永遠の美少女になって永遠の闘病生活に入った件   作:名無し野ハゲ豚

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別れ そして新たな始まり

「……」

 

 真っ暗な場所にあたしは一人で佇んでいた。

 そこは暗くて何も見えない、常闇の空間だった。

 ふと、朝日のようなものが差し込まれた。すると、あたしの立っている場所がどこかがわかった。

 

「ここ、学校の教室?」

 

 そこは、小谷学園の、それも窓から推察するに2年生の教室だった。

 学校なら、昨日卒業したはず。

 

「だから、てめえが悪いんだろうがこの野郎!!!」

 

 背後から、懐かしい声がした。

 振り返ると、男がもう一人の男に怒鳴っていた。

 

「優一!」

 

 一瞬見えたかお間違いなく優一のもので、桂子ちゃんが優一を「また」という感じで見ていたのも見える。

 これ、あたしが女の子になる直前の日……そんなはずはない、そう思った瞬間、視界が突如様変わりした。

 

「ここ、優一の部屋?」

 

 次に見えたのは、優一だった頃のあたしの部屋だった。

 優子の時の部屋と正反対な、殺風景で散らかり気味の部屋。

 ベッドにはお人形さんも、ぬいぐるみさんもなく、カーテンや布団の色も違い、本棚も少女漫画や女性誌ではなく、少数の少年漫画と萌え系の漫画やラノベが置いてあった。

 

 変わってないのはパソコンとテレビだけ。

 視界が徐々に霞み、今度は普段使っているあたしの部屋になった。

 

「あ……」

 

 ハート型クッションの上に、ボロボロになったもう一人のあたし……優一を見つけた。

 それはほとんど肉塊のような感じで、今にも消えそうになっている。

 

「よお……また、会ったな、もう一人の俺……心優しい俺……」

 

 肉塊からの声が、頭の中に直接語り掛けてくるように響く。

 その声は、今まで以上に苦しそうだった。

 

「その声……優一なの?」

 

「ああ、そうだ……なあ……優子……いや、もう一人の俺よ」

 

 懐かしい声で、俺があたしに語りかけてくる。

 

「うん」

 

「お前は、どうして俺が道を踏み外したか、覚えているか?」

 

「……」

 

 あたしの記憶の中で、あたしが乱暴になったのは、中学の時のこと。

 折り合いの悪いクラスメイトの男子がいて、殴り合いの喧嘩で勝ってから、だった。

 それ以降、暴力までは行かなかったけど、怒鳴りつければ押し通せると学習してしまった。というのも、優一は力も強かったから。

 

「覚えてる、ようだな。もし……あいつがクラスメイトじゃなかったら……げほっ……俺は、乱暴には……ならなかったかもしれねえな」

 

 まるで命を削るように、あたしの頭に響かせて来る。

 肉塊は、微動だにしていないのに。

 

「あの……」

 

「人間と言うのは、変わるのは難しい生き物らしい……でも、大きなことがあれば……ぐふっ……変われるんだぜ……俺、みてえにな……」

 

 肉塊は、あたしの言葉を無視するように語りかけてくる。

 優子になったあたしは、優一とは何もかもが正反対になった。

 乱暴で横暴で強引で怒りっぽかった優一は、健気で押しに弱くて気弱で泣き虫な優子に生まれ変わった。

 結婚式の夜もそうだった。

 あたしは浩介くんに、為されるがままにされた。

 

「優一と優子……知識がねえ奴は……同じ人間とは思わねえよな……」

 

 そう、あたしが変れたのは、性別が変わり、容姿と身体能力に大きな違いが生まれたことが、根本的な成功要因だと思う。

 目覚めたあの日、あたしは名前を優子に変えて、女の子になることを決心した。

 女の子として生きていく、最初は永原先生の話を聞いて、半ば仕方なくという感じだった。

 だけど、その日の夜に考えた末に、自分の悪行の連鎖を止める最後のチャンスだと思った。そして、あたしは名前を変え、女性として生きることを固く誓った。

 最初の日は、自分の体に慣れることさえ、出来なかったし、カリキュラム中も、様々な男女の違いに戸惑い続けた。

 その後だって、初期ほどじゃないけど、男女の違いに戸惑うことは多くあった。

 

