永遠の美少女になって永遠の闘病生活に入った件   作:名無し野ハゲ豚

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林間学校二日目 下山と休息

 下山時、私が転ぶことを懸念して、2組の、それも私が先頭になった。これで、私は一番山頂の滞在時間が少ないということになった。

 さすがに下り坂ということ、1000m級なのでおんぶはなしだ。

 下山は2時間の予定、休憩も一回だけだ。

 

 永原先生が私と並んで歩いて付きそう。桂子ちゃんと恵美ちゃんが真ん中で私の代理を、そして篠原くんが最後尾だ。

 

「永原先生は、山に登ることってどれくらい?」

 

「あまりないわねえ。日本が戦乱で明け暮れていた時代の頃、少しは登ったんだけど……」

 

「またどうして?」

 

「山賊が居る危険性もあったと同時に、隠れるにも良かったのよ」

 

「ふむ……」

 

「まあ、それでも出来れば登りたくない場所だったわね。山賊の情報を掴んでから登ることもあったわよ」

 

「記憶に残る登山って?」

 

「見物人たちと一緒に関が原の見物に登った山かなあ……」

 

「そんなに関ヶ原は印象に残ってる?」

 

「うん、私が経験した合戦とは比べ物にならないくらい大規模で迫力があったもの」

 

「他にどんな合戦を見てきたんです?」

 

「うーん本能寺の少し後に信濃で見た合戦があったくらいかなあ。小田原攻めは見てないわね」

 

「ふむふむ」

 

 永原先生の昔話に付き合う。そして山の風景、下山時に見る登山の時とは違う風景、一番傾斜がきつい九十九折の部分は特に足元に気をつけた。

 膝がちょっとだけ痛い。でも何とかなった。

 

「私、下山列の一番先頭に並んでいて改めて感じたことがあるのよ」

 

 永原先生が声をかける。

 

「え? それって一体……」

 

「山の魅力かしらね……そうそう、山で思い出したけど……今更だとは思うけど、私達は決して女人禁制の場所に入っちゃダメよ」

 

「それはそうですけど……今もあるんですか?」

 

「ええ、神仏の聖地に幾つか残っているわ。最も、私は解禁になった山にも行かないけどね。高野山とか登るつもりもないわね」

 

「ふむふむ。最近でも逆に男子禁制の場所も増えましたよね」

 

「優子ちゃんも入ったことあるでしょ?」

 

「う、うん……プリクラとか」

 

 そう言えばまだ女性専用車両には入ったことがない。

 

「女人禁制についてはあまり大きな問題にはならないわ。私達が入らなきゃいいだけだもの。男子禁制の場合は……もちろん入っていいんだけど、最近厄介なことになったことが1回あったわね」

 

「どんなんですか?」

 

「レディースデーを利用とした時のことよ、そこのレストランのバイトの子にたまたま顔見知りがいて……」

 

「なるほど……それで割引を巡ってトラブルになったのね……」

 

「ええ」

 

「最近だと男性だけって空間は殆どなくなった反面、女性だけの空間は多くなったわ。そのせいでのトラブルも今後は予想されるわね」

 

「う、うん……」

 

「石山さんは、本当に理解者に恵まれているわよ。よく外見で差別するなって言うでしょ? 世界の歴史的には肌の色での差別っていうのもあったわ。だけどTS病患者にとっては全く逆なのよ」

 

「外見だけの第一印象で見たほうが、間違いが少ないってこと?」

 

「そう言うことね……色々な差別解消運動はあったけど、私達はそのせいで生き辛い世の中になっているのよ」

 

 何とも、皮肉な話ね。

 

「あ、石山さん、そこの木に注意して!」

 

「あ、はい!」

 

 危ない危ない。危うく引っ掛ける所だった。むしろ下山のほうが怪我しやすい。私はほぼ篠原くんにおんぶしてもらっていたし、何より下り坂だから、さすがに体力の消耗も少ないけど……

 

「さあ、ここで一旦休憩よ」

 

 永原先生が声をかける。そして、最初の休憩所に到着。

 ここで最後の休憩を取り、いよいよ山の麓に戻ってくる。部屋で休息したら、もう夕食になる。

 

