永遠の美少女になって永遠の闘病生活に入った件   作:名無し野ハゲ豚

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どんよりバレンタイン

 1月が過ぎ、2月になった、2年生以下はスキー合宿に行っていて、一方で3年生はバレンタインデーの準備にも余念がない。

 桂子ちゃんはセンター試験が終わり、最終的に佐和山大学への進学がほぼ決まったという。

 うちのクラスからも、何人かが佐和山大学へと進学するが、その中で蓬莱教授の研究室に行くのはあたしたちくらいだろう。

 冬の寒さはどんどんと厳しくなっていったけど、2月に入ると、ほんの薄っすらと春の陽気も感じられるようになった。

 

 そして2月13日の学校帰り、あたしは明日のチョコとして、義理チョコと浩介くんへの本命チョコの材料を買って家に戻った。

 バレンタインデーと言えば手作りチョコレート、今年はもう、母さんの助けは借りずに、あたしが1人で作らなきゃいけない。

 

 去年、母さんに学んだことを思い出しつつ、インターネットにある手作りチョコレートの作り方を見る。

 

「よくかき混ぜてっと……」

 

 バレンタインデーは近い。浩介くんには、甘くておいしいチョコレートを食べさせてあげたいわ。

 

 

「……ふう」

 

 チョコレート作りが一段落し、あたしはリビングのソファーで休む。

 

「優子、明日のバレンタインか?」

 

「う、うん……」

 

 父さんが話しかけてくる。

 

「お父さんたちにもくれるのか?」

 

「え!?」

 

 そう言えば、去年は買った義理チョコで済ませちゃってたわね。

 

「あー、本命じゃなくてもいいけどさ。優子からこの家でもらえるのは、今年で最後になると思うから」

 

 確かに、4月からは、あたしは浩介くんの家に嫁入りしちゃうわけだものね。

 

「そうねえ……お母さんたちにも、出来れば手作りチョコレートを作ってほしいわね」

 

「う、うん……分かったわ」

 

 確かに、浩介くんにチョコレートをあげるのは、夫婦になってからいくらでもできる、でも母さんたちは、もうあたしがこの家にいるのも、1か月程度しかいないのに。

 

 幸いにして、浩介くんへの手作りチョコレートは無事に完成し、失敗した時のための予備の材料で、量は少ないけど作れることに気付いた。

 あたしは、早速、浩介くんへの手作りチョコレートと同じ手順でチョコレートを作る。

 こちらも無事に、失敗なく完成し、明日のバレンタインデーまで、箱の包みながら冷蔵庫の中にしまい込んだ。

 

 

「ふうー、疲れたわ」

 

 あたしは、ぐったりした感じで、ソファーに座る。

 確かに、2回も同じことをしたら疲れちゃうけど……それにしてもちょっと疲れ方が大きいわね。何だか身体もだるいし。

 

「明日大丈夫かな?」

 

 前回は1月の初旬に生理が来ていて、冬休みの後半はぐったりしていた。

 もう何度も経験してることだけど、やっぱりこのだるさと痛みは、あたしのひ弱な体には重たい。

 明日は女の子の晴れ舞台でもあるバレンタインデーだから、無事にやり過ごして、明後日にでも来てほしいけど……

 

 

「あうー」

 

 その願いは、無慈悲にも叶わなかった。

 冬のベッドから起き上がるのは大変だけど、それに生理まで重なったらなおの事きつい。

 せっかくのバレンタインデーだけど、生理周期というものはどうしてもそういうことを察知してくれない。

 

 寝るときに付けていた生理用品を、トイレのごみ箱に捨てて、あたしは生理用の羽付きパンツに穿きかえる。

 そして、防寒用にストッキングを履いてブラジャーを取り換えて制服を着こむ。

 生理中は、とにかく色々な意味で気を付けないと。

 

 

「おはよー」

 

「優子おはよう、今日は『予定日』でしょ? 大丈夫?」

 

 母さんが心配そうに聞いてくる。

 

「痛い、だるい、苦しい……」

 

 父さんが既に出勤していて、ここにいないからこそできる会話が繰り広げられている。

 

「ふふ、そうよね。でもそんな日こそ、バレンタインデーは心を込めなさい」

 

「はーい……」

 

 母さんに言われ、あたしは重い足取りでチョコレートを取り出し、母さんに渡す。

 

「帰ったらお父さんにも渡しなさい、今年が最後なのよ」

 

「わ、分かってるわ」

 

 あたしは、重い体にムチを打って、浩介くんへのバレンタインデーチョコを鞄の中に入れる。

 朝食を軽く取ると、もう行く時間になっていた。

 

「はぁ……はぁ……母さん、行ってきます」

 

「はーい、いってらっしゃーい」

 

