永遠の美少女になって永遠の闘病生活に入った件   作:名無し野ハゲ豚

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夫婦水入らずの2日間 閉鎖空間での暴走

「何か手伝うことある?」

 

「うーん、まだないわ」

 

 浩介くんが、スカートめくりの権利を手にいれた途端、あたしに対して積極的に家事を手伝おうとするようになった。

 あまりにも露骨な下心だけど、何だかかわいいわね。

 

「それにしても、浩介くんってどうしてそこまであたしのパンツ見たがるの?」

 

 裸とはまた違う魅力があると言っても、ちょっとこの終着は異常な気もする。なのであたしはもう一度見てみる。

 

「優子ちゃんのパンツかわいいし、何より恥ずかしがってる優子ちゃんが世界一かわいいから」

 

「もうっ!」

 

 何回聞いてもこの反応。それで意識しちゃってますます恥ずかしくなって、更に浩介くんを興奮させ、あたしが惚れ込むという無限ループに陥っている。

 そんなやり取りをしつつ、あたしは、にんにく餃子を焼く。

 件の媚薬はないけれど、さっきは浩介くんも温存してくれたので、大丈夫なはずよね。

 

「浩介くん、お皿とお箸並べてくれる?」

 

「おうっ」

 

 浩介くんは「待ってました」と言わんばかりに興奮した様子でお皿とお箸、コップ、飲み物を並べ始める。

 

 あたしも、出来た餃子を大皿に並べて、食卓へと持っていく。

 

「さ、いただきますするわよ」

 

「その前に」

 

  ぴらっ

 

「やーん!」

 

 予定通り(?)浩介くんにスカートをめくられた。

 

「優子ちゃん、恥ずかしい?」

 

「っ……」

 

 あたしは、恥ずかしさのあまり声が出なくて、コクっと小さく頷く。

 

「そんな服で1日過ごす方が恥ずかしいと思うけど。まあいいや」

 

  ぺろんっ

 

「きゃあ! もー! 何でまためくるのー!?」

 

「うーん、めくりたかったから。家事のお手伝いのご褒美とはまた違ったシチュエーションだし」

 

 浩介くんが、悪びれもせずに言う。恥ずかしいのに、もっとめくられたいもっと覗かれたいと思ってしまう自分もいる。

 本当、あたしも浩介くんも、性欲に忠実よね。

 

「「いただきます」」

 

 スタミナ満点の餃子と、エネルギー源の炭水化物たるお米が、そして石山家にいた時から母さんに教わって篠原家へと持ち込んだ、キャベツとゴマと塩昆布と海苔に、胡麻油をたっぷり入れた名称不明のサラダが、あたしたちの今日の食卓だった。

 

 ふふ、たっぷりと食べて、今夜のエネルギーにしないとね。浩介くん、盛んになってくれると嬉しいわ。

 

 

「浩介くん、風呂沸かすわね」

 

 ご飯が終わると、お風呂の時間、あたしはお湯張りボタンを押す。

 

「おう、一緒に入ろうぜ!」

 

 浩介くんが、何の前触れもなく言う。

 

「うん、いいわよ」

 

 あたしたち夫婦は、よく一緒にお風呂に入る。

 そうすると、必ずと言っていいほど、どちらも我慢できなくなって、最終的には長風呂になってしまう。

 多分、義両親にはとっくに、お風呂場で何をしているかということはばれている。

 まあ、お互い大人だし、夫婦、それも10代の新婚がそういったことをしない訳がないことは分かっているから、ばれた所で何てことはない。

 お互いに鉢合わせにならないように注意すれば、それで十分だ。

 

 食器洗い機を作動させ、自室からパジャマを取る。

 パジャマの方が露出度は格段に低い。

 

「お待たせ」

 

「あ」

 

 脱衣場には、既に浩介くんが上半身裸になっていた。

 あたしはちょっと思いつく。

 

「ちょっと待って浩介くん」

 

「え!?」

 

「あたしが脱がしてあげるわ」

 

 当然、あたしはこう申し出る。

 浩介くんの身体はあたしをうっとりさせる。

 

「あ、ああ……でも……」

 

「いいじゃないの」

 

 浩介くんは、あたしに脱がされるのを渋る癖がある。

 というのも……

 

「あうう、は、恥ずかしいよお……」

 

 全身が露になった時、浩介くんが恥ずかしそうに顔を隠す。

 あたしは優一としての恋愛経験はないけど、男の子も、好きな女の子に見られると恥ずかしい生き物らしいわね。

 