 山を降りるにつれ、傾斜がだいぶ緩くなった。そしてちょうど私が出遅れた所に戻る。

 そして、そこから最初の三叉路まで、驚くほど短時間で来てしまった。

 

「ふう……」

 

 まず私がホテル前に来る。登山時とは違い、先頭だ。

 そして「後ろが詰まっているわよ」と永原先生に促され前に進む。後続の生徒たちが次々と入る。

 

「はーい、みんなお疲れ様!」

 

 なんかちょっとだけ胸に視線を感じる……っていつものことか。

 ともあれ、永原先生が各自部屋に戻り十分に休息を取り、食事に来るように言った。

 

 部屋が同じ桂子ちゃんと虎姫ちゃんを探す。

 でもその前に篠原くんを見つけた。そうだ、改めてお礼を言わないと。

 

「あ、篠原くん」

 

「あ! い、石山……」

 

 私が少し顔をそらしながら声をかける。

 

「今日はね、本当に、本当にありがとう」

 

「う、うん」

 

「あたし、篠原くんのおかげで、山の頂上まで登れたもの……本当にありがとう」

 

「ん……」

 

 篠原くんが顔をそらす。

 

「篠原くん、私のこと……仲間はずれにしたくなかったんでしょ?」

 

「あ、ああ」

 

「うん、やっぱり、あなたに認めてもらえるのが嬉しいな」

 

「え……あ、あのどういう?」

 

「ふふっ、だってあたしを一番いじめてた篠原くんでしょ?」

 

「い、いや高月が……」

 

「まあ高月くんでもいいわ……でもね、どっちにしても、篠原くんは……あたしを守ってくれたんだよ」

 

「え……」

 

「あたし、女の子だもん。弱い女の子を守ってくれる男の子って……とっても……いい人……だと思うよ」

 

 この台詞、ちょっと私も恥ずかしい。

 

「で、でもさ……」

 

「篠原くん、多分思い出したくないけど、私を殴るのを思いとどまってくれた時にさ、恵美ちゃんから『女を守るために力を振るいなよ』って言われてたでしょ?」

 

「あ!」

 

 篠原くんもやっと気付いた。知らず知らずのうちに、また一つ、篠原くんは男らしくなったんだ。

 

「ふふっ、恵美ちゃんの願い、叶えたね。じゃああたし、桂子ちゃんと虎姫ちゃんを探すから。また食事の後、会いましょう」

 

 私はそう言って再び虎姫ちゃんと桂子ちゃんを探し始める。

 我がクラスは32人、それもある程度固まっているので、見つけるのは意外と早かった。

 

「優子ちゃん、良かったね無事に帰ってこれて」

 

「うん、ありがとう」

 

「ところで優子ー、篠原浩介と何話してたの?」

 

「もちろん今日のお礼よ」

 

「ああそっか。そうだよね。でもさー、篠原すごいよねえ」

 

「うん、女の子とは言えおんぶしながら登山するなんて」

 

「そうそう、あたしもさ。篠原くんが息一つ乱してなくて……男の人ってなんて強いんだろうって思ったよ……それと同時に、自分がちょっと前までそんな存在だったなんて……」

 

「でもさ、あれは男の中でも相当鍛えてるよ。私は無理だけどさ……恵美ちゃんなら、優子ちゃんをおんぶしながらでも登れたと思うなあ……」

 

「どうだろう? そのあたりは、本人に直接聞いてみないと……」

 

 

「石山さん達ー、そろそろ部屋に戻ったらー?」

 

 永原先生が声をかけてきた。よく見ると周囲はほぼホテルに戻っていた。

 

「あ、はーい先生。今!」

 

 虎姫ちゃんが応答し、私と桂子ちゃんもホテルに入る。

 エレベーターで7階に上がり、自室に戻ってきた。

 

 

「ふー疲れたー」

 

「今日も疲れたねー」

 

「起きるの早かったからなおのことだよー」

 

「ご飯は遅めにしようか」

 

「うん、賛成」

 

 あたしはまず、ベッドに横になる。

 

「優子ちゃーん、寝るなよー」

 

「分かってるってー」

 

