永遠の美少女になって永遠の闘病生活に入った件   作:名無し野ハゲ豚

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篠原家の師走

 学園祭が終わって日常を過ごすうちに、季節はあっという間に12月になった。

 この間に、幸子さんが最終試験に合格したという報告を受けた。

 幸子さんは2年でこの試験を通過したことになる。思えば最初は最悪に近かった成績から、一気に最優秀の水準まで持っていったのは、今までの価値観からすれば奇跡そのものだという。

 ちなみに、幸子さん本人の弁によれば、「好きになってる気がしたけど、まさかこんなに大好きになっているとは思っていなかった」と言っていた。

 あたしは、「女の子だもの、好きになるに決まっているわよ」と言っておいた。

 

 幸子さんについては、もう心配はいらないわね。

 次に会った時に、不老人のあたしたちのための最終定着の面談をすれば、後はカウンセリングもほぼないと考えていいだろう。

 以前なら、パートナーとの寿命問題でのカウンセリングもあったけど、それも蓬莱教授の研究さえ成功すれば問題ない。

 

 さて、あたしたち篠原家の話題としては年末年始の帰省の話である。

 あたしの家と浩介くんの家は近いけど、あたしは篠原家に嫁入りしてから一度も実家に帰っていない。

 実の両親からも全く帰還要請もなく、また連絡も殆どなかった。

 もちろん、協会がくれたテレビ電話を使えば交流できることを考えたらそこまで寂しいわけでもないし、何度か電話はかかってきている。

 

 実家の両親は多分元気にしているとは思うけど、18年間一緒に過ごした子供が居なくなったら寂しいに決まっているわよね。

 

「という訳なので、年末年始の帰省は、あたしの実家に行きたいと思います」

 

 クリスマスの日に行った家族会議で、そんな提案をあたしはしてみる。

 ちなみに、夫婦になったのでクリスマスプレゼントやデートというのもなく、代わりに家でたっぷりといちゃつくようにしたりすることにした。

 

「いいわね。でも、おばあさんはどうしようかしら?」

 

「うーん、あたしあのおばあさん苦手だわ」

 

 どうせまた、子作り子作りと壊れたレコードのように繰り返すんだと思うし。

 しかもあたしたちの両親も割合すぐに子供作らせようとするし。

 

「うーん、でも呼ばないわけにも行かないわよ。とりあえず年末の2日間、大晦日の午前中までおばあさんに来てもらって、大晦日と元旦の2日間を優子ちゃんの実家で過ごしましょう」

 

「ああ、お母さんに賛成だな」

 

「俺も」

 

 我が家の男陣が一気に賛成し、あたしも特に異論はなかったので(あのおばあさんそのものが苦手だけど)年末年始の予定が決まった。

 

 

  ピンポーン!

 

「はーい!」

 

 そして迎えた12月30日、2019年も残すところ後2日となった日の昼、我が家に呼び鈴が鳴った。

 玄関に一番近かったあたしが、応対する。

 杖も介護者もつけずに、おばあさんが仁王立ちしていた。

 

「わしじゃよ! 入るぞ! おお優子ちゃん、赤ちゃんは妊娠したか? ちゃんと検査薬は買ってるか!?」

 

「……」

 

 早速始まったわね。まあ、仕方ないわ。

 おばあさんは90代とは思えない身のこなしで玄関へと入っていく。

 

「ふう、毎度のこと疲れちゃうわ……」

 

「この甲斐性なし! 優子ちゃんほどのいい女を何で孕ませられねえんじゃ!」

 

 玄関からおばあさんの大きな声が聞こえてくる。

 ああ、かわいそうな浩介くん。

 

 あたしは、浩介くんには悪いと思いつつ、何食わぬ顔で自室へと戻る。

 

「ふう……」

 

 ともあれ、また夕食になったらあたしと浩介くんは針のむしろになるわね。

 何せ、あたしも浩介くんも、愛を深めるためにしかしてなくて、子作りするためにしたことはまだないし。

 

