永遠の美少女になって永遠の闘病生活に入った件 作:名無し野ハゲ豚
「おーい、ビーチサッカーやるぞ!」
そう言うと、虎姫ちゃんと恵美ちゃんが棒を使ってラインを書き始める。
色々と話し合われたみたいだが、最終的にはベタなサッカーになった。
「じゃあ、男女別にチーム分けしようか」
「2対2だから……うーん、あたしはとりあえず抜くとして……」
「とりあえず、恵美ちゃんと虎姫ちゃんは分けたほうがいいよねえ」
「あー私はサッカー部だから……桂子とさくらはどっちが運動神経いいんだっけ?」
「うーん……多分桂子さん……だと思います……はい」
ちらっと男子の方を見るじゃんけんをしている。
何だろう、林間学校の実行委員の選出を思い出す。
男子は適当に、女子は色々と話し合って決める。でもこの2つの違いが、今あたしの浩介くんとの関係につながっていると思うと……
本当に数奇な運命だ。
「よし、じゃあまずは男子から行こうか」
「えー!?」と言う声が男子から聞こえる。
「女子が見たいならまず男子からよ」
桂子ちゃんがガード固いアピールをする。
「ううぐぐぐぐぐぐ……」
高月くんが歯ぎしりする。
女子たちが水着で激しく動き回るのを見てから、士気を上げてプレーに望みたいという気持ちは分かるが、まあ仕方ない。
「浩介くーん! 頑張ってー!」
男子は4人なので、2対2だ。もちろんあたしは浩介くんのチームの応援をする。
試合はプレイヤー1人とゴールキーパーが1人で別れる。
ボールをゴールに入れれば勝ち。だけどゴールは狭い。網も棒より大分低く、網を超えるとゴールポストに当たった扱いになってしまう。
じゃんけんでどちらが最初にボールを持つかを決め、スタートする。
浩介くんと高月くんのチームと、残りの男子二人のチームに分かれる。
じゃんけんで勝った相手チームがまず攻撃する。
浩介くんと1対1になる。
「よしっ!」
浩介くんがボールを奪う。
そしてそのままドリブルし、キーパーと1対1!
「おりゃあ!」
浩介くんのシュート、しかし思ったよりも威力が出ず、キーパーに阻まれる。
「ねえ恵美ちゃん、あのボールって……」
「ああ、海用に裸足前提の柔らかいボールだぜ」
普段蹴るときもシューズを履いているので素足でボールを蹴る機会は意外と少ない。
キーパーは前に出ていたプレイヤーに手でパスし、キーパーの高月くんと1対1になる。
こちらも高月くんが冷静にキャッチし、素早くパス。
「浩介くーん!」
浩介くんはうまく足元で勝負する。
時間をかけてしまい、プレイヤーが戻ってくる。
浩介くんはとっさにシュートをバーに当てる。
ボールが柔らかいため音はせず、代わりにゴールの向こう側にボールが転がる。
「はーいそこまで! 高月君篠原君チームの勝ち!」
審判役の永原先生が宣言する。
「よっしゃあ!」
浩介くんが勝ち誇った顔をする。
「さ、女子も見せてもらうぞ!」
高月くんが言う。
「よっしゃ分かったぜ」
チームは虎姫ちゃんにさくらちゃん。桂子ちゃんに恵美ちゃんのチームだ。
ゴールキーパーがさくらちゃんと桂子ちゃんが担当している。
「ねえ、木ノ本がプレイヤーやりなよ」
高月くんが言う。
「高月くん、水着だから中見えても恥ずかしがったりしないわよ!」
桂子ちゃんが言う。
「まあそう言うなよ」
男子からすると水着と下着は結構あいまいだ。パレオで隠されている桂子ちゃんの中身を見たいのも当然だ。
ちなみにあたしは相変わらず普段スカートでは絶対できないM字の体育座りを堪能している。
浩介くんの視線を感じると興奮してしまう。他の男子ではそうならないのに……
