永遠の美少女になって永遠の闘病生活に入った件   作:名無し野ハゲ豚

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豪邸生活1日目 中編

 屋上には男女別の脱衣場があって、男女で作りは同じになっている。

 ドアを開けると夏の熱気があたしを襲う。

 安全のために二重の鉄フェンスがあって、その向こうには渋谷の街を一望できる。

 360度パノラマというわけにはいかないけど、それでもかなりいい景色を味わうことが出来る。

 もちろん、近所からは見えないようにはなっているけどね。

 

 屋上の中央には巨大なプールがあり、今は水が全く入っていない。

 

「あのプール、いらなくなっちゃったわね」

 

 去年浩介くんと買った家庭用プールのことを思い出す。

 一応持ってきてあるけど、不要になってしまった。

 あーでも、水位高いし、これから産まれてくる子供が小さいうちはまだ使えるかしら?

 

「ふう、中に入ろう」

 

 とにかく今はまだここは暑い。

 あたしは脱衣場を抜けてエレベーターのボタンを押し、「屋上階です」の声と共に、一気に1階へと降りた。

 そして、10畳や6畳の小部屋の位置を覚え、そこに何があるのかを探っていく。

 唯一10畳の部屋1つだけ開かなかったけど、まあ仕方ないわね。

 

 これで後は、お風呂場を見ていないだけだけど、それは今夜のお楽しみにとっておこうかしら?

 

 あたしは、自分の部屋に戻り、今度は新しく4画面になったPCを試すことにした。

 

 

  ピポッ!

 

 あたしが広くなった画面のPCでインターネットを楽しんでいると、突然PCの画面にホップアップウィンドウが現れた。

 部屋をよく見ると、「1階リビングより呼び出し」と表示されていたモニターがあり、あたしは呼び出されていたことが分かった。

 

「あ、優子ちゃん、ご飯2階で食べるわよ」

 

「あ、はーい」

 

 お義母さん曰く、今日は新築祝いということで、両家合同で食事を作ることになった。

 キッチンの広さは、もちろん女3人がいても十分に賄いきれる広さになっている。

 これまでの帰省の時にも、女3人で料理を作ったこともあったけど、やや手狭で手こずることも多かった。

 

「エレベーター使う?」

 

「うーん、あたしは階段で」

 

「分かったわ」

 

 あたしたちは2手に分かれ、ほぼ同時に2階に集合する。

 

「ふふ、2人ともよく来たわね。さ、お料理始めるわよ」

 

「「はーい!」」

 

 あたしたちは、男たちに内緒で、料理を作ることになった。

 

「それにしても、本当にこの家すごいわね」

 

 お義母さんが驚いたように話す。

 まあそりゃあ、高級住宅な訳だもの、当たり前よ。

 

「そうよねー、しかも全部優子たちのお金でしょ? 家電の性能もみんなどれも高いし、調理器具も高級品だらけで本当に様々だわ」

 

 母さんによれば、昼食を作った時に実家との差を特に実感したらしい。

 うーん、あたしも何だかんだで主婦も8年目になってるけど、まだ所々修行が足りないみたいだわ。

 

「ふふ、腕によりをかけなきゃね」

 

 と言っても、使う食材は、まだ既存の家から持ってきた食材のみ。

 おそらく来週には、本格的に高級食材を使った料理が食卓に並ぶことになる。

 もちろん料理人みたいにうまくはいかないけど、それでもあたしたちは腕が悪いというわけではない。

 素材が良ければ、少なくとも今の素材よりはうまく行くはずよね。

 

「この呼び出し機能、叫ばなくてよくなったのはありがたいわ」

 

「あれ? 母さんはそっち派なのね」

 

 あたしたちは昼食の時、こうした呼び出しをしなきゃいけないのは不便だと思っていた。

 でも母さんは、全く逆の考えを持っていたらしいわね。

 

「ええ、叫んでも反応が鈍いもの」

 