 あたしは、ベッドに寝転がって、夜に起きるであろう心労に備えることにした。

 

 

「優子ちゃーん! ご飯手伝ってー!」

 

「はーい!」

 

 あたしの部屋は、元々おばあさんの部屋で、この2日間、おばあさんは両親の寝室で布団を敷いて寝ることになっている。

 まあ、いくら元気とはいえ90代の老い先短い身なので、義両親が近くにいた方がいいということよね。

 

「おう優子ちゃん、うちの浩介に何か問題でもあるか?」

 

「いえ別に」

 

 ご飯を手伝っていると、またおばあさんが話しかけてくる。

 

「んじゃああんたが不妊なんか!?」

 

 また始まったわ。

 

「違いますよ!」

 

「おおそうか、じゃあどうして生まれねえんだ!? ちゃんと日にち選んで中でするんだぞ!」

 

 またあたしと浩介くんに妊娠を促す。

 本当、そればっかりなんだから。

 

「もう、これ以上は食事抜くわよ!!!」

 

「おお怖い」

 

 ご飯を抜くと脅したところで、ようやくあたしへの妊娠催促が止まってくれた。

 とはいえ、おばあさんを安心させるためにも、今夜は激しくしないといけないわね。

 

「あーあ、せめてあと30年、蓬莱の薬の開発が早けりゃ、子孫代々見れたのになあ」

 

 おばあさんの愚痴を、あたしは無視する。

 もう相手にするだけ無駄だわ。

 

「お義母さん、鍋よく見て」

 

「あ、はい!」

 

 あたしは、おばあさんに気をとられていたお義母さんの関心を料理に戻す。

 ともあれ、鍋料理は加減が難しいから、あたしも注意していかないといけないわね。出来上がった鍋は、お義母さんに運んでもらい、5人でテーブルに並ぶ。

 

「「「いただきます」」」

 

 鍋の野菜をよそい、思い出思いに食べ始める。

 おばあさんの食欲が意外に高くて驚きだわ。

 

 

「で、浩介、優子ちゃんの抱き心地はどうなんじゃ!?」

 

 あたしの体、抱かれ心地には自信がある。

 もちろん胸に脂肪がたまってるだけではなく、お腹にもぷにっとした脂肪がある。

 浩介くんもあたしも知っているけど、このお腹のぷにぷに感は、赤ちゃんへの栄養を蓄えている証拠なので、あたしのように平均体重よりもちょっと重い女性の方が、痩せている女性よりも男からは人気がある。

 あたしはダイエットするつもりもないし、あたしより軽いのにダイエットにいそしむ女性を見ていると、かわいそうに思えてくる。

 

「ぶふっ! 悪い訳ねえだろ! 最高に決まってるだろ!」

 

「もうっ! 浩介くんまで!」

 

 とはいえ、今は調子に乗られるのは嫌だわ。

 

「おっとごめん」

 

 浩介くんは、あたしに怒られると素直に謝ってくる。

 

「まあでも、確かに男は優子ちゃんくらいしっかり重たそうな女の子が好きなんだよね」

 

「ちょっとお父さん!」

 

 お義父さんの言葉に、今度はお義母さんから抗議が入る。

 

「ふふ、でもその通りだったりするのよね。あたし、実は女の子になってからダイエットしたことないのよ」

 

「え!? 優子ちゃんダイエット経験無いの!?」

 

 浩介くんがかなり驚いた表情をしている。

 

「当たり前じゃないの。今の体型は理想よ理想」

 

「そ、そうなのか。優子ちゃんも女の子だから、1回位は体重を気にしたことあるかなって思ってたんだけど?」

 

「ふふ、浩介くんはガリガリに痩せてるのと、ふっくらむちっとしてるのとどっちが好きかしら?」

 

 あたしがぐいっと浩介くんに迫る。

 

「えっとそれはその……」

 

「愚問じゃろ浩介! そんなのふっくらむちっとに決まっとるがな!」

 

 おばあさんが突然口を挟んでくる。

 もちろん、それが正解なのよね。

 