「それにサッカー部の虎姫ちゃんが相手だよ。運動部の恵美ちゃんじゃないとだめだよ」
「うぐっ」
桂子ちゃんが正論を突き付け、いざ試合開始。
恵美ちゃんがまず抜けようとする。しかし、虎姫ちゃんにボールを取られてしまう。
やはり恵美ちゃんといえど本職のサッカー部に勝つのは難しい。
虎姫ちゃんが一気にシュートする。
しかし、高く上がりすぎた。いわゆる「宇宙開発」とよばれるものだ。
「くっそーこのボール言うこと聞かないー!」
虎姫ちゃんが悔しがる。
桂子ちゃんがボールを取り、ゴールキーパーボールで再開。
「えいっ!」
桂子ちゃんが踏み出して手で投げる。
男子はボールそっちのけで桂子ちゃんのお尻から目を離せない。
本能なのはわかるけど、浩介くんも目線があたしから桂子ちゃんに移ってて妬いてしまう。
他の女子ならただ妬くだけで済むけど、TS病のあたしは「理解」出来てしまうので余計辛い気がする。
ともあれ、試合が再開。
恵美ちゃんがボールを持つ、虎姫ちゃんが追いかけるが、その前にシュート、こちらはバーに阻まれこぼれ球も恵美ちゃんが取る。
しかし虎姫ちゃんに追い付かれる。もう一度やけくそでシュートを打ったものの、枠を外れた。
さくらちゃんのボールでスタート。
「えいっ!」
山なりに投げて、虎姫ちゃんにパスしたつもりだった。
「やりい!」
威力が足りなかったのにも加え、身長で勝る恵美ちゃんがかなり手前からジャンプしてボールを取りパスカット。
「あ!」
虎姫ちゃんが慌てて追いかけるが間に合わない。
「それ!」
冷静にさくらちゃんを出し抜いてゴールした。
「はーいそこまで、木ノ本さん、田村さんチームの勝ちよ!」
「やったー!」
「よっしゃっ! 虎姫に勝った!」
桂子ちゃんと恵美ちゃんが喜ぶ。
「あ、あの……安曇川さん、ごめんなさい……」
パスの甘さから失点してしまったさくらちゃんがショックで肩を落としている。
「なに、これは遊びだ。あんまり気を落とすなよ」
虎姫ちゃんが慰める。
「は、はい……」
「ささ、今度は男子でもう一試合やろうぜ!」
「あ、あの……」
「うん? どした高月?」
「石山が参加してないみたいだけど……」
「あー優子ちゃんは運動苦手だし……」
「で、でも何か参加させてあげないとかわいそうだよ! ゆ……い、石山だってせっかく水着で激しく動き回りたいだろうし!」
高月くんが下心丸出しで言う。
「おい高月! お前本音が出てるぞ!」
「だ、だって……」
「い、石山! 無理に参加しなくていいぞ! こんなスケベ男の言うことは忘れろ!」
浩介くんが動揺しながら言う。
「うーん、確かに優子ちゃんが動き回ると水着も海も栄えるのは事実なのよねえ……」
「ちょ、ちょっと桂子ちゃん!?」
「そうだ、優子は永原先生とPK戦しようぜ」
「え? 私ですか?」
「先生とはいってもやっぱ一回くらいは参加してもらわねえとなあ」
「そういえば、永原先生って運動神経はどうなんです?」
あたしが質問する。
「自慢じゃないけど結構ありますよ。戦乱の時代を生き抜いてきましたから」
「それじゃあ試しに私とサッカー1対1してみて」
虎姫ちゃんが言う。
「……いいですよ」
というわけで永原先生と虎姫ちゃん、1対1でビーチサッカーのボールを取り合いが始まる。
永原先生の水着もなかなか扇情的である。
「ふっえいっ!」
「あ!」
虎姫ちゃんが一瞬のスキを突かれ、ボールを奪われる。
しかし、虎姫ちゃんもそこから負けじとスライディングも織り交ぜつつ奪い返す。
「すげえな、あの虎姫と互角って……」
しかし、永原先生の方が息が上がっている。
