永遠の美少女になって永遠の闘病生活に入った件 作:名無し野ハゲ豚
涼しい風がパレオをはためかせ、中の水着がチラチラと見える様子は、水に濡れると殆ど見られなくなってしまった。
水着が吸収した水分の重みが、風に強くなったから。
それでも、超ミニだから少し体制を変えれば簡単に見えちゃうし、それ以前に、水着へのひっつき方によって、後ろの一部はデフォルトで見えている。
あたしはそんなことを気にも止めずに流れるプールを目指す。
ちなみに、浩介くんにとっては気が気でないみたく、さっきからわざと歩調を見出してあたしのお尻ばかりを見ている。
隣で歩く浩介くんは、更にギンギンに大きくなった下半身を随分と気にしていた。あたしはというと、去年これを見て吐き気がしたことを思い出しつつも、浩介くんがあたしで興奮してくれていることが何よりも嬉しかった。
「うお、結構流れ速いな!」
「うん、流されないように……手、繋いでくれる?」
ちょっと心配になって、あたしは上目遣いで浩介くんを見る。
この流れるプールは円状に流れていて、真ん中にはウォータースライダーの終点があって、どこからでもウォータースライダーを見ることが出来る。
たまにウォータースライダーの方から楽しそうな声があがって来るのも特徴の一つ。
「あそうだわ」
パチン
あたしはパレオを止めてあるボタンを外して、普通のビキニ姿になる。
水に濡れちゃうとちょっと引っ付いちゃうし。
浩介くんは、こんな何気ない動作でもドキッとしてくれる。
「浩介くん、これ持っててくれる?」
「お、おう……あ、浮き輪にかけておくといいかもしれないな」
そう言って浩介くんが先にプールに入ると、あたしからパレオを受け取って浮き輪の近くにかけてくれた。
浩介くんが流れに逆らってその場にとどまっているので、あたしも気持ち早くにプールの中に入る。
浩介くんが力を落とし、2人で並行してプールを楽しむ。
「荷物持ってくればよかったかな? そうすればしまえたし」
「うーんいいよ。まあちょっとシュールだけど」
パレオ無しでビキニで水に入ると、あるのとではちょっとだけ感触が違う。
違わないのは――
すりすり
「きゃあ! こら浩介くん!」
浩介くんの、どさくさに紛れて触る手の感触はいつもと同じ。
プールに入ると早速、浩介くんに、待ってましたと言わんばかりにお尻を触られてしまったわ。
「ごめんごめん、優子ちゃんのお尻、つい触りたくなっちゃって」
「浩介くん、誰かが潜ってたらどうするの?」
ついあたしも突っ込みたくなる。
「うっ……そ、それは……」
久しぶりに、ちょっとだけお説教したい。
浩介くんがえっちなのはいいし、水着は我ながらエロくてかわいいから、浩介くんがいたずらしたくなっちゃう気持ちもわかるけど、水越しと行ってもやっぱり他の人も見ているから自重して欲しい。
「じゃ、じゃあさ――」
もみっ
「きゃあっ!」
お尻がダメならと胸だと言わんばかりにあたしは浩介くんに胸を一揉みされる。
「ちょっと浩介くん!」
「大丈夫、前見てるから、潜ってる人居ないから、後ろから胸は見えねえだろ? にしても柔らかくて気持ちいいなあ……」
もみっ
「ううっ……」
どっちにしても、今のあたしはエロすぎて、浩介くんに触られる運命らしいわ。
確かに、それを目指した水着を、こんな体型で着てたら仕方ないのかもしれないけど。
「でもよ、優子ちゃん、ここもし一人だったら、命が幾つあっても足りねえぜ」
「う、うん……」
確かに、浩介くんの言う通りだわ。ましてや流れるプールじゃあ、あたしを触ろうとする痴漢は多そうだし、それに浩介くんになら……ってまたそんなこと考えてるわね。
「ま、俺が守ってやるから、その代わりな。守ってあげる代わりに触らせてもらうんだ」
「えー!? ま、まあうん……」
一瞬驚いちゃったけど、実際浩介くんには守られっぱなしだし、ご褒美くらいあげてもいい……わよね?
