永遠の美少女になって永遠の闘病生活に入った件 作:名無し野ハゲ豚
「ふう」
「お、2人とも帰ってきたか。そろそろ、次のプログラムに移る準備をした方がいいぜ」
テーブルに戻ってくると蓬莱教授が「そろそろ時間だ」とあたしたちに忠告してくれた。
「はい」
最後は社長の浩介くんによる具体的な業績と目標を発表する場所になっている。
忘年会と言っても、社員の親睦だけではなく、会社が上向きの時はこういったポジティブな情報を元に、社員たちの士気向上を図ることになっている。
時間が近いので、浩介くんが向こう側へと消えていった。
「ふう」
浩介くんがそばにいないのは、やっぱり寂しいわ。
もちろん1人で行動することも多いけど、浩介くんと2人で楽しい時間を過ごした後は、どうしても寂しさというものが出てきてしまうものなのよね。
それでも、老化のなくなったあたしと浩介くんは幸せだと思う。一時的に寂しくなっても、また楽しい時間がいつまでも来るもの。
「えー、ご歓談中の皆様、名残惜しいですが、間もなく閉会の時間になります。最後に、当社の篠原社長から、皆様に今年の業績と来年の抱負について語っていただきます」
この忘年会は、相対的に歓談の時間が長く取られている。
全体参加のクイズ大会などは、やはりどうしても馴染めない人が多いので、自由度の高い忘年会にするようにあたしの方から注文をつけた。
実は当初はもっといろいろな企画が行われることになっていたんだけど、孤立化してしまう社員さんも居るはずなので
とはいえ、「開会と歓談と閉会だけではいくらなんでも手抜きが過ぎる」という主張から、妥協案としてこうした日程に決まった。
社長の挨拶ということで、社員の話し声もピタッと止まる。
パチパチパチパチパチ!!!
そして浩介くんが拍手と共に、壇上へと出てきた。
「えー皆さん、早いもので、もうこの忘年会も、終わりが近付いて参りました。最後にですね、今年の業績と目標、まずは蓬莱の薬の売り上げ販売数を発表していきたいと思います」
そう言うと、スクリーン上に、今年の蓬莱の薬の売上数が表示され、「おー」という声が沸き上がった。
そこには当初のあたしたちの想定も載っていて、それを大幅に上回る実績を示したからだ。
「ま、ご覧の通りですね、販売前から値下げを告知していたこともありまして、値下げ前はそこまで注文は殺到しないと予想しておりましたが、このように多くの方々から、注文を受けました。ただし来年はですね、生産力向上に伴う段階的な値下げを踏んでおりますので、さすがに売上が落ちると私の方でも見込んでおりまして……当社は赤字になることも予想しております」
その事は、実際に最初の挨拶で話した通り。
とはいえ、社員からは悲観の声は聞こえてこない。
何故なら、そんな赤字はすぐに回復することは、誰の目にも明らかだった。人間の生存欲という根源的な欲求は、誰だって持っているから。
「ただし、この赤字はですね、将来の投資にはやむを得ないというのも実情であります。来年はですね、今年以上に『先行投資』の年になると思っています。今年予想外に儲かった売上を使いまして、まずは全国47都道府県全てに支店を設け、全国どこでも不老になれる環境を整備していきたいと思っています」
浩介くんの演説内容は、とても理路整然としていて、社長に就任したばかりの頃よりも経営者として確実に成長していた。
蓬莱の薬を飲むと、こういった所も強くなるのよね。
「次にですね、来年の目標として、株式上場であります。本来私達の方では数年後を予定していたのですが、証券会社の方から是非との声がかかりまして、特別に上場してもらえる……というよりも頼み込まれて上場することになりました」
その瞬間、「おー」という声と共に拍手が沸き起こった。
やはり、株式の上場というのは、企業としてはステータスになるのかしら?
