永遠の美少女になって永遠の闘病生活に入った件   作:名無し野ハゲ豚

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新婚旅行3日目 午前の秘め事

「うーん……」

 

 心地いい暖かさの中目が覚める。

 まだ春の気配のないこの別荘では、朝に小鳥のさえずり声はしない。

 昨日のぬくもりが、まだあたしの体の中に残っている。

 

 大好きな浩介くんは、隣で寝ている。

 あたしはひとまず起き上がる。今日は丸一日、ここで過ごすことになっている。

 明日はもう、浩介くんの家に帰ることになっている。

 

 頬をポンポンと叩く、昨日は顔が少し汚れてしまったけど、大丈夫みたいね。

 ベッドから起き上がり、あたしは寝ている間に紐がほどけていた浴衣を元に戻す。

 って、今日はどうせまたはだけちゃうし、しなくてもいいかな?

 取りあえず、リビングに向かう。

 

「うーん」

 

 今日は朝食、昼食、夕食ともにここにお世話になる。どういう予定で行くか、考えておくのも妻の役目。

 朝は浩介くんの都合もあると思うからルームサービスにしてもらうとして、お昼はホテルの方でバイキングがあるので、そっちに寄って行こうかな?

 夜はうーん、せっかくだし食材買って、あたしがお鍋を作ってあげようかしら?

 

 よし! 今日はその計画で行こう。

 えっと、食事と食事の合間の夫婦生活も考慮しないといけないわね。

 

 もちろん、浩介くんの家では夫婦なので同居するし、以前にも花嫁修業はしたことはある。今は修行じゃなくて本当の花嫁だけど、大事な夫婦生活も含めた生活をするのははじめてになる。

 

「そうだわ。着替えなくちゃ」

 

 あたしは、浴衣を脱ぐ。

 すると、すぐに何もつけてない状態になる。着替える時にノーパンは便利かも……って何バカなこと考えてるのよ。

 ともあれ、あたしは今日の服、水色のワンピースを取り出し、まずは水玉の下着をつける。

 

  ガチャッ

 

「おう優子ちゃん起きてたかって……」

 

 浩介くんと、ばったり目があってしまう。

 今のあたしはパンツとブラを付けただけで……

 

「きゃーーーーー!!!」

 

「わわっ!」

 

 あたしが悲鳴を上げると、浩介くんが慌てて部屋から出ていく。

 もー、恥ずかしいったらありゃしないわね。

 

 

「あなた、入っていいわよ」

 

「お、おう」

 

 あたしが扉を開けると、浩介くんが申し訳なさそうにうつむきながら部屋に入っていく。

 

「あのね、浩介くん」

 

「うん」

 

「朝ご飯はルームサービスにするわ。で、お昼ご飯はホテルの方でバイキングをしているわ。で、夜はあたしがお鍋作ってあげる」

 

「あ、ああ……」

 

 さっきのことは、あえて話題に出さない。

 引きずるのはまずいし、何より浩介くんが罪悪感を感じてしまう。

 まあ、恥ずかしくて叫んじゃうのは仕方ないし、それをやめたら女の子としておしまいだけど。

 浩介くんの方は、さっきの話が来ると思っていたのに食事の話題だと分かって、面を喰らっているみたいね。

 

「ねえあなた、朝ご飯はどうする?」

 

 あたしは、見ていたメニュー表を見て言う。

 

「うーん、こっちのこの『山の朝ごはん』ってどうだろう?」

 

 なんだか妙にヘルシーな内容で、野菜の盛り合わせと納豆ご飯、そして味噌汁が目立つ食事で、あたしたちの食べている朝ごはんと、野菜の内容が大きく異なるだけでほぼ同じだけど、素材の質が段違いということになっている。

 

「うん、じゃあそうするわね」

 

 あたしは、フロントを呼び出し朝ご飯を注文する。

 テレビでニュースと気象情報を見ながら数分待っていると、呼び鈴が鳴ったので開ける。

 

「お待たせいたしましたーこちら『山の朝ごはん2人前』でございます」

 

