永遠の美少女になって永遠の闘病生活に入った件 作:名無し野ハゲ豚
ピピピピッピピピピッ……
「んー!」
目覚まし時計を押し、意識を回復する。うさぎさんの可愛らしいぬいぐるみが目に入る。ピンク色の布団から起き上がり、ハート型のクッションの上に立つ。
今日は待ちに待った土曜日。
いつものように、箪笥の中から今日の服を決める。
新しい部屋になって、より一層毎日オシャレには気を使っているけど、今日は特に意識したい。
今日は篠原くんも来る。林間学校の時から会ってなかったけど、さすがにこのまま会わないと両想いも自然消滅しかねないということで、永原先生に機会を設けてもらえた。
夏休みって意外と長いしなあ……
さて、この日は篠原くんに身体を見られる日。水着姿もさることながら、私服も林間学校の時以上に気を使わないといけない。
うーんどうすれば可愛く見えるだろう?
……そうだ、お人形さん遊びしよう。
あたしは、新しい部屋になってから、お人形さん遊びが日課になりつつある。
パジャマ姿のお人形さんを脱がせ、新しい服を着せてあげる。今日は赤い服を着せてあげた。
「可愛いわねえ……」
あたしもお人形さんに負けないくらい可愛い。お人形さんが老けないように、あたしも劣化を知らない人生を歩む。
そう思うと、あたしはお人形さんに、子供以上に自己投影している。
ふと、赤い服とちょうど膝上丈の赤い巻きスカートが目に入る。
さっきは赤い服を着せたから、あたしもこれかな?
幼さの残る、少女を強調したデザインは、あたしの中でも最もお気に入りの服の一つ。
もう一つの候補は、制服並みかそれ以上のミニスカート、水色のワンピース。
スカートの先が白になっている所がさりげないおしゃれだ。こちらにも幼さはあるが、赤い服よりもよりエロさを際立てる服。
どっちにしよう?
そういえば、今持っている水着のパレオも水色だったことを思い出す。よし、こっちの水色のミニスカートにしよう。
そして下着、本来は見せるものじゃないけど、もし見られてもいいように……もちろんすっごく恥ずかしいけど……でもこっちにも気合いを入れよう。
手に取ったのは水色と白の縞パン。水色のスカートにも似合うだろう。
もし、篠原くんに襲われたら……って、何考えてるのよ優子。
でも、好きな男の子だもの。そう考えても変じゃないのかな?
まあ、考えても仕方ない。とりあえず着替えよう。
そして頭につける白いリボンはいつもと違い、波に流されないようにかなりしっかり固定するタイプにする。
今回は水泳の授業とは違い、思いっきりオシャレする日だ。
「おはよー」
「おはよう優子、その服で出かけるの?」
「うん、可愛いでしょー」
「そうねえ、可愛いわよねえ……」
母さんがニヤける。
「か、母さんどうしたの?」
「いやねえ、その服、今までも何度か着てたけど優子の中でも特に似合ってると思うのよ」
「そ、そうかな? 赤い服とかお気に入りは他にもあるわよ」
「うん、それらも可愛いんだけど、母さんの個人的なお気に入りよ」
「そうなの? 何で?」
「だって、優子ったらこれで最終日の課題でおしおきされるときにスカートたくし上げて……恥ずかしがってる優子がもう可愛くってねえー」
「あうっ……もう母さん!」
「あら、ごめんなさい。でも何もしなくても可愛いのは本当よ」
「う、うん……」
た、確かにあの時来てた服だけど……あうう、思い出しただけで恥ずかしいよお……
何だろう、おしおきされるってシチュエーションが余計に恥ずかしい気がする。
そのせいで、だらしなくしてパンツ見られたことまで思い出しちゃったし。
「さ、朝ごはんにしますわよ」
「……うん」
今日の親睦会の参加者はクラス全体では半分以下、現地までの交通費や昼食代などは自己負担なのが響いた。
