永遠の美少女になって永遠の闘病生活に入った件   作:名無し野ハゲ豚

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修学旅行3日目 ミナミを進む

「うーん、えっと……こっちが東梅田だから……」

 

 浩介くんが地図と案内表示を見て唸っている。

 

 上層から戻る間で話し合った結果、特に「ここに行きたい」という名所はでなかったので、あたしたちは梅田から難波に移動して、そこから北側の日本橋までの一帯を見て回ろうということになっていた。

 現在、あたしたちは「大阪市営地下鉄御堂筋線」に乗り換えようと、JRの「大阪駅」に隣接している「梅田駅」を目指していたにも関わらず、地下街の迷路に捕まって迷ってしまったのだ。

 一応、そこかしこに地図があって現在位置と方角だけは分かるので、一応進んではいるんだけど、とにかく時間がかかる。

 

 最初なんて間違えて真逆の方向に行ってしまって、「阪急梅田駅」と言う別の駅についてしまった。

 せっかく何で遠目から見てみようとなったんだけど、あそこはあそこで、改札口の外からでも分かるくらいなんかすごい厳かな風景の駅で、電車の色も統一されていた。

 

 ともあれ今はもう一度地下に潜って「地下鉄梅田駅」を探しているんだけど、同じ大阪市営地下鉄に「東梅田駅」と「西梅田駅」というのもあって、更に南側には「北新地駅」まで隣接していて、この大阪駅というのはとにかくややこしい。

 

 

「おっかしいなあ……」

 

 とにかく、頻繁に案内を確認しないと、変な方向に出てしまう。

 地元の人なら多分使いこなせるんだと思うけど、始めてきた関東人のあたしたちにはとても苦しい。

 おかげで、方向感覚に集中するあまり、エスカレーターに乗る時につい左に立ってしまって大恥をかいてしまったこともあった。

 

「よし、こっちだ」

 

 浩介くんの誘導のもと、あたしたちは何とか、赤いマークの「御堂筋線」を見つけることが出来た。

 

「ふう、やっと着いたわね」

 

 ここまで時間がかかるとは思っても見なかったけど、とりあえず「難波駅」までの切符を買って改札口を通って中に入る。

 それにしても、随分と古めかしい印象の地下鉄駅だわ。

 昭和というかなんというか、そういった感じの雰囲気がひしひしと伝わってくる。

 

「浩介くん、ここ、どことなくレトロだよね」

 

 多分、天井や壁の雰囲気が、そんな印象を与えているんだと思う。

 現にホームは清潔に保たれていて、駅名標や案内、柱などは最新技術が盛り込まれている。それでも、やはり古い印象は拭えない。

 それくらい、この駅は異彩を放っていると言ってもいい。

 

「でもこの御堂筋線、大阪では一番の基幹になる路線らしいぜ」

 

 あたしたちはこれから、難波から日本橋、そしてその北側を当てもなく散策する予定になっている。

 大阪の地理は全く詳しくないから、何が出てくるか分からないけど、ともあれ、迷っているうちにかなりの時間を使ってしまった。

 

「1番線に、中百舌鳥(なかもず)行きが、到着します。危険ですから、白線の内側でお待ち下さい」

 

 メロディとアナウンスと共に、地下鉄が定刻通り到着した。車両も赤い車両で、関東でもよく見る最新鋭な感じだ。

 

「1番線に到着の電車は、難波方面、中百舌鳥行きです」

 

「ご利用ありがとうございます。1番線到着の電車は中百舌鳥行きです」

 

 車内は結構人が居て、さすが大阪のメイン路線といった感じ。

 というよりも、大阪の地下鉄って、この路線が圧倒的に混むらしい。

 

 

「なあ、あの女の子かわええよな、おっぱいもでけえしよ」

 

「ちぇー、彼氏持ちかよ。一人だったら絶対ナンパしてやったのに!」

 

「あーあ、羨ましいんじゃあ! あんなかわいい彼女……!」

 

 

 そして、地下鉄内ではあたしへの絶賛と、浩介くんへの嫉妬の会話が繰り広げられるのもいつも通り。

 ちなみに、浩介くんも、あたしへの胸への視線には嫉妬することもあるけど、そう言う時には触ったりした時の記憶を思い出して、嫉妬心をしのいでいるらしい。

 

