永遠の美少女になって永遠の闘病生活に入った件 作:名無し野ハゲ豚
お昼ご飯を食べ終わったら、お皿洗いをお義母さんに任せて、あたしはさっきやり残した整理整頓作業へと戻ることにした。
「うーん……」
これ、どうしようかしら?
まあ、ともあれ、屋根裏部屋まで持っていって──
「うー」
お、重いわ、どうしよう?
屋根裏部屋に行くには階段を登らないといけないし。
とすると、荷物を分割するしかないわね。
「うーんっ!!!」
こういう時は、腕力がないのって嫌な話だわ。
「お、優子ちゃん。どうしたの?」
うー、運がいいんだか悪いんだか、トイレから出てきた浩介くんに出くわしちゃったわ。
手伝ってもらいたいのは山々だけど、またスカートめくられて恥ずかしい思いしなきゃいけないし。
「うん、高校の参考書を屋根裏部屋に入れようと思って」
ともあれ、正直に話す。
「大丈夫か? 随分重たそうだぞ」
浩介くんも、心配そうな表情をしている。
「う、うん……」
あたしは、屋根裏部屋へと通じる棒状の鍵を引っ掻けて、階段を引き出す。
この急で心許ない階段を上れば、屋根裏の小さな物置に行くことができる。
「手伝おうか?」
「大丈夫よ。覗かないでね」
ともあれ、数冊回に分ければ大丈夫なんだけど、浩介くんが虎視眈々とあたしのスカートの中を覗こうとしてくるのが心配だわ。
「え!? いやこれ下ろしたら向こうに行くの苦労するし」
もちろん道幅は狭いけど通れない広さというわけではない。
だから浩介くんの言っていることは間違いなんだけど──
「まあほら、階段の下からパンツ見るってシチュエーション、まだ経験してないなあって」
また浩介くんが正直に己の欲望をぶちまけてくる。
「もー! えっちぃ!」
相変わらずぶれない浩介くんに、あたしが抗議する。
「何とでも言え! 好きな女の子にえっちになるのは男の本能なんだからな!」
また浩介くんの必殺技が炸裂してしまう。
もう、これじゃ反論できないわ。
「んもー! 浩介くんずるいー!」
あたしが、TS病の女の子故に元男で男の子の気持ちがわかることを、上手に逆手に取られている。
結婚する前から、こういうことは何度となく続いたけど、あたしが浩介くんに惚れ込んでるせいで、分かっていても引っかかり続けてしまうのよね。
「まあいいじゃないか。どうせ俺に手伝ってもらったって同じことだろ?」
浩介くんに痛いところを突かれてしまう。
「うー」
浩介くんに運んでもらったら、家事手伝いのご褒美としてスカートめくりが待っているし、あたしが運ぶとしても、浩介くんに下から覗かれて……そうだわ。
「ちょっと着替えてくるわね」
そもそも、最初からズボン穿けばいいのよ。うん。
「ちょっと待った」
「ふえ!?」
しかし、浩介くんに回り込まれて、通せんぼされてしまう。
「ちょ、ちょっと浩介くんどいて!」
あたしが浩介くんにそう訴える。
「優子ちゃん、自分に正直になりなよ」
浩介くんがにやにやとしたり顔になる。
間違いなく意地悪モードの浩介くんだ。
「ふえ!?」
「本当は、下から覗かれて、恥ずかしい思いしたくて、濡らしたくてたまらないんだろ?」
半笑いな声で、浩介くんがそう囁いてくる。
浩介くんの誘惑する声が、あたしに容赦なく突き刺さる。
「そ、そんなわけないわよ!!!」
図星ど真ん中に直球を放り込まれたあたしが、余計に墓穴を掘るような声をあげてしまう。
これ自体、既に「はい、あたしは浩介くんにパンツ覗かれたがっている変態です」と言っているようなもので──
「またまたー、嘘はいけませんよ奥さん」
浩介くんが「待ってました」とばかりににっこりと笑っている。
そんな浩介くんの声が、あたしの胸に容赦なく突き刺さっていく。
「はうっ……もー! あなた、どうしてこういう時だけ鋭いのよ!」
普段は男の例に漏れず、浩介くんもものすごい単純でバカなのに。
「全く、俺たち何年夫婦生活してると思ってるんだ!? 優子ちゃんって、本当は俺に喜ばれるのが好きでたまらないんだろ?」
「あうー」
観念したあたしは、本の一部を持ち屋根裏部屋へ続く階段をゆっくりと登る。
「おお、おおーもう少し……もう少し……」
「んぅ……!」
下から浩介くんが、わざとあたしに聞こえるような声で実況してくる。
あたしは恥ずかしさのあまりこれ以上登れなくなってしまう。
「どうしたの優子ちゃん、早く片付けなきゃ」
浩介くんは知ってか知らずか、早くパンツ見たいという感じに煽ってくる。
「っ……!」
あたしは、意を決して階段をもう一度登る。
「うひょー! 白パンツキター! かわいー!」
ううっ、浩介くんに実況されて恥ずかしいよお……!
