするものね。

 

 ともあれ、味噌汁ができる前に魚が焼き終わるようにして、一通り盛り付け終わったら最後に味噌汁を入れて完成。

 

「あなたー! 浩介ー! ごはん出来たわよー!」

 

「「はーい」」

 

 並べるのを手伝ってくれていた浩介くんのお母さんがそう叫ぶと、男二人組は急いで食卓に向かってきてくれる。

 

「うお、今日は優子ちゃんかな?」

 

「ええ。浩介くん、どうして分かったの?」

 

「だって、うちの朝食はいつも洋食だったし」

 

 やっぱり、洋食がほとんどというのは本当みたいね。

 

「とにかく、お味噌汁が冷めないうちに食べましょう」

 

「ええ」

 

 あたしたちは昨日と同じように「いただきます」をして、和食を食べ始めた。

 

 

「へー、豆腐かあ……」

 

「でもどうしてこんなに大きいのを?」

 

 浩介くんの両親が不思議そうに聞いてくる。

 

「タンパク質よ。お味噌汁の具材でもいいんだけど、それだとちょっと少ないからこうしてみたわ」

 

 昔なら、洗い物が増えて水道代がかかることを懸念しなきゃいけなかったけど、食器洗い機のお陰で本当に自由度が高まったわ。

 

「それにしてもさー」

 

「うん?」

 

 浩介くんが食べながら話しかけてくる。

 

「優子ちゃんって本当によく考えて料理してるよな」

 

「うーん、慣れれば難しくないよ……といってもあたしの母さん曰く『優子はまだまだ』だけど」

 

 浩介くんの質問にあたしが答える。

 

「あーあ、私ももっと家事を勉強しておくんだったわ」

 

 浩介くんのお母さんがため息をつきながら言う。

 家事の勉強、それは女の子にとって、モテる秘訣にもなる。そしてそれは、あたしだって道半ばのこと。

 あたしだって、母さんの教育の成果は出てるけど、まだまだ母さんに教わることが多い。

 つまり、あたしは毎日母さんに家事で負かされているようなもの。

 

「なあに、今は生涯学習の時代だし、これから勉強していけばいいだろ」

 

 浩介くんのお父さんが、励ますように言う。

 

「うん、そうよねえ……」

 

 そんなことを考えながら、朝食が終わった。

 あたしは、昨日食器洗い機で洗っておいた食器を食器棚に戻し、朝食の食器を代わりに入れる。

 まだ数が少ないので、洗う必要はまだないだろう。

 

 さて、お掃除、お洗濯は既に昨日し終わったので、昼食まで暇になった。

 そこで今日は、浩介くんの部屋を掃除することに決めた。

 お嫁さんらしく、「旦那さん」とも、顔を合わせたいし。

 

 

  コンコン

 

「はーい」

 

「あたしだけど」

 

「あ、うん。どうぞ優子ちゃん」

 

  ガチャッ

 

 浩介くんに許可をもらい、あたしが部屋に入る。

 

「どうしたの?」

 

 あたしは箒と塵取りを持って浩介くんの部屋に入る。

 

「ああうん、時間余ったから、浩介くんの部屋を掃除してあげようと思って」

 

「お、ありがと。じゃあ頼むよ」

 

「うん」

 

 ともあれ、あたしは浩介くんの部屋の床を、箒で掃く。

 まずは軽く部屋の真ん中掃いて感触を確かめる。問題ないわね。

 次にゴミがたまりやすい部屋の四隅を重点的に掃除する。

 埃がたまって来たら、風で飛ばないように低い姿勢になって塵取りを使ってっと。

 

 浩介くんは、あたしの掃除してる姿を無言でじっと見ている。

 

 次に特にたまりやすい家具の下。

 あたしはそこに箒を持っていくために膝を床につけて頭を低くして中を覗きながら箒を――

 

「んっ!」

 

  ぺろりっ

 

「きゃあ!」

 

 突然、お尻の後ろのスカートがめくれ上がった感覚がする。

 

「……」

 

  すりすりすり

 

 その後、パンツの上からお尻をいやらしくなでなでされる。

 掃除に集中していて、両手がふさがってたせいで、全然抵抗ができなかった。

 

「やー! もー! 浩介くんのえっち! 掃除してるんだからやめてよおー!」

 

 やめてとか言ってるけど、内心ちょっとうれしいのもいつも通り。

 

