永遠の美少女になって永遠の闘病生活に入った件   作:名無し野ハゲ豚

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楽しい夏祭り 浩介くんとお化け屋敷

「あ、ごめん待ったかー!? おー、先生すげえなその着物! 年代物って感じだぜ!」

 

 次に出てきたのは恵美ちゃんだった。

 恵美ちゃんの浴衣姿だが、何か違和感がある。って、左前になってるじゃない……

 

「ちょっと! こら田村さん!」

 

「? どうしたんだ先生?」

 

 永原先生の驚いた顔と対照的に恵美ちゃんはキョトンとしている。

 

「田村さん、それじゃ死んだ人よ!」

 

「あー? 何かよくわかんねえから適当にビデオ見ながらやったらこうなったぜ」

 

「左右逆よ! もうっ! あそこにトイレがあるから、今すぐ直してきなさい!」

 

「えーめんどくせえよ」

 

「な・お・し・て・き・な・さ・い!」

 

 面倒くさがる恵美ちゃんに永原先生が凄む。

 

「わ、分かったよ……」

 

「いい? 相手から見てyの字よyの字」

 

「お、おう……」

 

 恵美ちゃんがトボトボしながらトイレに入る。最も、個室ではなく手を洗うところの鏡でやるんだろうけど。

 

 

「お、男子一番乗りか! しかし、先生すげえなその着物!」

 

 次にやってきたのが高月くんと浩介くん。高月くんも開口一番で永原先生の着物に言及する。

 

「うん、320年位前のよ」

 

「ヒエー! そんなに前の!?」

 

 やっぱり二人共驚く。

 

「ええそうよ。当時の殿様……高家旗本の方にもらったのよ」

 

「へえー? 誰なんだ?」

 

「吉良上野介殿よ、とても温厚で優しい方だったわ」

 

「へえ、そうなんだ? その吉良何とかってのは知らないけど、すごそうな着物だってのはわかった」

 

「ていうか、江戸時代の殿様のくれた着物だろ? 売ったら数百万とかになるかもよ?」

 

「ダメよ! これは吉良殿にもらった大切な着物よ。お金では買えないわ」

 

 永原先生、この着物がよほど大事らしい。まあ確かに思い出の品でもあるだろうし、そう簡単に売れるものじゃない。

 

「でもよ、美術館とか……」

 

「うーん、それもダメね。私も吉良殿との思い出は残しておきたいから」

 

「左様でござるか……」

 

 浩介くんが何故か侍の言葉になっている。

 

「おーい戻ったぞ、お、篠原に高月も来てたか」

 

 恵美ちゃんが戻ってくる。今度はちゃんと左右正しい着方になっていた。

 その後、海の時にも居た男子が二人、その二人も永原先生の着物について話す。

 というか、通行人も永原先生の着物について話している。夏祭りと言うにはちょっと過剰な気もする。まあ、集合する時に目立つからいいかもしれない。

 

 

「ごめんー待ちましたか!?」

 

「あれ? 龍香ちゃんじゃない、どうしたの?」

 

 続いてやってきたのはさくらちゃんに龍香ちゃんだ。

 

「私が呼んだんです……」

 

 さくらちゃんがいる。

 

「いやーさすがにちょっと顔を出そうかなと思ってー」

 

「でも彼氏とか大丈夫なの龍香?」

 

 桂子ちゃんが龍香ちゃんに言う。

 

「あーうん、私の彼もそこまで束縛はしないですよ。それよりも先生、その着物何処で手に入れたんです?」

 

「あーこれ? 320年位前に江戸城で」

 

「ふぇ!? これ、本物ですか!?」

 

 さくらちゃんが食いつく。時代劇好きだもんねそういえば。

 

「ええ、そうよ江戸城で」

 

「うわああ、すごいですよすごいですよ!」

 

「おや、さくらさんが食いついてますよ」

 

「珍しいなあ……どうしてだ?」

 

 男子が不思議そうな顔をする。

 