あたしは荷物を屋根裏部屋において、何とか下に降りる。
そして、降りきったときにはすっかり頭が混乱してしまった。
「浩介くん、残りのを運んで」
「よっしゃ! 分かったぜ!」
浩介くんが張り切って残りの本を持ち、あたしよりもずっと早いスピードで作業を終わらせる。
これが最悪の選択だと気付くのは浩介くんが屋根裏部屋への階段を登りはじめてからだった。
「さて優子ちゃん、ご褒美ちょうだい」
屋根裏部屋の鍵を閉め、あたしの部屋に戻って来て、浩介くんが開口一番にそう話す。
「はい……」
浩介くんに必要とされて、性的な目で見られるのが、たまらなく嬉しいわ。
ぺろん
浩介くんに後ろに回り込まれ、後ろからスカートをめくられてしまう。
「へー、後ろは全部真っ白なんだね」
「っ……」
浩介くんにパンツを見られ、あたしは必死で恥ずかしさをこらえ、プルプルと震えが出始めてしまう。
すると浩介くんは、片手で後ろの部分をめくったまま、体を前に出してくる。
「で、こっちは」
ふぁさっ
「ぃや……!」
あたしは浩介くんに前から後ろから両方から両手でスカートめくりさせられ、完全にパンツ丸出しにさせられてしまった。
「へー、こっちだけにプリントされてるんだな」
浩介くんに、さらに近い距離からパンツを凝視されてしまう。
あたしはまた浩介くんにメスの本能で興奮してしまう。
「あーん、もう許してえ!」
「おや?」
浩介くんが、何かに気付いた様子を見せてくる。
それが何かは、あたしにも分かってしまう。
「優子ちゃん、やっぱり興奮しているんだな」
「うっ、うん」
あたしは、すんなりと白状をしてしまう。
浩介くんが、スカートから手を離してくれる。
「はうー、恥ずかしかったー!」
恥ずかしさのあまり、あたしは力が抜けてベッドに座り込んで顔を隠してしまう。
「優子ちゃん、今夜、もっと恥ずかしいことしようぜ」
「……はい」
浩介くんが一転して優しそうな声を使い、あたしの理性は完全に溶けてしまう。
ああ、やっぱり好きな男の子ってだけで、こんなにも気分が違うのね。
「優子ちゃん、俺も必ず、我慢するからさ。優子ちゃんの誕生日だものな」
「はい……」
ともかく今夜は、浩介くんもあたしも、満足したいわね。
今日の誕生日は優一としての誕生日だけど、それでも浩介くんはこうしてお祝いをしてくれる。
その事が、何だかとても嬉しいのだ。
あたしはベッドに横になって、火照った体をゆっくりと元に戻していく。
落ち着いて、午後の家事をきっちりこなして、夜の外食に備えることにした。
「優子ちゃーん、出掛けるわよー!」
「はーい!」
横になってくじらさんのぬいぐるみを抱きながら休んでいると、お義母さんの声がして、あたしはベッドから起き上がる。
そうだわ。久しぶりにぬいぐるみさんを抱いて行こうかしら?