「だ、だって……その体制は刺激が強すぎるだろ」

 

「うー、しょうがないじゃないの!」

 

 ともあれ、あたしはめくられたスカートを元に戻し、もう一回箒で掃除する。

 取りあえず、これでこの家具の下の埃が取れた。

 次に勉強机の下。

 ここはさっきより低い姿勢にならなくても大丈夫。

 

「ねえ優子ちゃん」

 

「え?」

 

「今後もさ、そういう格好で今みたいな家事してたら、多分また襲っちゃうと思う」

 

 浩介くんがそんなことを言う。

 確かに、あたしはお尻も大きいし、今考えなくても頭を下げて四つん這いはかなりも誘惑になると思う。

 

「うーん、浩介くんに襲われちゃうのは仕方ないかなあ」

 

「え? でも……」

 

「浩介くん、あたしのこと魅力的だから襲っちゃうんでしょ」

 

「あ、ああ……」

 

 浩介くんが顔を赤くしながら頷いてくれる。

 

「だったらそれでいいわよ。世の中にはね。旦那さんから女として見てもらえてないって、泣いている女性がたくさんいるのよ。触られてるうちが華って言葉もあるのよ」

 

「……でも優子ちゃんは」

 

「うん、あたし、ずっと華でいたいもの」

 

 あたしは、ニッコリと自然な笑みがこぼれる。

 

「で、でも……優子ちゃんと一緒に暮らしてたら、今みたいに性欲に負けることあるだろうし、どんどんエスカレートするんじゃないかって思うんだ」

 

「ふふっ、だったら状況を考えてよね。夜にたっぷり発散するんだから」

 

「ぶっ……」

 

 何の気なしに言ったあたしの言葉に、浩介くんがドキッとしてしまう。

 

 

「さ、お掃除の続きをするわよ」

 

 次にあたしは箪笥の近くやベッドの近くから埃を取り除いていく。

 うん、大分きれいになったわね。

 

 そう思って、あたしはまた塵取りに埃を入れて、ゴミ箱に捨てる。

 きちんと掃除できてるか、何度か確認する。

 うん、問題ないわね。

 

 

「ふう、終わった終わった」

 

 あたしはほっと一息つく。

 途中で浩介くんにセクハラされちゃったけど、ともあれ無事にお掃除が終わってよかった。

 

「ね、ねえ優子ちゃん!」

 

「うん?」

 

「休日とかさ、優子ちゃん、暇になることあるんじゃない?」

 

「う、うん……」

 

 浩介くんが、ちょっともじもじしながら言う。

 

「ほ、ほら……もし、両親がいない時とかはさ……」

 

「いない時は?」

 

「やっぱり、夫婦になったらエッチなこととかするのかな?」

 

 あたしが一瞬ビクンとなる。

 浩介くんとエッチなこと。

 それは、あたしが何回も求め、その度に責任感が強い浩介くんに阻止されてきたこと。

 だけど、もし結婚となれば、浩介くんもその楔からは外れるはず。

 

「そ、そりゃあうん、結婚したら、そういうことも増えるよね」

 

「じゃあさ、ちょっとだけ。いつも程度だけど、エッチなことしていい?」

 

 浩介くんが勇気を振り絞って言う。

 うん、あたしも、浩介くんにエッチなことされたい。

 

 

「うん、いいよ……浩介くん……」

 

「ああ……」

 

 浩介くんが近付いてくる。

 そして、あたしは胸をゆっくりと撫でられ始める。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 首の下からちょっとだけ引っ張られてあたしの顔が浩介くんの胸の中へ。

 

「優子ちゃん、ブラジャー大きいね」

 

「うん、当たり前でしょ」

 

「ああうん、そうだったな……」

 

 浩介くんの触覚が、直接あたしの脳に響く。

 

「めくるぞ」

 

「うん……」

 

 浩介くんにスカートをぺろんとめくられていた。

 

「お、優子ちゃん、かわいいね」

 

「やだ、見ないで……」

 

 あーん、浩介くんに見られるの、すごい恥ずかしいよお……

 

「でも、どんどん汗がにじみ出ててかわいいぞ」

 

「あうう、もう! ひゃあ!」

 

 浩介くんの顔に近付き、キスをねだってくる。

 

「んっ……ちゅっ……」

 

「じゅるるっ……んっ……」

 

 浩介くんの深い深いキスはとてもいやらしくて、あたしはますます興奮してしまう。

 

「なあ、これ……脱がしてもいいか?」

 

 浩介くんがスカートに手をかけようとする。

 

「ふぇ!? そ、それは――」

 

「見るだけだから、ね」

 

 浩介くんが、優しい口調で言う。

 

「うー」

 

 あたしはなおも渋る。

 やっぱり、恥ずかしいから。

 

「よし、んー!」

 

「やっ……んっ……!」

 

 浩介くんが、またキスをせがんでくる。

 もー、これは反則よ!

