永遠の美少女になって永遠の闘病生活に入った件 作:名無し野ハゲ豚
「んっ……」
ゆっくりと意識を回復する。
時間を見る、午前4時。あちゃー、これはまた早起きのしすぎのパターンだわ。
修学旅行に限らず、学校行事での旅行では本当によくあるわね。
よく見てると、龍香ちゃんと恵美ちゃんは寝ている。
とりあえず、お風呂でも入ろうかな?
このホテルのお風呂場は、午前3時から4時までが掃除の時間となっている。
そろそろ一番風呂の時間ね。
「あれ? 優子?」
「恵美ちゃんおはよう。お風呂行くわね」
「お、4時か。いいな。行ってみるか」
恵美ちゃんがあたしに付いていくみたいね。
そして、恵美ちゃんがお風呂の準備をしている間に、龍香ちゃんが起きて合流する。
あたしも、この日の着替えとタオルを持ってお風呂へと行く。
3人でお風呂場に行く。
「あら、石山さん、田村さん、河瀬さん」
「永原先生、おはようございます」
お風呂場へ行く道中、永原先生と桂子ちゃんがいた。
「あれ、桂子まで」
「えへへ、やっぱり一番風呂はいいかなって」
桂子ちゃんも笑顔で言う。
何だか林間学校の頃を思い出すわね。
あの時は確かあたしと桂子ちゃんと虎姫ちゃんと永原先生に……
そんなことを考えていたら、もう大浴場の真ん前。
「あっ!」
中を見ると、スリッパがあり先客がいることを示している。
脱衣場に入ると、ちょうど虎姫ちゃんがパジャマのズボンを脱いでいた。
「お、みんな揃ってるな」
「虎姫ちゃん、一番乗りね」
あたしたちが、脱衣場の籠を目指し、脱ぎ始めた時には、虎姫ちゃんは既に素っ裸になっていた。
虎姫ちゃんはあたしたちに配慮して、待っててくれるんだけど、どうしても脱ぎながら視線を集めるのが恥ずかしいのか、虎姫ちゃんに珍しくタオルを巻き始めた。
「お、何だ、虎姫も女子力上がったのか?」
相変わらず堂々と裸で話す恵美ちゃんが言う。
「こら田村さん、安曇川さんだって女の子なんだよ」
永原先生が恵美ちゃんを注意する。
「でも、そういう先生も、タオル巻いてないわよ」
「うぐっ……」
桂子ちゃんの鋭い突っ込みに永原先生がしどろもどろになる。
そう言えば、永原先生は、タオル巻かないんだよね。ちょっと意外だわ。
「そう言えば、先生は女子力高いのにタオル巻きませんよね。どうしてですか?」
龍香ちゃんが疑問に思って言う。
「あ、あはは……私たちの時代はそういうの無かったですし、混浴も一般的でしたから、今更女性だけの風呂でタオル巻くと言われてもね」
永原先生が苦笑いしながら言う。
そう言えば、昔の入浴事情も知っているんだったわね。
「あ、そう言えば、江戸時代以前は混浴だったんだっけ?」
「ええ。江戸時代、私も江戸の銭湯や江戸城の風呂によく入りましたので、幕府も一応混浴禁止を掲げようとしたんですが、スペースが2倍になってしまうことからも、現実問題難しかったです」
永原先生、やっぱり江戸城に軟禁という訳ではなかったみたいね。
そうよね、200年も軟禁されたら発狂しちゃうだろうし。
「え!? 幕府側も禁止しようとしたんですか!?」
龍香ちゃんがかなり驚いたように言う。
当たり前の環境だったから、禁止するなんて発想自体なかったんじゃないかと想っていたから。
「そりゃあそうよ、混浴ともなればいかがわしいことをする男の人は多かったわ。私も何度も湯船で触られたりしたわよ」
「え、江戸時代から痴漢っていたのね……」
あたしは、嫌でもあの事件を思い出してしまう。
「ええ。特に混んだ銭湯で、しかも男余りだった江戸では痴漢だらけだったわよ。当時は電気もなかったですから、それはもう痴漢天国だったわよ。江戸で遊び疲れて、江戸城に戻る前に銭湯に入っていた時は、私は特に狙われやすかったわ」
確かに、永原先生みたいな美人なら当然よね。
あたしだって混浴になったら男性の視線を一気に浴びそうだし、って、それ以前に浩介くんが絶対許してくれないと思う。
ちなみに、当時はこの手の覗き穴があることを知っていて、ある程度触られたりするのは普通のことということで、さほど恥ずかしさはなかったとか。
「じゃあ、手を出され放題だったってことですか!?」
「ええ、当時はそういうのを知っていて銭湯に入ったものよ。むしろ痴漢されるのはいい女の証拠として勲章にしている人も居たわよ。私もどっちかというとそんな感じでわざわざ江戸城に居ながら銭湯に行ったのよ……でもさすがに今は入りたくないわね」
やはり永原先生も時代が変わって価値観が変わっていた。
「それにしても、痴漢にとっては最高の環境よねえ……」
「ええ。今からするとあの時代の銭湯は痴漢天国よ。更に言うと男に手を出す男も日常的にいたわ」
「「「ええええ!!!???」」」
あたしたちは、全員ではもってしまう。
そ、そりゃあそういう人もいるけど、日常的って……
「江戸の町は7割近くが男性よ。女が極端に少ない環境に長時間いると、男に手を出し始める男はたくさんいるのよ。特に当時は武家社会ですから、衆道というものもありましたし」
永原先生が当時の世俗を解説しているうちに、あたしたちは、全員かけ湯をかけ終わり、随時体を洗いはじめる。
あたしも髪を洗い終わったらお団子に結んでっと……よし!