 ここのテレビ、何故かCSの一部まで映る。

 虎姫ちゃんと桂子ちゃんがお目当てのチャンネルもなく、「チャンネル争い」ならぬ「チャンネル探し」を行っている。

 

「ねえ、時代劇見る?」

 

 虎姫ちゃんが提案する。

 

「うーん、あんまり興味ないなー」

 

 桂子ちゃんが答える。

 

「でもさ、これとか面白そうじゃね?」

 

 制作が昭和と書いてある、古い時代劇映画らしい。

 

「確かに興味は湧いてきたけど……こっちは?」

 

 桂子ちゃんが代案を出す。ドキュメンタリーらしい。

 

「え? これ航空事故のじゃん。そんなの見てどうするの?」

 

「なんか色々と勉強になるらしいよ」

 

「へー、ちょっと見てみよう」

 

 お、どうやらチャンネルが決まったらしい。後ろで傍観していた私も2人の横に移動し、3人でそれを見る。

 オープニングの後、これはフィクションじゃないというテロップが出る。

 

「「「なっ!!!」」」

 

 高度5000メートルでパイロットが機外に放り出されている。

 

「いやいや、死ぬよねこれ」

 

「だって飛行機でしょ?」

 

「でも、生存者居るぞ」

 

「1990年かあ……30年近く前だね……」

 

 もちろん生まれていない。場所はイギリスらしい。イギリス人たちの英語が聞き取りやすい。

 

「それにしても、飛行機って飛ぶ前にも色々チェックするんだねえ……」

 

「そうだねえ優子ちゃん。パイロットって大変よね……」

 

「でも乗客は無事なのかな?」

 

 飛行機は墜落するとほぼ全員死亡らしいし、生存者の証言があるってことは無事ではあったはず。

 お、離陸が始まった。

 イギリスからスペインまで2時間なのか。

 

「自動操縦ってあるんだ」

 

「シートベルトも外すんだねー」

 

 

「あっ!」

 

 高度5000メートルで大きな爆発とともに、機長側の風防ガラスが外れ、急降下したという。

 

「ぷっ……」

 

「ちょ、ちょっと虎姫ちゃん! 不謹慎よ!」

 

「で、でも、これ笑えるよ……」

 

「桂子ちゃんまで!」

 

 機長はコックピットの屋根に釘付け……笑い事じゃないんだけど、機長のCGが紙みたいにペラペラで絵的には確かに変だ。

 

 あ、なるほど、足が操縦桿に引っかかって放り投げられなかったのか。

 そして客室乗務員が、機長の足に気付いてしがみついたのか。

 

「高度5000メートルでマイナス17度で時速600キロって……」

 

「死ぬよね……絶対」

 

 どう考えても、既に機長は死んでいるというのが、この時点での私達の見解だ。

 お、機長の足をどかしたのか。でも酸素の関係で急降下継続か。

 

「いい判断ね」

 

「確かに高度低いほうがいいよね。副操縦士にとっても」

 

 機長の身体が屋根から側面に移動していた。

 

「うわあ……トラウマだねえ」

 

「うん、確かに死んでるって思うよね……」

 

「でも離さないのは、生きてる可能性に賭けたのかな?」

 

 あ、機体へのダメージを避けるっていう意味もあったのか。でもそうだよな。

 

 ようやく航空管制官と連絡が取れた。英語で「いいえ」って「NO」だけじゃなくて「Negative」とも言うんだな。

 乗務員たちも死亡していると思いつつも、救急隊に連絡する。にしてもイギリスのサイレンはどうも気が抜けるな。

 

 飛行機がいよいよ着陸に入る。

 やはり難しい着陸だが、やらない訳にはいかない。副操縦士は着陸に成功したみたいだ。

 

「まだ半分くらいだね」

 

 時計を見て虎姫ちゃんがつぶやく。

 血まみれの機長が救急車に運ばれている。

 

「機長が居ないのにすごいよねえ……」

 

 機長の物語に続き?