 優しそうな仲居さんが、あたしたちのテーブルまで持ってきてくれて、礼儀正しくお辞儀をして出ていった。

 

「いただきます」

 

「いただきます……あつっ」

 

 浩介くんが味噌汁を一口飲んで熱さを訴える。

 どうやらこの味噌汁は、この寒い中でも冷めないように工夫がされているらしく、慎重に飲んだほうが良さそうね。

 

「保温技術ってすごいわね」

 

「ああ」

 

 中央に盛り付けられた野菜は、どれもみずみずしくて美味しい。

 今は真冬だから決して旬ではないのにこの味だから恐ろしいわね。

 

 味噌汁の具材も、あたしや母さんの料理よりも美味しくできていて、やはり素材の壁というのは大きいと思った。

 お米は「秋田こまち」で、言わずもがなの特産米だ。

 

「おいしい」

 

「ああ」

 

「うー、自信なくしちゃいそうだわ」

 

 料理がまずいのは、女の子として結構減点ポイントだ。

 もちろん、お義母さんには勝ってるけど、やっぱりこういうのを食べちゃうと、ね。

 

「大丈夫だって、これは素材が違うんだからさ」

 

「う、うん……ありがとう」

 

 少し沈みそうだった所を、浩介くんが優しくフォローしてくれる。

 やっぱり、素敵な旦那さんよね。

 

「はむはむ……うん、うまい。優子ちゃん、ご飯食べたら何する?」

 

「うーん、何しようか?」

 

「まあ、のんびりしようか」

 

 浩介くんが納豆ご飯を食べながら話してくる。

 あたしも、お米と納豆を食べる。朝食は、のどかに終了した。

 

 

「ねえ優子ちゃん」

 

「ん?」

 

 朝食が終わってゆっくりボーッとしていると、浩介くんが突然話しかけてきた。

 

「それ!」

 

  ぶわっ!

 

「きゃあ!」

 

 お昼前、浩介くんに思いっきりスカートをめくられる。

 

「もう! 浩介くんのえっち!」

 

「とか何とか言ってー、優子ちゃんいつもまんざらでもない顔してるよね」

 

「うぐっ」

 

 浩介くんに、また図星を突かれてしまう。うー、最近同じ手に何回もハマってるような?

 

「『嫌よ嫌よも好きのうち』なんて言うけどさ、優子ちゃんは『嫌よ』とも言わないもんなあ」

 

「あうー」

 

 あたしの顔がまた赤くなり始める。

 やっぱりまだ、初心なままね、あたし。

 

「ねえ優子ちゃん、お風呂一緒に入ろうぜ」

 

「え!? う、うん……いいけど」

 

 あたしは、すんなりとOKを出してしまう。

 まあ、今日はこういう時があると思っていたからね。

 

 浩介くんと2人で、脱衣場へと移動する。

 

「浴衣はまだ着ないからね」

 

「せっかくの2人っきりなんだしさ、出た後も昼まで服着ないででいようぜ」

 

「え!?」

 

 浩介くんの突然の提案に、あたしが驚いてしまう。

 

「ほら、俺たち一緒に住んでも両親がいるだろ? こういう時くらいしか開放感ないじゃん」

 

「う、うん……」

 

 あたしも内心では乗り気だったので、浩介くんと喧嘩にはならない。

 あたしは服に手をかけようとすると――

 

「優子ちゃん、待った! そこは旦那の俺が脱がすところだろ?」

 

「うっ……お、お願いします……」

 

 嫌と言えない性格というよりも、あたしが単純にえっちな女の子なせい。

 

「よしさ早速……」

 

「ちょ、ちょっと、その脱がし方恥ずかしいわよ!」

 

 浩介くんに、下からスカートの中を凝視されて、手でゆっくりとめくられながら脱がされていく。

 

「どんな脱がし方をしても、破れたり傷んだりとかしなきゃいいだろ?」

 

 浩介くんにパンツ丸見えにさせられ、前後からめくられてそのまま茶巾のような状態にさせられる。

 ちなみに、ブラジャーも完全に見えている。

 

「おー、絶景だなこれ!」

 