 身体はもう、浩介くんが欲しくてたまらない。

 

「ほら、どうなの? スカート、脱がしてもいいよね?」

 

「あん、ぬ、脱がして……いいよ……」

 

 浩介くんの責めに、あたしはすんなりと陥落してしまう。

 

「よし」

 

 胸を触っていた方の浩介くんの手も下に来て、あたしはスカートの両端を掴まれる。

 ゆっくりと、下半身からスカートが抜けていく感覚に襲われる。

 浩介くんに、脱がされたのは、スキー合宿の時以来、これが2回目。

 

「優子ちゃん、すごくかわいいよ」

 

「お願い、あんまり見ないで……」

 

 頭も顔も沸騰しそうなくらい真っ赤になっている。

 いつぞやに読んだ少女漫画の女の子。

 その子も、いつもドキドキ顔が真っ赤になってたけど今ならあたしには、その女の子の気持ちがわかる。

 恋する女の子って、こんなに恥ずかしがり屋になるんだって。

 

「でも、すっげえよ」

 

 パンツは穿かされたままなので、あたしは浩介くんにパンツ丸出しにさせられている状況ということになる。

 あたしの視界からは、自分のとても大きな胸と浩介くんの頭が見えている。

 

「なあ、俺、興奮しすぎてやべえよ」

 

「うん、あたしも、浩介くんが欲しいわ」

 

 ああ、このまま犯されてもいいわ。

 

「うん、でもそれはまだ駄目だよ」

 

 浩介くんは、理性を振り絞りながら言う。

 うん、あたしも、浩介くんを尊重したい。

 そう思っていると、あたしの足から、スカートが昇っていくのを感じる。

 

「はい」

 

 浩介くんがスカートを穿かせ終わると、そのままあたしに向きなお向き直る。

 

「あ、うん」

 

「悪い。ちょっと部屋から出てくれるかな? 我慢できねえんだ」

 

 浩介くんは、息も絶え絶えに、理性を振り絞るように言う。

 

「うん。分かったわ」

 

「ああ、掃除、ありがとな」

 

「うん」

 

 浩介くんに掃除のお礼を言われ、あたしはお掃除セットを持って部屋を後にする。

 昼食の準備までは、まだ時間はたっぷりある。

 あたしも、ちょっと……我慢できないわ。

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 達したあたしは、体についた汗などの液体をよく拭き、服を着なおす。

 浩介くんの家で、こんなことをしたのは2回目。どちらも、あたしと浩介くんがエッチなことをして、我慢できなくなってした。

 でも今回は、前回と違って浩介くんの両親に聞かれちゃったかもしれない。

 あたしはどうも感じやすい体質みたいなので、声を抑えることができない。

 枕を使って何とかごまかせたけど、部屋の外まで聞こえていないかどうかまではわからない。

 ともあれ、あたしは気分転換も兼ねて、ぬいぐるみさん遊びをし、そしてテレビをつけてニュースを見る。

 分かったのは、今日も今の所は、蓬莱教授のニュースはやっていないということ。

 

 永原先生によれば、蓬莱教授からは定期的に研究成果の報告が来るという。その報告は、あたしを含め正会員全員に共有されている。

 最新の報告によれば、あと少しで、人間の寿命をこれまでの平均120歳から150歳程度に出来るようになりそうだという。

 もう少しTS病患者の遺伝子を解析すれば、不老の再現もできそうだが、それに関してはあたしの大学進学を待つので十分だと蓬莱教授は言っていた。

 

 

「優子ちゃん、お昼手伝ってくれる?」

 

「はーい!」

 

 浩介くんのお母さんの呼び声が聞こえ、あたしが準備する。

 昔は家事は忙しかったらしいけど、家電メーカーの努力もあって、今はこうして空き時間も増えている。このことは既に経験済みだ。

 とにかく、その間の時間をどう潰すかも、今後考える必要がありそうね。


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