「あ、うん……だってほら……痩せてたら赤ちゃんに栄養が行き渡らなそうだし」

 

「うんうん、そういうことだ」

 

 夜になると、浩介くんがあたしのお腹をよく観察していることも知っている。

 むちっとした肉付きは、より男には本能に訴えるところがあって、今までは「優一の知識」と、それに付随したぼんやりした理屈でしか知らなかったけど、改めて浩介くんと深く関わることで、身をもって知ることになった。

 

 逆に言えば、浩介くんの興奮度も高くなるから、妊娠しやすい体だとも思うので、その辺は注意しないといけない。

 ともかく今はまだ、焦る時間じゃない。浩介くんも、薬を飲んでから、ますます性欲旺盛になっているし。もし不老化さえできれば、今の性欲を維持してくれるはずだわ。

 

「それにしても、優子ちゃんは無事出産できるかしら?」

 

「うん、あたしも不安だわ」

 

 TS病患者には、出産事例もあるし、不妊治療をしたというの例も聞いたことがない。

 とはいえ、男から女に変わるわけだから、その仮定で何かが起きていても不思議ではない。

 まあ、今のところ、産婦人科に行く必要はないわね。

 

「ひ孫は男の子か女の子か、ばあちゃん楽しみにしてるよ! さっさと産んでくれよ!」

 

 本当にもう、ボケ老人って嫌だわ。

 こういうのを見てたら、蓬莱教授の研究は絶対に必要なんだってあたしは思う。

 

 

「「「ごちそうさまでしたー!」」」

 

 全て食べ終わり、浩介くんはお風呂へ、義両親はおばあさんを寝室に連れていき介護をして、あたしが夕食の後片付けをする……はずだったんだけど……

 

「優子ちゃん、このお皿はどう置けばいい?」

 

「あーうん、これは立てちゃって大丈夫よ」

 

 浩介くんは甲斐甲斐しそうにお皿を運ぶのを手伝ってくれて、あたしは鍋洗いに専念できる。

 

「よし、大分板についてきたぞー!」

 

 浩介くんはヤル気満々になっている。

 普段はあたしとお義母さんが家事をして、浩介くんを手伝わせないようにしている。

 でも、お義母さんが出掛けると、隙あらばあたしの家事を手伝おうとするようになった。

 あたしが恥ずかしがるところにすごく興奮するらしく、浩介くんは「家事を手伝ったご褒美」というシチュエーションでスカートをめくりたいという欲望が丸見えになっている。

 本当にもう、エロの力って偉大よね。

 

「優子ちゃん、これでどうかな?」

 

 浩介くんが終わったみたいなのであたしは皿洗い機の中を見る。

 

「ありがとう、あ、こっちはこうして……こうかな?」

 

「へー、微調整するんだなあ-」

 

「ふふ、浩介くんにはそこまでは求めないわよ。お義母さんもできてなかったことだからね」

 

 今はもちろん、あたしの指導の甲斐もあってお手のものだけど。

 

「そ、そうか……そっちはどうだ?」

 

「うん、ちょっと待っててね」

 

 あうー、もう興奮し始めちゃったわ。

 とにかく今は鍋洗いに集中してっと。

 

 

「ふー、終わったー!」

 

「よし、じゃあ優子ちゃん、約束だよ」

 

 浩介くんがにやけた顔つきで言う。

 その顔を見ただけで、あたしは体が火照ってしまう。

 

「は、はい……」

 

 あたしは従順に、腕を後ろに組んで恭順の意を示す。

 

  ぺろーん

 

 浩介くんに、スカートの端を掴まれ、そのままゆっくりとめくられていく。

 

 

「はぅ……あうっ……」

 

 いつものいたずらの時のめくられ方と違い、ご褒美に際してはこうやってゆっくりとめくられていく。

 

「うほー、優子ちゃんの白パンツキター!」

 

「ああーん!!! 恥ずかしいよおー!!!」

 

 浩介くんにパンツの色を言われて、あたしが恥ずかしさに耐えられなくなって声をあげるところまでが「ご褒美」のお約束になりつつある。

 