「あうー、恥ずかしいよお……前が見えないよお……」

 

 興奮する浩介くんとは対照的に、あたしの恥ずかしさは増す一方、まあ興奮もあるんだけどね。

 しばらく浩介くんに堪能させられると、そのままワンピースが脱げて下着をゆっくりと脱がされた。

 一昨日から随分と経験を積んだらしく、下着の脱がし方も上手になっていた。

 

 あたしは、小さなタオルで前を隠す。

 浩介くんの後をつけてお風呂に入る。

 

「あ、優子ちゃん待って!」

 

 まずは体を洗うところだけど、あたしが髪を結びながら鏡の方へ向かおうとしたところでまたストップがかかった。

 

「ん?」

 

「今日は何回も入るんだし、体は後でもいいよ」

 

 よく見ると、浩介くんも元気いっぱいだった。

 

「え、でもほら、髪は縛らせて。傷んじゃうから」

 

「あ、ああ……」

 

 浩介くんに背を向けて、髪を結ぶと、あたしたちは大浴場のお風呂場へと入る。

 

「なあ優子ちゃん」

 

「ん?」

 

「俺さ、さっき調べたんだけど、どうやら両隣は空いているらしいぜ」

 

「え!? どうして分かるの?」

 

 確かに一つはそんな感じだったけど。

 

「あーいや、昨日優子ちゃんの部屋に行く前に念のために確認したんだよ。優子ちゃんも俺も、結構声が大きいだろ?」

 

「う、うん……」

 

 見ての通り、ここは端の方で、両隣が空いているとなるとフロントまで結構な距離がある。

 

「だからさ、露天風呂に入ろうぜ!」

 

「え!?」

 

 浩介くんからとんでもない提案が出る。

 

「そ、外って……!」

 

「大丈夫、湯船には入ったままだからさ。きっと解放感あるぜ」

 

「うー、でも誰かに聞かれたら……」

 

 あたしは、反論する。一緒に男女で入ってるのがばれるのは怖い。

 

「なあに、大丈夫さ。俺たち夫婦だし、一緒にお風呂なんて普通だろ?」

 

「う、うん……」

 

 何故か浩介くんに言いくるめられてしまう。

 それはきっと、あたしも本音では楽しみにしていたから。

 浩介くんにされるがままに、あたしは露天風呂へとついていってしまう。

 

「うー、昼でも寒いわね」

 

「ほら優子ちゃん、急いで」

 

 浩介くんに促され、あたしは湯船の中へ。

 浩介くんがすぐにあたしに近付いてくる。

 

「優子ちゃん、寒いだろう? ほら」

 

  むにんっ!

 

 浩介くんが密着してくる。確かにこうすると暖かいけど、背中に何かが当たってるわね。

 

「ねえあなた」

 

「ん?」

 

「そんなにくっつかれちゃうと、あたし我慢できなくなっちゃうわ」

 

 あたしが、蕩けた口調で言う。

 

「そう? 我慢しなくていいぞ」

 

「……はい」

 

 あたしは自然と、浩介くんとキスをし始める。

 春の来ていない銀世界の露天風呂に男女が2人、もちろん夫婦。

 この冷えた体、露天風呂以外にも、暖め方はあったのだ。

 

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 結局、お風呂の中に入りながらじゃうまくバランスよく暖められずにのぼせちゃったので、大浴場で続きをした。

 あたしは、浩介くんを先にお風呂から出して考える。

 これからお昼ご飯の時間になるけれども、その時は昨日ラブホテルで買った元気の素が重要になってくる。

 粉薬と飲み薬があって、粉薬の方は夕食の鍋に盛ることにする。

 あたしにも効果が出ちゃうけどそれは問題ない。

 問題があるとすれば、食べ終わるまであたしと浩介くんが我慢できるかどうかね。

 

「ふう、あたしも出るかな」

 

 お団子の髪を下ろし、脱衣場へ。昨日みたく服が無くなっているということは無いけど、浩介くんの意向で服を着ない。

 

「お待たせー」

 

「うん優子ちゃんお疲れ」

 