 母さんが、父さんの部屋と、更に1階の浩介くんとお義父さんの部屋に呼び出しをかける。

 ちなみに、呼び出し機能については、当然部屋を選別出来るし、そのパターンは保存も出来る。

 

「そう言えば、あたしがいない生活はどうだったの?」

 

 再び両家で同居したことで、父さんと母さんが、結婚してからあたしが生まれるまでの間以来の2人同居という状況は二度と訪れなくなった。

 もちろん、その間のことは帰省中も話していたけど、改めてこの機会なら本音を話してくれると思って聞いてみた。

 

「うーん、最初の1ヶ月は寂しかったわね。でも、時間が経つに連れて、優子が1人立ちできたんだって思うと、落ち着けるようになったわ」

 

「そう、やっぱりそんな感じだったのね」

 

 あたしたちが帰省したときは、「特に問題ない」といった感じだった。

 でもやっぱり、最初は寂しいものなのね。

 

「まあでも、今はこうして、2世帯とはいえ同じ所に住めたんだもの、またかわいい優子と一緒に暮らせて、お母さんも嬉しいわ」

 

 また母さんがちょっとにやけついた表情になっている。

 もう、本当に困った人だわ。

 

「母さん、また変なことたくらんでないよね?」

 

「ああうん、大丈夫よ。私だって、優子はもう、旦那さんのものだって知ってるわよ」

 

 母さんの言葉に、あたしはさっきジムで体を鍛えていた浩介くんを思い出す。

 

「あらあら、相変わらず熱々でかわいいわねー」

 

 またあたしの顔が真っ赤に染まると、母さんにまたからかわれてしまう。

 

「そうなのよ。優子ちゃんってば、浩介のことになると急に恥ずかしがり屋になるのよ」

 

 もう、お義母さんまで!

 

「あはは、優子って本当にかわいいわね。少女漫画から出てきた主人公みたいだわ」

 

「あうあう」

 

 あたしは、いいようにやられている。

 母さんは、あたしのことを「少女漫画から出てきた主人公みたい」と形容した。

 確かにそれは当たってなくもない。

 小谷学園に女の子として復学してからの浩介くんとの日々は、今思い返せば少女漫画っぽいところもあったと思う。

 特に3年生での後夜祭でのプロポーズがそうだった。

 結婚してからの生活については、よく分からないけどね。

 

「うーん、確かにそうとも言えるわよねー。でもそうなると浩介がヒーローになるのよね?」

 

「ふふ、高校生の時よりも、お金持ちになった今の方が、ヒーローらしいかしら?」

 

 母さんがにやっと笑う。

 それを聞いてあたしは、またさっきのことを思い出して顔を真っ赤にしてしまう。

 ジムで上半身裸で汗を流しながら鍛えていた浩介くんの体のことは、しばらく……もしかしたら一生忘れないものになるかもしれないわね。

 しかも今は世界屈指の資産家で、個人としては蓬莱教授に次ぐ2番目の資産家で、しかも蓬莱カンパニーの社長。

 独身だったらまず間違いなく世界トップの人気物件になってたと思う。

 

「おっと、あんまりからかいすぎるのもよくないわね。さ、お料理を続けましょ」

 

「あ、はい」

 

 やっぱり、3人で家事をすると、リーダー役は自然と母さんになる。

 あたしたちは日が落ちる前に夕食を作り終わると、呼び出しパネルで男たちを2階のリビングへと呼び出した。

 

 

「お、焼き肉と餃子じゃん」

 

 浩介くんが目を丸くしながら言う。

 餃子や焼肉、鳥の唐揚げの他、野菜炒めや手作りのフライドポテトなどの食材も使って、手元の白いご飯以外は全て大皿タイプを採用した上に品目が多いので、テーブルは例の回転テーブルを採用した。

 

「えへへ、まだ前の家の食材だけど、今夜は引っ越し祝いよ。ついでに、このテーブルも試してみるわ」

 

「よし」

 

