永遠の美少女になって永遠の闘病生活に入った件   作:名無し野ハゲ豚

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工場ができていく

 マーケティング部の宣伝活動も順調に進み、いよいよ販売予約を開始する所まで進んでいた。

 工場が完成間近になり、いよいよ中に一部の機械を入れて、いよいよ従業員たちの手で本格的に生産開始することになった。

 蓬莱の薬を生産するにあたり、従業員たちの意識も高いが、裏切り者が出ないかどうかは常に目を光らせる必要がある。

 重要な調合は、工場長たる和邇先輩が自ら行うという案も出されたが、別の蓬莱の研究棟出身の幹部工員にさせることにした。

 

 生産開始についての広告は結局出さないことになり、会社のホームページでニュースとして触れるにとどめた。

 

 さて、あたしたちも徐々に大学院でするべきことも少なくなってきた。

 博士論文も既に書き終えてしまっていて、うまくいけば今年度で卒業も可能になっている。

 

 最も、会社が忙しくなれば大学院の単位も難しくなってくるし、あたしの予想では通常通り来年度の卒業にはなると思っているけどね。

 

 

 さて、あたしたちは生産が始まった工場を視察することになった。

 視察メンバーとしてはあたしと浩介くん、そして蓬莱教授といういつもの3人だった。

 まあ、蓬莱カンパニーが行っている薬開発は蓬莱教授が大部分を設計してあたしと浩介くんが最終工程に貢献したという形ではあるけどね。

 

「おー、なかなかすごいな」

 

 浩介くんが社長ながらも工場の外観に飲まれている。

 やっぱり自分の会社がこんなに大きな工場を持っているというと

 一部が建設途中でありながら、工場の中は既に稼働していて、しかも線路沿いの駅や、工場に隣接したホテルも、絶賛工事中で、外観を見る限りでは工事中にしか見えない。

 

「こちらです」

 

 今回案内してくれるのは、工場長で取締役の和邇先輩だった。

 和邇先輩も役員に迎え入れられて、とても満足そうだった。

 まずは入口に入ると中には受付があった。

 

「お疲れ様です」

 

 受付嬢たちは当然、あたしたちの顔は知っているので、あたしたちに挨拶をするだけでおしまいになっている。

 社員が何人か居るけど、あたしたちの顔を見るとやはり顔に緊張が走るのはあたしたちの肩書上仕方ないわよね。

 

「熱心な人はもうここに来て買いたいと言っているんで困ってます」

 

 生産開始の報を聞きつけ、「まだ販売開始前」と断っているにも関わらず、わざわざここまで足を運んで、不老の薬を求める人間が多い。

 それだけならまだいいんだが、時折ゴネる人もいて警備会社の警備員さんが困った顔をしていた。

 まあ、大金を叩いて不老になろうという人なので、必死になっちゃうのは分かるんだけどね。

 

「ホームページでも注意喚起したのにねえー」

 

 あたしも和邇先輩につられて、困った感じの表情になる。

 今ここに来られても、もちろん準備作業もあるので販売はできない。

 予約販売するにしても、ある程度の在庫を確保してからでないといけないから、生産開始と同時に販売ではない。

 

「まあ仕方ないわ」

 

 インターネットの他、ハガキでも予約を受けつけていて、それについては高級住宅街にダイレクトメールを送るという手段も考えている。

 

「ここに訪問する人は、高齢の方も多いですから、二重の意味で厄介なんです」

 

 和邇先輩がカードキーを使ってあたしたちを通してくれる。

 まあ、あたしたちも持っているけど、和邇先輩が先行してくれるのはありがたいわ。

 

「ええ、そうね」

 

 また、あたしたちを悩ませているもうひとつの懸案は、蓬莱の薬を「若返りの薬」と誤解する人のことで、蓬莱の薬はあくまでも「現状を維持し続ける薬」だから、もちろん若返り何て芸当は出来ない。

 そのため、60歳以上は、もちろん欲しいと言うならば販売はするが、若返らせることが不可能な以上、その年齢では何らかの拍子に病死する可能性が高いことだけは、入念に説明することになっている。