 やっぱり、嫉妬されないとそれはそれで負けた気がするので、あたしとしては歓迎するべきことかもしれないわね。

 浩介くんも、あんまり嫉妬深いと嫌われると分かっているので、何とか抑えようとはしてくれてるみたいだし……うん、今はそれでもいいわ。

 

 地下鉄が次々と駅に到着しては多くの乗客が入れ替わる。淀屋橋、本町、心斎橋、どれも大阪の中心部と言っていい。

 そして心斎橋駅の次が難波駅、ともあれあたしたちはそこで降りることにした。

 

「ともあれ、地上から行こうか」

 

「うん」

 

 難波は、梅田に継ぐ大阪の南側の中心地で、近鉄や南海と行った私鉄にとってはターミナル機能も持っているそうだ。

 それにしても、梅田ほどじゃないけどここもとっても人が多いわね。

 人だかりのために、案内表示を見落としてしまうこともある。

 ともあれ、地上に出て、あてもなく歩いてみるのもいいだろう。

 

 地上に出て、方向感覚を頼りに、日本橋の方へ行ってみる。

 よく分からないけど、こっちに進めば大丈夫かな?

 

 

「あれ? 優子ちゃん、これ南海の難波だから……正しくはこっちだよ!」

 

 浩介くんが間違った方向に行っていることに気付き、あたしを止めて正しい方角を指差す。

 

「え? あ、本当だわ」

 

 しまったわ、いきなり方向を間違えていたみたいね。

 でも、そこかしこにある地図や目印を見れば、修正がききやすいのもいい。

 

 あたしたちは元来た道を引き返す。うん、こっちが北側だから……東へは……っと。

 

 日本橋までの所は、普通の大都会だった。

 関東の東京の中心部とも、そこまで大きな違いはないと見受けられる。

 

「よし、左に曲がってみようぜ!」

 

「うん」

 

 浩介くんが、地下鉄の日本橋駅の出入り口に差し掛かったので言う。

 東の方向へ進んでいる間で、左に曲がればそこは北の方向になる。

 北に何があるんだろう?

 地図を見るとなんか青い川みたいなのもあったけど?

 ……まあいっか。

 

 

「それでさ、高月のやつアトラクションでナンパしやがって! 断られたらその場で泣き出してよ! 大変だったぜ!」

 

「あはは、高月くんらしいわね」

 

 

 あたしたちは、他人の目を気にすることなく、笑い雑談しながら進む。高月くんには悪いけど、ナンパに失敗して泣く光景がいかにも高月くんらしい。

 談笑していると、前方に橋が見えた。

 

「あれ? これ道頓堀川じゃね?」

 

 康介くんがふと気付いたように言う。

 

「あ、そうかも」

 

 あの有名な道頓堀川がこのあたりとは知らなかったわ。とりあえず、橋を渡ってみる。

 どうやらこの橋は、「日本橋(にっぽんばし)」と言うらしい。

 東京にも同じ橋があるけど、読み方が違って、そちらは「にほんばし」なのは有名な話。

 

「左へ曲がるか」

 

「うん」

 

 多分、左に曲がると、「おなじみの光景」が見えてくるという期待が、あたしと浩介くんにあった。

 狙ったわけじゃないから、偶然と言ってもいいんだけど、意外な観光ができたのは行幸だったわ。

 

 徐々に川を進むに連れ、外国人の密度が高くなり、それだけではなく関西弁に代わって標準語まで聞こえるようになっていった。

 

「あ! あれは!」

 

 あたしも浩介くんも、左側を注視していたので、それを見つけるのは容易だった。

 円形の橋の向こうに、右側には「グリコ」と書かれたTシャツを着た陸上選手の広告、そして左側には巨大なカニが見える。

 ここは大阪であまりにも有名な場所、というよりも、あたしたち関東人が思いつく大阪そのものだ。実際、東京のメディアが大阪を取材する時、最初にここが映されることもよくある。

 

「これ、ここだったんやな」

 

「せやな」

 

 何でうちまで関西弁になってんや。朝の京子さんがあたしにも伝染ってしもうたか。

 

 ……ともあれ、あたしたちは写真にとっておく。

 というか、ここあんまり関西人居ないような? 川に飛び込む時は違うのかな?