「さくらちゃん、時代劇が好きなのよ」

 

「へえ、あの志賀がねえ……珍しい……」

 

 さくらちゃんが傘を指差す、さすがにこれは新しいものだ。

 

「で、この着物江戸城でもらったっていいますけど、誰にもらったんですか?」

 

「ええ、吉良上野介殿よ」

 

 永原先生がまた吉良殿にもらったと話す。

 するとさくらちゃんの顔が凍りついた。

 

「え、えええ!? これ吉良の着物なんですか!?」

 

「ええそうよ」

 

 驚愕するさくらちゃんに対して、永原先生は涼しい顔で答える。

 

「永原先生、吉良がどういう人なのか知ってるんですか!? あの忠臣蔵の――」

 

「志賀さん、忠臣蔵何てひどい話のことは忘れなさい!」

 

 永原先生が少し語気を強める。何だろう、永原先生があの時見せた「真田幸村」に対する怒りと同じ感情を感じる。

 

「いやでも、ほら、刀傷事件に及ぶまでにさんざん嫌がらせしてたって――」

 

「上野介殿はそんな御方じゃありません!!! あれはキチガイの浅野長矩が全部悪いのよ!!!」

 

 ま、まずい……本気で怒っている。

 

「あ、あの……永原先生……? でも四十七士は……」

 

 永原先生の気圧に、恐る恐る答える。

 

「あのねえ!!! あんな奴らをそんな名前で呼ぶんじゃないよ!!!」

 

「ひっ……ごめんなさいごめんなさい……」

 

 さくらちゃんの言葉は、永原先生の逆鱗に触れてしまうだけだった。周囲も何事かと振り返っている。

 

「ちょ、ちょっと永原先生、言い過ぎですよ……」

 

 あたしが慌ててなだめる。

 

「あら、ごめんなさい……いい志賀さん? 私は当時を江戸城で生きてるから言ってるのよ。吉良殿は何も悪い事してないわよ」

 

「じゃあ何で――」

 

「浅野長矩がありもしない怨恨を妄想したからよ!」

 

「そ、そうだったんですか……」

 

「ええ。でもその史実に沿っちゃうと浅野長矩は妄想で刀傷に及んだ狂人で、赤穂浪人は妄想で一方的に被害者にされた上野介殿に逆恨みした大馬鹿者ってことになっちゃうから、ああやって無理矢理上野介殿を悪人に仕立て上げたのよ」

 

「つまり、赤穂浪士を正当化するためにああなったと?」

 

 あたしが質問する。

 

「……そうよ、私はね、どうしてもそれが許せないのよ。討ち入りの報を受け、その後大衆に上野介殿が悪人に仕立て上げられていって……当時を知る人がみんな死んでも……誰も私の話を聞こうともせず……私は悔しくてたまらなかったわ。昔も……今もよ……」

 

「でも、服をくれたってだけでしょ?」

 

 あたしが質問する。

 

「あの時の私は、町娘の町人の服で江戸城を過ごしてて、みんな表向きは不老長寿の女ということで敬意は払ってくれたけど、裏で随分陰口を叩かれたものよ」

 

 永原先生がしんみりとした様子で話す。

 

「上野介殿はそれを可哀想に思われて、江戸城や諸藩に対して、5代様を通じて私に陰口を叩くのを止めよと伝えられて、私にこういう服をくださったのよ」

 

 心なしか、少しだけ涙声になっている気がする。

 

「この服は、吉良上野介殿が、本当は慈悲深く、恩義に手厚い御方だと示す歴史的証拠でもあるのよ。世間が何と言おうと、私には吉良殿に受けた御恩があるのよ」

 

「そうだったんですか……ごめんなさい……」

 

 さくらちゃんが頭を下げて謝る。

 

「いい? 時代劇は話を面白くするために色々な嘘を使うわ。例えば悪代官とかもそうよ」

 

「そうなんですか?」

 

「ええ、現実の代官は悪事どころか過労死する人も多かったくらいの職業でね。しかもちょっとでも不祥事を起こせばすぐクビになったのよ」

 