「ふふ、今日は浩介くんに散々恥ずかしい思いさせられちゃったもんね。少しだけ仕返しよ」

 

「あうあう、じゃ、じゃあ今度は俺の番だ」

 

「はーい」

 

 そして、今度はあたしが脱がされる番になる。

 

「あーん」

 

「ふふ、優子ちゃんもかわいいね」

 

 ブラジャーを脱がされて胸が出たら、あたしは手で隠す。

 あくまでも恥じらいを忘れなければ、浩介くんはあたしを向き続けてくれるから。

 

 あたしたちは、洗いっこをして湯船に浸かる。

 

「今日は疲れたなー!」

 

「うん、でも明日明後日も残っているのよ」

 

 お風呂の中であたしたちはゆったりした会話をする。

 そう、ゆったりとできるのも夫婦でのお風呂の利点だったりもする。

 

「そうだなー」

 

 ちなみに、ゴールデンウィーク中も宣伝部の活動は行っていて、お風呂から出たらあたしも浩介くんもちょっとだけお仕事がある。

 でも今は……

 

「優子ちゃん、俺……」

 

「うん」

 

 浩介くんが苦しみを訴えてる。

 我慢するのは、大変よね。

 

  ぽよんっ

 

「優子ちゃんの胸、やっぱりすげえや」

 

 浩介くんが、あたしの胸で喜んでいる。

 やっぱり、「美人は3日で飽きる」とか「美人薄命」というのは、モテないブスや行き遅れた女のひがみよね。

 浩介くんに、優しく胸とお尻を揉まれる。

 昼前の時にあたしをレイプした人と同一人物とはとても思えないわ。

 それだけ、浩介くんの才能があるってことよね。

 

「上がろうか」

 

「うん」

 

 あたしは、湯船から立ち上がり、お風呂の壁に手をついて浩介くんにお尻を向ける。

 

「優子ちゃん、お尻もかわいいよね」

 

「あ、あはは……」

 

 入ったままよりも、足だけお湯に浸けている方が、身体はよく暖まる。

 背後から、ゴクリと唾を飲み込む音がした。

 あたしはまた、浩介くんと一緒に、冷めた体を暖めあった。

 

 

 

「お風呂だと後処理が楽でいいな」

 

「あはは……」

 

 あたしたちが、この家で夫婦生活を始める中で、特に大変だったのが、事後処理の問題だった。

 新婚旅行中はホテルのベッドで、いずれもベッドメイクサービスがあったから良かったけど、自分の家の場合、乱れたベッドは自分たちで直す必要があったし、汗などの量によっては洗濯を早めたり、ティッシュペーパーで湿気を落とす必要があった。

 今日の午前の時みたいに、お漏らしをしちゃったら、当然取り替える必要がある。

 一方で、お風呂の場合は、汗などを流したとしてもそのままシャワーを浴びたりすれば自然と掃除代わりになってくれるので、とっても楽ちんだった。

 

 お互いパジャマに着替え終わると、あたしたちは宣伝活動を開始した。

 

 

 PCをつけてまずすることは、敵対団体のホームページを見ることだった。

 そこには、あたしたち協会の批判文がトップページからリンクされており、あたしたち協会も対抗措置として反論文を上げている。

 ちなみに、そこの批判文の内容は、相変わらず「柔軟性がない」「利権を狙っている」「極度の前例踏襲主義」「多様性の欠如」とあり、気味の悪い文章が並んでいる。

 

 特に多様性の欠如は、当事者にしてみれば笑い話にしかならない。

 そもそも、TS病自体が有史以来1300人程度の発症例しかない極めて稀な病気の上に、日本人が全体の8割を占めている。

 いわば「民族特有の病気」と言っていいくらい発病者に偏りのある病気なのに、これで何をどうして多様性なのか理解に苦しむわ。

 

 ちなみに、海外にはそもそもTS病の団体さえなく、協会も会員たちは全員本業持ちで、海外になど手が回るわけもなく、現地のカウンセラーが治療に当たっており、あたしたちにアドバイスを求めることもあるが、通訳がうまく通じているのかいないのか、あたしたちの言い付けをろくに守らず、しかも変な所で強情なことや、同じ境遇の人に会えずに孤独を強いられるために、日本人の患者に比べても、極めて自殺率が高くなっている。