「ふー」
あたしが、一番最後に湯船に入る。
ひときわ大きな胸がぷかぷかと浮かんでいて妙にエロい。浩介くんも、これに興奮してたみたいだし。
あたしと同じようにはっきり浮いているのは桂子ちゃんと永原先生、龍香ちゃんもよく見ると浮いているのがわかる。
恵美ちゃん虎姫ちゃんはそんな気配がない。
「うー、格差社会ですよ! 胸囲の格差社会です」
そんな中で、不満を最初に述べたのは龍香ちゃんだった。
「おいおい、それはあたいと虎姫への当てつけか!?」
「いえいえ、だって、優子さんのを見てくださいよ。先生と桂子さんはともかく、私と恵美さん虎姫さんの差なんてあってないようなものですよ!」
龍香ちゃんが悔しそうに声を上げる。
「むー、やっぱ優子って得だよなあ色々」
「えへへ……」
虎姫ちゃんの言葉に照れ笑いを浮かべつつも、お湯の下から胸を持ち上げてさり気なく「どやっ」とアピールしてみる。
「うー、私も優子ちゃんとは言わないけど、もう一歩大きい方がいいかなあ……」
桂子ちゃんがそんなことを言う。
そんな桂子ちゃんだって大きさは平均以上で巨乳と言っていい。
「むむむ、桂子までぜいたくな悩みだよね」
虎姫ちゃんがため息交じりに言う。
「確かに桂子さん、優子さんがすさまじくて影が薄いですけど、平均と比べると結構大きいですよね」
「うん、あたしが言うのもなんだけど、桂子ちゃんは胸大きいと思う」
「むー、桂子に優子! あんたたち何カップなのよ!?」
「え!? いやその……」
「あの、あたしはその……」
確かにあたしの胸は超がつくくらいでかいけど、バストサイズやカップ言ったら間違いなくすさまじいリアクションが返ってくるはず。
「なあ桂子、せめて目標のバストサイズ言ってみなよ!」
「ふえ!? えっとその……」
桂子ちゃんがしどろもどろになる。
「こらー、田村さん、安曇川さん、それ以上はセクハラよ!」
いたたまれなくなった永原先生が注意する。
「あうー、ごめんなさい……」
虎姫ちゃんがしょんぼりする。
でも、あたしとしても何となく聞きたかったわね。
「そ、その……90センチ、Fカップが目標……」
桂子ちゃんが小声で言う。だけど、風呂場のみんなには聞こえてしまう。
ちなみに、あたしのサイズは桂子ちゃんの目標サイズと比べても、更に数段大きい。
「な、なんて贅沢な悩み何ですか!」
龍香ちゃんが驚いたように言う。
確かに、80センチ後半だとしても、女子高生からすればかなり大きい部類になる。
「だって龍香、私に天文部の男子もあまり声をかけてくれないし、それに優子ちゃんと比べて色気が足りないと思って」
桂子ちゃんがあたしと比べて足りないといった「色気」、つまりエロさ。かわいさもだけど、エロさも欲しいと桂子ちゃんが言う。桂子ちゃんは、そこがミスコンの敗因だと思っている。
確かに、ただかわいくて美人なだけではなく、胸やお尻も大きい所は、浩介くんをはじめとした男子が興奮する部位でもある。
「な、何なのこの高次元な戦いは……」
虎姫ちゃんが驚いたように言う。
「でも、エロいのは女性のちゃんとした魅力よ。アピールになるわ」
あたしが慌ててフォローする。
「うっ……優子ちゃんが言うと、これ以上ないほどに説得力が高いよね」
多分虎姫ちゃんはあたしの体のことのみならず、元男という点も含めて言っているんだと思う。
「そうそう、龍香の彼氏もすっごいエロいからね」
「あはは、でも、エロい彼氏さんほど、嫉妬深くもあるんですよ。でも、優子さんに教えてもらった独占欲の満たし方、あれを実践して以来、喧嘩さえほとんどなくなっちゃいましたよ!」
龍香ちゃんが言う。デートの服装や、中と外での使い分け、かわいく嫉妬する方法などを、あたしは龍香ちゃんに伝授してある。
この方法、あたし自身も浩介くんに対して行っていて、浩介くんは独占欲を満たした後は決まって上機嫌になってくれる。
「そう言えば、篠原も嫉妬深いんじゃない? ああ見えて」
桂子ちゃんが興味本位という感じで言う。
「え!? うーん、あたしの感じでは、龍香ちゃんの彼氏さんほどじゃないかなー」
「ほほう、でも嫉妬するんですね!」
龍香ちゃんがぐいぐい押すような感じで言う。
「う、うん……」
「優子さんがどうやって篠原さんの嫉妬を沈めているか気になります!」
「え!? その……」
「私も気になるなあ!」
桂子ちゃんまで!