「嗚呼……俺はとうとう……正真正銘の女に……女に……なっちまったんだもんな……」

 

 もう一人のあたしが言う「女になった」、今はそう最初のあの日に感じた「女になった」とは重みが違う。

 今は、もう戸惑いもない。浩介くんという素敵な男性と結婚し、多分これから赤ちゃんを作って、子供を育てて、そんな幸せを得ることが出来るんだと思う。

 

「お前は……いや、俺は篠原と……幸せを手に入れたんだな……俺が一番、ひどいことした奴と……本当に、すげえよ……俺は……」

 

 優一は、あたしのことも「俺」と言うけど、どこか他人事のようにあたしに話しかける。

 でも、この肉塊もまた、あたしの中に残った優一の名残だった。

 

「うん、これからも頑張るわね。あっ……」

 

 肉塊が、少しだけ消えていくのが見える。

 

「篠原との赤ちゃん……今すぐじゃなくていいから……ちゃんと、産むんだぞ……俺……」

 

「う、うん……分かってるわ!」

 

 優一の声が、先程よりもかすれ始める。

 

「あいつも……変わったよな……あいつだけじゃねえか、高月も……木ノ本も……げほっ……田村も……先生も……」

 

「うん、浩介くん、とっても素敵な男の子になったわ」

 

「ああ……結婚、おめでとうな……」

 

 肉塊が、どんどん消えていく。

 

「悪い、そろそろ……限界だ……」

 

 声が更に、聞こえにくくなる。

 

「……もう、いなくなっちゃうの?」

 

「ああ……俺が今日夜にあいつとしたことで……はぁ……すっかり力もなくなっちまった……ぐぅ……でも、これでいいんだ……」

 

「うん、後悔はないわ、安らかに眠ってね。もう一人のあたし」

 

「心配するなよ……お前の……いや俺の中で……俺が、消えても……うっ……俺の記憶からは……記録からは……消えねえ……よ……」

 

 肉塊が、光に包まれていく。

 

「俺の中に……俺は残る……姿は表せねえが……がはっ……見守って……やる……ぜ……」

 

 そして、眩しい光とともに消えていく。

 

「さようなら……」

 

「……」

 

 あたしの返事に、聞き取れないくらいのかすれ声が聞こえると、ハート型のクッションの上には、何もなくなってしまった。

 

「夢……だよね?」

 

 リアルな夢だったけど、あたしには分かる。この夢はもう、見ることはないと。

 あたしも、意識が薄れていった。

 

 

 

「んっ……」

 

 モーニングコールも無ければ、暖房もつけてない。

 ホテルのスイートルームは、極めて静寂な空間になっていた。

 目を開けようとするが開かない。

 瞼の奥からでも分かるくらいに、朝日がまぶしい。

 

 そうだわ、えっとこういう時は布団で目を覆って……

 ……よしっ。

 

 布団の中で目を覚ましたら、まずは一枚布団を剥ぎ取る。

 少しだけ、外が明るくなる。

 次に目から直接見えない範囲で、布団を開く。

 徐々に明るさに慣らしていき、あたしはやっとの思いで起床した。

 

 こんな高層で寝起きしたのは人生でも初めてで、東側から凄まじくまぶしい太陽が出ていた。

 カーテンを閉めても、その威力はすさまじく、隙間から容赦なく朝の日光が襲い掛かってくる。

 

「お、優子ちゃん起きたか」

 

「浩介くん……」

 

 浩介くんは既に起きていた。

 と同時に、机の上にはエナジードリンクを飲んだ跡があった。

 