 これは、「蓬莱の薬を飲んだのに病死した」というクレームを避けるためでもある。

 

 最も、それでも欲しいという人が殺到するということは、それだけ蓬莱の薬に対する期待が大きいということになるけどね。

 

「ここが現在の稼働中スペースです」

 

 あたしたちは、普段は管理職などが巡回用に使っているルートを窓から中を見ることができて、あたしたちがあの時に見た高度な機械が忙しなく動いていた。

 この機械で生成し、次に出来た液体が不老の薬かどうか入念に調べて初めて販売が可能になる。

 不老の薬を判定するための手法も、効率化が進んでいて、従来の半分程度の時間でできるようになっている。

 それでも、まだまだ改善の余地は残されているはずで、そのあたりは研究者たるあたしたちの仕事でもある。

 まあだからこそ、若いあたしたちが最高幹部であることを、社員たちが容認してくれるのもまた事実なのよね。

 

「ご覧のように、こちらでは順調に作業が進んでおります。トラブルも起きておりますが、都度部長以下部下が解決してくださっておりますのでご安心ください。在庫が溜まり次第、連絡します」

 

「ええ、分かってるわ」

 

 和邇先輩によれば、概ねあたしたちが予想した通りの成果を得られているという。

 思ったよりも、機械の性能がいいなんてこともあったらしい。

 

「では、次の部屋です」

 

 あたしたちは廊下を進んで行き、更に奥の部屋が見えてきた。

 

 そこでは、さっきまでとは打って変わって、「試運転中」という機械を目にすることが出来た。

 数はさっきの稼働中よりもかなり多く、工員さんたちが目を光らせていた。

 一方で、稼働中の機械はなく、生産には移れていない様子が見て取れた。

 

「こちらでは、納入された機械の試運転が行われています」

 

 和邇先輩によれば、今のところ歩留まりの悪い機材はないらしい。

 

「もし状態が悪いなら、発注した企業の技術者と共に、こちらで修理を行うことになっています」

 

「むしろ、今のうちに初期不良を洗い出しておきたいわね」

 

 新しく設計した機械である以上、どうしても想定外の初期不良は起こってしまう。

 そうなった場合には、当然改良も必要になる。

 そうしたノウハウはそれぞれの財産として共有することが出来るのよね。

 いずれにしても、試運転も急ピッチで、かつ確実に進めるために人員を割いて進めることになっている。

 とにかく、生産力を増やさないことには、売上も伸びないものね。

 

「ええ、ではこちらへどうぞ」

 

 和邇先輩が、更に奥に進む、途中右に曲がって奥に進むと、工事の音が徐々に強くなっていく。

 そして試運転の機械ではなく、ちょうど納入されている部分に入った。

 

「今はこのように、到着した機械を並べる場所になっています。試運転を待っている状態と言っていいでしょう」

 

 機械を並べ、試運転し、そして稼働に入る。

 もちろん、定期的なメンテナンスも必要不可欠になっている。

 

「ふむ、順調そうで何よりだ」

 

 蓬莱教授も満足しているみたいだわ。

 そして、あたしたちはそこから更に奥へ進むと、扉の前にヘルメットが置いてあるのが見えた。

 

「ここからは工事中になりますので、安全のためにこれをつけてください」

 

「はい」

 

 あたしたちは、お馴染みの「安全第一」と書かれたヘルメットをつける。

 えっと、ここをこうすればいいのね。よしっ。

 

「優子ちゃん大丈夫?」

 

「うん、ありがとう浩介くん。好きよ」

 

 浩介くんの気遣う声に、あたしも思わず笑みがこぼれていく。

 こういう気遣いに、あたしは思わずポロっと「好き」という言葉が漏れてしまう。

 

「あーいい雰囲気な所悪いが、そろそろ行くぞ」

 

「「あ、はい」」

 

 あたしたちは蓬莱教授の言葉で意識を現実に引き戻す。

 顔の赤みまでは、戻らなかったみたいだけどね。

 

