いつの間にか匠君は追い込まれていました。
別タイトル《匠君プッツン》
A'sに参戦する予定は無いといったが……あれは嘘だった。
月村邸からの帰り道。
ピンチですお父さん。
お母さんと二人して魔力隠しをクリスマスまで外すなと言うのはこういう理由だったのですね。
僕は今、空飛ぶ赤いゴスロリ少女にハンマー突き付けられて居ます。
こんな状況予想できませんでした。
どうしましょうか、なんだか物騒なこと言ってます。
それに従うのも痛かったり苦しかったりしそうなので従いたくありませんが……だからと言って反抗した結果泣かれるような事態も遠慮したいです。
すずかちゃん、アリサちゃんにお母さんが作ってくれたアクセサリーとして魔力隠しを外して見せたのが失敗でした。
まさか、忘れて置いてきてしまうとは……
そこまで考えたところでいきなり殴りかかってきたので全力回避します。
頭がパーン!!なんて成りたくありませんから。
所がどっこい、少女は追撃に来ました。ただ振り向いてハンマーを構えるだけの簡単な動作です。
流石に体勢を崩した状態の回避では避けきれなさそうです。
「とっととぶっつぶれやがれ!!」
じゃ、無いですよ。本当にザクロに成っちゃうじゃないですかぁ!!
仕方がないのでグラディウスを少女の振りかぶるハンマーの数センチ前に召喚する。
運よくタイミングが合い振り始めたハンマーがグラディウスにあたり金属同士のぶつかり合う音と共にそこで一時停止した。
グラディウスは弾かれ、少々離れた地面に突き刺さった。
ハンマーが止まったときに急いで体勢を立て直し、また緊急回避。その先でビアンコ・アンジェロを召喚し、前に立たせる。
これで一安心、増援が来ない限り何とか成ります。
「テメェ、なんだそいつは、新手か?」
「急に襲いかかってきた子に話す必要は有るのかい?」
余裕を装っていますがけっこうピンチです。
躊躇なくハンマーを叩き付けてくるとか恐怖以外のなにものでもありませんよ。
周辺はなんだか色が反転していて人の気配がしませんし……何よりも、必死さが怖いです。
はぁ……つまりは、巻き込まれたんですかね……魔砲の世界に……
「よくわからねえ、見たこともない魔方陣……何かされる前にぶっ倒すだけだ、アイゼン!!」
すると機械的な……どこの国のか解らないけど返答?が聞こえ、ガションっと赤い子の持っているハンマーから音が聞こえた。
そして空薬莢が飛び出す。
「なにそれ、カッケー!!」
思わず叫ぶ。
なんと言うことでしょう、薬莢を吐き出したハンマーは変形を始めました。
一方は円錐状に、もう一方には三つの推進機。
「行くぞ!!」
推進機が火を噴く。
だが少女よ、それは距離が有るときに使った方が効果的ではないか?
「ラケーテンハンマー!!」
赤い少女は二、三回転してそのハンマーをビアンコに叩きつける。
ギィィン!!
「!?」
しかし、そのハンマーはビアンコの手に持つ盾に防がれ、止められていた。
そしてビアンコは動く、
数メートル少女を弾き飛ばす。
(やっぱり見た目相応に軽いのか……)
しかし少女は驚くことに空中で体制立て直してこっちを見るが遅い。
ビアンコのコンボはまだ終わっていない。
脚を一歩踏み出しての右に持つ槍を使った突撃。
機械的に真っ直ぐ赤い子に向かう槍。
普通になら避けられないが……
「ッ……なめんじゃねえ!!」
空中で体を槍の直線上から外して、こちらへ加速する。
ビアンコの槍は少女の横腹付近の服を引っ掛け削るに終わった。
「ぶっ飛べぇ!!ラケーテンハンマー!!」
少女はその鉄槌をビアンコの頭に向かい振るう。
そしてその槌は綺麗にビアンコの
少女は固まる。
やはり中には人が入っているものだと思っていたのだろう。
残念、中身は空っぽです!!
そして頭の飛んだビアンコはその場で膝を折り、倒れ込んで動かなくなった。
少しおろおろし始める少女……人は殺さないつもりだったのかな?
あんな殺意の塊のような武器を振り回しながらさ……
……うん、ビアンコを倒されたんだ。次、出すかな……
「いやーまさかビアンコが脳天直撃で一撃必殺なんて驚いたよ。
じゃあ、次はこいつだ。」
そして僕はアルト・アンジェロを召喚する。
「うん、やっぱり僕もそろそろ帰りたいんだ、悪いけど…数を増やすよ?」
指を鳴らし、ゲートを左右対称に計十個、頭上に開く。
そして出てくるはグラディウス。
剣の状態で錐もみ回転しています。
「頑張って避けてね、こいつらは結構鋭いよ」
僕はそう言って、手を上げ、突撃命令を出そうと……
「ストップだ、時空管理局……」
少々幼い感じのする男の子の声が聞こえた。
その後に続いた時空管理局の単語を聞き、僕は下げかけた手を横に振り、悪魔たちを送還した。
来る前に逃げられて居たならば悪魔の魔力で異常はわかってもなにが在ったかはわからなかっただろうに……
あー…見られたな。見られちまったな……
さよなら平穏(仮)ようこそファンタジーサイエンス
はぁ……
赤い少女の方を見ると……居ない。
どうやら真っ先に逃げたみたいだ。
「管理外世界での魔法の行使は禁じられている」
「あー…管理局ってどこの国の組織ですか?と言うか、どこの星の組織ですか?場合によっては侵略行為があったと連盟に連絡を入れないといけないので出来れば敵対行為は取って欲しくないのですが……」
そうなのです。
つい先日、僕も連盟の一員になりました。
あのコジマ炉……ソルディオス=プロトの改造がどうやら大きな功績と認められたようで本来まだ使えないいろいろな機能を使う許可が下りているのです。
その内の一つで救援要請と言うものがあります。
有力な能力者が減るのを防ぐためのシステムですね。
これは危険な状態になってから発動するのですが、僕は任意でも発動できます。
しかも、暇な高ランクを送ってくれるとの話ですので……まあ、なんとでもなるでしょう。
「なに?この世界にも管理組織があるのか?そんなはずは無い。この世界に魔法技術は……」
キンッ!!