 今日は木曜日なので、体育は見学しないといけない。

 ともあれ、重い足取りで学校へ進む。

 多分、これが小谷学園での最後の生理になると思う。卒業式が3月16日土曜日を予定しているため、これまでのあたしの生理周期を考えると、何とか新婚旅行を避けられそうなのは確かだった。

 

 

 そして何とか、通学路を重い足取りで歩きつつ、教室へとったどり着いた。

 

  ガラララ……

 

「おはよー」

 

「優子ちゃんおはよう、大丈夫? 顔色悪いわよ」

 

 桂子ちゃんが心配そうに聞いてくる。

 直接「生理」とか「女の子の日」とか言わないあたりがさすがだと思う。

 

「あはは、はい桂子ちゃんこれ」

 

 あたしは、桂子ちゃんに義理チョコを渡す。

 

「あ、うん。はい優子ちゃん」

 

「ありがとう……」

 

「優子さん優子さん、こういう日こそ、チョコレートで元気出すんですよ」

 

 近くであたしを見ていた龍香ちゃんがチョコレートを渡してくる。

 

「う、うん……」

 

 あたしも、龍香ちゃん向けに義理チョコを渡し、桂子ちゃんと龍香ちゃんのくれたチョコレートを食べる。

 とにかく、生理中のあたしは普段とは比べ物にならないくらい大食いになる。

 この体系を維持できているのも、普段あまり食べない代わりに生理中に食欲が出てるおかげなのかもと思ってしまう。

 

「おー優子、大丈夫か!? 何だ、チョコ食って元気出せ!」

 

 恵美ちゃんが豪快にチョコレートをくれる。

 

「うん、恵美ちゃんありがとう……」

 

 あたしも、恵美ちゃんにチョコレートを返す。

 結局、義理チョコは量も少ないので、朝のうちにほとんど食べてしまい、残すは永原先生と浩介くんだけになった。

 

 

  ガラガラガラ……

 

「はーい、ホームルーム始めますよ!」

 

 永原先生が教室に入り、朝のホームルームを開始する。

 永原先生はあたしに配慮してか、何も言ってこない。

 

 そしてお昼休み。

 あたしは重い腰を何とか上げて、学食へと向かう。

 この日のメニューは生理中にいつも食べている野菜ラーメン、食堂のおばちゃんには、絶対ばれちゃってるよね。

 

「ふう、完食っと」

 

 やっぱり甘いものは別腹なのか、チョコレートをあれだけ食べたのに食べきっちゃったわ。

 ちなみに、ラーメンを食べた後に、義理チョコも食べちゃった。

 

 あたしは、何とか保健室行きにはならず、午後の授業も受けられそうで良かった。

 ふと前を見ると、浩介くんが水飲み場で水を飲み終わっていた。

 

「あ、浩介くん」

 

「お、優子ちゃん、くれるのか?」

 

「うん……でもちょっと待ってて……」

 

 チョコレートは、カバンの中に入れっぱなしだった。

 あたしは教室に戻り、カバンからチョコレートを出す。

 

「ここじゃ無くってさ、屋上で渡してよ」

 

「え!? でもあたし今日は調子が――」

 

「大丈夫だって、ほれっ!」

 

「わわっ、きゃあっ!」

 

「「「おおー!」」」

 

 浩介くんにひざ裏と背中を取られて、あたしはあっという間にお姫様抱っこされてしまう。

 クラスメイトが注目するのも意に返さず、浩介くんは短く「行くぞ」と言って、あたしを屋上まで運んでいく。

 道中も、他の生徒や先生に注目されてて、スカートを抑えながらチョコも持たないといけなので、恥ずかしい上にせわしなかった。

 でも、いい思い出になると思う。

 

 屋上では、1組のカップルがちょうど渡し終わっていて、あたしたちの貸し切りになっていた。

 少し風が吹いていて、スカートがゆらゆらとなびいている。

 

「はい、じゃあ、チョコレートくれる?」

 

 屋上の陰になっている部分に移動する。

 去年の文化祭で、浩介くんに初めてスカートめくりされた思い出の場所。

 

「う、うん……」

 

 ドキドキ感のムードや雰囲気は小さいけど、婚約者だもんね。

 

「はい、浩介くん、これ」

 

 あたしは、ちょこんとかわいらしく包んだ本命チョコレートを渡す。

 

「ありがとう、食べていい!?」

 

 浩介くんの顔がパーッと明るくなる。

 

「うん」

 

「やったー、はむっ……うーん、おいしい!」

 

 浩介くんは、去年と同じレシピのチョコレートを、楽しそうに食べている。

 あたしは、生理による疲労もあって、屋上のフェンスに寄りかかる。

 