「先生、すごいですけど、私には勝てませんよ。これでまだ7割くらいです」
「そりゃあ……安曇川さんサッカー部だもんねえ……私は全力全開よ」
永原先生が息を上げて言う。正直言ってかなりエロい。
「でもよ、サッカー経験者ってわけじゃないだろ? そんで虎姫とあそこまでやりあうのはすげえぜ」
「まあ、ちょっと余興でやったことはあるけど、最後にやったのは……10年位前かしら?」
「んじゃあよ、永原先生やっぱ基礎運動能力がすげえんだよ」
「やっぱり、修羅場くぐってきたから……?」
「まあねえ……でも明治維新の時はちょっと危なかったわよ。何せほとんどずっと江戸城か江戸の町にいたから」
「とにかく、優子ちゃんとPK戦だとやっぱりハンデが必要だよなあ……」
多分永原先生じゃなくても、相手がさくらちゃんでもハンデは必要だと思う。
「とりあえず、優子は守るときにゴールを小さくして、少し距離を離すしかねえかなあ……」
桂子ちゃんと恵美ちゃんが協議する。逆に言えばあたしが蹴るときは近くで広いゴールということになる。
「よし、ゴールはこんな感じかな?」
さっきの試合よりもゴールが一段低くなる。もっとも、あたしの背よりは高いけど。
そして桂子ちゃんが砂浜に二つ点を書く。
「それじゃあ、まず優子ちゃんからキーパーやってみて」
「はーい!」
あたしがゴールの前に、永原先生がPKの後ろ側の位置に移動する。
海風がはためき始め、あたしのパレオがまた風に煽られ、男子の視線があたしの下半身に釘付けになる。
「準備はいい?」
「うんっ!」
あたしは男時代の体育の授業を思い出し、身体を少し低くし、両手を広げ、永原先生に視線を集中させる。
「よーい……どん!」
桂子ちゃんの掛け声とともに、永原先生が助走をつける。
ボールを蹴る。右上!
あたしは夢中になってジャンプする。ジャンプの勢いでふわりとパレオが浮遊する。
確かに普通のサッカーや球技大会のフットサルよりは威力がない。でもあたしの反射神経では間に合わないし、あたしのジャンプ力では届かなかった。
ボールは網を揺らし永原先生の得点になる。
下に落ちると一気に下から巻き上げる風圧によって白い水着が丸見えになる。あうう……浩介くんにこれ見せるの恥ずかしい……
「よし、次は石山さんがキッカーで私がゴールキーパーね」
桂子ちゃんと恵美ちゃんがゴールの網の幅と高さを広げる。そしてあたしはさっきより手前から蹴る。
「あらあら、結構ハンデ大きいわね」
「でも先生、優子ちゃんにはまだ足りないかもしれませんよ」
海風はさっきよりも強くなり始め、今までは風では見えてなかった桂子ちゃんも、中の水着が見えるくらいはためいている。
あたしの水着も、時折おへそがパレオで隠れるくらいめくれることがある。
普段スカートの中をみえないように必死にしているギャップからか、平常心を保つあたしの様子に、浩介くんを含めて男子たちが興奮しているようだ。
永原先生はあたしと同様の姿勢を取る。ビキニから見える谷間がまぶしい。あたしほど大きくはないけど、それでも永原先生の小さい身体からすれば、かなり大きい。
「よーい……どん!」
風が収まった所で再び桂子ちゃんの掛け声、あたしはボールの左側を蹴って右側に軌道を描かせる。
蹴った瞬間も、足を上げて中の白い水着を見せることになる。
「あ!」
永原先生は左側に身体を傾けるが、ボールはなく、空を切って倒れる。逆を突き楽々1点を取った。
どうやらこの距離でこの広さなら互角に戦えそうだ。
むしろ大変なのは入れ替わるたびにゴールを調節する桂子ちゃんと恵美ちゃんかもしれない。