「うるさいですよ?誰が異能は魔砲に限られるなんて言いましたか?あなた達には対処できそうなので教えてあげます。僕の能力は召喚、今なら頑張れば対都市級のものを召喚できますよ」
それを聞く少年の周辺には輝きながら錐もみ回転をする十本の巨剣があった。
「さて、こちらから問わせて貰います、異世界人。何をしにこの世界に?」
「今すぐこの剣を退けるんだそうすれば…」
おや、ちょっと距離を開けすぎていましたか?余裕な様です。
キィィィィン!!
グラディウスの一体が回転数を上げ、赤い光を纏いながら少年に近付く。
「君は知らないのかい?権力と言うものはその権力が知られている範囲で知っている人にしか効果を持たないんだよ結局は武力や暴力で言うことを聞かせるわけだしね。武力や暴力も相手に届かなければ効果は無い。で、君はさっきこの世界のことをなんといった?管理外世界?つまり今回は管理しようと思ってきた?侵略行動かな?そして、君は僕をどうしようとした?僕はね、納得できない理由で力を使って僕の平穏を乱す者が許せないんだ。さっきの子も拘束してなぜ急に襲ってきたかを聞こうとしたんだけどね……君の介入で逃げられちゃったじゃないか。もしまた襲われたらどうしてくれるんだい?」
ふむ、どうやら自分で思っている以上に冷静では無いらしい。
少々言動におかしな点があるが……まあ、いいか。
「……まあ、君が交渉の席に着きたいというのなら武装を解除してくれないかな?さっきのそぶりを見るにその杖が君の武器のようだけど……あと、君はここまで単身で来たのかな?そうであってくれれば交渉なんて手を使わなくても口封じ(記憶消去)で済むんだけどね……」
あ゛ーークソッ!!せっかくすずかちゃんとアリサちゃんと猫に癒されてきたってのに……
「返答は早くしてほしい、今はタイミングが最悪でね、そう長く我慢できそうにないんだ」
赤く輝くグラディウスが少しずつ少年に近付く。
ある程度まで近づいたところで、何かに当たり、火花を散らした。
……へぇ
「なるほど、沈黙を貫く理由はその障壁みたいなもののおかげかな?でもようやら思い通りにはいかないみたいだね防いだところで反撃しようとしていたのかな?残念」
そう、グラディウスは確かに火花を散らしているが、その進行は一切衰えていない。
その火花も三秒もしないうちに収まり、グラディウスは少年へと進む。
「待ってください!!」
突然、表示枠が現れ、緑色の髪の女性がそう言ってきた。
「おや?お仲間ですか?ならよかったです。説明を求めます。何をしに来たのですか?」
僕は光のない目でそう問いかける。
「言います、言いますからその剣を止めてください!!」
まあ、必死になる理由もわかる。ご自慢の障壁を紙の様に切り裂きながら進んでいるのもいるのだから。
「いいえ、先に言ってください、簡潔に。嘘をつかなければ止めましょう」
嘘を考える余裕は上げませんよ。と僕は言ってグラディウスに新しい指示を出す。
するとさらに一体が錐もみ回転で近づき、残る八体が四対に分かれ、柄の部分でくっ付き、回転を始める。
その見た目はスクリュー。そしてやはり少年を輪切りにしようと動き出す。
「はい、すたーと」
グラディウスが回転数と移動速度を上げて動き出す。
「ッ…私たちはある事件を追ってここへ来ました、断じて侵略が目的ではありません!!」
一瞬息をのみ、早口でそう告げた。
「…いいでしょう。嘘はついていないようですね」
グラディウスがビタァ!!と言う感じで少年の十五センチほど手前の位置で止まった。
「僕は今、機嫌がすこぶる悪いので、話がしたいのなら、明日の17時、喫茶翠屋と言うお店で待ち合わせましょう。居なければ必要はないと判断し、帰りますので。必要なら五分前には居ますように」
僕は、決して追跡されない移動手段として何かを召還する。
出てきたのは陽炎のように揺らめく黒い何かを体から立ち上らせる黒馬だった。
僕はそれにためらいなくまたがり、家へとお願いする。
すると黒い何かが僕の体を包み……それが引いた時には僕は家の前に居た。
僕はお礼を言い、送還して、家に入り、部屋に駆け込んでシロとクロに、ヒノアラシ、小動物系のポケモンを呼び戯れてささくれ立った心を癒す。
「なんなんだよ、なんでいい気分で帰っているときに襲撃されないといけないんだよ!!」
心の叫びが口から出たけど仕方がない。
夕食まではそうやってすごし、そのあとは子供らしくお父さんとお母さんに甘えて、ちょっと幼児退行していたかもしれないけど、ゆっくり過ごした。
まあ、とりあえず言いたいことは一つ。
僕の頭の上でいちゃつかないでください。