「大変だったんですか?」

 

「ええ、ブラック企業だ何だ言いますけど、当時の代官の噂を知ってる私からすれば片腹痛いわよ。もちろんいいことじゃないですけど」

 

「そんなに大変なのですか……」

 

 龍香ちゃんも聞き入っている。

 

「ささ、私の昔話はここまでにして、そろそろお祭りに行きましょうか」

 

「あ、うん……」

 

 今日は男子4人に女子は6人になった。

 あたしは歩き始めるとまた下着を付けていないことが気になってしまう。

 さっきまでは永原先生の話のお陰で気を紛らわせることが出来たが、やっぱりまた落ち着かない状況に追い込まれた。

 

「どうしたんだ石山? なんかぎこちないぞ」

 

「はうぅっ……こ、浩介くん……!」

 

 水着のときよりもずっと緊張感が高い。心臓は激しく鼓動し、呼吸が荒くなる。

 

「そ……その浴衣……に、似合ってるぞ」

 

「そ、そう……ありがとう……」

 

  ドキドキドキドキドキドキ

 

 また堂々巡り、ノーパンノーブラってバレたら、はしたない子って思われるかもしれない。

 でも、浴衣の時はそれが普通だと知っていたら、もしかしたらちゃんと着付けを守ってるいい子って思ってくれるかも……

 

 鳥居をくぐり、沢山の屋台が並ぶ。

 少し風が吹く、浴衣の中に少しだけ風が吹きつけてくる。

 その度に身体がビクンとなる。こんな風ではだけるわけ無いでしょ優子!

 

「石山? どうしたんだ? 熱でもあるんじゃないか?」

 

「だ、大丈夫……ごめん……」

 

 浴衣のためにノーブラノーパンになってるから落ち着かない何て言えないよなあこれじゃあ……

 

「それじゃあ自由時間にしますね。各自1時間半後に一旦集合とします」

 

「「「はーい!」」」

 

 みんなが勢い良く散開していく。当然あたしと浩介くんが最後に取り残されてしまう。

 

 ど、どうしよう……大丈夫、バレないバレない。これが普通、これが普通普通普通……これが正しいこれが正式これが正式、正式正式正式……

 

 うう……やっぱり浩介くんが一緒だと緊張度が全然違う……

 

「あ、あの石山……」

 

「はっ! うん、浩介くん何処回ろうか?」

 

「あれなんてどうだ?」

 

 

「さあさあよってらっしゃいみてらっしゃい! 幽霊の、正体見たりは枯れ尾花! 楽しい楽しいお化け屋敷、大人も子供もお兄さんもお姉さんもみんなで楽しめるお化け屋敷だよ!」

 

 よく見ると一人のおばちゃんがマイクで独演していた。

 「お化け屋敷」と書かれ、手作り感満載のお化けがたくさん飾られている。まさに「古き良き」だけど……

 

「お、お化け屋敷……」

 

「石山は苦手か?」

 

「そ、その……」

 

 ど、どうしよう……お化け屋敷って言うけど、怖いというよりはびっくりさせるのが多いはず。

 

 もしびっくりして腰とか抜けちゃっやら、すってんころりんしちゃったらどうしよう……その表紙で浩介くんに中身を見られちゃったら……

 

「どうした? 嫌なら止めてもいいけど――」

 

「う、うん大丈夫だよ!」

 

 ってバカー! 何で本音と反対を言っちゃったのよー!

 ううう……こういう変なプライド捨てられないのってやっぱりまだ「男」が残ってるせいなのかな?