女子からはあたしの他、桂子ちゃん、恵美ちゃん、虎姫ちゃん、さくらちゃんが参加することになっている。本当は龍香ちゃんも参加させたかったけど「彼氏がいる身だし、何より優子さんや桂子さんの水着姿を彼氏に見せたら、惑わすことになってしまいます」と言う理由で丁重にお断りされた。
ただし、二日目の夏祭りには参加してくれるそうだ。その辺は彼氏さんのほうが信頼しているということか。
一方で男子の方は高月くんと篠原くんと他2名で計4人の予定。
そこに引率役の永原先生を合わせて10人の小団体といった所。
朝食を食べ終わって、歯を磨いて、それでも予定の時間まで少しある。
「ふう……」
昨日まとめた荷物を再確認する。日焼け止めや水分、そして浮き輪なども持った。
これで準備は万端だ。
部屋でテレビのニュースを見てゆっくり過ごす。最近は平穏なニュースばかりなのか、昔の小さな事件を繰り返し報じている。
左上の時刻を見る。
出発予定時刻2分前になったのを見て、テレビを消してバッグを持つ。
「いってきまーす!」
「はーい優子、気をつけてねー!」
母さんの声を尻目に、扉を開け、財布から鍵を取り出し閉める。
痴漢事件の慰謝料から、財布の中はかなり潤っているのだが、もちろん大半は自宅の別の財布にしまって置いて、持っていくのは1万円程度で済ませておく。
「あ、そういえばICカードチャージしてたかなあ……」
少し遠目の海岸に行くので、ICカードの残りが心配だ。
券売機に入れて残額確認、うーん1000円チャージすれば大丈夫そうだ。
10000円札を崩すついでにチャージも1000円を選ぶ。
これで5000円札と1000円札4枚が出てくるのでまずこちらを財布に入れ、ICカードを抜き取る。
ピッと言う音で改札をくぐり抜け、いつもの学園と同じ方面のホームに進む。
ホームではいつものように男性の視線を感じる。
制服を着ていても、今のように可愛らしく私服を着ていても、あたしは何処へ言っても男性たちの注目の的だ。今は居ないけど、もう顔を覚えてしまった人もいる。
……あたし、まるでアイドルみたい。
でも、あたしにはもう好きな人がいるんだって思うと、視線を投げかけている男性たちがちょっとだけ可愛そうに思えてくる。
いつものように「まもなく、電車が参ります」と言う声とともに、電車が入ってくる。
今回は通学する範囲を超えて、終点まで行き、更に2回乗り換えて海岸にたどり着く予定だ。
車内は空いていたので、座席に座る。
後ろに手をやってスカートを揃えて両足を閉じて膝の上に荷物を置く。
これでガードはバッチリだ。
目の前を見ると、座っていたのは女性、でも、その隣の男性があたしの膝をチラチラと見ている。
何だろう、今は少しだけ、男たちの視線に酔いしれている気がする。篠原くんを好きになる前からそんな傾向はあったけど、好きな人が出来てより気持ちに余裕ができたのかもしれない。
この男の視線は、あたしがTS病になってから、常につきまとってきたこと。
はじめは困惑と、次いで嫌悪感があった。
嫌悪感の中身は、あたしのことをジロジロと見てくる男性たちの気持ちがわかってしまうことへの自己嫌悪が大半だった。
やがて、視線はいつものことと、半ば諦観を持って不感症となってしまったきらいもあった。
でも今は、あたしがかわいい女の子として自信を深めるきっかけになっていることに気付かされた。
部屋を新しくして、4つのかわいいぬいぐるみに囲まれ、お人形さんで遊ぶ。少女らしい部屋になったことで、ちょっとだけ心境が変化しているのかもしれない。
だとしたら、とっても嬉しいこと。あたしの長年の課題が、こうした「新しい部屋」というきっかけで変わるということだったから。
自分の部屋は確かに、日々の生活を送る場所でもあるのだから、部屋のイメージチェンジは、どうやら成功したと見ていいだろう。