 これまで以上に思い扉を開けると、そこでは至るところで工事作業が進んでいた。

 大きな音と、工事のおじさんたちが連絡しあう大きな声がこだましていく。

 工事は急ピッチで進んでいて、あたしたちは邪魔にならないようにその合間を進みつつ、和邇先輩の解説を聞いていく。

 

「懐かしいな、何だか」

 

 浩介くんが、ふと小さな声でそう漏らす。

 

「うん、あたしも」

 

 これだけの大きな工事現場を間近で見たのは、生まれて初めてだった。

 何もない所に、建物が建つ様子が見て取れる。

 あたしは、3年前のことを思い出していた。

 あの時、あたしは浩介くんと2人で富山県に旅行していた。

 その時、黒部峡谷鉄道鉄道線と、立山黒部アルペンルートに乗った。

 黒部ダムと、黒部峡谷鉄道線では、工事のおじさんを何人も見た。

 今こうして働いているのも、そうした人々と同じ人たち。

 彼らの建設技術がなければ、この工場も建たなかった。そう言う意味でも、やはり蓬莱カンパニーで全てを賄うことは不可能だった。

 

「上に気をつけてください」

 

「はい」

 

 和邇先輩の注意喚起に、あたしたちも上部を注意する。

 上では工事の人たちが忙しそうに歩いていて、手には資材らしいものを持っていた。

 足場はあるけど、あそこを歩くのはちょっと気が引けるわね。

 

「機械化が進んだといっても、最後のチェックはどうしたって人間がしないといけません。機械にチェックできたとしても、人間の目と2重にする必要があるんです」

 

 和邇先輩の言葉はよく言われること。

 機械化やAIの技術が進んでも、それらをメンテナンスするのは人間の仕事になる。

 いわんやメンテナンスの機械が進んでも、人間は常に最後の砦になる。

 

「さて、ここからが新しい駅を作る鉄道の区域です」

 

 更に奥に進むと、工場の外に出て駅のホームができ始めていた。

 今でも新駅開業はあるけど、ここの駅は本当に工場の人向けという感じになるわね。

 

「この辺に蓬莱カンパニー専用の改札口ができます。そして道路に直結している道が、一般用です」

 

 この手の大きな本社や工場があると、そうした従業員専用の改札口もよくできる。

 この駅も、それに倣うのだという。

 

「新駅の完成にはしばらく時間かかりますので、おそらく薬の販売には間に合わないと思います」

 

 駅を作る鉄道会社とは、全く独立しているので、それも仕方ないわね。

 

「あーうん、問題ないです。無理に急がなくていいと先方に伝えてください」

 

「了解しました」

 

 和邇先輩の説明に、浩介くんが焦らないようにと伝えるように答える。

 それにしても、社会に出ると大学や大学院の先輩後輩も殆ど形骸化するわね。

 まあ、あたしたちもまだ、院生ではあるんだけど。

 

 あたしたちは一通りの見学を終え、元に戻った。

 元々予定が前倒しになっていて、少しくらい遅れても大丈夫なのも、あたしたちに余裕を与えてくれるわね。

 

「それじゃあ、俺たちはここで失礼するよ」

 

 全てを一通り見終わったので、蓬莱教授が引き上げを宣言する。

 

「はい、気を付けてください」

 

 現場は特に大変だ。あたしたち上層部が無茶をすれば、それだけすり減ることにもなるし、蓬莱カンパニーの機密防衛にも関わることになる危険性がある。

 あたしたちはそのまま今ある駅までタクシーを使って、そこから電車で元に戻った。

 

 

「ただいまー」

 

「あ、2人ともお帰りなさい」

 

 家に帰ると、お義母さんがあたしたちを優しく迎え入れてくれた。

 

「どうだった?」

 

「うん、順調だわ」

 

 勤めて平常心で、そう答える。

 正直に言えば、こんなにうまくいくなんて、はしゃぎたい気分でもあるけど、我慢することにした。

 

 ちなみに、今現在あたしたちは役員報酬は殆ど貰っていない。

 あくまでも、販売を開始したら始めるというのが建前になっている。

 株式については、まずは上場に向けての準備を続行はするものの、上場のための条件を整えるだけの時間と余裕がないということで、ひとまず優先順位を下げることに決まった。

 最も、将来的な上場には含みは残したままなので、「このまま非上場で行く」と決まったわけでもない。

 このあたりは、取締役会でも意見がまとまらない難しい問題で、ひとまず今は目の前の問題を片付けることが先決と決まった。

 