もうあたしがかっこ悪くても浩介くんは怒らないのに……

 

 

「さあさあ、大人500円、学生300円、子供100円だよー!」

 

「石山、財布あるか?」

 

「う、うん……」

 

 うー墓穴をほってしまった。でも中は暗いはずだし大丈夫だよね。

 

「さあさ、どうですか? お化け屋敷というは古今東西色々な妖怪を集めましたよー!」

 

 無言で演説中のおばさんに近付く。

 

「お、カップル一組が来ましたよ!」

 

 野次馬が注目している。「うわああの子かわいい」「羨ましい」と言う言葉が聞こえる。既に聞き飽きたに近い言葉だけど、それでもちょっとだけ女の子として自信が高まる。

 

「あの……学生二人」

 

「ささ、600円ですよ! 2名様いってらっしゃい!」

 

 カーンと鐘を鳴らしお化け屋敷の扉を開ける。

 

「おーよく出来てるなー!」

 

 中は予想通り暗い。時折おどおどしい音楽も流れていて、お化け屋敷の外から聞こえるおばちゃんの声がなんとも面白い。

 中は何故か学校の廊下風で、教室の近くには何故かロッカーがある。

 

 ともあれ、浩介くんと横に少し離れて歩く。

 手をゆっくり近づける。浩介くんの身体に胸を……

 

「うっ……」

 

 だ、だめ……また拒絶反応が……

 手を引っ込める、浩介くんは気付かない。

 

 あたしと浩介くんがゆっくり歩く。

 

「なあ、石山、これ上手く出来てるよな」

 

「うんうんこのロッカーとか……うわああああ!!!」

 

 び、びっくりしたー、急にロッカーから手が出てきた。

 浩介くんもちょっと引いている。いずれにしても浴衣はびくともしなかった。

 

 収まって手を見てみる。

 もちろん紙で作った作り物で、近くで見ると中々チープだ。

 

「何かこう……やっつけかんあるよなー」

 

「でもそれがいいんだよ」

 

 順路に拠れば、この後教室に入ることになっている。

 教室と書いてあるが、広さは小谷学園の教室の半分もない。黒板には赤いペンキを使った血文字で「呪ってやる」とか書いてある。

 あたしと浩介くんが教壇に立ってみると「うらめしや~」と言う声が聞こえ、掃除用具入れから幽霊が出てくる。

 

 ちなみに、幽霊なのでこちらは左前が正しい。頭に白い頭巾をかぶっていかにもな感じだが、顔の化粧は結構おどおどしい。

 

「うらめしや~」

 

 いかにもなポーズをしてあたしと浩介くんの前で踊りを披露する。

 

「うおお、すごいなこれ」

 

「うん、顔迫力ある」

 

「うらめしや~ありがとう~」

 

「ぶっ……」

 

「あっははははは!!!」

 

 突然お礼が帰ってきて二人して大笑いする。なんというか真面目なお化け屋敷かと思ったら超ハッチャケお化け屋敷だとわかったからかもしれない。

 

「うらめしや~この先もどうぞお気をつけて~」

 

「は、はい……」

 

「何で恨めしい幽霊がそんなこと言うんだよ」

 

 浩介くんが思わず突っ込む。

 

「うらめしや~そう言うセリフだからです~」

 

 メタなコントをしつつ、幽霊役の人が体をくねらせながら元の用具入れに戻る。

 順路はこの教室から出た扉だ。

 扉の近くには何故か理科室の人体模型の骸骨がある。

 

  カラン

 

「わあっ!」

 

 あたしがちょっと悲鳴を上げる。突然骸骨の顔が首からぽろりと床に落ちたのだ。

 

「浩介くんは大丈夫?」

 

「あ、ああ、ちょっと心臓に悪いなこれ」

 

「うん……」

 

 よく足元を見ると糸がある。なるほどさっきの幽霊役の人の仕業か。

 

 そう思って教室を出る。

 すると何故か墓場に来た。

 

「な、何で教室の先が墓場なんだ?」

 

「浩介くん、突っ込んだら負けな気がする」

 

 それよりも気になるのは、ひんやり感を味合わせるため、足元に微風が流れていること。

 空気の流れが浴衣の中に入り込む。下半身がまた落ち着かない。見えたらどうしよう、見られたらどうしようなんて考えても仕方ないので、今はお化け屋敷に集中する。

 