「下腹部のお肉がいいよねえ。パンツに包まれたこの質感がもー素晴らしい!」

 

「あーん、じろじろ見ないでえ……」

 

 さっきの食事でそういう話題が出たので、浩介くんにいつも以上にじっくり観察されてしまう。

 ちなみに、とっくにあたしは興奮しきっていたり。

 

「ふーふーふー!」

 

「きゃっ! やあっ!」

 

 あたしは浩介くんの息をパンツに吹きつけられる。

 時々されている恥ずかしい行為だったりする。

 

「びくんびくんしててかわいいね、ふーふー!」

 

「うわああん、あなたあ! お願い、もう許してえ!」

 

 堪らなくなり、あたしは降参する。

 

「はいはい」

 

 降参するためには、ありったけの保護欲と嗜虐心を煽る声で許しを乞う。

 そうすれば、浩介くんが放してくれる。

 

「いやー、これだからやっぱ家事手伝いは辞められねえな!」

 

 あたしは恥ずかしさのあまり、そのまま床にへたりこんでしまう。

 まあ、本当に嫌なら「手伝わなくていい」と断ればいいわけで、断らないと言うことは、ある意味であたしもこうされるのを楽しみにしてたりもしちゃうのよね。

 

「んじゃ、俺は風呂に入ってるからね。今日は優子ちゃんの部屋にする?」

 

「うん、あたしの部屋で待っててね」

 

 浩介くんがお風呂場へと向かう。

 あたしは急いでこの後着るパジャマを出し、部屋で待つ。

 浩介くんと入れ替わりでお風呂に入り、体を洗ってよく拭いて、パジャマを着て浩介くんの待つあたしの部屋へ。

 

「あなた、お待たせ」

 

「おう、優子ちゃん、可愛がってやるぜ」

 

「はい……」

 

 浩介くんとキスをして、あたしたちは長い夜を過ごした。

 

 

 翌日になって今日は大晦日、あたしの隣には浩介くんが気持ち良さそうに寝ている。

 あの後、浩介くんは自分の部屋に戻らず、あたしのベッドで寝始めた。

 元々、このベッドは広いので問題はない。

 

「くんくん……んっ!」

 

 少しきつい臭いがするわ。

 

「うーん、あー」

 

 浩介くんの汗の臭いだった。

 ……あれ?

 

 あたしの顔が、浩介くんから離れないわ。

 ああ、浩介くんが寝ている間にかいた汗の臭い……男の臭いの虜になっちゃってるのね。

 

 昨日もまた、浩介くんは満足そうだった。

 あたしもあたしで、大満足。

 この汗を嗅いでいると、頭がくらくらしちゃって、心臓がドキドキするわ。

 

「もう少しこうしよう」

 

 浩介くん、大好き……

 うん、この場所、あたしにとってとっても居心地がいいわ。

 実家のことは、多分大丈夫ね。

 

 

 

「優子ちゃん、おはよう」

 

「うん、おはよう。着替えは見せないわよ」

 

 浩介くんはあたしが汗の臭いに興奮していたことには気付かずに、朝起きてくれた。

 

「へいへい分かってるって。パンツの色は、スカートめくった時のお楽しみに取っておくよ」

 

「う、うん……」

 

 まあ、しつこく見ようとしてた時よりましかな。

 今日は久しぶりに実家に帰る日でもある。

 午前中におばあさんを送って、その後にあたしの実家に帰ることになっている。

 朝起きるのが遅くて、今ちょうど義両親がおばあさんを送っている予定の時間になっちゃってるけどね。

 まあ、おばあさんはこの方がかえって安心するわよね。

 

 元旦はまた、初詣に行くことになっている。

 そう言えば、また和服なのよね。浩介くんにせがまれそうだわ。

 

「ふう」

 

 大晦日は昨日以上に寒い。あたしはくるぶし丈のロングスカートを取り、防寒に勤める。

 明日の元旦に着ていく服も、決めないといけないわね。

 あ、そうだわ。ぬいぐるみさんとお人形さん、それから少女漫画も忘れずにっと。

 