「浩介くん、どうしたの?」

 

「ああ、ホテルの中のコンビニで買ったんだ。優子ちゃん、すごい勢いで俺のエネルギーを搾り取ってくるからね」

 

 浩介くんの爽やかな物言いに、あたしはぼんっと顔が真っ赤になってしまう。

 

「と、とにかく着替えるわ。昨日のお風呂みたいに、覗かないでね」

 

「分かってるって、でもたまには見せてほしいかな?」

 

 浩介くんが軽く聞いてくる。

 

「ダメよ。旦那様にも秘密にしたいのが乙女ってものよ」

 

「へいへい」

 

 あたしにも女として、譲れない所はある。

 ぽんぽんとエロい所を見せて、恥じらいがないのは一番幻滅されるものね。

 特にあたしは不老の人間だし、浩介くんも不老になったら、結婚生活を百年千年あるいはもっと上の単位で続けていくことも考えないといけないからね。

 

 あたしは、キャリーバッグを引いて、和室の中に入る。

 バッグの中から、今日の着替えを探す。ちなみに、今着ているパジャマなどは郵送で浩介くんの家に送られることになっている。

 学校の制服は、浩介くんの要望もあって新婚旅行に持っていくらしい。まあ、何故かはあたしにも分かるけど。

 

 新婚旅行の最初の日、あたしは、赤い巻きスカートに赤い服を選ぶ。

 この服は何度もお世話になった。そして、この服と一緒に抱えるためにぬいぐるみさんを取り出す。

 浩介くんがプレゼントしてくれた、お魚さんのぬいぐるみ。

 

「よしっ!」

 

 あたしは、着替え終わったパジャマなどを、和室のかごに入れる。

 浩介くんが昨日着ていたパジャマもそこにある。

 一瞬だけ、浩介くんの下着の匂いを嗅いでみたくなったけど、慌てて誘惑を振り切ると、和室の扉を開けて部屋へと戻った。

 

「お待たせー!」

 

「お、優子ちゃん、その服よく着るよね」

 

「うん、お気に入りなのよ」

 

 実際、この服はデートの時の勝負服になっている。

 

「そうか、さ、朝食にしようぜ」

 

「うん、洋食と和食あるわね」

 

「うーん、和食にしようか」

 

「ええ」

 

 朝食は階下でバイキングか、ルームサービスを選べる。

 ルームサービスは当然スイートルームの特権なので、あたしたちは迷うことなくルームサービスを選択した。

 朝食のルームサービスも、フロントへ内線をかけて、そこからルームサービス呼び出し用のコールをかけるだけ。

 和食が2個の場合のコールを、浩介くんがかけていく。

 電話こそ使うが会話は一切必要ない。

 

「よし、これでよし」

 

 ルームサービスの場合、スイートルーム内にある、テーブルで食事を取ることができる。

 その間、あたしたちはカーテンを開け、外の景色を見た。

 東側なので、協会も入っているビルがある高層ビル群は見えない。

 代わりに、巨大な尖塔などを中心としたビル群が遠くに見える。

 眼下には、人々がせわしなく歩いていた。今日は日曜日だけど、それでも休日出勤と思われる人々で賑わっていた。

 

「すげえ人の数だよな……」

 

「うん」

 

 浩介くんが小さくつぶやく。

 

「夜だったとはいえ、俺たちカーテン開けっ放しで――」

 

「あうあう――」

 

 浩介くんの話に、あたしは嫌でも昨晩のことを思い出してしまう。

 窓の手をつけてお尻を突き出す格好にさせられ、あたしの目にはあの時の夜景が脳裏の焼き付いている。

 東京中の人々が、乱れたウェディングドレス姿になったあたしのことを見ていたような気さえしていた。もちろん、実際には誰も見てなかったんだけど。

 

 もう一度、あたしはベッドに座り込む。

 改めて分かったが、このベッドはとにかく柔らかい材質でできている。

 