再びゴールが狭くなり、後ろの方から永原先生がシュートする。
今度はボールが正面に行き、あたしは思わず身をかがめてしまう。
「トンッ!」
ボールがお腹に当たる。痛くない。とりあえずボールを取る。
「きゃはははは」
「大丈夫だよ優子ちゃん、当たっても痛くないよー!」
笑い声とともに痛くないアピールという声が聞こえる。
うん、確かに痛くなかった。そういうボールだもんね。
ともあれ、これであたしの1点リード。
2回目のあたしのボール、あたしは左側の隅に低い軌道を狙う。永原先生ならノーゴールのコース。
「よーい……どん!」
永原先生は左側へ、しかし、ボールを浮かせると思ったため、体が倒れるより前にゴールネットの下をボールがくぐる。
結局、このままリードしているあたしがメンタルで優位に進め、5回目のゴールを入れたところであたしの勝ちが決定した。
「やったー! あたしの勝ちー!」
「石山さん強いわねえ……」
ハンデ考えたらどう考えても永原先生のほうが上手なのに。
「優子ちゃんおめでとう!」
「うん、ハンデ1回目で勝てたのも初めてよ」
だいたいはもっとハンデが必要になるからだ。
「にしてもやっぱあの水着エロいよなあ……」
「うんうん、露出度は先生の方が高いのになあ……」
男子たちがあたしと永原先生の水着で盛り上がっている。
「もう、男子ったらまた優子ちゃんを性的な目で見てる……」
「いいのよ桂子ちゃん」
「え? でも――」
「だ、だってこれ……こ、浩介くんに……あうう……」
「優子さん……墓穴掘ってますよ……」
でも確かに、浩介くん以外の男子に見られすぎちゃうと嫉妬されちゃうから、次からは露出控えめの水着にした方がいいかもしれない。
「さ、帰る時間まではまだありますから、海でボール遊びしましょ!」
「はーい!」
10人全員が海に入る。今度はルール無用でビーチボールを高く上げるような所作を繰り返す。
海に着水しないように上げ続ける遊び。蹴鞠の海版という感じだ。
「そーれ! あ、石山!」
「えーい!」
浩介くんに言われ、ボールをつなぐ。
「あ! 先生!」
「はーい!」
他愛もない時間。さっきみたいなスポーツもいいけど、やっぱこういう一時が大事だ。
ふと海の家の方を見る。人人人で大混雑している。ここは相当な距離があるので、歩くのも一苦労なのだ。
楽しい時間はあっという間に過ぎる。いつの間にか太陽がやや西に傾き始めた。
「さあ、みんな、そろそろ出るわよ。着替える前にちゃんとシャワー浴びてね」
永原先生の声とともに、全員が荷物を持ち、更衣室まで歩く。結構長い。
まずは一旦ロッカーを開けて100円玉を取り出し再び閉める。鍵を腕に取り付け、タオルを持って隣のシャワー室に入る。
個室になっているので、鍵を閉めたら水着を脱いで素っ裸でシャワーを浴びる。
まず潮風に吹かれて痛んだ髪を洗う。備え付けのシャンプーをかけて入念に手入れする。
身体も日焼け止めクリームを落とす。水着の中だった部分もきちんと洗う。
海で水着になった後でフルヌードになるのは、誰もいないのにちょっと興奮してしまう。
ついシャワー室にある鏡でセクシーポーズを取ってしまう。って何やってんだ早く終わらせないと。
クリームの効果は絶大で、きれいな肌はほとんど日焼けしていない。そういえば桂子ちゃんも日焼けしてなかったっけ? 対して虎姫ちゃんと恵美ちゃんは結構焼けてたなあ……
そんなことを思いつつ、一通り洗い終わったら身体をタオルで入念に拭いていく。
一瞬ドアを開けそうになる。危ない危ない。
パレオ以外の水着を一旦穿き直して、ロッカーに戻り、私服に着替える。