「上場にあたりましては、当社は『蓬莱の薬に関する特別法』におきまして、外資規制会社として国から認定を受けまして、大口の投資や敵対的買収、外国人投資家の参入を禁止しております。また、我々経営陣の株式割合も、えー当初の予定通りとしております」
蓬莱カンパニーの場合、市場の投資家から株を買ってもらってお金を集めなくても十分にやっていけるため、上場する意味は薄かった。
それでも、やはり日本人限定で、株式の公開を進めることにした。
また、将来的に海外に進出する際には、外国からの圧力いかんでは、上場廃止も当初から想定しているけれども、浩介くんはその事までは話さなかった。
ちなみに、上場する会社は、堂々の東証一部と決まった。
大学院生が社長を勤める会社として、東証一部上場を果たしたのは、恐らく史上初のことだと思う。
……まあ来年度卒業だとは思うけど。
「以上、店舗拡大と、株式上場について述べて今回の忘年会を終わりたいと思います。それでは皆様、お疲れ様でした」
パチパチパチパチパチ!!!
浩介くんが軽く頭を下げると、社員たちから惜しみ無い拍手が送られる。
むしろ、若い社長だからこそ、大きく支持されているという側面も、間違いなくあると思う。
「最後にですね、記念撮影をしたいと思います。皆さん中央にお集まりください。近くにテーブルがある所は、テーブルを移動させてください」
会場の照明がつけられ、何人かの男女がテーブルを動かす。
社長の浩介くんや会長の蓬莱教授も、自らテーブル運びを手伝っていて、永原先生も、その小さな体からは想像できないほどに椅子を運びながら往復している。
あたしは、1往復に椅子1つを、ゆっくりと運ぶことにした。
他の人よりも明らかに能率が悪いけど、身体能力がないのは、女の子だし仕方ないわよね、うん。
「あ、前の方は椅子お願いします」
写真撮影の都合上、前列の方は椅子を使い、また後ろの方は階段状の壇を使う。
これで社員が全員写るようになっている。
ちなみに、最前列の椅子の中央に座るのが、あたしと浩介くんで、その周囲を、役員たちが、2列目を部長や課長クラスの中間管理職が、3列目以降は、係長クラス以下の社員たちが自由に並んでいく。
「はーい、そこそこー! 最後列もう少し詰めてくださーい!」
あたしの白いワンピースが一際目立つ中で、この時のためだけに呼んだカメラマンさんが脚立の上に立ってあたしたちに指示を飛ばしてくれる。といっても、常務のあたしは座ってるだけだけどね。
これだけの集合写真は、結婚式の時以上で、現場の社員たちには、忘年会に参加してない社員も多いことを考えると、ずいぶんと大きな会社になったものだと感心してしまうわね。
社員さんたちはカメラマンさんの指示に
「はーい、それでは行きますよ。はいチーズ」
ピピッ……カシャッ
お馴染みの掛け声と共に、カメラの音がなってフラッシュが光る。
シャッターが成り終わると、「ふー」っと緊張の糸が切れた声が随所で聞こえてくる。
「もう1枚行きます、はいチーズ」
ピピッ……カシャッ
もう1枚の声に再び緊張が走り、写真を撮り終わると再び緊張の糸が切れる。
この感覚は、結構慣れるのに大変だわ。
「はいありがとうございまーす」
そして撮影が終わると、さっきよりも大きな「ふー」っと肩の荷が下りたようなため息と共に、社員が思い思い行動し始める。
これで忘年会は解散で、後は各自で自由に独自の二次会に行くなり、あるいは家に帰るなりすることになる。
あたしたちは、疲れを取るために、今日は早めに解散することになっている。
あたしが一般女性と比べても身体能力が低いことは、蓬莱カンパニーでは知られていない。ただ、生理が重そうだって言う噂が女性社員の間で流れているって聞いたけど。
「ふー」
「優子ちゃん、お疲れ様」
浩介くんが、あたしを労ってくれる。
社長に声をかけてくる社員さんは多いけど、妻であり常務でもあるあたしに向かっていくと、みんなさっと避けてくれる。