 

「うーん、もう少し時間があるな。左に曲がろうぜ」

 

「うん」

 

 食事はさっき大阪駅でしたので、とりあえず食事屋さんはいらない。

 あたしたちは、川を渡って何となく左に曲がってみる。

 ここらへんの道は結構狭くて、歩行者が真ん中を堂々と歩いているので車はおそらく通れない。

 

「優子ちゃんあれ、『くいだおれ』って書いてあるじゃん」

 

「あ、本当だわ」

 

 前を見ていると、丸い文字で「くいだおれ」と書かれているビルを発見した。

 閉店したって聞いたけど、勘違いだったのかな?

 ともあれ、その建物に近付くと、「例の人形」が出迎えてくれた。こんな所にあったのね。

 名前だけ知っていて、場所は知らないけど、偶然にもあたしたちは見つけることが出来た。

 

 そしてこのビルの前でも、多数の外国人が記念撮影している。

 

「Excuse me.」

 

「?」

 

 何となくぼーっとしているとあたしに向けて、英語が飛んできた。

 英語で話しかけられるのはあたしの人生で初めてだわ。

 あたしのなけなしの読解力で何とか解読すると、どうやら記念撮影をしたいらしい。よく見ると男性4人組の観光客みたい。

 

 ボタンを押せばいいということで、あたしがカメラを構える。

 

「three……two……one……」

 

  ピピッ!

 

 通じているのかよく分からないけど、とりあえず英語で「3……2……1……」と言うとシャッターを押して写真を見せる。

 

「Thank you!」

 

 浩介くんとあたしは、呆然とした表情で、去っていく外国人観光客を見送る。ともあれ、うまく行ってよかったわ。

 

「何であたしに頼んだんだろう?」

 

「さあ? 優子ちゃんがかわいいからでしょ」

 

「……もうっ!」

 

 って、浩介くんといちゃつくのもいいけど、折角ここまで来たんだし、中に入ってみよう。

 あたしと浩介くんが中に入ると、そこはどうもお土産屋さんみたいだった。

 くいだおれ系のお土産が売っていたので、これを買うことにする。

 他の場所は、どうも食べ物屋さんが主らしい。

 

「やっぱくいだおれってビルを名乗ってるだけあって食べ物が多いな。でも、俺はまだいらないなあ」

 

「そう言えば、浩介くん夕食はどうする?」

 

 確かにまだ少し早いけど、そろそろ夕食のことも考えたほうがいいと思う。

 

「うーん、神戸の方でさ、牛肉食べようと思うんだよ」

 

「え!? 神戸ビーフ?」

 

 あたしはつい反射的に聞き返してしまった。

 神戸ビーフと言えば、松阪牛や米沢牛と並んで、超高級肉として有名なブランドだわ。

 もし高級料亭なら、1人前でもかなりの値段がするはず。

 

「ああいやほら、このままだと修学旅行の予算が諭吉数枚分も余るからさ。優子ちゃんもそうなんでしょ?」

 

「うん、確かに予算は有り余ってるわ」

 

 貯金してもいいけど、夏休みもよっぽどデートに入り浸らないと使い切れないし、9月以降も差し迫った出費がないことも考えると、修学旅行くらいしか使い道がないのも事実ではある。

 

「だったらさ、明日には帰るわけだし、最後くらい贅沢にドーンと行きたいと思うんだ」

 

「う、うん、そうだね」

 

 正確には明日の朝食と昼食があるけど、修学旅行の最終日は集団行動になっている。

 自由時間は今日が最後。それを考えれば、確かに贅沢ができるのもこれが最後だ。

 

「で、どこか行く宛あるの?」

 

「もちろん、昨日部屋でめぼしい店を調べてあるぜ」

 

 浩介くんは電源の入ってないスマホをこっちに見せてくる。

 それでも、調べたというアピールには十分。

 

「さすがは浩介くん!」

 

 うん、頼りになるわ。

 

「まあでも、完全には絞りきれてないんだ。それより、少し休もうか? 優子ちゃん、歩き疲れたでしょ?」

 