 あたしたちは6人で丸いテーブルを囲むと一斉に「いただきます」をした。

 ご飯はうまく調理ができていて、料理の素材や料理人の腕だけではなく、調理器具も大事な要素であることが身に染みて分かった夜ご飯になった。

 やはり、「弘法筆を選ばず」というのは、料理の世界ではあまり当てはまらないみたいね。

 まあ、そうじゃなかったら安値の調理器具しか売れないものね。

 

 

「えっと、こっちはこうで……」

 

「うーん、そんなにはいらないわよ」

 

 さすがに作りすぎてあたしたちは食べきれなかった。

 そこで明日の朝食は、この残り物を使うわけだけど石山家と篠原家で分け前を調整する。

 人数は2対4なので両もその比率に合わせればいいと言えるかといえばそうではなく、浩介くんの食べる量が多いことや、母さんがお義母さんよりもやや少食といったことも考慮に入れながら割り振っていく。

 ちなみに、この場にいるのはあたしと母さんの2人で、お義母さんは1階のキッチンで待機している。

 それというのも──

 

「じゃあこの量でいいわね?」

 

「ええ」

 

 あたしは鍵のボタンを押して扉の鍵を明け、その後手で扉を上に持ち上げる。

 そして上に固定したら、数皿のお皿をゆっくりと小さな対物エレベーターに入れていく。

 全て入れ終わったら扉を閉めて「移送」というボタンを押す。

 するとブザー音の後に「するするするっ」というエレベーターのかごが降りる音がした。

 ちなみに、かごが来ている時にしか扉は開けられないため、呼び出すときは「呼出」ボタンを押す必要があるが、もちろん停止時でかつ向こうの扉が鍵も含めて完全に閉まっていなければ呼び出しはできないので、相互の連携が必要不可欠になる。

 場合によっては、キッチンにあるモニタで連絡し合うのも肝要になるわね。

 

「ふう、疲れたわ」

 

「うん、でも精神的な疲れって感じね」

 

 とにかく、新居はハイテクで便利だけど、まだ慣れないのも事実だった。

 あたしは、人用のエレベーターで1階に降りると、自室に直行してベッドに横になった。

 

 この後は、お義母さんが洗濯物を整理してあたしたちの部屋に持ってきてくれる。

 それと同時に浩介くんとお義父さんがお風呂から出たら、あたしが入ることになっている。

 

  コンコン

 

「優子ちゃーん、洗濯物を持ってきたわよー」

 

「はーい」

 

 部屋の扉がノックされ、あたしはお義母さんから洗濯物を受けとる。

 そしてタンスの中にし舞い込んで、今日のあたしの家事は完了した。

 

「ふー」

 

 とにかく、しばらくすれば慣れるわよね?

 

 

「優子ちゃーん、お風呂上がったぞー」

 

「はーい」

 

 実際には浴場にも呼び出しパネルがあるんだけど、浩介くんは直接あたしの部屋に来て呼び出しをしてくれた。

 まあ実際、呼び出される人が熟睡していたらどうにもならないというのも実際の所だものね。

 

「すっげえぞお風呂、気持ちいいぜ」

 

「う、うん……」

 

 あたしは、浩介くんと入れ替わる形でお風呂場の脱衣場へと向かう。

 脱衣場は8畳程度のスペースで、冬に配慮して断熱材が使われていて、少し暑いかもしれない。

 また体重計や体脂肪率などを図る健康器具の他、マッサージチェーンがあり、またトイレも装備されている。

 歯磨きなどが出来る洗面台は、各人の個室にあるけど、ここにも完備されていて、歯ブラシなどが置いてあった。

 

 脱衣場かごは10個で、客人が来たときを前提としている。

 この辺りは、先程のエレベータも同じね。

 

「ふう」

 

 あたしは無意味にも、「浩介くんが使ったかご」を見つけようとしたが、痕跡はなかったので、適当に一番近いかごに脱いだ衣服を入れて、隣のかごに着替えのパジャマを入れた。

 ……おっと、髪の毛をお団子にするのを忘れずにっと。

 

  ガララララ……

 

「うわあ、凄いわ!」

 