電車はやがて学校の最寄り駅に着く。僅かに制服を着た少年少女が降りるのが見える。
こんな時期まで部活、本当にご苦労様だ。
あたしたち天文部は週1回、それも午後からの参加となっている。本当は午前中あたりから参加の予定だったのだが、あたしがミニチュアの制作に加わったことで、予定が大幅に前倒しされているためというのが坂田部長の話だ。
学校の最寄り駅を過ぎ、次の駅へ。
一応あたしの人生でも終点まで行ったことは小さい時は何度もあるはずだが、最近は滅多にはなく、高校に入ってからは一度もなかった。いつもは見ない新鮮な車窓が目に入る。
普段の日常からたった一駅過ぎるだけで訪れる非日常。鉄道とは本当に不思議なものだ。
終点になるに連れて減っていく乗客たち、でも終点間際になると乗り換え駅なのか僅かに増える。
終点の駅の改札口を通る。ここはあまり来たことがない。記憶は薄らいでいて、案内を頼りに進む。
乗り換え路線、さっきとは会社が違うのでもう一度ICをタッチしないといけない。
階段は人もまばらで、覗かれると思ったので、エスカレーターの方を使い、更にバッグを後ろに持つ。
ここら辺のガードは必須だ。特に今は縞パンだし下手したら襲われちゃうかもしれない。
この前の林間学校のこともあったし、ナンパされることは常に想定しておく必要があるだろう。
乗り換え路線に乗る。これに乗ったのは今までの人生でも片手で数えるほどしかない。
アナウンスとともに入って来る電車の色が違う。こちらも海岸の方面に行くわけだが、さっきより少しだけ乗客が多い気がする。
後明らかに浮き輪とかを持っている客も居て、あたしたちと同じ目的地だということが分かる。
「ふう……」
車内の空いている座席に座り一呼吸。
殆ど見たことのない光景、乗客たちの会話は沿線と同じ他愛もない話なのに、どこか違う世界の会話にも聞こえる。同じ日本語なのに。
電車はやがてひとつの路線との乗り換え駅に付く。更に観光客が乗ってくる。よく見ると外国人の観光客も多い。
更に乗車し、終点の2つ手前、ここでもう一度同じ路線の違う列車に乗り換える。今のダイヤだと、ちょうど次の列車に乗らないといけなかったのだ。
車内の乗客は観光客だらけになり、ますます非日常感が高まる。
程なくして、目的地の最寄り駅に着く。少し余裕のある予定を組んだが、ともあれ駅前の集合場所に目をやる。
「あ、永原先生!」
「あ、石山さんこんにちは」
私服姿の永原先生が見える。白いワンピースにいつもはしない頭の青いリボンが目に入る。
「永原先生そのリボン……」
「あ? これ? ちょっと私もこんな日くらいオシャレしようと思って」
「そうなの?」
「まあ、普段は先生らしくレディーススーツだったからねえ……」
ふむふむ……
「あ、優子さん……こんにちは……」
「さくらちゃんこんにちは」
さくらちゃんはお泊り会の時のように、落ち着いたロングスカートが印象的だ。
今のところ、来ているのはこの3人だけ。
次の電車が入る。まだ集合時間に余裕のある電車。
「あ、先生こんにちは」
「あら、高月君、篠原君こんにちは」
まず来たのは二人の男子。
「篠原くん、こんにちは」
「ここっ、こんにちは石山……」
あたしも挨拶する。まだ面と向かって「優子ちゃん」とは呼んでくれない。
あたしもまだ、顔をはっきり直視できない。どうしても守られた林間学校のことを思い出してしまう。
それでも篠原くんの隣に立つようにする。
林間学校のときよりも短いスカート。水色の可愛らしいワンピース。篠原くんに見られている。そしてこれから可愛くエロい水着を篠原くんに見せる。
そう思うだけでほんのりと顔が温まっていく。
40秒位して、その電車の乗客降り終わった頃、桂子ちゃんが現れた。
「こんにちはー優子ちゃん。あれ? ちょっと顔が赤……ってううん、なんでもない」
「こ、こんにちは桂子ちゃん」