 あたしは、浩介くんにパンツ見られないように注意しつつ、ベッドの横になる。

 

「ふうー」

 

 浩介くんも、これからの新婚旅行のため、ここでは一休みする。

 

  コンコン

 

「はーい」

 

 ゆったりとくつろいでいたら、突然遠くでドアを叩く音がした。

 どうやら、ルームサービスが来たみたいなので、あたしたちは大急ぎでベッドから起き上がり、扉を開けた。

 

「お待たせいたしました。こちら朝食の和食2人前になります」

 

「はい」

 

「どちらにお置き致せばよろしいでしょうか?」

 

 スタッフさんが聞いてくる。

 

「えっと、メインの部屋のテーブルに」

 

 浩介くんが応対する。

 

「かしこまりました」

 

 スタッフさんを部屋の中に入れ、テーブルの上に置いてもらう。

 

「それではごゆっくりおくつろぎください。失礼いたします」

 

 礼儀正しくお辞儀をし、ホテルのスタッフさんが部屋を去っていく。

 

「じゃいただきます」

 

「いただきます」

 

 夫婦揃っての初めての朝食、浩介よりもずっとゆっくりのペースでご飯を食べる。

 お箸のマナーや作法には特に注意しないといけないわね。

 

「はむはむ、出発は、どんな感じで出ればいいと思う?」

 

「うーん、確か駅までタクシーだっけ?」

 

「そうそうホテルにチェックアウトしてからタクシーまでの見送られ方、どうしようかと思って」

 

 浩介くんは少し悩んだように言う。

 

「うーん、普通に歩くだけじゃダメよね」

 

 腕を絡ませるとしても、キャリーバッグがそれぞれある。

 片手で引けないこともないけど、そっちに意識が集中しすぎちゃうのもまずいわね。

 

「とりあえず、なるべくくっつくか」

 

「うん、そうするわね」

 

 あたしたちは、ご飯を食べ終わり、机に放置する。

 こちらも、後でホテルの人が回収してくれることになっている。

 

 まだ時間があるので、あたしたちはテレビを付ける。

 ちょうど気象予報をやっていて、アナウンサーが「おはようございます」と外で大きな声で元気よく話している。

 

「あたし、アナウンサーにはならないわ」

 

「ああ、優子ちゃんは、ただでさえ目立つんだ。平穏な暮らしのためにも、俺がきちんと稼いで、専業主婦させてあげねえとな」

 

「ふふっ、ありがとう」

 

 浩介くんは、あたしに少しでも楽になってもらいたい気持ちなんだと思う。

 とはいえ、家には既にお義母さんという専業主婦がいるので、あたしもあたしで、しばらくはどこか勤めに出ないといけないと思う。

 老化による寿命のある人なら、宝くじで何億円とか当たれば、貯金を崩すだけで暮らしていけるだろうけど、あたしの場合そうも行かない。

 恒常的かつ、安定した生活が必要になる。そう言う意味では他の人よりも大変かも。

 

「にしても、平和だよなあ」

 

「うん」

 

 

「さあ、続いては、来年に迫った東京オリンピックです」

 

 この時期になると、来年開かれる予定になっている東京オリンピックの話題が勢い増えていく。

 前回東京で行われたオリンピックは55年前のこと。

 あたしたちはもちろん、母さんたちも生まれる前の話、知っているのは永原先生とか協会の人たちになる。

 

「東京オリンピックかあ……」

 

 浩介くんが呟く。

 

「色々あったけど、遂に開かれるのよね」

 

 様々な難題にぶち当たった東京オリンピックだけど、それでも開かれることになれば何だかんだで盛り上がる。

 もちろん、まだ1年あるとは言っても、あたしたちも楽しみだ。

 

 

「さて、そろそろ準備するか」

 

「うん」

 

 新婚旅行の準備といっても、ホテルの中にある私物で、旅行に持ってくものを確認し、キャリーバッグの中に入れるだけ。この部屋に置いていく私物は郵送で浩介くんの家に行く。