「ふふっ、私も。体育の水泳の後、篠原君いつも不機嫌そうなのに、次の休み時間はとっても上機嫌になるっていうから、何をしてるのか気になるわ」
「な、永原先生まで!」
「へへん、逃げられませんよ優子さん」
永原先生と龍香ちゃんが追い詰める。
特に頼みの綱だった永原先生まで興味津々になっているのは、敗色濃厚ということ。
「あうう……恥ずかしいよお……」
「おら、言っちゃいなよ。どうせここはあたいたちしかいねえんだし」
「あうぅ……そ、その……ふ、2人っきりになって……」
「「「うん、なって?」」」
まるで学級裁判の被告人みたいだわ。
「そ、その……ス、スカートをその……」
「ほうほう、スカートを!」
「スカートをめくらせてあげるんです! パンツ見放題触り放題で!」
顔から火が噴き出て、体が内側から熱くなる。女子同士の濃いガールズトークに、あたしも何とかついていく。
「ほうほうなるほど、それを彼氏の特権と認識させることで独占欲を満たすわけですね」
龍香ちゃんだって、きっと同じことしてるはずなのに。
「はい」
「で、効果のほどはどんな感じなの?」
桂子ちゃんが今度は突っ込んでくる。
「その、トイレに駆け込んですっきりして、上機嫌になります……」
あうう……浩介くんごめんなさい……
「毎回毎回そうなの?」
「うん、浩介くん、決まって上機嫌になってくれるわ」
「おいおい、男ってそんな単純な生き物なのかよ!」
恵美ちゃんが驚いたように言う。
うん、確かに男って本当に馬鹿で単純だけど、そこがとってもかっこよくて、あたしは大好き。
「私の彼もほとんど同じですよ。一か所以外は」
うん? 一か所だけ違うのね。
「え!? その一か所って何よ?」
あたしが聞いてみる。
「い、言わせないで下さい!」
龍香ちゃんがが強く拒絶したように言う。
「あら? さっきは石山さんに迫ったのに、あなたは秘密にし続けるの?」
永原先生が追い打ちをかけるように言う。
「あうう……そ、その……彼がその……わ、私を脱がして私の――」
龍香ちゃんは、かなり混乱している。
「も、もういいわ龍香! みなまで言わなくていいわよ!」
桂子ちゃんが慌てて龍香ちゃんを引き留める。
うん、さすがにあたしも、これは察しないといけない。
「龍香の彼氏、本当に自重しねえんだな」
「はい、ですがとっても上手で、私虜になっちゃいましたよ!」
あたしのアドバイスが効いている。
男の子のプライドを傷つけずに、なおかつ向上させる方法。
それは「とっても気持ち良かったけど、ここをこうすれば、もっと気持ちよくなると思う。今度試してみよう」というやり方。
もちろん、目論見が外れた時はその旨を言って、また別の方法を提示する。
興味と好奇心を煽りながら、色々な方法を試させる方法で、龍香ちゃんの彼氏さんは、それでスキルを格段に上げたのだ。
元々体の相性も良くて、尚且つスキルアップをしたものだから、龍香ちゃんは、毎回何回も絶頂させられて、気絶させられているという。
「そう言えば、優子は篠原がしたがらねえんだって?」
「う、うん……その、赤ちゃんできたら大変だって」
「正直言いますと、篠原さんの責任感は並大抵のものじゃないですよ。優子さんほどの女の子を彼女にして、しかも優子さんから迫ってもこれなんですから」
うん、龍香ちゃんの言うとおり。
そしてそこが、あたしが浩介くんに惚れた大きな理由の一つでもあるから。
「うんうん、私もそう思うわ」
「私も」
「あたいも」
「うん、私も」
その場にいる全員が、賛意を示す。
あたしの魅力を考えれば当然よね。
普通の男なら、いや、多少性欲が衰えた男だって、あたしに迫られたら即時セックスになると思う。