 墓場を進む、足元を見ると結構死体の描写とかかなりおどおどしい。と言うかグロい。

 こっちは驚かせるというよりは、見て楽しむお化け屋敷ということになっていて、最初からお化けがむき出しで正面から堂々と現れてくる。

 

「結構気楽なお化け屋敷だね」

 

「遊園地のコースじゃなくて夏祭り用なんだなあ……」

 

 そんなことを話した矢先だった。

 

「ばああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」

 

「ひゃああああああああああああ!!!!!!」

 

「うわあああああああああああ!!!!!」

 

 突然大きな声とともに血まみれの妖怪が立ち上がる。

 

 あたしも浩介くんも驚いて後ずさりする。

 

「わっ!」

 

 しまった、足元のバランスを崩した。尻もち付いちゃう!

 

「とっと……石山大丈夫か?」

 

 しかし、そうなる前にあたしの頭がは浩介くんの肩と接触していた。

 で、でも……

 

「あ、あの……」

 

「え?」

 

「助けてくれたのはありがとうなんだけど……」

 

「あ!」

 

 浩介くんは、自分の手があたしのお尻を触っていることに気付く。

 

「手えどけてえ……」

 

「ご、ごめん!」

 

 バランスを直してくれる時に、あたしは浩介くんに思いっきりお尻を撫でられた。

 また少し身体の反射で気分が悪くなったが、心ですぐに押し殺す。

 

 プシューと顔が赤くなるのを感じる。最もお化け屋敷だから見えてないだろうけど。

 

「あーお客さん大丈夫ですかー?」

 

 驚かせた妖怪役の人にまで心配されてしまう。

 

「ああ、大丈夫です。すみません」

 

 そう言って墓場を出る。墓場を出ると、大人が一人歩けるくらいのスペースの廊下だ。

 

「浩介くん! ちょっとこっち向いてくれる?」

 

「え!? また? 正直痛くないけど……」

 

「向いてくれるかな?」

 

「お、おう」

 

 浩介くんが振り向く。

 

  ペチッ!

 

「もうっ! 浩介くんのえっち!」

 

 照れ隠しのビンタ。浩介くんは全然痛そうにしない。

 

「分かってたけどよお……」

 

「そう言うときはもう一方の手で支えながら離すのがセオリーでしょ!? もう……あんなにおもいっきり撫でるなんてぇ……!」

 

「は、はい……おっしゃるとおりです……」

 

「まあ、でも触られたのが浩介くんだから……許しちゃおっかな」

 

「え!? それってどういう?」

 

「他の男の子だったら許さないってことよ。と、特に今日は……ね。さ、先に行こうか」

 

 お化け屋敷だからよく分からないけど、浩介くんも顔が赤くなっているだろう。

 

 浩介くんを先に通しながら、お化け屋敷の廊下を進む。

 ここは墓場の大部分と同様、オバケたちの人形がたくさん迎えてくれる。

 おそらく、作るだけ作ってボツになったのとか、去年以前で使ってたのを出しているのだろう。ご丁寧に妖怪の説明まで書いてある。

 

 なんか西洋っぽい妖怪もいるし、明らかに妖怪というか人間の女の子に近い容姿で「少女」を名乗る妖怪まであった。そのくせ能力はめちゃくちゃ強い。「闇を操る」って何かすごそうだ。こんな可愛いなりして人間をよく食べるのか。

 ともあれ、ここは恐怖を煽るというよりは、どちらかと言えば「お化け妖怪の展示コーナー」に近い感じだ。

 前の方にも前回の客と思しき2人組が居て雑談をしている。

 たくさんの妖怪をゆっくり見て回る。結局大半の時間はここに費やした。

 

 ドアを開けると出口に到着。

 

 

「さあさあ、おかえりなさいませ! 色々な妖怪、楽しんでいただけたでしょうか! さあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい――」

 

 おばちゃんの演説を背景に、あたしと浩介くんは、お化け屋敷を出て、次の場所へ行くことにした。


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