うん、デートの時も何度かしたことあったものね、大丈夫。
そう思い、あたしはくじらさんのぬいぐるみを抱いたまま、自分の部屋を出た。
この赤い服に赤い巻きスカートは、ぬいぐるみさんを抱くととても幼い女の子を演出しやすいのよね。
「よし、全員揃ったわね」
家族はみんな、あたしが持っている女の子としてのコンプレックスをよく知っている。
なので、こうやってぬいぐるみさんを抱いたまま出掛けても、特に何も言われない。
こういう所も、あたしは恵まれていると思うわね。
例えば、これが嫉妬深い姑とかだったら、あたしがぬいぐるみさんやお人形さん、おままごとに少女漫画や女児向けアニメが好きなことを絶対認めてくれないし、多分この赤い服だって、着ることはできなかったと思うもの。
「よしじゃあ、回転寿司に行くか」
「「「はい」」」
お義父さんがそう宣言し、あたしたちも特に異議はなかったのでそのまま家を出ることになった。
あたしたちの家と駅とを結ぶ道からちょっと横道にそれた道路沿いに、回転寿司屋さんがある。
いわゆる「安い回転寿司」というわけではなく、1皿数百円が普通で、ものによっては1皿1000円するものもある。
あたしがまだ子供だった頃は、「どれを頼んでも1皿100円」とか、「1皿80円の激安寿司」のようなセールスが目立ったが、今の時代はそうした安売り寿司は、一転して苦戦を強いられている。
回転寿司と言えど、ある程度の品質が求められるようになったし、実際、ここも頼み方によっては1人で5000円かかったりもする。
でも、そんな高級志向のお店が、今では繁盛するようになっている。
あたしが女の子になったばかりは、「この好景気も東京五輪まで」が合言葉だったが、どうやら宛が外れたらしくてよかったわ。
最も、それは蓬莱教授という希望があったからかもしれないけどね。
「ついたわね」
「いらっしゃいませー何名様ですか?」
店内に入ると、早速店員さんがお決まりの話をする。
「4人です」
お義父さんが代表して人数を伝えると、カウンター席なら空いているとのことでそちらに座らせてもらう。
あたしたちが案内されたのは、ちょうど右側がテーブルとの境になっている所からの4席で、あたしが一番右に、浩介くんがその隣、そして左側の2席に義両親がそれぞれ座る。
持ってきたぬいぐるみさんは、膝の上に置いてバランスを取る。
回転寿司は右から左に流れていて、目の前には納豆巻きが並んでいた。
「よし」
あたしは、食は太くないので、まずはこの納豆巻きを取ってゆっくりと食べることにした。
浩介くんはお茶を汲みつつ、別のお寿司に手を出している。
「すみませーん」
「はーい」
「大トロ1つ」
「はい、大トロ1枚!」
別のカウンター席から、大トロを頼むお客さんがいた。
大トロはここではそれなりの値段がするけど、この回転寿司はもっと高いネタもある。
回ってくるお寿司を眺めつつ、2皿目を取る。
「すみません」
浩介くんが今度は注文をする。
「はい」
「特上穴子」
浩介くんがまた高い品物を頼んできた。
「はい、特上穴子ね」
義両親も、マイペースで食べていて、一方で浩介くんは高いお寿司も含めて結構なハイペースで食べている。
ここの回転寿司のイチオシは、「大トロ」「中トロ」「赤身」の「マグロセット」で、更にその中でも特に上質なのを使った「特上マグロセット」は、1皿1000円の高級品になっている。
店内に掲げられているメニュー表には、「特上マグロセット」に対して「一番人気」と書かれている。
これが、一番値段の高い品物を買わせようとする店側の戦術なのかはわからないけど、いずれにしてもこういう商法が成り立つようになった時点で、あたしが小学生だった頃に比べると遥かに過ごしやすい世の中になったと思う。
納豆巻きを食べ終わって次のお皿へ。
うーん、どうしようかしら?
今日はあたしの誕生日祝いだし、よし。
「すみません」
「はい」
寿司職人さんがあたしを見てすぐに視線が胸に固定される。
「特上マグロセット」
いつものことなので、そのままあたしは特上マグロセットを頼む。
「特上マグロセット、ありがとうございます!」
寿司職人さんが、明らかに張り切った顔をする。
胸に視線が行くのも、男たちの士気が上がるのも、すっかりお馴染みの光景だった。
ふふ、浩介くん、他の男の視線についてもすっかり慣れたみたいね。
あたしが友達や恋人になったばかりの頃は、いちいち嫉妬しちゃってたのに。
「はい特上マグロセット」
数分後、前のオーダーを含めて作り終わった寿司職人さんが、あたしに特上マグロセットを渡してくれた。
お皿の色は金色で、いかにも「高いです」というオーラを醸し出している。よし、まずはこの赤身からいこうかしら?
あたしは、まずはお寿司にお醤油をつけてから口へと運ぶ。
半分ほどで、あたしは口の中がいっぱいになる。
「んー」
結構赤身が効いてて美味しいわ。
あーでも少しわさびきつめかしら?