 あるいは、宗教で強引に規制する所もあって、この場合最悪のケースではより多く溜め込んでしまうため、事件を起こして死刑になったり、死刑廃止国では終身刑を食らった果てに発狂するなど、自殺よりひどい結末にもなってしまうことも多い。

 そのために、外国人の患者の中で、運よくここの協会に登録できる人は未だにほとんどいない。

 詰まるところ、TS病は「多様になりようがない」のだ。

 

 しかし、「明日の会」側のホームページにはそういうことを書いていない。

 たちが悪いことに、テレビ新聞の既存メディアはあたしたちに有利な報道をするつもりはないらしい。

 そのことについて、永原先生は特に危機感を強めている。

 このままでは、せっかく改善し始めた自殺率が上昇するばかりか、「明日の会」の宗教は自殺を認めないため、犯罪という形で返ってくるのではないかということ。

 

 死刑ならまだいいが、もし無期懲役にでもなったら?

 そうなれば、何百年と牢屋に入れられなきゃいけない可能性だってある。いや、無期懲役でも仮釈放はあるが、一生仮釈放のままで、保護観察が続くことになる。

 

 それはつまり、1000年前の罪でさえ、許されない可能性があるということも考えられる。

 そもそも、永原先生だって戦国時代に人を殺した可能性はかなり高いと思う。もちろん、当時の時代背景を考えればやむを得ないことだし、間違いなく時効だと思うけど。

 

 ともあれ、このホームページには、最初の患者に関するプロパガンダが乗っている。

 元々、数少ない仲間のために、患者同士で連帯意識の強いTS病患者だから、こういう結果になってしまうのは心苦しいが、とにかく情報を集めないことにはどうしようもない。

 

 さて、あたしたちはこの患者に関する情報収集に努める必要がある。

 内部でどのような教育がなされているかに関しては、既にかなり解明が進んでいる。

 既に性別適合手術に関する話題が出ていて、間違いなくこのままでは自殺一直線になる。

 情報収集は、幸子さんがしてくれることになった。

 まず、患者の通う学校の名前でSNSで検索をかける。

 すると、個人情報の管理が疎かなアカウントがいくつも出てくる。

 しかも、そういうアカウントに限ってクラスの中心人物だったり、人気者だったりするから都合がいい。

 幸子さんが偽名などを駆使して、そうしたリテラシーに薄いアカウントに近寄ると、案の定患者のことをべらべら喋ってくれた。

 いわゆる「勉強ができるバカ」というのは、受験進学校には特に多い。

 あたしは幸子さんに指示を出し、「自分もTS病」だと打ち明けさせた上で、患者をとにかく女性扱いするようにそそのかし、男っぽかったりしたら、その都度指摘するのが、将来のためと指導した。

 

 もちろん、拒絶姿勢を見せたり、性別適合手術を受けたりしても、扱いを変えてはいけないこと、性染色体がXXのままで、外面が似ているだけ、更に外国では性転換手術の事実を隠したまま結婚して、子供が作れないために大問題になっているということも教える。

 TS病は元々自殺率が高い病気ということも教え、「自殺に追い込まれても、罪悪感は感じなくていい。どういう風に女性扱いするかは個人差があるから任せる」というスタンスを取ることにした。

 

 あたしと幸子さん、歩美さんがチャットで連携しつつ、嘘は極力混ぜずに事実を巧みに切り貼りし、患者を孤立させ、いじめるように仕向けていく。

 更に、罪悪感に囚われないように、「これはあの子のためになること。どう受け止めるかはあの子次第」と繰り返し述べる。

 そう、悪意が残るうちは戦力としてはまだ2流の証拠でもある。

 1流にさせるためには、「自分たちは患者のためを思ってやっている。だから悪い結果も患者の自己責任」と思い込ませることが肝要で、これによってブレーキを効かなくする。

 

 これらの作戦を発表した時は、やはり比良さんと余呉さんは顔をしかめたが、あたしや永原先生は、長期的な実利を取った。

 幸子さんと歩美さんの調略もあって、クラスメイトたちもこうした行為を繰り返しているのだが、「明日の会」のホームページには患者が追い詰められていることは載せておらず、代わりに男子制服で通う患者の写真が掲載されている。

 

 幸子さんが、クラスメイトに「無理矢理でいいから、女子制服を着させて、かわいいを連呼させてみては?」と提案すると、早速クラスの男子が乗ってきた。

 また、クラスの女子たちにも、歩美さんが接触に成功した。

 歩美さんの情報によれば、クラスの女子たちからも、「美人になれたくせに男っぽくして、男だと主張して男子制服を着たりしてキモい」という声が既にくすぶっているという。

 あたしは、歩美さんに指示をし、SNSのメッセージを通じて、女性らしくするように説得するようにそそのかせることにした。

 

「ふぅ、今日はこんな所ね」

 

 マスコミの新たな記事はない。

 女性として生きていく他には、TS病患者の生きる道はない。

 この常識を、どうやって世間に知らしめるか?