「はーい、優子ちゃん!」

 

「え!?」

 

 去年と同じように浩介くんがハート型のチョコレートを口で挟み、あたしに食べるように促してくる。

 

「んっ……」

 

 浩介くんの顔が近くてドキドキする。

 生理中だという事実が、なぜか分からないけど背徳感を感じてしまう。

 

「ぱくっ……んっ」

 

「んっ……ちゅっ……」

 

 そして、チョコレートの中間地点で唇が触れ合う。

 去年と違い、屋上には誰もいない。

 

「じゅるる……ちゅっ……ぷはっ……」

 

 チョコレート味のキスを、味わう。

 去年よりも長続きしなかったけど、1年ぶりに見た茶色い唾液の糸が直垂落ちる。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……あの……あたし……」

 

「優子ちゃん今日、生理の日なんだろ?」

 

「え!? う、うん……」

 

 浩介くんのナチュラルなセクハラに動揺して、つい頷いてしまったわ。

 

「優子ちゃん、ちょっといい?」

 

  ぴらっ

 

「やっ! ちょっと浩介くん!」

 

 浩介くんにスカートをめくられ、ストッキング越しだけど、生理用のパンツを見られてしまう。

 

「こ、浩介くんお願い! 今日だけは許して!」

 

 生理用のパンツは、見られたくない。

 

「旦那として、知っておかなきゃいけないんだ」

 

「うっ……」

 

 あたしは、ぼんっと顔が真っ赤になる。

 

「優子ちゃんと一緒に暮らす上でも、さ。優子ちゃんのこと。結婚して一緒に過ごす上で、妻の生理から逃げちゃいけないと思うんだ」

 

「……うん、分かったわ」

 

 生理から逃げちゃいけない。

 何だろう、すごく懐かしいフレーズに、あたしもつい頷いてしまう。

 あたしが女の子になったばかりの頃に、初めて生理になった時も、あたしは永原先生にその言葉を言った。

 まさか今になって、自分に返ってくるなんて思わなかった。

 

「やっ……恥ずかしいよお……」

 

 そうは言っても、浩介くんにストッキングを下ろされ、生理用パンツを直接見られるのは、凄く恥ずかしい。

 もちろん、普段のパンツを見られるのもとっても恥ずかしいけど、生理用の羽つきパンツを見られるのは比較にならない。

 

「優子ちゃん、これも脱がすよ……」

 

「え? あの、お願い、それだけは……いやあん……」

 

 浩介くんに、生理用のパンツも脱がされてしまう。

 浩介くんは、一瞬だけ驚いた顔をする。多分、血だまりになっている生理用品を見てしまったんだと思う。

 

「優子ちゃん、こんなのが毎月襲い掛かってくるのか!?」

 

「あはは、幸いあたしは1か月よりも少しだけ長いけどね」

 

「にしたって、辛いだろ? うっ……」

 

 そう言いつつも、浩介くんの視線は、あたしの大事な部分に向けられている。

 

「お願い、あんまりじろじろ見ないで!」

 

 あたしは恥ずかしさのあまり、浩介くんに訴える。

 

「どうして?」

 

「き、汚いから!」

 

 生理の様子は、浩介くんにもあまりじろじろ見られたくない。

 

「優子ちゃんに汚いところはないよ」

 

 浩介くんが優しく包み込むように言う。

 でも、今日ばかりは受け入れられない。

 

「ううん、今日だけは……お願い、もう戻して……生理中はあまり冷やしたくないのよ」

 

 あたしは、体調面から浩介くんを説得する。

 

「わわっ、うんごめん」

 

 浩介くんに慌て始めた。

 そわそわしたぎこちない様子で生理用パンツを穿かされて、その上にストッキングを履かされる。

 

「あううう……」

 

「優子ちゃん、かわいかったよ。本当はチョコレートと混ぜて食べてみたかったんだけどね」

 

 浩介くんは半笑いでにやけている。

 

「んっ……!」

 

  ぺちっ!

 

「浩介くんのえっち!!! この変態!!!」

 

 あたしは、初めて怒ったように浩介くんに言う。

 もう穴があったら入りたいわ。こんなに恥ずかしい思いをしたのもはじめてよ。

 

「ごめんごめん、でも、優子ちゃんに汚い所なんてないのは本当だよ」

 

「むー! そういう問題じゃないわよ!」

 

「だってさ、優子ちゃんの血を愛せないなんて言ったら、優子ちゃん、死んじゃうじゃないか」

 

「うぐっ……」

 

 正論な上に、真顔で言われちゃうと怒るに怒れないじゃないの。

 

「俺は優子ちゃんの全てを愛するんだ。これから毎日過ごすのに、生理中の優子ちゃんを愛せないなんて……だったら、この指輪を渡した俺は嘘つきになっちゃうだろ?」

 