 

「ちょ、えええええええええええええええええええええ!!!!!!!???????」

 

 私がまず驚きの声を上げる。

 

「生きてたの!? あれで!?」

 

 桂子ちゃんも驚く。

 

「おいおいマジかよ!? 何で!? 何であれで死なないんだ!?」

 

 虎姫ちゃんが続く。

 

 外に居た時も意識があった。恐ろしいことだ。しかも、横に移動したのも自分の意志だというのだから驚きだ。

 

 本当に機長を離さなくてよかったよなあ……

 

「諦めない心ってすごいよねえ……」

 

「うん、そうだよね虎姫ちゃん。しかもこの人、また復帰してるんだから、あたしだったら怖くてもう二度と飛行機乗れないよ」

 

「私も優子ちゃんに同じー」

 

 飛行機というと、どちらかと言えば男の子の趣味に入る。

 それを3人の女子高生がガールズトークをしつつ見続ける。

 

 空軍による急減圧の訓練を挟みつつ、捜査官による捜査パートが始まった。

 捜査は難航していたようだ。血が生々しいけどなぜだろうあまりぎょっとしない。

 

「赤い血が露骨だけどぎょっとしないなあ……」

 

「あはは、優子ちゃん。あの日も血を吐いたでしょ?」

 

「そうじゃなくて、何ていうのか……血に慣れたっていうの?」

 

「あー、優子も大分女の子になって来ましたねー」

 

「女の子は血に強いのよ」

 

「って、窓とボルトが発見されたのか!」

 

「すごい捜査ねえ……」

 

「ボルトミスかあ……」

 

 ボルトの直径が間違っていてああなったのか……

 

「問題13箇所……」

 

「多いわねえ……」

 

 完全に素人だけど、飛行機は1箇所でも問題があったらまずい事はわかる。それが13箇所だなんて……

 しかもそれを4年間……

 

「あちゃあ、これはいけないねえ……」

 

「目視って……」

 

 心理学者を呼び、さらなる原因究明を行う。

 へえ、結構正直に話すんだな。

 

 最後は乗務員たちが英雄として表彰されるところだ。

 機長はその後別の航空会社に勤務しているのか。本当にすごい精神力だ。

 

 スタッフロールが流れるけど、あまりに速すぎて読ませる気がないのだろうか?

 

 ともあれ、CMも挟んで1時間の時間を潰せた。

 

 

「あ、ちょっと出かけてくるね。すぐ戻るから」

 

 桂子ちゃんがそう言う。一体どうしたのかは分からないけどとりあえず見送る。

 何処に行ってたのかは気にしないとして、桂子ちゃんが戻ってくると、食事の第一陣が来る頃になっていた。

 

「優子ちゃん、第一陣が終わった頃合いを見て行こうか?」

 

「うん、30分位待とうか」

 

 私達はニュース番組を見ながら、30分の時間を潰す。

 今回は3人がそれぞれ食事券を持って2階へ行くと、ちょうど空き始めた頃だ。

 最も、ウェイター・ウェイトレスさんたちは忙しなくバイキングを補充している。メニューは昨日と微妙に違っているが、それでも大筋では変わっていない。

 

 私たちは昨日と同様、雑談をしながらバイキングを楽しみ、そして今回は私だけこの場に残った。

 篠原くんと共に、3回目の食事券作業。他のクラスの一人の男子生徒が食べ忘れていたので、その旨を報告した後、お風呂の後に軽食屋で食べるように注意されていた。

 

 

 二日目のお風呂は地下1階の大浴場。露天風呂が無い分、中の風呂は広いとのこと。

 

 昨日と違い一番風呂なので、時間制限には特に注意するように促し、クラスメイトもみんな返事をする。

 脱衣所に行き、今度は端の方を陣取る。ズボンとパンツ、また登山でのシャツを脱ぎバスタオルで隠してから小タオルを持つ。

 前回は胸の大きさのところからバスタオルの横に「隙間」ができていたので特にそこには気をつける。

うまく巻きつけるのは四苦八苦したが、ともあれ何とかうまく行った。

 

 昨日よりも少しだけ視線を気にしながら、右端にあるシャワーとカランで身体を洗い、一段落したら風呂を見る。

 まず温度別の浴槽が目に入る。43度から37度まで2度刻みで4つの温泉が中央に。

 左側には何やら勢い良くお湯が吹き出ている風呂がある。マッサージかな?