 思わず声をあげてしまうくらいの豪華な浴室は、あの時に見たCG以上の様相だった。

 それこそ、小さなお風呂屋さんか小さな旅館にある浴場と言ってしまってもいい内容だった。

 あの時は大きな風呂釜が1つだけだったのに、この20畳もある浴室は、壁一面天井まで光輝く大理石があしらわれていて、お風呂場に入ってすぐの右側シャワーと鏡が4セットもあり、そこの向かい側には寝そべることが出来る広さのある四角いお風呂で、よく見るとユニットバスまでついている。

 更にその奥、つまり左奥側には檜風呂、更に右奥側には五右衛門風呂と打たせ湯があり、檜風呂と五右衛門風呂との間には、一休みできるベンチまで置いてあった。

 

 これを、これを毎日独り占め出来るなんて信じられない贅沢だわ。

 脱衣場のかごは10個あったけど、それも納得できる広さだわ。

 

 あたしは慌てずに、まずは落ち着いて洗面台の方に向かって体を洗うことにした。ちなみにタオルもまた、何種類もある他、やはり4人なので1人に1つ割り当てられているような状況になっていた。

 ボディーソープに石鹸にシャンプーとリンス、更にシャワーの仕様、どれを取っても最高級仕様になっている。

 

 あたしはボディーソープを使って、体をゆっくりと洗うことにした。

 

 シャワーで流し終わったら、今度は髪を洗う。

 シャワーの当たりは心地よく、新品感が高いわね。

 

 リンスも含めて、あたしの髪をきちんと毛先まで洗い終わる。

 あたしにとって、この真っ黒なストレートロングの髪型は、とても大切だと思う。

 この髪の毛の手入れはとても大変だけど、やっぱり今になって、髪を切るという選択肢は存在しなかった。

 

「ふう」

 

 全て洗い終わったら、髪をお団子にしてっと。

 さて、どれから入ろうかしら?

 

「とりあえず、大浴場からかな?」

 

 あたしは、一番手前にあるジェットバスのある大浴場に浸かる。

 

「ふー暖かい」

 

 足を伸ばして浴槽にもたれ掛かりながら、あたしは今日の疲れを癒していく。

 頼めば温泉のお湯も楽しめるらしいけど、色々と手続きが面倒なので、ここのお湯は相変わらず水道から引っ張っている。

 

「毎日の水道代が大変そうだわ」

 

 いくらお金があると言っても、さすがに節水した方がいいかしら?

 うーん……まあいっか。お風呂は大事だもの。

 

 あたしは、ジェットが出ている部分に肩を当てて肩こりをほぐしていく。

 んー! やっぱり疲れた時にお風呂入りながら肩こりを解消できるのって最高だわ。

 背もたれの鉄枕も、中に冷水が流れていて、頭を強く冷やしてくれる。

 

「ふう」

 

  ザブーン

 

 全身に熱が回り、少しのぼせて来たのであたしは一旦お風呂から上がり、立って熱を逃がすとすかさず五右衛門風呂の中に入る。

 そう言えば、この五右衛門って言うのも、秀吉暗殺未遂のために釜茹での刑にされたという石川五右衛門に由来するらしいわね。

 

 風呂釜の容積とあたしの容積の関係で、お湯がざぶーんと抜けていく。

 それにしても、出ていくお湯の量、あたしは結構多いのよね。

 って、この巨大な胸の容積が大きいせいかしら?