 ベタなセリフだけど、あたしはドキッとしてしまう。

 

「浩介くん、本当にずるいわよ」

 

「何で?」

 

「ふうー、本当に変な所で鈍感なのよね。そんなこと言われたら、怒れないじゃないの」

 

 あたしは、やや悔しさをこめて言う。

 これじゃ将来的に、またバレンタインデーと生理が重なった時に、同じことされても拒否できないわ。

 

「言っただろ? 結婚したら同じ場所で暮らすんだ。生理の日にいつもと違うことができなかったら、旦那失格だぞ」

 

「うん、そうよね」

 

 実際、浩介くんの言っていることは本当のことだから、それについてはあたしも同意見だけど……あうー、言葉に引っかかるのに具現化できなくてもどかしいわ。

 

 

「はぁー」

 

 あたしたちは、昼休み後の教室の教卓で休んでいる永原先生のため息が聞こえてきた。

 教卓の上には、生徒のものと思われる沢山に積まれたバレンタインデーチョコがある。

 

「あの、永原先生」

 

 あたしはそっとチョコレートを永原先生渡す。

 

「あー、石山さんありがとう……」

 

 永原先生は少しだけ、ブルーな感じ。

 

「永原先生、今日は機嫌悪いんですか?」

 

 もしかしたら、あたしと同じ日なのかもしれない。

 

「あーうん、そういうわけじゃないのよ。ただちょっと、ね」

 

 永原先生は歯切れが悪く、ぎこちない反応をする。

 

「どうしたんですか?」

 

「私、文化祭だけじゃ足りないんだなって思って」

 

「え!?」

 

 永原先生が意外な言葉を言う。

 

「ほらこれ……」

 

 永原先生の手には「永原マキノ先生へ」と書かれた紙があった。おそらく、生徒からもらったバレンタインデーチョコに付いていたものだと思う。

 

「もしかして、コンプレックスですか?」

 

「そうなのよ、やっぱり私、ダメな女よ……もう戻ってくるわけでもないし、生きた時代も違うのに……教師をしているうちに、生徒になりたいって思いが強くなっていったわ」

 

「……」

 

「正直に言うと、石山さんの担任になる前までは、そんな思いはなかったわ。多分、あったとしても、本人さえ分からないような無意識の奥底よ」

 

 永原先生が、ゆっくりと話す。教室の生徒たちは誰も聞いていなくて、おしゃべりに夢中になっている。

 

「別に聞かれてもいい話だけどね……ほら、私の130年の教師人生の中で、教え子が同じ病気になったのは初めてだって言ったでしょ?」

 

「う、うん……」

 

「石山さんは本当にみんなの模範よ。女の子として生きていくべきTS病患者としても、後輩を導く人としても、本当に素晴らしいわ。私ね、最近気付いたのよ。私が持っている青春へのコンプレックスは、石山さんへのコンプレックスから生じたんだって」

 

 やっぱり、そうだった。

 永原先生が持っている青春へのコンプレックス、それはあたしへのコンプレックスからスタートしていた。

 

「ふうー、私も少しでいいから、女子高生になりたいわ。学校のみんなとわいわい遊んで、ふざけあって、勉強して、テストに一喜一憂して、ね」

 

「永原先生……」

 

 永原先生は、羨ましさを込めて言う。

 

「ごめんなさい、変なことを言っちゃって。忘れてとは言わないけど、あまり気にしないでね」

 

「う、うん……」

 

 永原先生が、気分を取り戻し、椅子から立ち上がる。

 チョコレートを集めて扉のほうを向く。

 ん? 今、誰かがさっと逃げたような? うーん、気のせいかしら?

 

「じゃあ石山さん、午後の授業も頑張るのよ。期末試験、気を抜かないで頑張ってね」

 

「うん」

 

 永原先生が教室から去っていく。

 あたしの机にも、クラスの女子のうち何人かから義理チョコが配られていて、あたしは名前を確認して彼女たちの机にチョコレートを置きなおす。

 そしてあたしは、生理中の疲れもあり、机に突っ伏した。

 

 

「ただいまー」

 

「おかえりなさい優子、大丈夫だった?」

 

 母さんが心配そうに出迎えてくれる。

 

「うん、何とかね」

 

 浩介くんとのことは絶対に言いたくない。

 

「そう、お父さん帰って来るまでゆっくり休みなさい」

 

「うん、そうするわ」

 

 あたしは部屋に戻り、制服からパジャマに着替える。

 今はとにかく、楽になりたいわ。

 体調も落ち着き、父さんが帰ってきた時に、夕食時にチョコレートを渡して、あたしのバレンタインデーが終わった。


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