「うーん、やっぱりお寿司は『わさび微量』に限るなあ」
浩介くんが独り言を呟いている。
「あなた、『わさび微量』って?」
浩介くんにその心を聞いてみる。
「ああ、わさび抜きはつまらないけど、わさびが多いのもよくねえと俺は思うんだよ」
いわゆる、「わさびのない寿司」は、「足りなくてまずい料理」の典型例だという風潮もある。
しかし、それが極論なのは言うまでもない。
「最近のお寿司はわさび多すぎだとも思うんだよ。素材の味を殺すというか」
浩介くんの意見は面白いわね。
つまり、浩介くんに言わせれば、わさびというのはあくまでも調味料だというのだ。
「わさびが主役になっちゃ行けねえと思うんだ」
「あら? わさびが主役のお寿司もあるわよ」
あたしたちの会話に、お義母さんから思わぬ横槍が入った。
回転寿司のレーンを見てみると、「わさび」と書かれたお皿が巡ってきて、巻き寿司の海苔の内側に、シャリの白いのに混ざって不気味な緑色をしたお寿司が6貫乗っていた。
「ああ、うん。遠慮する」
「そうだな。それがいい」
見た目の雰囲気だけでも、ヤバい感じがしたので、あたしたちはこれをそのまま取らずにスルーした。
さて、あたしは「特上マグロセット」の中トロに手をつける。
「うん、おいしいわ」
やはり、お寿司屋さんもその辺は分かっているのか、中トロはわさびの味がほとんどせず、ほぼマグロの味だった。
ほどよく脂がのっていて、「大トロよりも好き」という人がたくさんいるのもうなずける美味しさだった。
「優子ちゃんの『特上マグロセット』美味しそうだな」
浩介くんが羨ましそうに話す。
「うん、でも、4人で食べたら4000円よねー」
お義母さんは、主婦らしくお財布が心配なご様子だった。
まあ確かにおいしいけど、これに1000円を1人1皿は贅沢よね。
「ま、いいんじゃねーの?」
「そうだな。たまには」
「うん」
あたしが中トロを食べ終わる頃には、議論は終わっていたらしい。
「すみませーん」
「はい」
浩介くんが代表して、寿司職人さんを注文に呼びつける。
「特上マグロセット3つで」
「はーい、ありがとうございます!」
寿司職人さんも、モチベーションが高まっている。
あたしは、それを尻目に大トロに差し掛かる。
「んー!」
口に入れた瞬間、絶品の脂身があたしの口に入ってくる。
確かに、これだけ美味しいなら、一番人気も納得だわ。
あたしが大トロを食べ終わる頃には浩介くんたちの「特上マグロセット」ができていた。
その後、あたしはサーモンやぶりなどを楽しんだ。
食べた皿の数は、結局あたしが一番少なくて1桁で、浩介くんが一番多く、あたしのちょうど2倍だった。
会計は、もちろん1万円を大きく越えた。
場所などにもよるだろうけど、昔の安い回転寿司なら多分半額で済んだと思う。
「お腹いっぱいだね優子ちゃん」
「うん」
帰り道、浩介くんが満足そうな表情をしてくれる。
家が近づくにつれて、あたしはさっきのことで頭がいっぱいになる。
「少し休んだら、ね」
「ああ、優子ちゃんはえっちだな」
浩介くんがまたにやにやしているわ。
「……もうっ」
分かってるわよ。本当はあたしの方がメスなんだってことくらい。
だって、こんなに素敵な浩介くんと同居してる妻なのよ?
女の子だって、えっちになっちゃって当たり前じゃないの。
「ねえあなた……」
「ああ、おいで」
夜のあたしの部屋、義両親が寝た頃を見計らって、あたしと浩介くんが落ち合う。
最初は聞こえちゃわないか不安になるけど、途中からはどうでもよくなってしまうのよね。
「やっぱり、大きいよな」
向かい合って座っているから、浩介くんの視界からは、あたしの大きな胸がよく見える。
もみっ……もみっ……
「うん……ひゃうっ」
浩介くんに、ゆっくりと胸を揉まれていく。
「柔らかい、よな。脂肪って」
「もう」
浩介くんがあえて「脂肪」と言う。
間違ってないのがたち悪いわ。
「優子ちゃん、体脂肪率は何%?」
「え!?」
浩介くんから、セクハラ質問が飛んでくる。
でもあたしは、不快感はない。
何故なら、何%と答えても、文句を言わないって知ってるから。
「さ……30%……」
うー、どうして本当のこと言っちゃうのよ優子!
「へえ、そのうち何%がここに集中しているのかな?」
ぷにっ……ぷにっ……
浩介くんに胸を揉まれる速度が早くなる。
「あうう……」
「ふふ、優子ちゃん、今夜も長くなるね」
「はい……」
あたしは、大好きな浩介くんに、もう何回目か分からないほど、きつく抱き締められた。