もみっ……もみっ……もみっ……
「きゃぅ……うー!」
そんなことを考えている間にも、あたしは流れるプールで浩介くんに胸を水中から何度も揉まれてしまう。浩介くんに前から後ろから、右から左から、様々なシチュエーションで、あたしの豊満な胸が変形させられていく。
そして、あたしの体内が急激に熱くなっていくのを感じる。特に顔は、燃えちゃうんじゃないかというくらい熱い。
ああ、冷たい水の中のはずなのに、体が熱いわ。
「お、優子ちゃん興奮しちゃった?」
あたしの顔が真っ赤になってるのを見て、浩介くんが悪戯心を込めた声で言う。
好きな女の子に、つい意地悪しちゃいたくなるのが男の子。
それに加えて性欲まであるから……浩介くんだって本当はこれでも抑えている方よね?
何だかあたしも、興奮してしまうわ。
……よし! あたしも、やられてばかりじゃないわ!
むにっ!
「はわっ!? ゆ、優子ちゃん!?」
あたしが、仕返しのつもりで浩介くんの身体を掴むと、浩介くんがかわいい声を出してくれる。
あたしもあたしで、浩介くんに触っちゃうとものすごい興奮しちゃってたまらないわ。
「ふふっ、ちょっとだけ仕返しよ」
表面では、悪戯心を装っているけど、実際に心臓の鼓動は、浩介くんに負けないくらい興奮し始めている。
やっぱり、あたしも女の子。浩介くんの、ううん、男の子の大きいの大好きだわ。
本当は、今のあたしはもっと過激なことをしてみたいという欲望でいっぱいなんだけど、何とか理性を手繰り寄せて我慢する。
触っていると、興奮すると同時に、あたしはただ「女」だけではなく、「メス」なんだと自覚できるのがとても嬉しい。やっぱりまだあたしはまだ不安定なのかな?
「優子ちゃん、もしかして俺よりえっちなんじゃない?」
気持ちいい声を必死でこらえつつ、浩介くんが言う。
よく考えたらあたしたち、傍目から見たら、バカップルもいい所よね。
「あはは、そうかもしれないわ」
「また興奮してるんだろ?」
「あうー、恥ずかしいよお……」
浩介くんに図星を突かれてしまう。
そんな風に水中で触り触られで遊んでいると、流れるプールが2周していたことに気付く。
浩介くんは何回もあたしのこと触ってくるけど、さすがに疲れてきちゃったわ。反応鈍いと、浩介くんの機嫌損ねちゃいそうだし。
「上がるか?」
「うん」
そろそろウォータースライダーでも遊びたいと思っていた矢先、浩介くんが声をかけてくれる。
浩介くん、なかなかすごいわよね。
あたしは浮き輪ごと浩介くんに引っ張られ、まず浮き輪にかけていたパレオを陸にあげ、浩介くんの支えの元、まずあたしから上がり、次に浩介くんが上がる。
あたしはパレオを拾い上げて、もう一度穿きなおす。
「何か水に入る時パンツ丸出しみたいだな」
「も、もう!」
浩介くんの冗談に、あたしも緊張してしまう。
パレオの方は乾いていたけど、もう少し水を絞る。
こうすることで軽くなり、風に弱くなってよくはためくようになる。丈が超ミニなのではためけばそれだけチラチラと見えて、エロさを演出できる仕組みになっている。
「優子ちゃん、それ、エロすぎる……」
絞る様子は、水着の中が絶妙な見え方をするため、年頃の男の子には刺激が強すぎるみたいね。
浩介くん、大丈夫かな?