 それらを考慮しつつ、あたしは荷物をまとめ、それをリビングに置く。

 浩介くんも浩介くんの方で荷物はまとめたみたいね。

 

「よしっ、浩介くんあたしは準備できたわ」

 

「優子ちゃん、お疲れ様」

 

 あたしの準備が完了すると、浩介くんもねぎらってくれる。

 

「うん、浩介くんもね」

 

「今年も今日で最後だよなあ」

 

 今年は結婚と高校卒業、そして大学入学を除けば、比較的平穏だったわね。

 

「うん」

 

「クラスの連中もうまくやってるみたいだし、そろそろ同窓会が開かれるかもな」

 

 浩介くんが、同窓会の話をする。

 

「いつになるんだろう?」

 

「田村の都合をつけるのが難しいからなあ。でも今はテニスシーズンオフだろ?」

 

「うん」

 

 恵美ちゃんは、プロテニス界で大活躍をしていて、既に世界ランキングもツアー出場のレベルに達している。

 もちろん、いくら恵美ちゃんでもプロの壁は厚いわけだけど、それでも、19歳という年齢を考えれば前途洋々といっていいだろう。

 日本のテニス界は、ここ数年男子はまさに「最高の黄金期」と呼ぶにふさわしい状況だったけど、女子がいまいち男子の波に乗れていない感もあった。

 そこに登場した恵美ちゃんは、日本どころか世界中の注目を浴びていて、ニュース上では蓬莱教授の注目度に勝るとも劣らない状況になっている。

 

 ちなみに、恵美ちゃんはプロテニス選手ということで世界を飛び回ってはいるが、拠点は日本に置いていて、家も特に引っ越ししていないらしい。

 恵美ちゃん曰く、「女子は楽だぜ、何せその辺の男子を捕まえれば練習相手になるんだから」と言っていた。まあ、住み慣れた自分の国を拠点にする方が、色々とやり易い面もあるのかもしれない。

 もちろん、男子の場合は練習相手などの問題からそうもいかない事情があったりするみたいだけどね。

 

「まあ、ともあれ何とかなるさ。久しぶりに高月ともバカ騒ぎしてえしな」

 

「あはは……」

 

 高月章三郎(たかつきしょうさぶろう)くんは、小谷学園時代のクラスメイトで、整形外科医の家の息子。

 浩介くんの古い友人で、とっても性欲が強くて嫉妬深いけど、頭はよくて今はお父さんの病院の跡継ぎとなるべく勉強に勤しんでいる。

 

「ま、でも優子ちゃんにてを出したら容赦はしねえぜ」

 

「うん」

 

 浩介くんが頼もしそうに胸を張って言う。

 そうね、久々に、同窓会を開きたいわね。

 

  ピンポーン!

 

「はーい」

 

 玄関から呼び鈴が聞こえ、浩介くんが応対してくれる。

 

「ただいまー」

 

 どうやら声からして、義両親が帰ってきたらしいわね。

 

「うん、お帰りなさい。おばあさんはどうだった?」

 

「あーうん、盛んになってる所を邪魔しちゃ悪いからとかなんとかで」

 

「相変わらずぶれないわね……」

 

 何かもう、感覚が麻痺してきたわ。こんな老人は極一部だと思いたい。

 

「さ、少し休んだら優子ちゃんの家に行くわね」

 

「そう言えば、うちの両親が優子ちゃんの実家に行くのは珍しいよな」

 

 浩介くんがやや物珍しそうな顔で言う。

 浩介くんがあたしの実家に来たことはあったけど、浩介くんの両親は殆ど無い。もちろん、結婚前の調整時には何度も来てたけどね。

 

「うん、言われてみればそうね」

 

 まあ、嫁入りって言うくらいだものね。

 それを言ったら、あたしの両親だって、この家にはほとんど来てない気がするけど。ともあれ、あたしたちはいつでも出られるようにしておかないと。

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