 あたしと同じく素っ裸の浩介くんが、テレビを見ながら出迎えてくれる。あたしは、恥ずかしいので両手でうまく隠しながら歩く。

 地方はちゃんねる配分が違うので、結構新鮮な気分になるわね。

 

 あたしは、浩介くんの隣に移動しようとする。

 お尻とか触られてもいいタイミングだけど、さっきのこともあって浩介くんは触ってこない。でも、あたしの裸を見て少しだけ元気にも見える。

 

「ねえ浩介くん」

 

「ん?」

 

「あたしで、満足してる?」

 

 念のために聞いてみる。

 

「あ、当たり前だろ! 優子ちゃん、普段は大人しくてかわいらしくて、おしとやかなのに、2人っきりになるとすっげえエロいし」

 

「えへへ、よかった。あのね浩介くん」

 

「ん?」

 

 あたしは、理想の女の子について語ることにした。

 

「理想のお嫁さんって、どんな感じ?」

 

「え!? そりゃあもう優子ちゃんのことでしょ」

 

 やっぱり浩介くんはあたしを基準にして言う。

 

「嬉しいけど、あたしだって理想にはまだ遠いわよ。もちろん、それを目指してはいるけどね」

 

「え!? じゃあどんな感じなの?」

 

 浩介くんは興味津々で聞いて来る。

 自分の妻が思っている理想を知るのは、夫にとっても大事なことだ。

 

「まず一つの格言があるわ、『昼は淑女夜は娼婦』って言葉を聞いたことない?」

 

「あー、今の優子ちゃんにピッタリの言葉じゃん。正確には『普段は淑女、2人っきりの時には娼婦』って感じだけど」

 

 浩介くんが言う。確かに、今のあたしは浩介くんと2人っきりになったり、浩介くんにセクハラされたりすると、すぐに娼婦に切り替わっちゃう。

 でも、問題はそこじゃない。

 

「問題は、『淑女、娼婦の中身』よ」

 

「中身って?」

 

「例えば、淑女だったらほら、家事が上手とか女性らしくお淑やかだとか。あたしはまだまだ女子力で足りてない部分は多いわよ」

 

「あー、家事かあ……でもうちの母親よりはできそうだけどね」

 

 浩介くんもフォローしてくれる。

 

「うん、でもまだ、理想には遠いわ」

 

「そうか、優子ちゃんって目標高いんだな」

 

「うーん、そう言う感じでもないのよ。一段達成するとそのすぐ上を、そしたらまたその一段上をって感じでね。一段一段登るつもりでいってるけど、確かに低い目標と言うわけでもないわね」

 

 そして娼婦部分、こっちだってまだ手探り状態なのよね。

 優一だった頃もそう、確かこういうことはしたことないまま女の子になったんだし。

 

「なるほどねえ、ま、登っていってるなら、少しずつでもいいんじゃね? 人生急ぐ必要もないだろ」

 

「あはは、うん、確かにね」

 

 ニュース番組が一周する。浩介くんが玄関から朝刊を取ってきてくれたけど、蓬莱教授や協会に関するニュースは無いわね。

 まあ、仮に何かあっても、永原先生の方で新婚旅行中は気にしないでいいとのことで、連絡を取らないことになっている。

 この長い人生でも、浩介くんとの新婚旅行は二度と訪れないからね。

 

「優子ちゃん、そろそろお昼行く?」

 

「うん、そうしようか」

 

 あたしたちは立ち上がり、服を着る。

 そして、元の水色ワンピース姿に戻り、あたしが部屋の鍵を取る。

 

「優子ちゃん、外それじゃ寒くない?」

 

「あ、うんそうよね」

 

 浩介くんに言われて初めて気付く。

 あたしはキャリーバッグからコートを羽織る。足も生足なので、キャリーバッグからストッキングを取り出して別室で着替える。

 そうそう、こういう風に旦那さんに着替えを見せないのも「淑女」の条件よね。

 

「お待たせー」

 

「おし、じゃあ行こうか」

 

「うん」

 

 浩介くんの後ろについて行く。

 扉を開けて外に出ると、かなり寒い。重ね着して正解だったわね。

 