 

 五右衛門風呂からは、浴室の入り口と、さっき入った大きな風呂釜が見える。

 

「んっ……」

 

 お風呂に入ってたら肩がこってきたわ。

 そうだわ、打たせ湯があったわね。

 

 あたしは五右衛門風呂の隣にあった打たせ湯の元に移動する。

 打たせ湯からはドドドドドという音と共にかなり太めのお湯が流れている。

 

「よしっ」

 

 入るのには少し勇気がいることで、あたしは小さな椅子に座りながら前屈みになって肩のこっている部分に体の位置をずらしてみる。

 

「んー気持ちいいわー」

 

 肩こりしやすい部分に、天井から落ちてきたお湯が熱と共にあたしの方を規則的に打ってくる。

 肩がほぐれるだけではなく、そこから流れていくお湯が、上半身を軽く暖めてくれる。

 

「はうー、至福だわー」

 

 打たせ湯がとにかく気持ちいい。両肩同時には刺激できず、都度肩を移動する必要があるとはいえ、重いものを常にぶら下げているあたしとしては、この肩へのマッサージはとてもありがたいものだった。

 

「ふー」

 

 とにかく気持ちいいわ。

 肩をほぐしたらさて、檜風呂に入ってみようかしら?

 

 常にこの辺からも匂いが漂ってくる檜風呂は、当然その成分も染み込んでいる。

 檜の香りが、森の中のお風呂のような気分にさせてくれる。

 もちろん時間と共にそれは失われていくから、何年かに一回は新しいものに交換する必要があるらしいけど。

 それでも、新品の檜風呂はとてもよかった。

 今日は使ってなかったけど、実際には脱衣場の下には入浴剤がバッチリと詰められている。

 

 機会があれば、そういうものを詰めるというのも、ありかもしれないわね。

 

「ふう」

 

 あたしはお風呂から出て、体を拭き、パジャマに着替える。

 髪を下ろして脱衣場にあるマッサージチェアに腰を掛ける。

 お風呂やさんの場合有料のことも多いけど、もちろん我が家では無料でマッサージし放題。

 ボタンを押し、あたしは肩こりをもう一度ほぐしていく。

 

「肩さんお疲れ様……」

 

 散々に悩んでいる肩こりでも、10年も重いのをずっと吊るしていると思えば、愛着もわいてくる。

 それどころか、これからもずっと、肩には負担をかけ続けることになると思えば、きちんと毎日のマッサージで、ほぐしてあげないといけないわね。

 

「はうー」

 

 あれ? 何だか眠くなってきちゃったわ。

 

「んー」

 

 あたしの意識が薄れていく……おやすみなさい……

 

 

「……ちゃん……こちゃん」

 

 あれ? 誰かが呼んでるわ。

 

「優子ちゃーん! 起きてー!」

 

 あうう、起きたくないわ。

 

「ふーね、寝てるみたいだし、ちょっとくらいいいよな?」

 

 もみもみっ……

 

「んにゅ」

 

 あれ? 変な感じ、おかしいわね……むにゅう……

 

「お、珍しく起きないぞ、よしこっちも」

 

 さらーり

 

「んっ……」

 

 あれ? 何だか、さっきの肩とは別の意味で気持ちいいわ。

 

「んー……」

 

 あたしが目を開けると、浩介くんが密着していて……

 

「あ、優子ちゃんおはよう」

 

「あっ、あっ……」

 

 浩介くんに、全身を思いっきりまさぐられていて……

 

「きゃああああああああ!!!」

 

 思わず悲鳴をあげると、浩介くんがのけ反った。

 もー、恥ずかしいわ、色々な意味で!

 

「あははごめんごめん。でも優子ちゃんが無防備に寝てたらそりゃあちょっといたずらしたくなっちゃうだろ?」

 

「もー、男心に訴えるの反則ー!」

 

 よく、「TS病患者のカップルは長続きしやすい」と言われているのも、男時代の性欲の高さや、そうした気持ちへの理解があるからで、逆に言えば男側もそれを利用することは往々にしてある。

 でもあんまり使われ過ぎちゃうと、女の子としての気持ちにも関わるので、時折注意しないといけない。

 

「悪い悪い。でさ、パジャマな所悪いんだけど、さっき着てた服に着替えてくれる? 一緒に着て欲しいんだ」

 

「え? う、うん……」

 

 浩介くんがそう言うと、部屋を出る。

 あたしは浩介くんのよそよそしい態度に違和感を覚えつつも、もう一度下着姿になってさっきの服に着替え直した。

 一体浩介くん、あたしをどうするつもりかしら?


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