 今後の課題となりそうね。

 あたしは、そのことを考えつつ、早めに眠ることにした。

 

 

 翌朝、あたしは朝に起き上がり、服選びをする。

 まずはパジャマと下着を脱いで、真っ裸になる。

 ……あっ!

 いつの間にか、扉が空いている。しまった、鍵をかけ忘れたわね。

 あたしは布団で前を隠しつつ扉を開ける。

 

「こらー!」

 

 浩介くんが大慌てで自分の部屋に駆け込むのが見えた。

 

 あたしは、そのまま後ろ側を空気に晒しつつ、浩介くんの部屋の中へと入る。

 

「わ、優子ちゃん! 何でそんな格好で――」

 

  ぺちっ!

 

 あたしは、迷わず浩介くんの頬をひっぱたく。

 

「浩介くんのえっち! 恥ずかしいから覗かないでって、いつも言ってるでしょ!?」

 

「うーだって優子ちゃん生着替え見せてくれないしー」

 

 あたしが怒ると、浩介くんが口を尖らせて不平そうに言う。

 

「もう! 乙女の秘密なのよ!」

 

「うー、優子ちゃんのケチー!」

 

 浩介くんはまだ不満そうにしている。

 

「もう! ムードってものがあるでしょ!?」

 

 あたしは、浩介くんにお説教を始める。

 

「うーん、じゃあさ」

 

「な、何?」

 

 浩介くんがあたしにぐいっと近付く。

 

「えいっ!」

 

  ぶわっ!

 

「きゃあ!」

 

 あたしは、隠していた布団を剥ぎ取られ、浩介くんに一糸纏わぬ姿を晒してしまう。

 

「いやー!」

 

 あたしは、恥ずかしさのあまりその場にしゃがみこんでカタツムリみたくなる。

 いや、浩介くん、見ないで……恥ずかしいよお……

 

「優子ちゃん、今日1日裸で過ごしてみたら?」

 

 浩介くんがいたずらっぽく言う。

 

「そ、そんな――」

 

 浩介くんに全部を見られながら過ごす1日を想像して、体がどんどんと熱を帯びていく。

 

「こ、浩介くん……」

 

「ほ、ほら。俺も今日は1日裸でいるから。それならお互い様だろ?」

 

「う、うん……」

 

 好きな人に見られて恥ずかしい思いをしたいというメスの本能と、浩介くんのたくましい裸を見たいという2つ目のメスの本能が、あたしを甘い誘惑に落とす。

 

 あたしは、本能的に浩介くんの服に手をかける。

 

「演技でもいいから……」

 

「ん?」

 

「浩介くんも恥ずかしがってよ。あたしばっかりは嫌よ」

 

 あたしは、服を脱がせながら、小さな声で言う。

 

「う、今だって恥ずかしいの我慢してるんだぞ」

 

 浩介くんがそう訴えてくる。

 

「そう」

 

 ズボンも脱がせて、浩介くんもトランクスだけになる。

 あたしは、トランクスに手をかける。

 

「んっ……恥ずかしい……」

 

 浩介くんがかわいく恥ずかしがっている。もー、こういう時だけ、かわいくなるんだから。

 

「ふふっ浩介くん」

 

 浩介くんが、両手で押さえて隠していて、あたしもその様子に酔いしれてしまう。

 

「浩介くん、あたしね」

 

「うん」

 

「お腹が空いたわ、ソーセージが食べたいの」

 

「あ、ああ。その……何だ? 昨日は散々焦らされたし、今日は優子ちゃん我慢してよ」

 

「うー」

 

 浩介くんに、昨日のしかえしをされてしまう。

 

「んじゃ、俺は朝ごはん待ってるからね。今日はめくるスカートもないし、家事のお礼はおっぱい揉むで」

 

「う、うん……」

 

 あたしは、部屋を出てキッチンに向かう。これから、朝ごはんを作ることになった。

 全裸で。


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