 昨日の道のりを思い出しつつ逆行する。といっても、フロントへの案内があるけど。

 

 

「あー、あったかーい!」

 

 ホテルに入ると、浩介くんがのびをする。

 あたしも、暖房の効いた部屋に入ったのでコートを脱ぎ腕に巻くようにして持つ。

 

「こっちだな」

 

「うん」

 

 浩介くんの指差す方向に、レストランはあった。

 今日の昼食はここでバイキングだ。浩介くんには、肉や脂分、ニンニクやシラス干しといったスタミナ料理をたっぷり食べてもらうように言う。

 あ、もちろんちゃんと野菜も食べさせるけどね。

 でも、人間のエネルギー源は炭水化物、数年前は「炭水化物をカットしてダイエット」なんていうのも流行ったけど、弊害が指摘されて今ではもう下火になっている。

 お米、パン、トウモロコシ、どこの国でも主食は炭水化物なことが分かるように、人間のエネルギーとして、最も重要なのもまた炭水化物、これで脳や筋肉を動かすわけだものね。

 

 あたしたちは、お盆を取って思い思いに食材を盛りつけ、空いている2人用のテーブルに腰かけた。

 

「「いただきます」」

 

 浩介くんは、バターたっぷりのトーストや、大量の鶏のから揚げなどを取っていた。

 浩介くんもやっぱり、今日はあたしとたくさんエネルギーを使いたいみたいね。

 

 あたしもあたしで、浩介くんの力強さについて行くためにも、野菜とともにタンパク質と脂肪を中心にした食事になっている。

 あたしは食べる量は少ないけど、体格は悪くない。燃費がいいんだと思う。

 それでも、これからは良く食べないと、胸についてる脂肪がしぼんじゃうから気を付けないといけないわね。

 

「お、結構うまいな」

 

「うん」

 

 さすがに、ルームサービスとして持ってきてくれた食事ほどじゃないけど、品揃えとしては、当然こっちのバイキングのほうが上になる。

 

「はむはむ……お代わりしてくる」

 

「いってらっしゃーい」

 

 浩介くんが席を立ちあがり、鶏のから揚げをおかわりしに行く。

 ふふ、これは午後も楽しみね。

 ……そうだわ。この後またもう一回着替えよっと。

 ふふ、浩介くん、喜んでくれるわよね。あの服。

 

 

「「ごちそうさまでしたー」」

 

 あたしたちはお昼ご飯をおなか一杯食べると、トレイとお皿を返却口に持っていき、来た道を戻る。

 

「ふー、おいしかったな」

 

「うん」

 

 またコートを着て屋外に出て、寒い道を進み別荘へと戻る。

 鍵を閉めたらリビングに戻る。さて、すぐに着替えちゃってもいいんだけどここは――

 

「浩介くん、これ飲んでくれる?」

 

「お、おう」

 

 あたしが、浩介くんに元気の出る飲み物を渡す。

 その間にあたしは、調達できる食材、調味料のリストをもう一度眺め、今夜のお鍋の構想を考える。

 

「優子ちゃん、何見てるの?」

 

 飲み終わった浩介くんがあたしに聞いてくる。

 

「うん、今夜のご飯の食材よ」

 

「あ、そうか、優子ちゃんがお鍋だっけ?」

 

「うん」

 

 よし、こんな所かな?

 

「じゃああたし、フロントを呼ぶわね」

 

 ルームサービスの時と同様に、あたしは食材注文をかける。

 フロントさんの方も全て用意できるとのことでよかったわ。

 

 そして、ルームサービスの時よりもはるかに短い時間で、お鍋の食材が入った。

 あたしは、浩介くんに手伝ってもらいながら、野菜を冷蔵庫に入れていく。

 

  すりすり……

 

「きゃあ! 浩介くん、今は野菜しまってるから」

 

「ごめんごめん、つい手が出ちゃった」

 

 浩介くんに、胸をこする様に触られる。

 どうやら、さっきの薬の効果もあって、浩介くんにも元気が戻ってきたみたいね。ふふっ、楽しみだわ。


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