「じゃあご飯作るから、待っててね」

 

「はーい」

 

 お義母さんに見送られて、あたしと浩介くんがそれぞれ自分の部屋に入る。

 あたしは、部屋のドアの鍵を閉めて浩介くんに覗かれないようにしつつ、レディーススーツを脱いでパンツとブラだけの下着姿になると、今日はもう出掛ける予定もないので、ゆったりと動きやすい膝下丈のスカートに着替えることにした。

 

 ふー、やっぱりタイトって言うだけあって、普段着てるスカートよりも狭いわね。

 さて、浩介くんの所にでもいこっと。

 

  コンコン

 

「はーい」

 

 浩介くんの部屋の扉をノックすると、中から浩介くんの声が聞こえてきた。

 

「入るわね」

 

  ガチャッ

 

「あ、優子ちゃんいらっしゃい」

 

「うん、来ちゃった」

 

 着替え終わった浩介くんがあたしを歓迎してくれる。

 ふふ、何だかいつもよりかっこよく見えちゃうわ。

 

「今日の工事現場、すごかったな。あれが、やがては完成するんだよな?」

 

 やはり、浩介くんの印象にも、残った話らしいわね。

 

「うん、あの足場とか、大変そうだわ」

 

 とにかく、不安を誘うこと間違いなしだと思うわ、あれ。

 しっかり補強していても、大きな地震とか起きたら崩れちゃいそうだもの。

 

「うーん、俺はあの足場の上に優子ちゃんがいて、俺が下から覗き放題って場面を想像してて、沈めるの大変だったぜ」

 

 浩介くんがニヤリと歯を出して言う。

 

「もう、浩介くんのえっち!」

 

 本当にも、どうしてこういうことしか考えられないのよ浩介くんは!?

 

 そりゃあ、夫婦だからそう言う発想もあるとは思うけど……あの足場にスカート姿で立っていて、浩介くんに下から覗かれて、全部見られて……あうー、想像しただけで恥ずかしいよお……

 

「とか何とか言ってー、その顔、想像しましたって言ってるようなものだよな」

 

 プシューっと、あたしのほっぺが吹き出してしまった。

 浩介くんにはもう何年も前に全部知られちゃっているのに、やっぱり恥ずかしいという気持ちを払拭することはできないし、多分これからも、慣れてはいけないことだと思う。

 

 ……あれ? 浩介くんは?

 

「うん、やっぱりこうやって覗くのとあの足場で覗くのとだと魅力が違うよな」

 

 浩介くんが床に寝転がっていて、あたしはパンツを思いっきり覗かれていた。

 

「きゃー! えっちー!」

 

 あたしは反射的に声を上げ、顔を真っ赤にしながら、スカートを押さえてその場に座り込んでしまった。

 あうあう……下から丸見えだよお……

 

「やっぱりかわいい反応するね優子ちゃんは」

 

「もう、浩介くんは本当にえっちが好きなんだから」

 

 あたしが顔を尖らせて抗議する。

 スカートの中を覗かれた回数だって、もう数えきれないわ。

 だけど覗かれれば覗かれるほど、恥ずかしいという気持ちが強くなっていった。

 

「当たり前だろ。こんな好きでたまらない女の子と毎日暮らしてるんだぞ。性欲が湧かないわけがないだろ」

 

「もう、それはお互い様でしょ」

 

 あたしだって、浩介くんにされるのとっても好きだもん。

 今のやり取りで、またちょっと興奮度が高まっている。

 だからあたしはこう誘い込む。

 

「ねえあなた、両親が寝たら、ね」

 

「ああ」

 

 あたしたちは、ちょっとしたことから、こういうことに発展してしまうことが多い。

 他の家がどうなっているかはわからないけど、あたしたちも気を付けた方がいいかしら?

 まあ、夜になったらそういうことも全部忘れてしまうんだけどね。

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