 幸い、キャリーバッグはよく見るとそこまで大きくなくて、新幹線などでは問題なく使えるようになっている。

 

「よし、優子ちゃんは大丈夫か?」

 

「う、うん」

 

 あたしが、準備完了の返事をする。

 このスイートルームとも、お別れになる。

 

「よし、じゃあ1階に行くか」

 

「ええ」

 

 浩介くんは、ホテルのカギを取ってバッグを引いていく。

 

 浩介くんが先導し、あたしが後ろについていく。

 頼もしい浩介くんの背中に、ぴったりついていく。

 部屋を出て、エレベーターに乗り、直行でフロントに到着する。

 

 

「あ、篠原さん、起きました?」

 

「はい」

 

 永原先生と、昨日ここに宿泊していった見送り組がそこにはいた。

 時間的にも、おそらく昨日このホテルに泊まった人は全員ここにいるはず。

 

 

「その、優子さん……新婚旅行、頑張ってください」

 

「同じく」

 

 幸子さんと歩美さんがあたしを応援してくれる。

 

「優子ちゃん、佐和山でまた、よろしくね」

 

「うん、桂子ちゃんも、良い春休みを」

 

 今度は桂子ちゃんだった。

 

「あの、優子さん……いい思い出に……してくださいね……」

 

 さくらちゃんがあたしを励ましてくれる。

 

「優子、あたいはプロに行くけど、お前のことは忘れねえぜ」

 

「うん、恵美ちゃんも女子力向上頑張ってね」

 

「お、おう……」

 

 恵美ちゃんと言葉を交わす。

 これは最後の会話、なんてことにならないといいわね。

 

「優子さん優子さん、昨日の浩介さんはどうでしたか?」

 

「え、どうって――」

 

「もー言わせないで下さいよー! 初めての経験だったんでしょ!?」

 

 龍香ちゃん、本当にいつも通りよね。

 

「もう! 龍香ちゃんには教えてあげない!」

 

「そんな殺生なー!」

 

 あたしは顔を真っ赤にして怒るが、その態度が既に「満足している」といっているようなものだった。

 

 浩介くんも、高月くんを中心とした男子に捕まっていて、「優子ちゃんを泣かせるな」とか、「ヒーヒー言わせてやれ」「誘われたらちゃんと毎晩応じるんだぞ」といった声が聞こえてくる。

 

「優子、離婚するんじゃないよ。私も、そろそろ本格的に、彼氏探すからさ」

 

「うん、虎姫ちゃんも、頑張ってね」

 

 あたしは、仲の良かったクラスメイトたちと挨拶をし、続いて母さんたちと挨拶する。

 

「優子、新婚旅行、失敗しないようにね」

 

「うん」

 

「いい? 旦那さんから触ってもらえるうちが華よ」

 

「分かってるって」

 

 あたしも、元は男だから、それくらいは分かっているわ。

 

「さ、優子、そろそろ時間だ」

 

 父さんの声とともに隣にいた浩介くんとほぼぴったりくっつく。

 周囲を見渡すと、あたしたちを見送ってくれる人がたくさんいた。

 

「それじゃあ、言ってくるわね」

 

「「「行ってらっしゃーい!!!」」」

 

 大勢の声がこだまする中、あたしはホテルの出口へと向かう。

 ホテルのスタッフさんも「いってらっしゃいませ」とお辞儀する。

 自動ドアが開くと、目の前にタクシーが見えた。

 後ろから、みんなからの見送る声が、自動ドアにさえぎられて聞こえ辛くなる。

 タクシーのドアが開き、まずは荷物を後ろのトランクに入れ、続いてあたしたちが車内に乗り込む。

 

「えっと、東京駅まで」

 

「分かりました」

 

 時刻は午前10時を回った時間帯、あたしたちの旅は、始まったばかりだった。


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