水着のブラの上に一旦下着ブラをつけて、そして水色ワンピースを着る。
ワンピースの中で水着ブラを外し、下着ブラに取り替える。
下のみ水着を脱ぎ、代わりにパンツを穿く。後は水着とタオルをビニール袋に入れて、財布などを元の位置に付け直し、忘れ物がないか確認したらロッカーを閉めて外に出る。
「あ、優子ちゃんお疲れー」
「ごめん、待ったー?」
「ううん、そんなでもないよ」
よく見ると、あたしが一番最後だった。
「あ、石山さん、ちょっといいかな?」
永原先生が声をかける。
「篠原君と、連絡先交換した?」
「あ、まだ」
「交換しておくといいわよ」
「う、うん……」
すっかり忘れていた。
「あ、あの……浩介くん」
あたしは高月くんと話していた浩介くんに声をかける。
「おっと、篠原、愛しの彼女がお呼びだぜ」
「お、おい高月!」
顔で焼肉が焼けそうなくらいじゅうじゅうと熱くなりながら、あたしは上目遣いで浩介くんを見つめる。
一瞬ドキッとした表情を見せる浩介くん。あたしまでドキドキしちゃう。
「あの……連絡先……交換してくれる?」
「あ、ああうん。そうだね。メールとかしたいし!」
あたしはプロフィールを見せる。
「あれ? 石山ってガラケー?」
「うん、少し旧式だよ。赤外線はやり方分からないや」
「ちょっと待ってな。確かこれは……」
浩介くんがあたしの携帯を取ってやり方を確認する。すると両手で操作し一人で連絡先交換をしてしまった。
「はい、これで大丈夫。後は電話帳機能で確認してくれ」
「あ、ありがとう……」
「はーい、じゃあそろそろ行きますよー」
永原先生の掛け声とともに、ICカードをかざし、みんなで電車に乗る。
まだ混み始める時間ではないものの、10人は空いておらず、座席には座らない。
あたしは電話帳で、浩介くんの電話とメールアドレスを見つめ続ける。
名前はシンプルに「篠原浩介」になっている。あたしはそれを、今日から使い始めた呼び名である「浩介くん」に変える。
メールを送ってみる。
題名:テスト
本文:今日は楽しかったね。
これでいいかな?
送信ボタンを押し、「相手にメールが届きました」と出る、直後、浩介くんがスマホを取り出す。
1分も経たないうちにメールが届いた。
題名:Re:テスト
本文:うん、俺も楽しかった……ちょっと心臓と下半身に悪かったけど
あはは、浩介くんらしいなあ。そうだよね、うん。
いつかあたしも、下半身が正常になってくれるかな?
そんなことを思いつつ、電車を乗り換える。
何人かはこのまま電車を使い続け、何人かは沿線へ。
浩介くんが降りる。あたしは寂しい気持ちもあったが、明日の夏祭りでまた会えることを思い出す。
明日は露出の多い水着姿とは打って変わり浴衣姿になる。浩介くん、喜んでくれるといいなあ……
永原先生は学校に用事があるということで、学校の最寄り駅で降りる。
そして自宅の最寄駅桂子ちゃんと二人で話しながら歩く。
「いやあ、私もだと思うけど、優子ちゃんなんて今日はまさに海辺のアイドルだったねえ!」
「ええ? そうかなあ?」
「うんうん、盗撮されてるかもよ」
「うげっそれは嫌だなあ……」
「まあ、でも見られてナンボなんだから、今はゆっくり休んで明日のことを考えましょ」
「うん、そうだね。浴衣姿……浩介くん気に入ってくれるといいなあ……」
「そうだね。じゃあここで」
「うん、バイバイ」
桂子ちゃんと別れ、自宅へ戻る。
母さんから「今日は入念にお風呂に入りなさい」と言われる。うん、さっきシャワー室で徹底的に洗ったけど、今日は念には念を入れたほうがいいよね。うん。