やっぱりそのあたり、しっかりしてるわよね。
若い社長という意味では、女性社員たちからも多分モテてるとは思うけど、さすがに誰もあたしに対して張り合おうという気分にはなってないみたいでよかったわ。
「うん、じゃあ疲れたし帰ろうかしら?」
「そうだな」
あたしたちは忘年会会場を後にして、予定通り早めに家に帰ることにした。
忘年会の会場ではもちろんのこと、電車の中でも相変わらずあたしへの視線はすごかった。
それはこの真っ白でロングなワンピースが清純さを強調していて、その上で胸のエロさが隠しきれてないせいでもあると思う。
ちなみに、上着のコートも、白で決めていて、真っ黒なあたしの紙と、頭の白いリボンとでとても目立つお姫様のような存在になっている。
「優子ちゃんって目立つよね」
「うん、真っ白の服だものね」
それに加えて、あたしと浩介くんが、ラブラブに手を繋いでいるせいでもあるけども。
あたしは、家に帰るにつれて、ドキドキが止まらなくなっている。
それはこうして手を繋いで、愛する旦那のぬくもりを感じているだけではなく、この白い清純なワンピースと対をなす服を、これから着ることになるからだと思う。
「次は──」
「優子ちゃん」
「うん」
電車のアナウンスを聞き、あたしたちは外へ出る。
家までの行き慣れた道を進み、家へと帰った。
「ただいまー」
「お帰りなさい。忘年会うまく行った?」
家に帰ると、いつものようにお義母さんが出迎えてくれる。
このやり取りも、もうすっかり安らかな平穏に戻って、安堵していいという合図になった。
いつもと違うのは、いつもより遅い帰宅だったので、お義母さんもパジャマ姿だったこと。
「うん、バッチリよ」
あたしも顔を緩め、にっこりとした表情で答える。
「じゃあお風呂沸いているから、好きな時間に入っていいわよ。お義母さんたちは、もうすぐ寝るわね」
「分かった」
そう言うと、お義母さんは寝室の方へと向かっていった。
「じゃあ俺から入るな」
「うん、あたしの部屋で、ね」
あたしも浩介くんも顔が赤くなる。風呂から出てすることは、分かっている。
またきつく、あたしの体をぎゅーっと抱きしめてくれるから。
「分かってるって」
浩介くんがお風呂場に行き、あたしは自分の部屋に行く。
あたしはタンスの奥にしまってある露出度が高い、白い勝負服を取り出す。
「はぁ……はぁ……」
白は清純な色だけど、この服は白い服でも清純とは程遠いデザインになっている。
真っ白なトップスは胸元を極限まで露出していて、丈も短くへそ出しで、スカートもパンツすれすれの短さな上に、風にも弱くめくれやすいフレアミニで、ちょっとだけ体を動かしても、簡単に見えてしまう。
もちろん、これは外出に使う服ではなく、家の中で意中の人と2人きりになった時に、想い人……つまりあたしの旦那を誘惑するためだけに作られた服。
浩介くんはお風呂から出たら、あたしに連絡し、一旦自室に戻ってから、あたしがお風呂に入ったのを見計らって、あたしの部屋で待つことになっている。
コンコン
「優子ちゃーん、出たぞー!」
扉がノックされ、浩介くんの声が聞こえてきた。
「はーい!」
返事をすると、あたしは着替えの服を持って浩介くんと入れ替わるように脱衣場に入る。
脱衣場の鍵をしっかりと閉めて、あたしはまず頭にいつもつけている白いリボンを外し、服を全て脱いでお風呂場へと直行した。
うー、やっぱり12月って寒いわね。
「ふー」
体と髪を洗い終わり、髪をお団子ヘアーにしてから湯船に浸かると、あたしは精神的にとてもほっとした。
お風呂の暖かさが、あたしを穏やかな心に導いてくれる。
「あうー」
でもそれは一瞬で、これから浩介くんにされることを想像すると、顔が真っ赤になってしまう。
浩介くんには、もう数えきれないくらい翻弄されてきたけど、今でもあたしは浩介くんを求め続けている。
浩介くんも、あたしのお陰で十分性欲が満たされているみたいで、安心だわ。