「ねえ見てよ、あの彼氏」
「本当、お盛んよねえー」
「いや、見てよ。あの彼女、超かわいいじゃん!」
「本当だ。それにスタイルもすげえし、そりゃあああなるよなあ……!」
近くにいた女性2人組が、浩介くんの今の状態について話している。
浩介くんは、顔を赤くして俯いてしまっている。ちょっと悪いことしちゃった気分でバツが悪いわね。
「浩介くん、気にしなくていいわよ。こんなかわいい彼女なんだから」
あたしは、浩介くんにもっと堂々として欲しい風に言う。
「うっ……で、でも……」
浩介くんは、まだ遠慮している感じで言う。
「とにかく、ウォータースライダーで遊びましょ?」
「ああ」
何とか浩介くんに納得してもらい、ウォータースライダーへと進む。
さて、ウォータースライダーは大きな滑り台は大きくカーブを描きながら滑る迫力満点の遊び。
持ち物はあたしの浮き輪だけだけど、落し物と誤解されないように規定のウォータースライダー客用の預け場に預ける。あたしの腕の鍵が2つになった。途中で無くさないように特に注意しないと。
ウォータースライダーで遊ぶためには当然階段を上がるわけだけど……
ぺろっ
浩介くんにさっきから何度も後ろからパレオをめくり上げられて中の水着を見られている。
超ミニだから、そんなことしなくても見えているはずなんだけど。あたしは、ちょっとだけやせ我慢も入っているけど、恥ずかしがらずに堂々とする。
「うーん……やっぱり納得いかねえんだよなあ……」
浩介くんは性欲というより、何かを考えてめくってる感じで言う。
「ん? 何が?」
あたしが聞いてみる。
「やっぱこの水着見ても、普段俺が見てるパンツと大差ないっていうか」
「もう、普段って何よ普段って……」
あたしそんなにパンツ見せてないわよ。
「いやさ、やっぱ水着と下着の差が分からないというか……」
「水着は泳ぐためだから、水への対策が多いのよ」
あたしも、厳密に説明しろと言われたらきついけど。
「ふーん、でも、やっぱ優子ちゃんが一番かわいいや」
「うっ……もー、いきなりは反則だよ……でもありがとう」
何の脈絡もなく「かわいい」って言われちゃってびっくりしたけど、やっぱり何回言われても嬉しい言葉だわ。
さて、長い階段を上がるとウォータースライダーの入り口に到着した。
人気コーナーのため、やはりそれなりに人が並んでいて、前方には女性2人組やカップルの姿もある。
危険防止のため1人が降りてしばらく間隔をあけてから出る。2人で抱き合いながらと言うのはここでは残念ながらできないらしい。
「きゃあああ」という、女の子の悲鳴も聞こえてくるが、楽しそうな声で、遊園地の時に聞いた声とはまた違うわね。
「次の方、どうぞ。こちらの手すりにおつかまり下さい」
「はーい!」
あたしが呼ばれたので、係員さんの指示に従い、手すりにつかまりながらスタート地点に座る。
お尻の下は、勢いよく水がひっきりなしに流れている。くみ上げて循環しているのかな?
「はい、それでは手すりから手を放して出発してください!」
「んっ……きゃああああ!!!」
あたしは、手すりから手を放すと、勢い良く身体が滑り出し、思わず悲鳴が漏れてしまう。
滑り台は結構角度が急で、かなりの速度が出る。
でも、怖さはない。カーブで曲がると、結構減速してくれるから。
「きゃはははは!!!」
水着のパレオは、お尻の方は速度について行けず下の滑り台にめくられて、前の方も風圧で勢いよくめくれ上がり、完全に丸めくれになっている。
ばっ
あたしは、爽快感で笑いつつも、意味もなくパレオを抑える。
多分、あたしの中で組み込まれた遺伝子のせいだと思う。スカート状のものがめくれると、つい抑えてしまうんだと思うわ。
「わっ、きゃはははは!!!」
楽しく叫んでいると、前方が急に明るくなった。
そう、ウォータースライダーもこれで終わり。
ざぶーん!
あたしは前方の水に勢いよく突っ込む。
「むぐっ……むぐむぐっ……」
あうう、溺れちゃう!
……って、足つくわね。
あたしは何とか体勢を立て直し、プールを歩く。
水の中で、パレオがまた、ゆらゆら揺れている。
ざぶーん!