顔が赤いと言いたかったんだろうけど、篠原くんの隣に立っているのを見て理解した顔をする。
やっぱり篠原くんが想いの相手だっていうのは簡単に推測されてしまった。まあそりゃあそうだろう。あのタイミングで恋に落ちる相手といえば、あたしを守ってくれた篠原くん意外考えにくい。
数分後、次の電車が来る。集合時間ギリギリのタイミングの電車から、恵美ちゃん、虎姫ちゃん、残りの男子二人が来て、これで全員集合だ。
恵美ちゃんは、お泊り会の時のように、スカートを穿いていた。それも制服より少しだけ長い程度のミニだ。
虎姫ちゃんも、林間学校では見せなかったタイトスカート姿。女子は永原先生以外全員が膝上のミニではあるが、それぞれに意匠が違って面白い。
「じゃあ、混んじゃわないうちに行きましょうか」
「「「はーい!」」」
男女が10人で歩く。高月くんが篠原くんと離れ、あたし以外の女子と男子が話す。
永原先生は黙って先導しているので、必然的にあたしと篠原くんが取り残される。
「ねえ篠原くん……」
「な、何?」
「ああ、あたしっ……きょ、今日のために頑張ってきたのよ」
なんか支離滅裂な言い方だ。
「そ、そうなんだ……」
「きょ、今日はいっぱい遊ぼうね。友達だもの」
「う、うん……」
永原先生がまず入場料を払い、海水浴場へと行く。ここは自己負担だけど、あまり重くない。
……って、無駄遣いしたら大金もすぐなくなる。気をつけないと。
「はーいみんな集まってるね。じゃあ聞いてね、今から着替えるから、着替え終わったら全員で海の家に集合してね。そしたら遊ぶわよ」
永原先生の号令とともに、まず男子が男子更衣室へ入る。
「それじゃあ、女子のみんなも行くわよ」
「「「はいっ!」」」
みんなで女子更衣室の中に入る。中では知らない女性たちが水着に着替えている。
服を脱いだら水着になった女性の後ろ姿に一瞬ドキッとしてしまう。脱いで水着に着替えている女性たちに目を奪われる。
あたしは、「ダメダメ、あたしはレズビアンじゃないんだから。好きになったのは男の人でしょ優子」と自分に言い聞かせながら冷静になる。
各自がばらばらになって空いたロッカーを探す。
鍵がついているロッカー、まず財布から百円玉を出す。これは100円が戻ってくる親切設計だ。
財布、携帯電話の貴重品をまず預ける。
そして、水着への着替え、まずパンツを脱ぎ、下の水着をつける。
次に上、前かがみになって後ろに手を回してブラジャーをパチンと外す。そう言えば制服以外での私服、それもワンピースでの水着への着替えは初めてだ。
水着のブラジャーを取り出し、そちらに付け替える。ワンピースの中でゴソゴソとやりつつ、ちゃんと水着が固定されたことを入念に確認してから、思いっきりスカートの袖を掴んでめくりあげ、裏返しの形で脱ぐ。まずワンピースを元の状態に戻してから、最後に水色のパレオを穿いてこれで完成!
ロッカー付きの鏡を見る。うん、とっても可愛く決まった。
100円を入れて鍵を閉め、荷物だけ持って行く。
女子更衣室全体をチラッと見る。恵美ちゃんと虎姫ちゃんが雑談しながら着替えている。恵美ちゃん、また全裸から着替えてるよ……「そういう意識から変えないと女子力の道は遠いわよ」と言いたいが、女子初心者のあたしが言ってもまずそうなのでともあれ黙っておく。
更衣室から出て海の家へ。案内板があるのですぐに場所はわかった。
海の家の手前では、永原先生と桂子ちゃんが手を降っていた。桂子ちゃんはあの時選んだオレンジ色の水着。
永原先生は緑のビキニで布面積は小さく、ショーツには可愛らしくフリルがあしらわれていた。青いリボンとの組み合わせがなんとも「年上のかわいさ」を醸し出している。
少し距離が離れた所に、男子4人も見える。
これから、楽しい海での一時の始まりになるだろう。
今回以降はエロ回が少し続きます