あたしは男だったのでよくわかるが、この体は本当に男子にとっては目の毒であり、最大級の目の保養にもなる体つき。顔だってすさまじくかわいくて美人だから、そんな女の子がエロに寛容だったら普通なら到底辛抱できない。
浩介くんは、興奮しつつも、それを辛抱してしまうのだから素晴らしいわ。
「じゃあ、少なくとも結婚後だな。そう言えば、優子と篠原って結婚っていつするんだ?」
「えっとその……まだ決めてなくて……でも、両親は早くさせたがってるわ」
「ねえ優子ちゃん、篠原って誕生日いつだっけ?」
桂子ちゃんまでノリノリになっている。
「あ、あの、結婚は少なくとも高校卒業後だから」
「うん、私も急がない方がいいと思う。できれば就職決まってからのほうがいいと思うけど、親御さんがどちらも急かすんじゃ妥協もありよ」
永原先生がアドバイスしてくれる。
うん、結婚したら苗字代わるし、高校卒業前に浩介くんが18歳になってすぐの結婚は、あたしの扱いで小谷学園の事務方や先生方にも迷惑かかると思うし。
ちなみに、小谷学園のことなので、結婚は別に禁止されていない。
「それにしても優子ちゃん」
「うん?」
桂子ちゃんがあたしに話しかけてくる。
「優子ちゃん、すっかり女の子になったよね。今日みたいなガールズトークについて行ってるもの」
「あ、うん。ありがとう」
確かに、少し前までなら、こんなに深く突っ込んだガールズトークにはついていけなかった。
「ふふっ、石山さんは、まだまだ女の子として成長し続けているのよ」
永原先生がニッコリ笑って言う。
「でも何だか、寂しい気もします」
龍香ちゃんが感慨深そうに言う。
「うんうん、段々と女子力低い部分も埋まってって、教えがいも少なくなってきたわ」
「もう、桂子ちゃんまで」
「ふふっ、それだけ優子ちゃんが成長しているのよ」
でも、あたしの中では、まだ足りないと思う。
女の子になりきるために、まだ幾つかやり残したことがあると思う。
それが何かまでは、あたしの中では見当はついてないけど。いや、もしかしたら、直視できていないだけかもしれない。
「うーん、さて、あたしは出るわね。少し休むわ」
あたしは、ゆったりした気持ちでお風呂から上がると、ゆったり床に座り込む。
「あー、やっぱり優子ちゃんまだまだだわ」
すると、途端に桂子ちゃんがいつもの口調で言う。
「え!?」
「石山さん、あそこに椅子があるからそっちで休みなさい。この体制だと私たちの角度から丸見えよ」
「え……」
永原先生の言葉に、あたしは顔を下ろす。
体育座りの形になっていて、確かに丸見え――
「きゃっ!」
あたしは慌てて大事な部分を隠し、顔を真っ赤にしながら大慌てで椅子へと向かう。
「ふー、まあ確かに、私たちでも気を抜いたらついついやっちゃうのよね」
「でも、優子さんが油断した時の無防備になりっぷりは、まだやっぱり性根から女の子に染まり切ってはいない証拠ですよね」
「石山さん、男子がいる中ならああいう事はなくなるけど、女子だけの空間だと安心しきっちゃうわね……私個人としては女の子同士の空間なら別にいいとは思うんだけどね」
「でもよ、あそこまで気にする必要あっか?」
「恵美、アリの穴から堤も崩れるんだよ」
お風呂場の向こうで、あたしのまだまだな部分について話し合いが聞こえる。
あたしも、油断しちゃうときはあるけど、特に女子だけの空間だと、極端に安心しきっちゃって、ああなるのはさすがにまずいと思う。
幸い、女湯や女子トイレ、女子更衣室など、限られた空間でしか女子だけの空間というのはないため、ああいうことが癖になることはない。
あたしは改めて、TS病患者が女子校に入ってはいけない理由を痛感した。