あるき始めた時、後ろで水しぶきがした。
あたしの後ろに浩介くんがいた。
「楽しかったね浩介くん」
「あ、ああ」
浩介くんがニッコリ笑う。
どうやら、浩介くんも楽しかったみたいね。
「ねえ、もう一回やろう?」
「おう」
浩介くんがニッコリ笑う。
あたしはもう一度パレオを絞り、浮き輪はそのままにウォータースライダーへの階段を上る。
「次の方、どうぞ!」
今度は浩介くんからウォータースライダーへ。
浩介くんは、特に声を出していない。
そして、あたしはさっきと同じように、手すりにつかまり、係員さんの指示で手を離してウォータースライダーを楽しむ。
「きゃあああああはははははは!!!」
あー楽しいわ。最初と違って、恐怖感もないので楽しさは倍増する。
あたしは、めくれ上がるパレオのことも忘れて、万歳しながら楽しむ。
せっかくの水着、見えてなんぼよね。誰も見てないけど。
ざぶーん!
「むぐむぐむぐっ!!!」
えっと、このプールは立つから……ってわっ!
あたしは、別の力で体を起こされる。
どうやら、浩介くんに救助されたみたいね。
「ぷはっ……あ、浩介くんありがとう」
また浩介くんに守られちゃったわ。
「おう」
すりすりすり……
「ありがとう何だけど……」
浩介くんに、どさくさに紛れて思いっきりお尻をなでなでされてしまう。
「おう」
ぺちっ!
「浩介くんのえっち!!!」
さすがに何回も触られて恥ずかしいので、ビンタして大声で叫ぶ。
それを聞いていた周囲も「クスクス」と笑っている。
「もー恥ずかしいよお……」
「とか何とか言って、嬉しいんだろ?」
浩介くんが、悪戯心満載のニヤニヤした表情で言う。
「うー!」
あたしは、反論できない。
完全にバカップルだわ。
「それよりも疲れたな、優子ちゃんは?」
「うん、さすがに2回も滑ると疲れるわね」
浩介くんも、少し疲れたみたい。あたしも、正直そろそろ休みたい気分だった。
「じゃあ、休もうか?」
「うん」
あたしたちは、ロッカーから浮き輪を戻して、そこらじゅうに設置してあるベンチのうちの一つに座る。
ベンチの近くには水飲み場があったので、ありがたく水分を補給させてもらうことにした。
「にしてもさ」
休憩中、浩介くんが何気なく話しかけてくる。
「うん? どうしたの?」
「優子ちゃんって、恥ずかしがり屋な割には、結構応えてくれるよね」
「え!? そうかな?」
確かに、浩介くんが喜んでくれてるのを見ると、恥ずかしいセクハラも許しちゃうし、かなりしつこいセクハラでも、ビンタしちゃえば許しちゃっている。
「うんうん、特に顔を真っ赤にしてビンタする優子ちゃん凄いかわいいんだ」
「もー! 浩介くんったら!」
あたしは笑いながら、両手で浩介くんの肩をバシッと叩く。
いかにもな感じの照れ隠しの動作。
浩介くんにも、笑みがこぼれる。
「――でさ、優子ちゃんって巨乳とか体重をコンプレックスにして無いのがいいと思うんだよ」
「うんうん、どうして?」
その後は、あたしたちの性格の話になる。
「贅沢な悩みをしないから、嫌味に見えないんだ。やっぱり、優子ちゃんレベルでかわいいなら、自信家がいいと思うんだ」
浩介くんが、あたしの魅力について話している。
もちろんあたしにもコンプレックスはあるけど、それは「贅沢な悩み」とは程遠いもので、むしろ圧倒的大多数が持っていることを持っていないものに対するコンプレックスだ。
「お腹空いたな」
「うん」
お互い「ぐー」っとお腹は鳴らしていないけど、空腹なのは確か。
「確か、会計はロッカーキーで後払いだっけ?」
「うん」
「よし、じゃあ食べるか!」
浩介くんに引っ張られ、あたしは中央にあるプールの軽食屋さんへと進んでいった。