「ふう」
一通りお風呂に入り終わったら、あたしはお風呂から出て身体を拭き、脱衣場のかごにおいてあった服に手をかける。
まずは白いパンツを穿いて白いブラジャーをつけ、次にトップスとスカートを穿く。
「うー寒いわー」
女の子は冷えやすく、寒さに弱い。あたしの場合は特にそう。
しかも今みたいな冬の季節で、この服装は堪えるものがある一応浩介くんがあたしの部屋を暖房してくれているみたいなので、あたしは大急ぎで自分の部屋まで走ることにした。
誰もいない状況でスカートをはためかせて、あたしは部屋の前にたどり着く。
寒い寒い、とにかく中に入ろう。
ガチャッ……
「ふー」
部屋の中の暖気が、あたしを優しく包み込んでくれる。
それを味わった後は、ドアを閉めて浩介くんに目を向ける。
「うっ、優子ちゃん……」
浩介くんがどきりとしていて、姿勢がやや丸くなる。
嬉しくなるだけなんだから、隠さなくてもいいのにね。
「ふふ、どうかしら?」
ちょっとだけ身体を揺らすだけでも、この超ミニスカートからはパンツがチラチラと見えてしまう。
当然浩介くんはその様子を見ると「もっと見たい」という欲望に刈られてしまう。
「そ、その……やっぱり、すっごくエロくて淫乱で……同じ白い服なのに……さっきまでの清楚な優子ちゃんと同じ人に見えないぜ」
清楚な白のイメージと相反するこの露出度の高い服は、浩介くんにとって大のお気に入りだという。
ましてや、そんな格好をしたあたしを清楚な白いワンピース姿の後に見たら、余計にギャップが大きく見えるわよね。
「うふふ、ありがとう。ねえあなたぁ……」
あたしがぐいぐいと浩介くんに近付いて誘惑度を強める。
ぺろっ
「きゃあ!」
浩介くんにいきなりスカートを掴まれて、上までべろんとめくられ前方部分のパンツを丸出しにさせられてしまう。
あたしは顔を真っ赤に染めて、恥ずかしさに耐えながら、スカートを押さえる。
うー、誘惑用の服でも、スカートをめくられるのって、やっぱり恥ずかしいわ。
「優子ちゃんかわいいね。ほら、こっちへおいで」
「きゃっ……んんっ……」
あたしは浩介くんに腕を引っ張られ、ベッドに押し倒されて強引にキスされた。
「んっ……じゅるっ……ちゅっ……じゅうう……」
浩介くんのキスで、あたしの脳が急速にとけていく。
あたしたちの夫婦生活は、浩介くんがいつも以上に興奮している様子だった。
露出度の高い服は、見られているだけで恥ずかしさが込み上げてくる。
「優子ちゃん……エロすぎ……俺……もう我慢できない……」
半分だけめくれ上がったスカートを上までめくられ、あたしはパンツを凝視された。
「やっ……本当にもう……しょうがないんだからぁ……」
興奮した浩介くんの様子が、ますますあたしの顔を赤く染め上げていく。
それを見た浩介くんの顔が、また1つほころんで興奮へと導いていく……やっ……恥ずかしい、恥ずかしいよお……
浩介くんはどんどん元気さを増していって、あたしの思考力がどんどん薄れていく。
「なあ優子ちゃん……優子ちゃんは、俺だけのものだよな?」
「うん……あたし……あなたに独り占めされたいの……お願い……」
あたしがそう言うと、浩介くんの理性の糸がついに切れた。
浩介くんも、独占欲が満たされているみたいでよかったわ。あたしも、浩介くんを独占できるのが、何より嬉しいわ。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
浩介くんの姿はもうない。
あの後少しだけ雑談して、時間も時間なので直ぐにお休みをすることになった。
あたしは、まだパジャマに着替えられなかった。
1人この姿で置かれている様子が、あたしの中にあるメスの被虐願望を強く刺激していたから。
でも、浩介くんに捨てられたわけじゃないと分かっていることが、あたしに安心感を与えてくれたのも事実だった。
……うー寒くなってきたわ。あたしも早く着替えて寝ないといけないわね。