「う、うん……」

 

 実は、脚が痛かったのを我慢していた。

 一瞬、浩介くんにおんぶしてもらおうと思ったけど、さすがにこんな人だかりの真ん中は恥ずかしすぎるわね。

 

「よし、休める所を探そうか」

 

「う、うん……」

 

「さっきのネットカフェがいいだろう。俺も店を調べたいし」

 

 というわけで、近くでさっき見かけたネットカフェまで、あたしたちは移動した。

 

 

「ふー、疲れたー」

 

 あたしと浩介くんは2人部屋の個室に入り、ゆったりくつろぐ。

 浩介くんは、ネットを開くと、「絞り込み」という名目で、早速神戸ビーフの美味しい高級店を探し始めた。

 とにかくお金が有り余っているから、「安くていいものを」と言う贅沢な悩みをしなくていいのは強みだったりする。

 本当に、蓬莱教授にはお世話になりっぱなしだわ。でも、蓬莱教授からすれば、あたしたちが実験に参加してくれる恩からすれば、恩返しのうちにも入っていないのかもしれない。

 

 夕食までの時間、こういう時間も必要だ。

 

 神戸で牛肉を食べるということは、これからは難波駅か心斎橋駅から御堂筋線で梅田駅、そして大阪駅に行けばいいのかな?

 大阪駅からは新快速が速いはず。

 そう思って、あたしはあらかた絞り込みが終わった風に見える浩介くんに提案してみた。

 

「浩介くん、神戸行くのはやっぱり来た道戻って新快速かな?」

 

「ああいや、ここからだと『阪神なんば線』を使った方がいいよ」

 

「あ、言われてみればそうね」

 

 浩介くんが、時刻表と乗換案内を駆使しながら的確にルートを決めてくれる。

 いかに新快速が速いとは言え、あの梅田の複雑な乗り換えをするよりは、阪神なんば線で直接三宮に行ったほうがいい。

 それにしても、大阪と梅田もだけど、この三宮も結構ややこしい。

 私鉄は「神戸三宮駅」が正式名称で、地下鉄とポートライナーは「三宮駅」、また「阪神三宮」・「阪急三宮」と言う案内があり、JRは「三ノ宮駅」と「ノ」の字がつく。おまけに少し離れた所に「三宮・花時計前駅」まである。

 で、あたしたちが目指すのは、「阪神線」の「神戸三宮駅」ということになるのだ。

 

 調べてみるとここ難波も、普通に「難波駅」なのは地下鉄と「南海線」で、「近鉄線」と「阪神線」は「大阪難波駅」、JRは「JR難波駅」と称している。

 ちなみに、「難波駅」の方も、案内上ではひらがなで「なんば」になっていて、地図と色々違っていて、混乱してしまった。

 どうも感じだと「なにわ」とも読めるらしい。

 関東人のあたしには「なにわ」と「なんば」の区別もつかないけど。

 

「浩介くん、なにわって?」

 

「どうやら、なにわは歴史ある呼び方らしいよ、『難波宮』って言われる大阪の古都としての歴史は京都よりも長いんだってさ」

 

「へえ! 全然知らなかったよ!」

 

 浩介くんが調べた所によると、ここ大阪難波には、古くは世界最大の仁徳天皇陵で有名な仁徳天皇が、難波に都を置いたという。

 奈良と同程度、京都よりも古い都、それが大阪だという。

 

 その後は、あたしたちはこれからの牛肉食の予行練習と、インターネットや漫画を楽しんで、時間を潰していった。

 この店を出る頃には、すっかりお腹も空き始めた。




公営鉄道は公的機関なのでそのままです。また「JR」も、「旧国鉄を総称した呼び方」ということでそのまま残しました。「JR○○」は修正しました。
後はなろう版からの修正点として、「○○線」「○○と名乗るビル」といった感じにして、微妙に企業名にしないようにしてます。

ちなみに、今回の旅ですが、作者自身も大阪を当てもなく散歩していて(今は亡き寝台特急日本海を待つまで時間が空いていたので)偶然グリコを見つけてしまったことがあります(ルートは2人の辿った所とは違いますけど)
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