 

 左端の方には釜のような形の風呂が2つあって、人が一人入れればいい方のものだ。

 正面奥は「天然檜風呂温泉」とあり、右端にはサウナと水風呂がある。そこも稼働はしているが誰も入っていない。

 まずは37度の風呂に入る。ちょっとぬるい。

 39度、これも何か出たら寒そうだ。

 41度、お、ちょうどよくて気持ちいい。でも時間もあるし、43度は……

 

「あちっ!」

 

 足を恐る恐るつけたけどとても熱い。これは無理だ。

 

「おう、優子、熱いから気をつけろよ!」

 

「平気な顔で入っている恵美ちゃんがすごいよ……」

 

「ま、あたいは熱いの好きだし」

 

「そ、そうなんだ……あ、あたし、檜風呂の方に入ってくる」

 

 左端の釜の中には既に桂子ちゃんと龍香ちゃんが占領している。

 檜の方に入る。41度の風呂と同じくらいで気持ちいい。

 

「優子さん、胸が浮いてますよ!」

 

 釜の方から龍香ちゃんの声がする。みんなが私に視線を移す。

 

「ちょ、ちょっと龍香ちゃん!」

 

「あ、ごめんごめん。でも本当にすごく大きくて羨ましいなあ……」

 

 女子たちが願望の眼差しを向ける。

 

 今まで、自分の胸が風呂の中でどういう事になっているかということに、あまり意識が向いていなかった。

 女の子になってとにかく冷えやすくて、裸になったらすぐに温まりたいという気持ちで押しつぶされていたからだ。

 「おっぱいが浮くのは都市伝説」、何ていうのを男の頃に聞いたことがある。でも、嘘じゃなかったみたい。

 

 さて、桂子ちゃんが釜風呂を出たが、恵美ちゃんが入れ替わりで入った。

 まあ、釜風呂の方は入れ代わり立ち代わりだし、いざとなれば時間帯をずらして入ればいいだろう。

 

 それよりも、左側にジェット気流のような感じの風呂に入りたい。

 こちらは誰も入ってないので、遠慮なく独り占めをする。

 

「……ったたた」

 

 結構刺激が強い。前からは危なそうなので、後ろから……

 

「んっんっ……!」

 

 そうか、これはマッサージのためか。

 よし、そうと決まれば早速肩を……

 

「うああああーーー気持ちいいーーー!」

 

「!!!???」

 

「ど、どうしたの優子ちゃん!?」

 

「あっ!」

 

 しまった! あまりの気持ちよさに大きな声を上げてしまった。

 

「ほほう、優子さん、肩こりの治療ですかな?」

 

「う、うん……龍香ちゃん」

 

「優子ちゃん、まだこるの?」

 

「うん、女の子になったばかりの時以外は……もうずっと肩こってるわね」

 

「やっぱ大きいのもあれだよなあ……肩こっちゃったらスポーツも不利だしよー」

 

「でもやっぱり、女に生まれたからには……一度でいいから大きいのを身に着けたい!」

 

「虎姫ちゃん……結構大変だよ?」

 

「それでもですよ! 私も、ちょっとだけくださいよ!」

 

「……確かに小さいよりはいいけど……でもあげられないって!」

 

「なんでー!?」

 

「いやその、移植は無理でしょ?」

 

「あ、うん……そうだよね……優子の言う通りだよね」

 

 虎姫ちゃんがちょっと沈んじゃった。でも、あたしはなんて答えたらいいかわからない。

 

「まあ、気にすんなよ虎姫。優子だって、好きでこんな大きく生まれ変わったわけじゃねえんだしよ」

 

「……う、うん」

 

 肩マッサージを終え、再び41度のコーナーに入る。

 43度は誰も入っていない。何人かが挑戦するが良くて数秒が限度だ。

 逆に39度、37度もそれなりに人気があった。

 

 入浴の時間はあっという間に過ぎ、私達は身体を拭き、昨日と同じようにパジャマに着替え、それぞれの自室に戻っていった。

 

 

「あー疲れたー」

 

「桂子ちゃん、あたしもう眠いよ……」

 

「うん、私も優子に同じ……」

 

「じゃあ今日も寝ちゃおっか」

 

「「賛成~」」

 

 私たちは昨日に引き続き、9時前の就寝を決定した。

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